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烏丸の「くるくる回転図書館 駅前店」

 
今後、新しい私評は、
  烏丸の「くるくる回転図書館 公園通り分館」
にてアップすることにしました。

ひまじんネットには大変お世話になりましたし、
楽しませていただきました。
その機能も昨今のブログに劣るとは思わないのですが、
残念なことに新しい書き込みがなされると、
古い書き込みのURLが少しずつずれていってしまいます。
最近も、せっかく見知らぬ方がコミック評にリンクを張っていただいたのに、
しばらくしてそれがずれてしまうということが起こってしまいました。

こちらはこのまま置いておきます。
よろしかったら新しいブログでまたお会いしましょう。
 

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2000-09-24 エロイカとくればこれでしょう 『Z −ツェット−』 青池保子 / 白泉社
2000-09-23 たまには新刊紹介もね 『エロイカより愛をこめて(26)』 青池保子 / 秋田書店(プリンセス・コミックス)
2000-09-22 マンガの最終回シリーズ 『幽☆遊☆白書』 冨樫義博 / 集英社(ジャンプコミックス)
2000-09-22 マンガ家の最終回シリーズ 『Yasuji東京』 杉浦日向子 / 筑摩書房(ちくま文庫)
2000-09-22 『燃える男』 A.J.クィネル 作,大熊 栄 訳 / 集英社文庫
2000-09-21 マンガの最終回シリーズ 『パイナップルARMY』 工藤かずや 原作,浦沢直樹 作画 / 小学館
2000-09-21 マンガの最終回シリーズ 『砂の薔薇』 新谷かおる / 白泉社文庫
2000-09-20 『まんがサイエンス』 あさりよしとお / 学習研究社(NORAコミックス)
2000-09-19 『あなたの恐怖体験 読者の身近で起きた恐い体験』 大陸書房(ホラーハウスコミックス)
2000-09-19 [雑談] マンガ界の謎 その1'


2000-09-24 エロイカとくればこれでしょう 『Z −ツェット−』 青池保子 / 白泉社


【失恋した男は 酒でもかっくらってみじめに泣いてりゃいいんだ】

 さて,では,『エロイカより愛をこめて』の主人公はドリアン・レッド・グローリア伯爵(エロイカ)なのか。それとも,エーデルバッハ少佐(鉄のクラウス)なのか。
 これは難しい問題だ。タイトルを考えればエロイカに軍配が上がりそうだし,2巻以降の露出を見ると少佐もなかなかポイントが高い。そもそも,大半の事件は少佐の任務にたまたまエロイカの趣味がからむ,という形で展開するのだ。
 こんな考え方はどうだろう。青池保子のマンガに呼ばれるのに,ギャラが高いのははたしてどちらか。

 ……ますます,わからなくなってしまった。

 結局のところ,青池保子は主人公と脇役にわけへだてのないタイプらしく,ときどき脇役を主人公とした楽しい読み切りを提供してくれる。その中で,とくに高いクオリティで『エロイカ』を知らない人でも十分に楽しめるのが,たら子母さまもご指摘の『Z −ツェット−』である。初出は懐かしい「ララ」,白泉社から発行された単行本は2巻,白泉文庫版は1巻,さらに秋田書店プリンセスコミックスデラックス版2巻があるが,いずれも「ツェット」I〜Vに掌編「ツェットの幸運」までで,その後新作が発表された気配はない。

 ハノーバー出身の青年Zは,NATO情報部でエーベルバッハ少佐の部下に配属されたばかりのぺーぺーエージェント,真面目なA(アー),呑気者B(ベー),女装のオカマのG(ゲー)らの後輩にあたる。

 物語の始まりはたとえばこんな具合だ。西ドイツ有数の兵器製造会社「ハイデマン鉄鋼」の技術者クルト・ヴェルナーから,NATO情報部のエーベルバッハ少佐宛てに速達が届く。内容はボルト1本だけで,手紙はない。ヴェルナーはその朝,散歩中に転落死していた。Zはハイデマン鉄鋼のコンピュータ・センターにもぐりこんで転落死したヴェルナーの妻に接近する。ヴェルナー夫婦は東ドイツからの逃亡者だった……。

 妖怪じみた脇役たちが闊歩する『エロイカ』本編に比べ,こちらは新人エージェントの仕事とジレンマがシリアスに描かれ,セピア色の海外テレビシリーズの手応えがよみがえる。さらに,『エロイカ』本編では迷惑な存在としてしか描かれない「若く美しい女」が,Zの前ではごく普通の意味で描かれる。それは任務の前に,たいてい苦い結末を呼ぶのだが……。

 本書評冒頭の【 】の中は,美しいノルウェイ娘アネリーゼと別れたZに対する少佐の見事なセリフで,「それが別れた女へのエチケットというもんだぞ」と続く。『エロイカ』本編では,こんなシブい少佐は描けない。

