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ナライフの「怒涛の映画&サッカー日記」

サッカーも映画も前世紀に大いなる飛躍を遂げました。さて、この新世紀、この2つはどう進んでいくのでしょうか?誰も分かりません。でも好きなんです。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2001-12-05 雨、風、吹雪!
2001-12-03 悲喜こもごもの週末
2001-11-06 「物語」という「制度」の弊害について 〜その3〜
2001-11-02 「物語」という「制度」の弊害について 〜その2〜
2001-11-02 「物語」という「制度」の弊害について 〜その1〜
2001-10-24 扉の向こう側
2001-09-21 イラン映画とサッカーを思い出しながら
2001-09-11 相米慎二監督を悼む
2001-09-05 まさか、オランダが・・・
2001-08-30 映画あれこれ こんな見かたはどう?


2001-12-05 雨、風、吹雪!

 およそサッカーには興味がなく、ただいつも一つ屋根の下で一緒に暮らす相方が、やれ今夜は大事な試合があるとか明け方にどうしても起きなくてはいけないから今日は早めに寝るぞ、などと言っては無茶な睡眠時間を自らに強いている姿を見ているだけに、何だかんだと言いながら興味ないにしては知識だけは豊富になってしまっている私の妻が、いつも過去のワールドカップの映像を見て「凄いわねえ」と呟くのが、78年アルゼンチン大会でのあの紙吹雪であり、74年大会決勝でスタジアム全体で揺れていたフラッグである。

 確かに、アルゼンチン名物のあの紙吹雪は、誰が見てもただごとではない。スタジアムの全員が持って振っているのではないかと思われるくらいのあの揺れるドイツ国旗も、旧ソビエトや中国の式典かと見紛う程なのだが、観客各自の意思が産み出した光景とはにわかに信じがたい。

 あの紙吹雪と揺れる旗が見る者の心を動かすのは、まさに映像というものが動く画の集体であるという本質を突いており、そこに深層心理だとか背景とかを表象することなくアクションとしての面白さのみで画面に露呈しているからに違いない。思えば、黒澤明の『七人の侍』の素晴らしさは、武士に対する農民の勝利とかいった説話レベルにあるのではなく、まさに黒澤明特有の、あのどしゃぶりの雨と強風に揺れる旗にあったのではないかと思う。リメイク版である『荒野の七人』が、オリジナルと決定的に違ったのは、このアクションを画面に定着させ得てない点にあると思うのだが、もちろん舞台をメキシコ国境近くのアメリカ西部に置いた以上、雨を降らせられないのは仕方がないとしても、であれば、かつてジョン・フォード監督が数多くの西部劇でその画面に定着させたように、灼熱の太陽光線であるとか、吹き荒れる風であるとかいった先人達の成果から活用することはできなかったのであろうか、とついつい思ってしまう。

 と言っても殊更「昔の方が良かった」などという紋切り型を演じてみせようと思っているのではなく、近作であればクリント・イーストウッドの『マジソン郡の橋』ラスト近くの、車のフロントガラス(あれはクリンビューとかしてなくて弾かないのがいい!)に流れ落ちる雫とともに描いた雨とか、相米慎二監督の遺作『風花』の冒頭での微風に揺られながら舞い降りる桜の花びらやラスト近くの雪とか、現在公開中の『ブリジットジョーンズの日記』のラストの雪とかも見事であり、映画がムービー、即ち「動く画」であることを思い起こさせる「アクション映画」になっていると思う。

 新聞の夕刊によく出る映画の時評とか、TBSの夜のニュースでの筑紫哲也の新作映画へのコメントとかは、えてして説話上の抽象的な話に終始し、そこから読み取れる「物語」だったり「訓話じみた主張」だったりして、画面には全く表われない不可視なことを、これまた映画そのものとは全く関係の無い、社会、文化、精神といった更に抽象的な衣装を纏わせてこれみよがしなロジックで分析したりするが、あれこそは映画をネタに別の事を話しているのであって、映画を語ってはいない。

 もっと素直に、「ああ、あの紙吹雪!」、「凄い雨!」、「なんてきれいな雪!」という見てそのままの感動を言語化したい。常々そう思う。

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Hidey様、「トリコロール」は未見なので、何とも言えませんが、ジュリー・デルピーは確かに端正ですよね。結構好きです。 / ナライフ ( 2001-12-10 21:40 )
雪の映画をちょっと思い出そうとしたのですが、キエシロフスキーの「トリコロール」の「白の愛」くらいしか思い出せませんでした。きっと他にもいっぱいあるはずなのに。「白」については、ジュリー・デルピーの端正な顔が白い雪ととてもマッチしていたラストシーンが印象的です。 / Hidey ( 2001-12-08 16:45 )
ぽん様、「黄色い大地」は凄い!あれこそただものではないですよね。あれと自作の「大閲兵」の2作はチェン・カイコーの頂点ではないかと思います。チャン・イーモウの撮影はほんとさすがですよね。 / ナライフ ( 2001-12-07 12:09 )
フィー子様、というか、ただのこじつけですよね、これ。お付き合い下さり、有難うございます。 / ナライフ ( 2001-12-07 12:03 )
ガス欠コイン様、あのオランダのシュート、確かに入っていたら…とよく思います。そうか、紙吹雪が邪魔したのか・・・ / ナライフ ( 2001-12-07 12:02 )
仙川様、仙川様のつっこみは、いつでも素直ですよね〜。いいなあ、と思います。 / ナライフ ( 2001-12-07 12:01 )
TAKE様、そうなんですよね、ただそれだけで涙が出てしまうこと、ありますよね。嬉しいです。 / ナライフ ( 2001-12-07 12:00 )
これはすごい、と思った映像は最近ではチェン・カイコ−監督「黄色い大地」ですね。(やっぱりチャン・イーモウの撮影は素晴らしい。)あの黄河と果てしない大地!圧倒されました。あと、この間BSでソ連の「戦争と平和」を見ましたが、すごい数のエキストラ、広い平原…びっくりでした。 / ぽん ( 2001-12-06 13:29 )
筆者ナライフ様ならではの文章ですね!あっぱれです。映画とサッカー、やはり根本的には相容れているのでは? / フィー子 ( 2001-12-06 11:23 )
厳しい指摘ですね。僕もそう思います。アルゼンチンの紙吹雪かあ。あれが、オランダの終了間際のシュートをポストで跳ね返したんだと、何の論理も根拠もなく思いました。 / ガス欠コイン ( 2001-12-06 06:02 )
素直な感想〜ちゃ〜んと言えるようになりたいですね〜♪ 素直に〜♪ / 仙川亭おき楽 ( 2001-12-06 00:58 )
ああ、今回もいい話ですね。僕もただ「紙吹雪」「雨」「雪」「桜吹雪」「大群衆」とかだけでも涙が出たりするクチなので、凄くわかる気がします^^ / TAKE ( 2001-12-05 13:20 )

