出張の数日前、バイト入りの30分ほど前にバイト先へ行き、カウンターに座り、煙草を吸う。
そこに、店長からの呼び出し。厨房に引きずり込まれる。この時点で嫌な予感満載。
で、シフト表の前で淡々と話し始める店長(男前。)。
店長「土曜日にさ、うちにパーティー入っとるじゃん?」
ええ、入ってますね。
店長「で、オーナーが昔やってた店が周南にあるんよ。」
初耳っすよ、それ。
店長「でさ、そこの店長が倒れて入院してるんよ。」
それはそれは、お大事に。
店長「で、その日に団体の予約が入ってて、外せんらしいんだ。」
嫌な予感が的中しそうですね。
店長「で、その助っ人に俺とお前で行くから。」
ほう・・・待てぃ!
こんなヘタレアルバイト捕まえて、助っ人に行くとおっしゃるか!?うちの料理さえろくに作れない小生。力になれる自信がありません。
が、問答無用の強制連行なので、しぶしぶ了承。下見のため、翌々日、周南市へ。
店内はよくあるバー。地下にあるためか、なんともいえない重々しさがある。が、それがまた心地良い。と、表に用はない。俺の戦場は厨房だ・・・って、うわ!
ここの店長が倒れたのが約1週間前。その後ここに人の出入りはなかったらしく、まさにその時の状況のまま、放置されていた。
なにも言わず、掃除にとりかかるうちの店長と小生。危険な香りを醸し出す放置調味料たち。迷わず破棄。地味に元気な気配を見せる生野菜たち。迷ってから破棄。ゴミ袋の下で大きく育っていたミッキー。駐車場にリリース。元気でな。
さて、そうこうしながら一通り片付け終え、別件で出かけていたオーナー達と共に、本拠地へ帰還。一旦帰宅し、出勤。すると。
店長「周南の助っ人の話ね、お前一人で行くことになったから。」
満面の笑みでそう通告してくれる店長。小生、近年稀に見る絶句。
何とか平静と取り戻し、詳細を尋ねる。
どうやら、ここの店長不在というのもマズいと。それに向こうの店長が外泊許可もらって一時復活する、と。よーしわかった。ハナっから拒否権など持ち合わせていない。やってやろうじゃないかと、しぶしぶ了承。一流料理人のサポートへのアツイ思いを燃やした。
そして、いざ、周南へ。昼、思いっきり寝過ごしかけたが、ナイスフォローによりなんとか間に合う。小生の高速走行っぷりも一因ではあるが。ありがとう、Aよ。
そして、多少迷子の様相を呈しながらも戦場へ。聞くところによると、ハーレーに跨る姿がよく似合う巨漢ということだったので、ビクビクしながら人の気配のある厨房へ。そこに現れたのは・・・熊!(失礼この上ないが、完璧な比喩である)
えー・・・サポートで参りました、おさるです。よろしくおねがいします・・・。
と、即座に仕事命令。働いている方が気が楽だと、黙々とこなす。買い出しなども一緒に行ってきたが、その時のサングラスしてる状態は笑えなかった。
さて、小生の今日の仕事は厨房での補佐だと聞かされていたので、手伝うことがないかと厨房に入ると・・
熊店長「ドリンク作れる?」
ええ、まぁこのメニューなら一通りは。
熊店長「じゃあ、カウンター頼むわ。」
全く以て当初の予定から離れてきている今回の出張。文字数の関係で端折らせていただきますと、完璧にカウンター業務をこなしてきました。正直きつかったですが。なにより、美味そうな熊店長の作る料理が全く食えなかったのが辛い。残り物でいいから食べたかった・・・。
この後、本拠に戻り、バイトに入り、いつもの時間まで働いた。さすがに吐くことを覚悟した。
いや、耐えたけど。 |