 ちなみに,こんな甘いセリフを口にする余裕もないほど,少佐が一人でスパイや殺し屋とハードに闘う話が,秋田書店からハードカバーで発売された『魔弾の射手』である。これらは少女マンガでスパイを描いた作品中,1つの頂点といえるだろう。もっとも,ほかには佐々木倫子の『ペパミントスパイ』くらいしか知らないけどさ。

先頭 表紙

しかも,↓の『エロイカ』のほうにもあって,まったくアルプスの少女。 / 烏丸 ( 2000-09-25 19:22 )
わはは,ほんとだ。味わい深いので,恥ずかしいけれどこのまま残しておきましょう。 / 烏丸 ( 2000-09-25 13:44 )
ところで本文冒頭で、「鉄のクラウス」と「エーデルワイス」が混じって不思議な牧歌的風情を醸し出しておられます。 / こすもぽたりん ( 2000-09-25 13:13 )
なるほど,けろりんさま,森川久美ですね……はい,検討させていただきます。ばさばさっ(←手元の資料をあわててめくる音)。ばさばさばさっ(なおもあせる音)。 / 烏丸 ( 2000-09-24 22:59 )
わー!「z」なんて懐かしい!。「パイナップルARMY」といい最近私の好きなマンガを取り上げてくれて嬉しいです。おじさまやら諜報部員がたくさん出てくる少女マンガといえば、森川久美さんの「蘇州夜曲」からのシリーズなんてどーですか? / けろりん ( 2000-09-24 17:02 )
烏丸様、さっそくツェット君を特集してくださり、ありがとうごさいます。伯爵がおちゃらけ路線をまっしぐら、少佐も表はクールだが裏はダレまくりという実態がうすうす想像できます。ツェット君だけは聖域としてまともな人生にしてあげてほしいです。 / たら子母 ( 2000-09-24 10:03 )

2000-09-23 たまには新刊紹介もね 『エロイカより愛をこめて(26)』 青池保子 / 秋田書店(プリンセス・コミックス)


【見たまえ この2人はかつらだぞ】

 ご存知だろうか。青池保子『エロイカより愛をこめて』の主人公は,ロンドン大学講師 シーザー・ガブリエル(18歳),美術学生 シュガー・プラム(16歳),スタント・マン レパード・ソリッド(19歳),この3人の年若き超能力者(エスパー)たちだった。ほんとだよ。

 少なくとも第1巻の第1話,物語は彼ら3人とドリアン・レッド・グローリア伯爵(実は国際的な美術窃盗犯エロイカ),さらに国際警察のタラオ・バンナイらを軸に繰り広げられる。
 しかし,第2話の冒頭で,NATO(北大西洋条約機構)情報局のクラウス・ハインツ・フォン・デム・エーデルバッハ少佐(鉄のクラウス)が登場して以来,事態は一変する。
 主人公の若者3人はエロイカや少佐と張り合うには役不足,もとい役者不足とでもいうか,2巻以降は完璧に姿を消してしまう。『ドカベン』の最初の6巻は柔道マンガだった,あれと同じくらいの一大変化である。

 しかし,変化はそれに留まらない。
 当初,エロイカは周囲がうっとりするほどの金髪の美貌の青年だったし,戦車好きの鉄のクラウスも性格は無骨ながら美しい黒髪をたなびかせる,いわば黒豹のような描かれ方だった。
 小銭集めが趣味のジェイムズ君や,KGBの「仔熊のミーシャ」ら,笑いを誘う名脇役たちを交えつつも,物語は国際情勢を交えて展開し,やがてある日,読者は愕然とするのだ。

 ……「おっさん」ばっかしやんか。

 添付画像ではわかりにくくて残念しごくだが,最新の26巻を見ればそれはもう明らかである。上司の嫌味と部下の無能に悩むエーベルバッハ少佐はさすがに腹こそ出ていないものの,いかにもサラリーマンの背広姿,当初身長の3分の2近くあった長い足も今では身長の半分以下。一方のエロイカも,金髪碧眼高い鼻という従来の少女マンガでは「美麗」を表すあらゆる記号を与えられながら,実質は美少年趣味の白人のおっさんに過ぎない。それが証拠に,26巻の中で,彼ら2人は一度として一般市民含め誰からも「美麗」扱いを受けない。
 エロイカは王立デンマークバレエ団のダンサーを追い,少佐はバルト三国のNATO加盟をめぐってロシアの機密を得ようと,さらにロシアからはそれを阻止せんと「仔熊のミーシャ」が……いつものように集う。今回の舞台はデンマークのコペンハーゲン。少佐の任務は毎度の通り重厚だが,実際の仕事はおっさんおばはん相手の添乗員に近い。エロイカにいたってはホテルのお掃除おばさんの扮装までさせられる。

 この,おっさんの群れがぼたぼた走り回る作品を少女マンガと分類することは,はたして正しいことなのだろうか。烏丸の良心はうずく。もはや西谷祥子や美内すずえらの作品よりは,源氏鶏太や山口瞳らのサラリーマン艶笑小説のほうがよほど近いのではないか。いや,正確には,わが国のマンガ史は,あらゆる文芸誌,あらゆる青年コミック誌を差し置いて,「少年マンガ」「少女マンガ」等と並ぶ新しい柱,「おっさんマンガ」を得たのではないか!