2001-12-03 悲喜こもごもの週末

 またまたご無沙汰してしまいました。フィー子さんのつっこみも当らずとも遠からずで、上海やらパリやらに出張が続き、さぽってしまいました。ガス欠コインさんやHideyさんのように、多忙を極めながらも頻繁にアップしていくのは傍から見ていてもあっぱれです。のんびり屋の私はまあ、こんなもんです。「怒涛の」という形容詞は今や死んでいます。
 前回までのお話は小休止にして、今回はどうしてもこの週末にあったこと2つお話したいと思います。実はこの話題、ガス欠コインさんに先を越されました。ジョージ・ハリソンの逝去とワールドカップ抽選会のことです。
 ジョージ・ハリソンの死は、ある程度予想されていたこととは言え、未だに僕はしっかりと受けとめることができていません。僕はビートルズを生で聴いた世代ではなく、また、ジョンならともかくジョージに対しての思い入れがそんなに深くないはずなので、実を言うと、受け止めきれない自分にさらにショックを受けています。もちろん、ビートルズに対しての僕の思いは相当なものがあるので、それがベースにあるとは思いますが。やはりエリック・クラプトンと来日した際に観客席から見かけた彼の姿が、最期となってしまいました。合掌。
 という暗く落ち込むことがあったかと思うと、雅子さんが出産されたり、という明るいニュースもあったりして、激しい週末だったが、やはり、フィー子さんではないが、まさか抽選会の放送番組が、出産お祝い番組で飛んだりしないだろうな、と半ば不安に思いながら土曜夜を迎えた。杞憂に終わって良かった。
 さてその抽選会だが、やはり実際にカードが決まっていくのはこの上なくスリリングで面白かった。ペレはまあともかくとして、クライフの姿を拝めたのも(これも予定されていたこととは言え)興奮モノだった。
 希望と勘に重きを置いた予想をここで。コメントなしです。
グループA 1位フランス 2位セネガル  グループB 1位スペイン 2位パラグアイ  グループC 1位ブラジル 2位トルコ   グループD 1位ポルトガル 2位韓国    グループE 1位カメルーン 2位アイルランド  グループF 1位アルゼンチン 2位イングランド    グループG 1位イタリア 2位エクアドル   グループH 1位日本 2位ロシア    優勝ポルトガル 準優勝アルゼンチン 3位スペイン 4位ブラジル  

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フィー子様、有難うございます。早速ヤフーのページを見ました。僕も早速ナライフの名で登録しました。 / ナライフ ( 2001-12-07 12:11 )
ほんとに書こうと思いつつあっという間に数日経ってしまって話題が古いかな、とか思いますよね(笑)。ヤフーでワールドカップのHPがあって、そこで勝敗予想ゲームがあるので参加してみたらどうでしょうか?私もフィー子の名前で登録だけはしました。優勝者には決勝戦ペアチケット&ホテルですよ! / フィー子 ( 2001-12-06 11:18 )
ガス欠コインさん、事前情報がなかったら結構ショックでしたでしょうね。僕は覚悟はしていたのですが、それでも辛いです。 / ナライフ ( 2001-12-04 11:34 )
TAKEさん、じわーっと悲しみ、つのりますね。それから、サッカーですが、ま、なんか好みとかが出ていて偏ってますよね。 / ナライフ ( 2001-12-04 11:31 )
先を越してしまいました。僕は病気であることさえ知らなかったので、ショックは大きかったです。そんなにすぐに受け止められなくてもいいんじゃないでしょうか。面白い予想ですね。 / ガス欠コイン ( 2001-12-04 08:36 )
予想の方は、ポルトガルの決勝進出、日本の一位通過、ドイツの予選リーグ不通過がミソでしょうか^^; ナライフさんが、どんなフットボールを見たいか、お気持ちが伝わってきます。多分ポルトガルは決勝まで来ないと日本では見れないんですよね。僕も「頑張れポルトガル!」と念じています(笑) / TAKE ( 2001-12-03 19:25 )
僕もナライフさんと同じくクラプトンとのコンサートが最後になってしましました。衝撃的であったジョンの時とは違って、なんか、じわ〜っと悲しみがつのってくるのも一緒です。。。 / TAKE ( 2001-12-03 19:20 )

2001-11-06 「物語」という「制度」の弊害について 〜その3〜

 さらに映画にも目を向けてみよう。日本が世界に誇る巨匠と言うとだいたい紋切り型で出てくる名前が、小津、溝口、黒澤だが、その誰もが「物語」に粉飾されてしまっている。

 例えば小津。小津と言えば、これもまた紋切り型に「日本的」、「禅」、「もののあわれ」といった形容詞が並ぶ。個人的な感想ならともかく、一体画面のどこを見ればそういった文脈が成立するのだろうか。見方、感じ方は人それぞれなので、小津映画を観ての印象として上記の形容詞が並ぶことに異論を唱えるつもりはないのだが、問題だと思うのは、そういった形容詞が紋切り型として並ぶことが観る者の感性を貧しくしてしまうという由々しき状況である。「僕は小津の映画が好きです。」と発言した時、小津を知らない人を別とすると、大抵、「ああいう映画が好きなんですね。」という反応が来るのだが、こういった反応を自然なものとしているのが、「小津の映画は斯く斯く云々である、という一元論的な定義付けによって理解した気になっていること」がベースとしてあるのは明らかで、それこそが僕が思う「物語」が「制度化」してしまったことの「弊害」なのだ。言い換えると「感性の制度化」ということだろうか。見えないファシズム。

 こういった「感性の制度化」は、スポーツや映画の世界のみならず至るところで起きていることなのだが、同時に豊かな感性の持ち主や思いがけない状況によってその「制度化された感性」を解放してくれるという事態もやはりある。