 ……書きながら,脱力してきた。

 1巻と比較すると,あらゆる登場人物のおっさん化が進む中,一人ジェイムス君だけがむしろ若返っていることを指摘して,とっとと次にいこ。

先頭 表紙

ということで,ご存知の方には今さらかもしれませんが,ツェットのご紹介文,まとめました。しかし,これはよいねえ。ついつい読みふけってしまいましたよ。 / 烏丸 ( 2000-09-24 01:26 )
たら子母さま,ツェットは本編として第5話の戦闘機のお話,それから「Zの幸運」という短い読み切りが最新で,それ以降新しいのはないようでございます。また,エロイカ本編には,Gは出てくるのにZは最近出てまいりません。事務仕事でいぢめられているのでしょうか。 / 烏丸 ( 2000-09-24 00:52 )
少佐はジムで鍛えてるからまさか腹は出ないでしょ(作者の理想像らしいから腹は出さないんじゃない?)。それからツェット君、キミもオジンになったのかい?これってずーっと途絶えてた後に出た新巻ですか(プリンセス・プリンセスで読まなかった私はかつて続編はないのか血眼で捜したのだ)?ええい、気になるからやっぱり本屋に行こ。 / たら子母 ( 2000-09-23 22:11 )
猪川少佐殿がオヤジになられたということは、簾頭の執事はジイサンになっちまったってことですかい? 腹の出たボーナム君とかはどうなったんだろう。ああ、気になる。気になるけど続きものを途中から買うのは嫌だ。ああ、どうしよう。 / こすも悩めりん ( 2000-09-23 16:58 )
私「エロイカ...」は社会人になってから全巻揃えました(もう残ってませんが)。痛快なストーリーが好きで、腐った気分の時に読むと絶好のストレス解消になりました。「おっさんマンガ」というより、年増女向けの「おばさんマンガ」なのではないでせうか。 / たら子母 ( 2000-09-23 14:56 )
てまちん様。少女時代にこのあだ名だった場合、花いちもんめでは「てまちんが欲しい」と言われたわけですね。なんか変な子供たちですよね。こんなことを想像して一人くすくす笑っているヘンなぽたりんでした。 / こすもぽたりん ( 2000-09-23 12:51 )
げげげ、いつの間にそんなことに。別に伯爵ファンだったわけではないですが、伯爵がオヤジ化してしまったなんて。しかし、東西冷戦の終結で、少佐もミーシャも事実上の失業ですからね。致し方なしといったところでしょうか。それにしてもジェイムズ君のみが生き生きとしているとは。まさに世はデフレ時代といったところでしょうか。「吝嗇の栄え」ですな。 / こすもぽたりん ( 2000-09-23 12:49 )
おお,まちえんさま。それがですね,四角いというか,なんか,ぬっぺり縦長いんですよ,最近の彼らの顔は。重量級の柔道選手の顔みたいな。足はどんどん短くなる一方だし。 / 烏丸 ( 2000-09-23 02:32 )
懐かし〜い、と思ったらまだ続いていたんですね。びっくり。相変わらずみんな四角い顔なんでしょうか。 / てまちん ( 2000-09-23 01:28 )

2000-09-22 マンガの最終回シリーズ 『幽☆遊☆白書』 冨樫義博 / 集英社(ジャンプコミックス)


【ジャンプ王国を揺るがしたハイブリッド】

 『幽☆遊☆白書』は少年ジャンプに連載された,冨樫義博の代表作。テレビアニメやゲーム化でも知られている。
 連載開始投書は,霊界の管理ミスでうっかり死んでしまった不良少年が生還するまでを読み切りでほのぼの描くというものだったが,中盤以降は『キン肉マン』(ゆでたまご)『リングにかけろ』(車田正実)『ドラゴンボール』(鳥山明)同様,ジャンプ得意のどんじゃら妖怪団体トーナメント戦と化す。

 興味深いのは,作中で,作者のアマチュアとしての顔とプロとしての顔が出たり引っ込んだりたりすることである。
 たとえばほぼ同時期の少年ジャンプの『BASTARD!!』(萩原一至)も,プロの作品でありながらアマチュアの気配を強く残していた。しかし,それはプロ7割,アマ3割といった具合に,1コマ,1ページの中で常にバランスよく配合されていたものだ。そのバランスを担ったのが,少女マンガによく見られる枠外の落書きだろう。少女マンガでの枠外の落書きはシリアス過ぎる展開を中和する働きをすることが多いが,萩原の場合は内輪のスタッフワークの大変さを語り,プロであることへの照れを解消する。ところが『幽☆遊☆白書』では,コマの外内でなく,時間軸的にアマ側とプロ側を行ったり来たりするのだ。だから,絵柄でいえばよほどテクニック的に劣る『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(稲田浩司)のほうが,格段にプロ作品としての純度が高い。
 思うに,作者は,自分のそういう{プロ・アマ}の入り交じった状態に気がついていたのではないか。だからこそ,『幽☆遊☆白書』では時空を越えて「血がまじる」や「妖狐が人間とまじる」など,「まじる」が何度もキーワードとして出てくるのではないか。

 そして『幽☆遊☆白書』は,団体トーナメント戦の体裁を,それどころか主人公の連戦連勝さえ放棄した後,大きくアマチュア側に揺れ,そのまま「努力・友情・勝利」の方程式を放棄して勝手に連載を止めてしまう(と,外からは見えた)。それにつれ,あれほど安定して見えた少年ジャンプのスタイルもまた巻き込まれ,大きく傾いてしまった(と,外からは見えた)。

 その意味で,少年ジャンプを物理的に傾けたのは『ドラゴンボール』と『スラムダンク』(井上雄彦)の連載終了だったけれど,内側からその屋台骨をつき崩したのは『幽☆遊☆白書』だったのではないか。

 つまり『幽☆遊☆白書』とは,少年ジャンプというメジャーな場ゆえに冨樫個人の毒を毒のまま売るわけにいかず,さりとてプロとしての商品としても仕上げられなかった不幸な作品なのではないか。これほどの作品で,魔界統一トーナメントの決勝戦の結果(ちなみに優勝したのは雷禅の友人・煙鬼)を幽助の言葉を借りてしか伝えられなかった作者は,もう二度と正面から妖怪タッグマッチを描けないのではないか。

 というわけで,本作の本当の最終回は,魔界統一トーナメント後のどたばたもほぼ片付き,幻海の墓参りの帰りに幽助ら関係者たちが海で戯れる……という本編最後のイベントではなく,単行本でその後に続くおまけイラスト集の最後の1ページ,少女が何の脈絡もなく「睡眠薬と屋上 どっちにしようかな」とつぶやいているグロいカットにある,に500カノッサ。

先頭 表紙

2000-09-22 マンガ家の最終回シリーズ 『Yasuji東京』 杉浦日向子 / 筑摩書房(ちくま文庫)


【「江戸」はあんただけのモノじゃない】

 出かけた先の本屋で文庫の棚を見ていたら,ちくま文庫から杉浦日向子の短編集が出ていた。3月の発行らしい。小さな本屋だけうろうろしていると,こういう見逃しがあっていけない。ちくま文庫まで常備するとなると,ある程度の広さはいるのよ。

 それはともかく,この『Yasuji東京』,江戸末から明治の画人・井上安治を題材にした連載短編を中心に,単行本未収録作品を……ちょと待てえ。

 この中に「鏡斎まいる」という江戸期の術士を描いた短編の(1)(2)(3)が収録されているのだが……そのうち,(1)と(2)は,なんと同じちくま文庫の『ニッポニア・ニッポン』という杉浦日向子の短編集にすでに収録されているのだ。なんだそりゃ。

 オムニバス(「江戸マンガコレクション」とかね)と作家別短編集の両方に収録,ってのなら,よくあることだし,まだわかる。でも,同じちくま文庫,同じ杉浦日向子の本だぞ。「単行本未収録」という帯のアオリを真に受けて買う奴なら,『ニッポニア・ニッポン』だって持っていそうなもんだろう。実際烏丸は持っている。

 百歩譲って,「鏡斎まいる」の(3)が単行本未収録だったのでぜひとも文庫収録したい,しかし(1)(2)がないと設定がわからんだろう,というサービスだとして……江戸時代の仙人みたいな術士の幻術話,それも読み切り短編マンガに,設定なんているかあ! どっちが先でもいいよな話ばかりじゃないか!
(実際,鏡斎は(1)で仕官を辞めたことになっているのに(2)(3)は仕官中の話だし,そもそも(1)(2)(3)とも初出雑誌が違い,順序は明らかにどうでもよい)

 しかも,この「鏡斎まいる」の(3),初出が「ASUKA 号数不明」となっている。
 言うにことかいて,「号数不明」たあ何だあ! ぼけた作者が忘れていたって,編集者が角川書店に頭下げて調べてもらえばわかることだろう。角川に頼みにくければ,早稲田鶴巻町の「現代マンガ図書館」で調べる手だってある。たかがそれだけの手間を惜しんで,エラそうに初出一覧で1ページ取るんじゃない! わからんならASUKAの切り抜き持っている烏丸が教えてやろう,1986年5月号だ!