 音楽で言えば、例えば、モーツァルトの全シンフォニーを当時の楽器で当時のオケ編成で当時のテンポで再現して録音及び公演を行なった、ホグウッド指揮による演奏。19世紀ロマン派と呼ばれるブラームスやワーグナーやマーラーが主流となり、その主流となった肥大化した様式での演奏に「制度化」されてしまっていた私たちの耳には、ホグウッドの演奏によるモーツァルトは、画期的だった。以降、ベルリンフィルとかウィーンフィルとかいった19世紀ロマン派の流れを汲む「定番オーケストラ」によるモーツァルトの演奏も、ホグウッドらの原点回帰組とでも言うべき演奏群に触発、解放されてきていると思う。アバドが演奏したベルリンフィルによる最近のモーツァルトと、カラヤンが演奏した同じベルリンフィルによるモーツァルトは、大きく違う。恐らくオケの人数をアバドの場合はより小人数にし、テンポをインテンポで速め、余計なビブラートはかけず、また大袈裟にテンポを動かさず、…といった感じだ。アバドかカラヤンかという問題ではないし、僕もどちらも好きな演奏ではあるのだが、明らかなのは、30年前と違って私たちはモーツァルトにより開かれた感性を持って接することが出来るようになった、ということではないだろうか。

                    〜書きたいことはまだあるので多分続く〜

先頭 表紙

フィー子さん、すいません。ま、長い目でおつきあい下さい。さて、イタリア戦で声を掛けたのはきっとT君ですね。聞いてます。「チケット手配したんですか?」と翌日尋ねられました。「それはフィー子さんに失礼だ」と言っておきました。 / ナライフ ( 2001-12-03 15:42 )
ガス欠コインさん、誉めていただいて恐縮です。でも続編でなくて、ガス欠コインさんと同じテーマになってしまいました。重ねて恐縮です。 / ナライフ ( 2001-12-03 15:36 )
しまお様、でも「ナンバー」の記事は面白いですよね。僕もいつも読んでます。 / ナライフ ( 2001-12-03 15:34 )
おーい、まさかまたハワイに行ってるわけではありませんよね?(笑)文章、楽しみにしていますよ〜。ところでイタリア戦で一番驚いたのは「フィー子さん!(原文ママ)」とスタジアムで声をかけられたことでした(ーー;)。 / フィー子 ( 2001-11-26 21:36 )
形容詞が感性を束縛している。これには僕も大賛成です。小津をどう好きになるかはその人の自由なのに、まるで「こう、好きになりなさい」と強要されてしまう。それにしても、本当に素晴らしい内容と文章です。僕のこれからの書き物にも大いに参考になりました。続編期待しています。ありがとうございました。 / ガス欠コイン ( 2001-11-21 22:11 )
そうですね〜。私もたとえば「ナンバー」の記事などはおもしろく読みますが、スポーツそのものを見てるときは、ただ目の前でおきてることに感動してるだけだもんなぁ。(あ、これ下の日記のほうのつっこみになってるかも。すみません) / しまお ( 2001-11-11 02:27 )
ぽんさん、三隅研次!いいですよね!!僕も大好きですよ。男っぽいと言われてもねえ、何なのでしょうかね。 / ナライフ ( 2001-11-08 15:09 )
フィー子さん、やはり疲れたので別の話題にします。ところでイタリア戦でフィー子さん目撃情報を得ました。ま、それだけですが。 / ナライフ ( 2001-11-08 15:01 )
ホントその通り!ですよね。わたしも時代劇、三隅研次ファンというだけでびっくりされたり、「男っぽい映画を見るんですね」と言われることは良くあります。…男っぽいとは?逆に女っぽいのはどんなの?と疑問に思うことしばしば。最近は映画を作る側にもそれがあって、『外人が喜ぶような日本らしさ』を意図して媚びてるような感じを受けることがよくあります。 / ぽん/長々とスミマセン ( 2001-11-07 11:39 )
多分ですか(笑)。お待ちしております。 / フィー子 ( 2001-11-07 09:22 )

2001-11-02 「物語」という「制度」の弊害について 〜その2〜

さて、この「物語」とやらは厄介な代物だ。スピードスケートのような一般的には馴染みの薄いものも、この「物語」が付与されることで、人々を分かった気にさせる、いわば「えせ理解」の促進剤のようなものである。人々は安心する。感動している自分に酔いさえする。「筋書きのないドラマ」という謳い文句とは裏腹の、予定調和の世界。

 ことはオリンピックだけではない。恐らく来年のワールドカップでは、そこかしこに多くの「物語」が語られ、捏造すらされるだろう。仮りに小野が大活躍したとすると、メディアはそこに「海外での挑戦」やら「結婚による妻の支え」やらといったお話を作るだろう。逆に大不振だった場合も「海外」やら「結婚」やらといった切り口でいくらでもお話を作れるだろう。刺激を欠いた予定調和の世界だ。川口も「物語」に装飾されがちな人物だ。楢崎とのレギュラー争い、挫折、移籍、等々。ロナウド、バッジオ、デルピエーロ、ベッカム等々、ネタは尽きない。確かに面白いし、それによってその選手や競技に興味を惹かれる場合もあるだろう。野次馬的にはむしろ僕もそういったお話を楽しんでいる面もある。また、それによって「応援」だったり「嫌悪」だったりといった感情を持つこともあるのだが、逆に純粋に対象物そのものと対峙したらどうだろう?

 昨年、仕事でシドニーオリンピックに行ったある知人が言っていた。仕事の合間に彼は陸上やら柔道やらの競技を観戦できたのだが、英語のアナウンスがあるのみの競技場での観戦は、彼にとってあまり面白くなかったようだ。いみじくも彼が言ったのが、「日本語の解説とかがないと何やっているのか良く分からないんだよなあ… 臨場感って言っても
遠い席だと選手の表情とかもわからんしなあ… テレビで見た方が結局面白いんだよ。」ということだった。非常によくわかる話だ。そして、思うに、私たちは、「物語」という余計な贅肉をつけることで、「分かった気」になっているのだ。

 恐らく、と言っても確信に近いのだが、中田もイチローも「物語」を好んでない。彼らが日々戦っているのは、そんな予定調和の世界を現出するようなやわな場でないからだろう。