 なんにしても,マンガ家やめてから異様に不愉快なエッセイ仕事の多い杉浦日向子,なんなんだこいつわ。

 『合葬』や『百日紅』を烏丸は作品としていまだ高く評価しているが,杉浦がマンガを描かなくなったのをこれ以上惜しんだり謎扱いしたりしてやる必要はない。一ノ関圭『らんぷの下』『茶箱広重』の書評でも述べた通り,描かないでいられる作家には,描かないですむほどのモノしか残ってはいないのだ。

先頭 表紙

あー、それは大変失礼しまんにゃわ。星野仙一真っ白な灰になっちゃったみたいだったから。 / こすもぽたりん ( 2000-09-22 16:42 )
「燃える男」と呼んでほしかったのにー。 / 烏丸礼二郎 ( 2000-09-22 15:57 )
わはははははは、漫画探偵烏丸礼二郎大いに怒るの巻ですな。杉浦ヒナヒナは最近どうでもいいですな。しかし、よく85年のASUKAの切抜きなど保存していらっしゃいますな。しかも切り抜きからその号数がわかるということは、ちゃんと「どこから切り抜いたのかメモ」も付けていらっしゃるということですな。さすがです。 / ずぼらぽたりん ( 2000-09-22 15:48 )

2000-09-22 『燃える男』 A.J.クィネル 作,大熊 栄 訳 / 集英社文庫


【戦闘とリタイアと戦闘】

 『パイナップルARMY』で戦闘インストラクター ジェド・豪士を描き上げた浦沢直樹は,すぐさま『Masterキートン』の連載に入る。原作は工藤かずやから勝鹿北星(とぼけたペンネームだ)に変わるが,これはこれでまた一味違う素晴らしい作品である。ただ,オックスフォード大に考古学を学び,ヨーロッパ古代文明の研究に情熱を燃やす主人公が,SASのサバイバル技術教官の経歴を生かしてフリーのオプ(保険会社の調査員)を務める,という2つの顔を持つにいたる説明に最後まで説得力がなく,さらに視点がまま彼の父や娘の活躍に移って18巻が少々冗長に過ぎる。

 そこで今夜は,『砂の薔薇』や『パイナップルARMY』に見られたプロの戦闘シーンや兵士たちの苦い思いを味わいたい方のために,本を1冊ご紹介しよう。マンガでなく翻訳小説だ。烏丸は友人のゲームライター氏にぜひにと貸していただきながら足かけ3年本棚に寝かしてしまい,一度読み始めたら一晩寝食を忘れて読みふけり,まいってしまった。
 それがクィネル『燃える男』だ。

 かつては外人部隊の兵士としてディエン・ビエン・フーで勇名を馳せたアメリカ人クリーシィも今や五十歳目前,アルコールに溺れる衰えた初老の男にすぎない。そんなある日,彼は古い戦友の薦めに何の気なしにイタリア人実業家の令嬢のボディガードに雇われ,11歳の少女ピンタとの交流を通じて少しずつ人生に新しい手応えを見出していく。しかし,少女は彼の目前で何者かに誘拐され,陵辱,惨殺されてしまう。クリーシィもまた重症を追うが,怒りに燃えた彼はマフィアへの復讐に立ちあがる。やがて明らかになる真の敵の姿は……。

 ここには男が衰え,戦えなくなることの意味と,それでも戦いに向かうことの意味が書かれている。

 本作はクィネルのデビュー長編で,この後,クィネルは覆面作家としてさまざまなジャンルの冒険小説を手がけていく。いずれもハリウッドが大作映画の原作に求めそうなサスペンスあふれる長編だが,その装飾を排した文体,展開はタイトでクールだ。いずれ機会があれば他の作品もご紹介したい。

先頭 表紙

あ、「熱き心に」って唄じゃなかったんですね。全く誤解していました。 / こすもぽたりん ( 2000-09-22 19:31 )
ぴんぽん。小林旭でございます。ベストアルバムにはちゃんと「赤いトラクター」という曲が収録されているのでございます。 / 烏丸 ( 2000-09-22 18:05 )
「んもへるをとーこのー、あはかいトラクタあ〜ん」って、結局誰が歌ってたんでしたっけ? 小林旭でしたっけ? / こすもぽたりん ( 2000-09-22 16:49 )
あたしゃ星野仙一がばっと目の前に浮かんだんですが。 / 烏丸 ( 2000-09-22 14:13 )
燃える男というと、トラクターに乗っていそうなイメージがありますね。すいません、ゴミ撒いて。 / こすもゴミりん ( 2000-09-22 13:30 )