                                    〜続く〜 

先頭 表紙

う〜ん、僕はもしかして、この日記で「物語」を書いている方かと思いました。ほんとに僕のためにもなる話しです、ありがとう。確かに、ヒデもイチローも物語りを好んでいるとは思えません。 / ガス欠コイン ( 2001-11-21 22:04 )
ブルーさん、そう、ほんの一部分ですよね。というか、部分でもないのかも知れませんね。 / ナライフ ( 2001-11-08 15:10 )
物語にすると、一般受けするから、不特定多数の人達にも受け入れやすいから、物語にしてしまうのかしら。オリンピックでは、アメリカの放送でもストーリーが付いてくる、それを見て、理解した気分になる、でもそれは、一部分でしかないのよね。 / プルー ( 2001-11-05 10:31 )
フィー子さん、あの関口宏が司会やっている番組とかですかねえ?いい面もあるとは思いますが、僕も嫌いです。あと、フィー子さん、フィー子さんの書かれていることの「贅肉」部分、僕大好きですよ。要は「バランス」なのでしょうし、フィー子さんの場合、その「苦しい選択」の「葛藤」を経た言葉なので輝いているのではないでしょうか? / ナライフ ( 2001-11-05 09:37 )
Hidey様、突き詰めるとこの「物語」自体が問題なのではなく、それは一つの視点として成立しうるのでしょうが、それによって見えなくなる部分が出てくる、ということと、「物語」がないと観る事が出来ない・語ることが出来ない事態に陥っているという状況で、その状況を作り出しているのは「物語」は常にあるものだという前提になってしまっている「制度」だと思います。直感では日本人の場合は、元来農耕民族だったということと、儒教思想の影響?あたりなのですが。 / ナライフ ( 2001-11-05 09:27 )
歴史上の人物などをとりあげて最後にはお涙ちょうだいで締めくくる、1時間番組などがありますが、そういうの、大嫌いなんです(笑)。自分も見ると感動してしまうんだけど、それが許せない(^_^;)。サッカーライターを目指していますが、ナライフさんがここでおっしゃってることが最も自分にとって難しい部分で、目指すものは贅肉を取った部分を書けるライターなのですが、読者は贅肉を欲しがる。とても苦しい選択です。ナライフさんもお仕事上、日々その葛藤なのではないでしょうか。 / フィー子 ( 2001-11-03 15:19 )
メディアという「演出家」の話はおっしゃるとおりだとして、その根底にあるものってなんなのだろうと考えます。日本人は、という言葉は余り好きではないけど、日本人はスポーツ選手に人生を重ねてみることが多いのかな。それは武士道にまで遡る精神性?現代人の乾ききった日常?アメリカ人はスポーツをスポーツとして捕らえた上で熱狂しているように見えます。イタリア人はアイデンティティの確認かな。これらの違いはそれ自体どれも悪くないことだと思うのですが、メディアに増幅されたくはないですよね。 / Hidey ( 2001-11-03 06:01 )
404 Not Foundさん、はじめまして。まさにその「彼」は「篠原VSドゥイエ」を現場で観ていたそうです。帰国してから「そういうことだったの?」と思ったそうです。スポーツ観戦が謎解きになってしまってますよね。 / ナライフ ( 2001-11-02 18:22 )
去年のシドニーの柔道、「篠原vsドゥイエ」なんか日仏のメディア双方とも「物語」ぜめでしたね。「分かった気」は、スポーツだけではなく他の分野にも見られる構造だと思います。博物館・美術館で人の動きを観察すると解説のプレートを見ている時間のほうが「実物」を見ている時間より長いなんてことよくあります。目の前に存在するもの、起きていることに直接立ち向かう力が弱いといったらいいのか……。 / 404 Not Found@はじめまして ( 2001-11-02 17:54 )

2001-11-02 「物語」という「制度」の弊害について 〜その1〜

 「物語」というのがどうも嫌いだ。ものはスポーツでも映画でも小説でもいいのだが、その受止め方として「物語」は余計ではないかというのが、突き詰めた際の僕の考えだ。どういうことか。
 
 オリンピックの時に顕著になる、「スポーツ感動モノ」の「物語」。“親の死を受け止め克服した”金メダルを獲得したスピードスケートの清水選手。彼が金メダルを獲得したのは素晴らしいことなのだが、まずそこで我々が見るべきはそのレースそのものであり、彼の走りそのものではないだろうか。「親の死」自体が彼にとって大きい意味を持つものであったであろうことは間違いなかろうが、逆にそれは誰にとっても同じことだし、勿論それが彼の「スケート」に何がしかの影響を与えたのかも知れないが、あくまで可能性の話であり、憶測の域を出ない。私はスケートに詳しくないので、レースを見ても彼のスケートがどう優れているかは分からなかった。そして大方の視聴者もそうだろう。味気ないかも知れないが、それでもその結果が全てである。少なくとも「スピードスケートのレースを見る」という観点からは。

 ただ、これも推測だが、メディアは視聴者を惹き付けるため、そしてそれは同時に視聴者もそれを欲しているからだが、そこに「感動」という「物語」を探してきて付加する。これはしかし、「スポーツ」という健全なものには恐らくうってつけの材料なのだ。誰も悪くは思わない。日本人の快挙という誇らしい事態を更に誇らしくする「感動の物語」。
オリンピックが終わった後によくある「総集編」的な番組は、スポーツそのものを見せるというよりはその背後とかにある「物語」を見せる傾向にある。たいていこの手の番組の決り文句は「感動」だ。確かに感動的な話が多いし、かく言う自分もよく感動している。だが、それはやはり純粋なスポーツではないと思う。恐らくしまおさんの日記でのフィー子さんの「人間の批判とサッカーの批判」を「わけなければいけない」というつっこみはそのことを鋭く指摘されていると思う。


                                   〜続く〜

先頭 表紙

素晴らしい内容の文章だと思います。メディアは結果を出した者の物語を探すんですよ。モーグルの里谷多英ちゃん(大ファン)が、父親の死の話しを何度も質問され、泣いてしまった時は、本当に頭に来ました。 / ガス欠コイン ( 2001-11-21 21:57 )
最初にこの書き込みを見た時はてっきり今年のヤンキースの話しにつながるのかと思ってましたが、読みが浅かったですかね... / マイケル ( 2001-11-06 22:19 )
フィー子さん、そう、確かに偉そうなことを僕も言ってますが、そうは言ってもバランスだと思います。 / ナライフ ( 2001-11-05 09:07 )
書き出し部分から大きくうなずいてしまいました。確かに知らないスポーツを知るのに何かのプラスアルファは必要かもしれないですが、できるだけ、自分は純粋に、人ではなく、その人の技術そのものを見るように心がけてはいます。といっても世の中で生きていくためにはバランスが大切で、そのあたりが難しいなあと思う今日この頃です。 / フィー子 ( 2001-11-03 15:15 )
ぽんさん、そうですよね、同感です。24時間テレビなど、その「道しるべ」があまりにあざといので「ようやるよなあ…」と呆れてしまいます。 / ナライフ ( 2001-11-02 18:15 )
TAKEさん、そうなんです、僕も広告に携わってますが、良心の呵責を覚えることが多いです。 / ナライフ ( 2001-11-02 18:12 )
「ほれほれ、感動しなさい」って道しるべをたてられてる感じがしますよね。物事の本質へたどりつく道は自分の力で見つけた時の方が感動が大きいのに。 / ぽん ( 2001-11-02 14:25 )
「物語」については僕もいろいろ考えてしまうコトが良くあります。なんか日本人ってみんな「物語」というフォーマットに頼っている気がして・・・。また広告の仕事をしていると「物語」を弄んでいるような自分に、良心の呵責を覚えることもあります^^; / TAKE ( 2001-11-02 11:41 )
ウチの母親って、こちらが料理を食べる前に「美味しいでしょ」って来るんですが、マズイって言えないっすよね(笑) プロのキャスターが試合後「感動しましたねえ」って言うのも、それに近い強引さを感じてしまいます。プロなら「感動」という言葉を使わずに、感動を伝えて欲しいですよね。 / TAKE ( 2001-11-02 11:36 )

2001-10-24 扉の向こう側

 だいぶご無沙汰してしまいました。休暇を取ってハワイへ行っていたのと、その前はその休暇の為に仕事が大変忙しくなってしまっていたのです。本題ではありませんが、少なくともハワイは今すいているし、物価は安くなっているし、チャンスです。ホテルも本来の部屋からアップグレードしてくれるし…
 ま、そんなことはさておき、今日は映画における「扉」についてお話したいと思います。「扉」、すなわち「ドア」は映画において何と魅力的な存在でしょうか。扉を開けて人が入る、人が出る、扉が開いて向こうが見える、閉まって隠れる… 扉は「動く絵」たる映画に様々な「動き」を与えてくれる、恐らく映画と相性がいいものなのです。この扉を生かすも殺すも作り手の感性と才能次第。列車や馬や自動車といったものと同じ位、扉は映画のエッセンシャルなものだと思います。
 中でも画面には見えてこない「扉の向こう側」を描くサスペンスは映画の醍醐味。「扉の向こう側」で起きている(かも知れない)ことを見る者に想像させてしまうことである物語を描いてしまという、不可視なことを可視的表象だけで語りきってしまうのは映画だけが持ち得た表象手段に違いありません。
 アルフレッド・ヒッチコックの『レベッカ』、エルンスト・ルビッチの『生きるべきか死ぬべきか』、フリッツ・ラングの『扉の蔭の秘密』(!)、ジャン・ルノワールの『ゲームの規則』、ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』等々といった輝かしい傑作群は、「扉の映画」と言っても過言ではないものばかりです。最近では台湾の俊英エドワード・ヤンの『ヤンヤン夏の想い出』とかが思い当たりますが、多くの作り手が「見せずに語ること」の粋さを忘れて「見せて語ること」に執心してしまっているのは残念です。

先頭 表紙

しまおさま、そう誉められると照れてしまうのですが… そんなことより僕もトルシエにばったり会ってみたい! / ナライフ ( 2001-11-01 23:27 )
素敵な切り口ですね!ナライフさまのセンスの良さがにじみ出てるなあ。見るほうが想像することによって初めて成立する、そういう余地を持った映画、しまおも好きです。 / しまお ( 2001-11-01 21:50 )
ガス欠コインさん、そんな、お礼を言われるようなことでは… でも、有難うございます。 / ナライフ ( 2001-10-29 19:03 )
たけちゃんの映画もほんとそうだよね。僕もずっと魅かれてきたけど、理由が少しわかった気がする。 / ガス欠コイン ( 2001-10-28 22:02 )
凄いなナライフさん。今、いっぺんに幾つもの映画の扉のシーンが浮かんできた。ああ、何か凄い感動した。ありがとう。 / ガス欠コイン ( 2001-10-28 22:00 )
パンドラさん、そうなんですよねえ、北野武の映画もこの「見せずに語る」のがうまいので好きです。 / ナライフ ( 2001-10-26 10:28 )
「見せずに語ること」・・・・う〜〜ん!映画だからこそ、それが深みを増すのですよね・・・なんだかそんな気がします。 / パンドラ ( 2001-10-25 23:13 )
ぽん様、ああ、『斬る』のラスト!イイですよね!!日本の時代劇だったら扉は襖になりますよね。山中貞雄監督の『人情紙風船』や『丹下佐膳余話・百万両の壷』も実に効果的な襖の演出をしていました。 / ナライフ ( 2001-10-25 12:48 )
Hidey様、そ、そんなことおっしゃらずに・・・勉強頑張ってくださいね。 / ナライフ ( 2001-10-25 12:44 )
フィー子さま、ぼくもストーリーはすぐ忘れてしまって妙な細部ばかりが記憶に残るんですよ。 / ナライフ ( 2001-10-25 12:43 )
海外旅行は〜いいですよ〜  / ナライフ ( 2001-10-25 12:42 )
扉とは、ちょっと違うけれど、『斬る』(三隅研次)の最後雷蔵がふすまを開けまくるシーンも印象的でした。 / ぽん ( 2001-10-25 10:33 )
うーむ、ナライフさんの文章を読んでいると、勉強する手が止まって映像を欲してしまいそうで怖い。映像文化から離れなくてはいけないというのは僕にとっては拷問です。 / Hidey ( 2001-10-25 04:51 )
確かに・・・・。扉、とても魅力的な視点ですね。ストーリーをすぐに忘れてしまう私は、そういったものが後々まで印象強く残ります。今後とても扉が気になってしまいそう。 / フィー子 ( 2001-10-24 16:41 )
一度は行ってみたいな〜海の向こう〜♪ 海外旅行は〜未経験〜☆ / 仙川亭おき楽 ( 2001-10-24 16:35 )

2001-09-21 イラン映画とサッカーを思い出しながら

 アッバス・キアロスタミというイランが生んだ天才的な映画監督がいて、日本でも何本か公開され、少なくともイランの映画監督としては最も馴染みが深いと思うのだが、その彼の作品に『そして人生はつづく』という映画がある。1990年にイランを襲った地震直後の人々の悲喜こもごもの生活をさりげないタッチで描いた傑作で、公開当時映画館で観て、「イランに天才現る!」と思ったものだ。

 この映画の中で、地震で家が倒壊したイランの子供たちが、「今日はワールドカップの
ブラジルVSスコットランドがあるから、絶対TVを観るんだ!」と言いながら、壊れた家の
中で無事だったテレビをつけ、子供達そして大人達もいつしかみんな集まり、サッカー観戦をする感動的な場面がある。地震でめちゃめちゃにされながらも大好きなサッカー見たさに復旧活動そっちのけで試合に夢中になる、微笑ましいエピソード。自分もこの試合を自宅で深夜に観ていたなあ、などど思いながら、フィクションとは言え、遠いイランの地での彼らを身近に思い、涙腺がゆるくなったのを覚えている。