2000-09-21 マンガの最終回シリーズ 『パイナップルARMY』 工藤かずや 原作,浦沢直樹 作画 / 小学館


【今度の件がかたづいたら,君に話があるんだ。大切な話だ…………】

 日系,傭兵,ランチャー,爆弾解体,テロリスト……といえば,何か忘れちゃいませんか,ってんで当然のように出てくるのがこの『パイナップルARMY』だ。
 『MONSTER』『Masterキートン』『YAWARA!』等で知られる浦沢直樹の作品だが,烏丸としてはこの『パイナップルARMY』を最もよく読み返す。浦沢ならではの無骨だが誠実な主人公,繰り返し語られる戦争の愚かさ,人間の愛しさ。
 『砂の薔薇』のスピード感も捨てがたいが,作品としての重厚さは圧倒的にこちらが上だろう。

 爆破技術と作戦立案のプロとしてベトナム戦争以来世界各地を転戦してきたジェド・豪士は,現在は戦線に直接関与するのを避け,戦闘インストラクターとして生活している。
 テログループ「黒い手紙結社」は使用済み核燃料を奪取,それを爆破して,欧州数千万の命を奪おうとしていた。豪士は傭兵時代の宿敵オールビー・コーツから連絡を受け,問題のあまりの大きさに作戦に参加する決意をする。そしてかつてともに戦ったハリディ准将,ジャネット,珍,ジェフリー,戦闘インストラクター トム・ローガン,元グリーンベレー ジョー・ハイツマン(スペツナズナイフの使い手ということで素人の烏丸にもお里が知れる)らとともに核燃料の撤去に向かう。
 テログループを率いるのは,ベトナム戦争時に豪士を苦しめた謎の日本人傭兵「小東夷(ショオトンイー)」。彼はブリュッセルの建築中ビルのエレベーター孔に核燃料のコンテナをセット。次々と仲間が被弾し倒れる中,時限装置を解体しようとする豪士だが,そこに見たものはフーコーの振り子を利用した絶対に解体不可能な爆弾だった。……

 と,最後の戦いのストーリーだけ並べるとただの戦闘アクションマンガにしか見えないが,本作の魅力はそういう次元では語れない。必要以上に悲劇臭があおられるわけではないし,命を分かち合う者同士の友情,ジャネットとのつかずはなれずの関係など明るい展開やコメディもなくはないが,全編を覆うテイストは渇いた苦味である。登場する男たちは,敵も味方もアルコールに酔わない。すでに苦いものが体中に詰まっているかのようだ。

 最終回,倒壊するビルで豪士が助かったのかどうか,またジャネットとの関係がどうなったか,などは明記されない。ただ,民間企業CMAがインストラクターの依頼電話にジェド・豪士を紹介するシーンで,彼が無事だったことだけが知らされる。
 その依頼は4人姉妹がプロの殺し屋と戦うというもので,実は『パイナップルARMY』第1話の設定である。ここでストーリーは円を閉じ,ビターにしてタフなページは永遠に巡る。

先頭 表紙

「走れコータロー」のソルティ・シュガーには,サトウトシオというメンバーがいたとのことで,その点からしてもやはりサトウシオの解明は本作戦の重要なポイントであろう。ケロロ軍曹さまのご武運を乙女の祈り。 / カララ少佐(五里霧中) ( 2000-09-21 15:00 )
サトウシオの好物って、確かスルメですよね。 / こすもぽたりん ( 2000-09-21 14:00 )
ご報告が送れましたが、砂糖塩に関しましてはただいま鋭意準備中でございますっ。暫くのご猶予をお願いいたしますっ。 / ケロロ軍曹 ( 2000-09-21 13:25 )
し、しまった! ちょっと油断をしてガンプラにうつつを抜かしておりましたら、少佐殿に先を越されてしまいましたっ! 追い詰められているケロロでありますっ。以上、現場からでしたっ。 / ケロロ軍曹 ( 2000-09-21 13:22 )

2000-09-21 マンガの最終回シリーズ 『砂の薔薇』 新谷かおる / 白泉社文庫


【アテンション!! オペレーション発動23・05】

 科学の次は対テロリズム。添付画像はいかにもイロモノだが,新谷かおるのお色気サービスはあだち充の水着シーン同様安全装置付き。気にする必要はない。

 主人公のマリー(真理子)・ローズバンクは,「C・A・T」(カウンター・アタック・テロリズム)という特殊部隊の女傭兵隊長。なんとこのC・A・T,民間組織という設定である。さすがアメリカ。って無論これは作り話なんだが。
 マリーは,空港爆弾テロで夫と息子を喪い,自らも胸に瀕死の重傷を負う。彼女は事件をしかけたテロリストのコードネームが「グリフォン」であることを知り,C・A・Tに入隊。熾烈な訓練を経てテロリスト壊滅に執念を燃やす。
 彼女の率いる「ディビジョンM」は,副長ヘルガ・ミッターマイヤー,ジェシカ・クレアキン,デライラ・カンクネン,アイリーン・サンダース,コリーン・アンダーソンら優秀な女傭兵たちで組織され,その能力はそこらのSWAT隊の比ではない。