 もしかしたらフィクションではないかも知れない。この監督、プロの俳優を用いず、素人を出演させ、脚本らしい脚本はほとんどなく、即興的に撮影していくスタイルなので、劇映画とは言え、ドキュメンタリー色がとても強い。このエピソードももしかしたら実際に彼らがした行為を撮影したものかも知れない。

 いずれにせよ、フィクションかどうかはこの際大した問題ではない。ただ、つくづく思うのは、来年日韓で行なわれるワールドカップ、サッカーに熱心な中東の方々が、今度は「地震」ではなく「戦争」で同じ様な状況を迎えないことを切に祈りたい。それだけは、
仮に似た映画が作られたとしても、「フィクション」であって欲しい、と思う。

先頭 表紙

お元気ですかー?お待ちしておりますよー。 / フィー子 ( 2001-10-16 21:40 )
貧しくてもサッカーは強い国は多い。その中でプロで活躍できる選手はほんの一握りだけど、サッカーは世界どこでも子供たちの夢なんですよね。いや、大人たちの夢でもあります。僕もその映画を見てみたい。 / はらぽ〜ん ( 2001-10-04 13:50 )
りるりる様、イランの映画と言っても見ているのはキアロスタミ監督のものプラスαくらいで、「イラン映画」一般は全く知りませんよ。僕もやはりハリウッド映画で育ち今でもハリウッド映画が大好きです。 / ナライフ ( 2001-10-03 09:01 )
イラン映画。どんな映像になるのか想像もつきませんが、ぜひ見てみたいと思いました。ナライフさんの映画評ってキャパが広いなぁ。私なんでハリウッド映画ばっかりだ・・・。 / りるりる ( 2001-10-02 18:09 )
くらら様、『友だちのうちはどこ?』というのを先に見てから『そして…』を見るのをお薦めします。この2篇、続き物のようなつくりになってるんですよ。 / ナライフ ( 2001-10-02 09:22 )
イラン映画はみたことがないんですが、「そして人生は続く」って面白そう。探してみようっと。 / くらら ( 2001-09-29 10:21 )
Hidey様、そうですね、ボストンはよく知らないのですが、アメリカに行った時に日本でなかなか手に入らないビデオがないものか探したのですが、アメリカ映画以外では収穫はなかったですね。ほんと、アメリカの映画界って、閉鎖的だと思います。 / ナライフ ( 2001-09-25 11:07 )
ガス欠コイン様、映画と現実を混同する気はないのですが、どうしてもこの映画を思い出さずにはいられませんでした。 / ナライフ ( 2001-09-25 11:03 )
仙川様、子供の笑顔は、全ての対立も怒りも戦争も憎しみも一瞬にして消し去ってしまうものだと思うんですよねー。 / ナライフ ( 2001-09-25 11:01 )
日本を恋しく思うことはそれほどありませんが、唯一あるとしたら、恵比寿のTSUTAYAに行けないことです。予想にたがわず、こちらのビデオ屋には商業的な映画しかないのです。ベトナム映画やスペイン映画が懐かしい。。。 / Hidey ( 2001-09-23 13:43 )
「フットボールを観るんだ」。見たいですね、その映画。それから先は祈っているしかできないけど。 / ガス欠コイン ( 2001-09-21 23:01 )
世界中の子供たちに〜思いっきり〜TVを〜試合を見せたいですね〜※ / 仙川亭おき楽 ( 2001-09-21 17:11 )
フィー子様、毎作毎作期待を裏切らない、という点で、現在も活動中の方としては、私の知りうる限り、キアロスタミとエドワード・ヤンとイーストウッドは突出していると思います。ほんと、才能が違うなあ、と思います… / ナライフ ( 2001-09-21 17:06 )
キアロスタミ、蓮実さんの本で知りました。映画人たちをとりこにした映画ってどんなんだろう。とても見てみたいです。天才現る!か・・・。私が今までそう思ったのは「どですかでん」を見た時かなあ。 / フィー子 ( 2001-09-21 14:52 )

2001-09-11 相米慎二監督を悼む

 映画監督の相米慎二氏が急逝された。53歳というから早過ぎる。あまりに突然の訃報に昨晩は思わず驚いて大声を出してしまった。ご冥福をお祈り致します。

 相米監督は現在の日本映画界で5本の指には入る天才的な監督だと思う。しかし例えば同じ様に天才的と言える北野武や黒沢清らの名声を考えると不遇の天才だった。きっとメディアや映画界は、亡くなったことをきっかけとしてこれから彼のことを持ち上げ伝説化するかも知れない。(それさえもしないかも知れないが。)しかし、こと同時代人と自国の人間には冷淡になりがちなのが世の常。むしろ、北野武やかつての黒澤明は例外だったとも言えるのだろう。

 遺作となってしまった『風花』は、僕が今年観た邦画としては圧倒的にベスト1だ。小泉今日子と浅野忠信という割りと豪華な配役ながらも地味な印象できっと興行的には振るわなかっただろうが、ダントツに面白い。北野武の『Brother』が、武にしてはちょっと媚びが見えたが、『風花』はその長い長い1ショットによるオープニングからラストまでまさに相米ワールドの画面が繰り広げられる。

 相米慎二の映画というと、人は決まって「長廻し」とか「1シーン1ショット」と言う。確かに編集を細かく繋げてリズムを作っていくタイプではなく、場合によっては5分くらい
1カットで長廻ししていることもあるが、彼の演出ぶりが「天才」的なのは、その長廻しを長廻しとして撮らずに、ごく自然なフレームと自然な移動撮影で処理してしまうという、その慎ましさにある。これみよがしに技法としての長廻しを誇示することなく、見事な空間把握と人物移動で「映画的に」見せていくあたりはまさに「天才的」だと思う。

 前々回、僕は「演出の映画」と「撮影の映画」という話をしたが、ここでもう一つの座標軸として、「編集の映画」と「画面の映画」という視点もあると思う。私たちがアメリカ映画を中心に接している大半は、編集によって映画を作る「編集の映画」だと思うが、その一方の対極には、編集という技術に頼らない「画面の映画」というジャンルが存在しうる。溝口健二(日本)、テオ・アンゲロプロス(ギリシャ)、侯孝賢(台湾)、ベルナルド・ベルトリッチ(伊)、ジム・ジャームッシュ(米)あたりが「画面の映画」の代表格だろう。相米慎二はこれらの系譜に属する、溝口健二以来の日本が生んだ「画面の映画」作家の天才だった。合掌。

先頭 表紙

フィー子様、そうですねえ、好きなのは『台風クラブ』とか『お引越し』あたりですかねえ。なかなか絞れませんが。 / ナライフ ( 2001-09-20 09:39 )
ションベン・ライダー、今後自分の中でどう咀嚼していくか、漉されて漉されて何が残っていくのか、楽しみでもありますが、見た直後に何も語れませんでした。東京上空も見てみたいと思います。相米監督作品でナライフさんが一番すきなのはどれですか? / フィー子 ( 2001-09-19 11:37 )
はらぽーん様、頑張って!! 『シュレック』は僕も観ました。最後のオチが好きです。 / ナライフ ( 2001-09-18 15:48 )
フィー子様、あら、結構好きではありますが。『東京上空いらっしゃいませ』なんて、どうですか?牧瀬里穂がいいですよ。 / ナライフ ( 2001-09-18 15:47 )
あまり映画は知らないんです。でも、最近「Rush Hour2」と「Shrek」を見ました。あら、ちょっと違い過ぎましたね。ごめんなさい。/ まだ兆候は来てもあまり進展なく、自宅でじたばたと待機しています。 / はらぽ〜ん ( 2001-09-18 12:33 )
ションベン・ライダーを見ました。私には少し難しいような・・・。 / フィー子 ( 2001-09-18 11:58 )
ほんと、仕事や用事があってなかなか行けないですよね。 / ナライフ ( 2001-09-14 16:24 )
映画館にこの次こそ行こう、行こうと思いつつ…きちんと映画を見ておくのだったと後悔しています。 / ぽん ( 2001-09-14 14:10 )
早過ぎる死、予測のつかない死、罪なき犠牲の死、・・・ 本当に無念です。 / ナライフ ( 2001-09-13 14:06 )
お悔やみ申します。死ってほんとーに辛いもんだ。 / たまたま ( 2001-09-13 12:33 )
akemi様、なんか今週はいろいろあって・・・しかも悪いことが。ほんと、言葉が出ないです。 / ナライフ ( 2001-09-12 12:11 )
そう、昨日の朝はこの訃報だったんですよね…。ただ、こわいですよね。。 / akemi ( 2001-09-12 09:43 )
地鶏ヂドリ様、はじめまして。『夏の庭』、いいですよねえ。観てくださいよ。 / ナライフ ( 2001-09-12 09:09 )
はじめまして。自分は「夏の庭(著・湯本香樹実)」が大好きなので、映画版「夏の庭」もずっと見たい見たいと思っていましたが、なかなか見れず。ビデオを借りに行こうと思います。 / 地鶏ヂドリ ( 2001-09-11 18:58 )
夢樂堂様、ほんとに無念です。 / ナライフ ( 2001-09-11 18:00 )
フィー子様、僕もある時期まで邦画は食わず嫌いでした。見た目、地味ですもんねえ。 / ナライフ ( 2001-09-11 17:59 )
旅先で訃報を聴きました。現代風の語る映画、そんな作風が好きだったのに。無念の一言であります。合掌。 / 夢樂堂 ( 2001-09-11 17:40 )
私も思わず声を出してしまうほど驚きとショックを隠し切れませんでした。昔から耳にタコができるほど、フィー子夫は台風クラブを絶賛してます(~_~;)。私はまだ台風クラブを見てないんですが、お引越しを見て、もうこの監督の作品なら間違いない!なんて思ってました。そう思ってるのに、わかってるのになかなか邦画を見に劇場に行くことがなくて。悪い習性ですね・・・。ああ。 / フィー子 ( 2001-09-11 17:27 )

2001-09-05 まさか、オランダが・・・

 最近我が家のBS用アンテナがいかれてしまったようで、衛星放送を見ることが出来ない。よって、外国のサッカー状況をスポーツ紙とかニュースとかで知るという事態に陥っている。非常に欲求不満である。ゴールシーンだけ見させられてもようわからんし、偏見に満ちたスポーツ紙の紙面を読んでも、どうもしっくりこない。

 そんな状況下、オランダがとうとうアイルランドに負け、ワールドカップ出場がほぼ絶望的になったというニュースが飛び込んできた。「そりゃあないだろう!!」という気持ちでいっぱいだ。確かにキ−ンは観たい。もちろんポルトガルの魅惑的なサッカーは来年は必須だ。でも、でも、オランダはやはり見たかった。

 と言っても最近のオランダ代表で僕がまともに見た試合は昨年のEURO2000なので、1年経た現在のチームが本当に見るに値するチームなのかは確かに僕には知る由もない。でもやはり数多くのタレントを抱え、調子に乗ると手がつけられない程の攻撃力を持つこのチームが本大会から姿を消すのは何とももったいない。

 なんとかオランダには近い将来ワールドカップで優勝して欲しいなあ、と思っていただけに残念である。少なくともオランダは現代のフットボールの戦術を作り上げた国なのだから。

 でも、どこが優勝するんだろう?今年だったらフランスかアルゼンチンかイタリアあたりだろうが、1年経つと分からないものだ。98年の時だって、その1年前だったらロナウド−ロマーリオの2トップを抱えたブラジルが圧倒的で、誰もフランスなんて予想しなかっただろうしなあ…だからって、日本ってことは…ないか。