 というわけで,後はもうバンバンドンガガダン,撃って守って解体して走って殺して爆破しての連発である。1話だいたい100ページのストーリーが浪花節だろうが,絵柄が松本零士譲りの武器オタクだろうが,ひるんでいる暇はない。なにしろテキはテロリスト,瞬時の判断の甘さは部隊全員のみならず一般市民多数の死を招く。

 ボードレールの詩に『巨女』といって巨きな女を象徴的に称えあげる作品があるが,ここには迷いなくM72ロケットランチャーを撃ち抜き,時限装置付き爆弾を解体できる翼ある巨きな女たちがいる。要するに峰不二子が大挙してテロリストをやっつけまくるわけで,読者烏丸はただもう口を開けてページをめくる大ガラスならぬアホウドリである。
 主人公を日系人にしたことで,この国のテロ対策意識のおそまつさを描くシーンもある。このあたり『クレオパトラD.C.』(お奨め!)でも見られた新谷かおるの得意ワザだ。

 そして最終回。8巻めでようやく姿を現した仇敵グリフォンがしかけてきたのは最もやっかいなケミカルテロ。水道管にセットされたマルチドラッグ「青い血」が各家庭に流れ込み,テレビのサブリミナルメッセージで人々は互いに殺し合う。政府からの依頼がこないことにいらだつマリーたちはC・A・Tが民間企業であることを利用し,自らの資産でカウンターテロを依頼する。その額約2000万ドル。水道管の時限装置を撤去する一方,テロリストたちとの対決の場はテレビ局。明らかになるグリフォンの正体は……。

 以上,芸も能もない紹介だが,新谷かおるといえば『エリア88』,せいぜい『ふたり鷹』と言われるのが惜しく,取り上げることにした。版の大きい白泉社のジェッツコミックス版も入手可だが,文庫版は7巻めに宮嶋茂樹の解説付き。たった4ページだが日本人の危機意識を喝破して流石である。
 なお,作品タイトルの「砂の薔薇(デザート・ローズ)」はサハラ砂漠に見られるという独特の石英の結晶。烏丸は先般,東京上野の博物館で見ることができた。

先頭 表紙

をを、不肖宮嶋先生の解説付きとわっ! 見逃せませんな。メモメモ。 / こすもぽたりん ( 2000-09-21 12:46 )

2000-09-20 『まんがサイエンス』 あさりよしとお / 学習研究社(NORAコミックス)


【教えて,ペケル博士】

 なにが霊障だ,非科学的な! とご立腹のあなた。科学といえばこちらがお奨め。掲載誌がなにしろ学習研究社の「5年の科学」。おお,学研の「科学」。懐かしい。この烏丸,あれこれの付録で遊ばせていただいた御恩は三十有余年,片時も忘れたことはない。あの付録体験なくして今日のカラスマル産業なしと言えど過言では……って全国に支店でも出してんのか烏丸。

 さてこの『まんがサイエンス』,『宇宙家族カールビンソン』でおたっきーな層に絶大な人気を誇るあさりよしとおが,最新の理論や情報,取材をふまえ子供たちの「なぜ,なに」に答えるというサイエンスリテラシーもの。彼の作品には珍しく,さほどアブなくないのでお子様どもにも安心だ。

 既刊は
 『まんがサイエンス』
 『まんがサイエンスII ロケットの作り方おしえます』
 『まんがサイエンスIII 吾輩はロボットである』
 『まんがサイエンスIV いとしのMrブルー』
 『まんがサイエンスV 内宇宙から外宇宙まで』
 『まんがサイエンスVI 力学の悪戯』
の6冊。A5サイズなので本屋さんで探すときは気をつけよう。

 基本的には小学5年生のよしおくん,あさりちゃん,あやめちゃん,まなぶくんたちが生活の中でなんらかの不思議,疑問に出会い,そこに専門家(食塩の溶解の話題なら水分子,おなかの中の細菌の話題ならビフィズス菌太郎,視線入力スイッチの話題ならMr.視線などなど)が現れ,いやがるあやめちゃんたちに無理やり回答を教えてくれるというもの。煮たり焼かれたり空に投げ上げられたりの体験担当はあやめちゃんが負うことが多い。負けるなあやめちゃん,1冊めを除いて表紙はキミのものだ。
 抗菌グッズやATMのタッチパネル,フライホイール(はずみ車)バッテリー,ラミネートフィルムのマジックカット,水の上で重い荷物を積んでもスピードを出せるテクノスーパーライナーなど,こちらが子供だった時分にはまだなかった科学の話題もふんだんに盛り込まれ,これがけっこう勉強になる。

 とくに,うっかり地球に落ちてきたロケットの神様を宇宙に戻してあげるため,ツィオルコフスキー,ゴダード,オーベルト,フォン・ブラウンら先輩科学者たちの協力をあおぐ第2巻「ロケットの作り方おしえます」はほぼ1冊分の続き物になっており,これが科学少年ゴコロをくすぐってもう絶品。これからロケット開発にたずさわってみようと考えている方には必読だ。泣けるぞお。

 あと,些細なことだが,第6巻に登場する,150℃の高音,マイナス250℃の低音,真空中,乾燥した中でも生き延びるという緩歩動物クマムシ。このクマムシ,1か月ほど前に紹介した奥井一満の『タコはいかにしてタコになったか−わからないことだらけの生物学』はじめ最近あちこちで見かけるような気がするのだが,ブームなのか?