先頭 表紙

はらぽーんさん、目から鱗です。そういやあ、アメリカのやつは足ほとんど使わないですよね。そうだそうだ、確かに。 / ナライフ ( 2001-09-11 09:53 )
はらぽーん様、確かにアルゼンチンは今最短距離に居ますよね。でも、絶頂期が1年早いような気もするんですけどねえ・・・ / ナライフ ( 2001-09-11 09:52 )
たまたまさんに同感、僕もかねてからずっとそう思ってた。どうしてアメリカであれをフットボールと言うんだろう。だって、足で蹴るの、フィールドゴールとかのときだけじゃん。ラグビーの方がまだ蹴る場面が多いかも。看板に偽りありですよ〜。 / はらぽ〜ん ( 2001-09-10 15:59 )
オランダ、弱くなる予兆はあった。中南米も渾沌、ブラジル、コロンビア、メキシコ、苦戦してますねぇ。僕はアルゼンチンだと思ってます。 / はらぽ〜ん ( 2001-09-10 15:46 )
たまたま様、アメリカにサッカーが文化として根付かないとなかなか辛いでしょうね。ポテンシャルはずば抜けているでしょうけどね。 / ナライフ ( 2001-09-07 10:52 )
夢樂堂様、はじめまして。ほんと、怖いですよね。優勝してもおかしくないチームなのに、ね。 / ナライフ ( 2001-09-07 10:50 )
こっちではみんなフットボールっていうとサッカーじゃないんだよね。。こまっちゃう。。アメリカがマジでサッカーに力いれたら怖いけど、、友達の韓国人はやっぱりサッカー好き! / たまたま ( 2001-09-07 05:31 )
ん〜、少し歯車が狂うとおかしくなる。勝負ってこわいですよね。「 / 夢樂堂@はじめまして ( 2001-09-06 21:52 )
フィー子様、確かに新鮮な顔もありそうですね。98年は確かにオランダは一番いいサッカーをしていましたよね。ベルカンプのあのシュートには夜中にも関わらず思わず叫んでいました。 / ナライフ ( 2001-09-06 09:42 )
くらら様、僕も1票!という「気持ち」です。 / ナライフ ( 2001-09-06 09:39 )
ポーランドやチュニジアや、結構前回とは違う顔ぶれが揃いそうですよね。中国なんかも出てきそうな気がするし。4年という歳月ってほんとなんともいえない長さですよね。98フランスの時のベルカンプの美しいトラップ&シュート、忘れられないなあ。あの時オランダは優勝すべきチームでしたよね。 / フィー子 ( 2001-09-05 15:38 )
私もたまたまサンと同じく日本に一票、てことないか。 / くらら ( 2001-09-05 15:18 )
たまたま様、その通り!コンフェデだって、準優勝だったんですものね! / ナライフ ( 2001-09-05 11:33 )
TAKE様、そう、確かにドイツって、ほんとあっさり優勝してしまいそうですよね。ガス欠コインさんもおっしゃっていましたが、私も同様にドイツにイマジネーションを感じないので、あまりそうなって欲しくないですけど。 / ナライフ ( 2001-09-05 11:32 )
ガス欠コインさん、やっぱり世界中のサッカーファンの大部分が残念に思っているでしょうね。 / ナライフ ( 2001-09-05 11:30 )
間違いなく日本が優勝します。誰もしんじていないが、、、、あってもいいんじゃない!! / たまたま ( 2001-09-05 06:11 )
オランダのいないワールドカップ、「クリープのないコーヒー」(←古い、笑)のような感じですよね。寂しいですけど、これも歴史の一幕になるのですよね。以外とドイツでは優勝するかもしれないですね。 / TAKE ( 2001-09-05 02:06 )
同様に残念です。まだ一縷の望みは残されていますが、まあ無理でしょう。1年経つとわからないにも同感です。フランスとアルゼンチンの実力が突出しているのは事実ですが。 / ガス欠コイン ( 2001-09-05 01:14 )

2001-08-30 映画あれこれ こんな見かたはどう?

 映画には2タイプあり、「演出の映画」と「撮影の映画」である、とある映画評論家が言っていた。「演出の映画」とは、監督の頭の中にはファーストシーンからラストまで絵が出来あがっており、完成した作品に寸分の隙もないもの。「撮影の映画」とは、脚本なりコンテが存在しつつもその場の流れや空気に応じて適宜画面を作っており、極端に言えば画面から撮影時の空気すら感じられるようなもの。

 もちろん、あくまで便宜上の区分けなので、明確に分けられないものが多くあるとは思うが、実に面白い。「演出の映画」の代表例は、ヒッチコック、小津安二郎、ルビッチ、あたり、「撮影の映画」の代表例は、ルノワール、ゴダール、ロッセリーニ、カサベテスあたり、って感じだろうか。現役なら、イーストウッド、ティム・バートンが前者で、ジャームッシュ、ロメール、北野武、あたりが後者か。

 ま、別に優劣の問題ではないと思うし、好き嫌いはあるかも知れないが、僕はどちらもそれぞれ好きなのがいっぱいあるので、映画を見るときの視点の1つとして面白いのではないでしょうか?

 また、厳格な「演出の映画」の中に突如として、「撮影の映画」の要素が入ってくることもあったりして、はっとさせられる。ヒッチコック映画でも、特にグレース・ケリーが出演しているものには、急に彼女に寄った(酔った?)ショットが出てきて、ズームをしたりしている。監督の「恋心」が急に画面に漂ってくるのだ。

 今日のこの私の文は、これによって何かを言おうという野心を持っていません。もしこれで興味を持った方がいらっしゃったら、映画を見るときに面白い視点が1つ加わるかなあ、と思って紹介している程度なんですが、それにしても思うのは、前者に完全に区分けされるような監督って、今はマイノリティになってしまったなあ、ということです。ヒッチコックや小津のような厳格な映画というのは、存在しえない今日この頃なのですね。

先頭 表紙

ガス欠コイン様、こちらこそ。もちろん、分類ありきで見るのは本末転倒だとは思いますが。 / ナライフ ( 2001-09-05 13:25 )
「演出の映画」と「撮影の映画」。面白い観点ですね。今後見る時、参考になりそうです、ありがとう。 / ガス欠コイン ( 2001-09-05 01:18 )
映画狂人日記、僕も読みましたよ。面白いですよね!!淀川氏、蓮實氏、山田氏の3者の対談による分厚い本『映画千夜一夜』は、他に類を見ない面白い本ですよ。 / ナライフ ( 2001-09-04 13:41 )
ふと手にした本をぱらっと見てみたらコリャ良さそうだとワクワク買って帰りました。その本が蓮実さんの「映画狂人日記」!死ぬほど面白かったっす。映画についての本ってこんなに面白いのがあったのかと感激しました。他にもこういうのがあるのかなあと思ってお聞きしたのです。山田さん、山根さんですね、調べてみます!!ありがとうございました。 / フィー子 ( 2001-09-04 09:28 )
フィー子様、興味を持って下さって有難うございます。映画についての本ですが、僕が読んでいて面白いと思い、かつ、感性が信用できるな、と思っている書き手は限られているのですが、蓮實重彦、山田宏一、山根貞男、くらいです。話し手としては、やはり亡き淀川さん。あとは『映画術−ヒッチコック、トリュフォー』のように、評論家よりは実際の映画人の肉声による本も面白いのが多いと思います。 / ナライフ ( 2001-09-04 09:05 )
ふむぅ、なるほど。大変興味深く読みました。これについて議論したら一晩中飲めそうですね(笑)。ところで映画についての本でいいものがあったら教えていただけませんか? / フィー子 ( 2001-08-31 10:10 )

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