 できればあやめちゃん主人公のアダルトサイエンスも……と,あさりファンなら誰しも考えそうなことはここではナイショにして,本稿とりあえずおしまい。

先頭 表紙

うははははははは、ん? おい、そこの女学生君、キミだ、キミ。その肩の上に乗っている子供は何だ? ん? 泣いているぞ。 / 榎木津ぽた二郎 ( 2000-09-22 16:51 )
えっ,女子大生が二階では乱交。な,なんとフシダラな。 ← と書くか書くまいか迷いつつ結局書いちゃった。いやーん。おげれつ。 / 烏丸 ( 2000-09-22 16:00 )
下僕には女子大生二階堂蘭子がいるのですわ。 / ぽた子 ( 2000-09-21 19:18 )
探偵社をやるなら下僕がいるのだ。鳥口はいなくて烏丸? なんだそいつは。双子か。からからカアちゃんだな。烏丸なんてかんからかあのかあだ! / 烏丸礼二郎 ( 2000-09-21 17:41 )
をを、中野ではなく、神保町にオフィスを構えられるのですね。『薔薇迷宮探偵社』ですわ。 / こすもぽたりん ( 2000-09-20 20:34 )
「君,本は読むためのものであって売るものではないよ」とか言いながら,ホラー漫画の薀蓄たれるだけで一日が過ぎてしまうのでしょうか。それじゃあおなかぺこぺこのぺこちゃんだあ! / 烏丸堂 ( 2000-09-20 20:21 )
カラスマル産業などと仰らずに、中野の竹林の中にでも「古書烏丸堂」を開業していただきたいものです。目録送ってくださいましね。あ、笈川かおるは全巻買わせていただきます。 / こすもぽたりん ( 2000-09-20 18:42 )
さすがスペシャリスト神居さまだけに,お詳しい。「あるらしい」などとおっしゃらず,ぜひ1つレビューをば。 / 烏丸 ( 2000-09-20 18:09 )
あさりよしとお本人作の同人誌で,アダルト版まんがサイエンス「性のしくみ」ってのがあるらしいです。 / かむい ( 2000-09-20 16:28 )

2000-09-19 『あなたの恐怖体験 読者の身近で起きた恐い体験』 大陸書房(ホラーハウスコミックス)


【霊障】

 マンガと出版社についての話題がいくつか続いたが,この際だから表紙を取り込んでおいたこのシリーズを紹介しておこう。

 『あなたの恐怖体験 読者の身近で起きた恐い体験』,これは読者から送られてきた恐怖体験談をもとに,新進の(つまり無名な)マンガ家がそれを書き下ろした作品集。第8集まで発行されている。

 ほぼ同時期に刊行された同様の作品集として,朝日ソノラマの『ほんとにあった怖い話・読者の恐怖体験談集』(ハロウィン少女コミック館)や,学習研究社『ほんとにあった恐怖体験』(ピチコミックス)などがある。前者は30巻にいたる堂々たるラインナップだ。

 いずれも,基本的な作り方は変わらない。
 こういった作品群の利点は,読者から広く恐怖体験談を求める結果,プロの物書きが小手先でひねったものとは手触りの違う,素朴だが,その分説明のつかない怖さがにじみ出ることにある。逆に,デメリットとして,世間に流布したオーソドックスな怪談をさも自分や知人の体験のように語る例,明らかに勘違いや夢と混同しているとしか思えない例があること,また,マンガ家のタッチがその体験にそぐわず,せっかくの恐怖がそがれることがある(たとえば大病院の看護婦が霊を見てしまう,という話でも,淡々と書かれたほうが怖いケースと,霊のアップやうめき声が強調される絶叫型が怖いケースとに分かれる)。

 そういった中でも,添付画像で紹介の『あなたの恐怖体験 読者の身近で起きた恐い体験』第1集は,とくに怖い印象がある。友人が飛び降り自殺する瞬間をたまたま写真に撮ったところ……とか,踏み切りの近くで店に現れた客が……とかいう切り口にはとりたてて新味はない,と理屈ではわかっているつもりなのに,なんともいえないひりひりした気分になってしまう。

 どの集のどの投稿作品が,ということはわからないものの,このシリーズ収録作にはいわゆる「霊障」もあったのではないか。なぜなら,朝日ソノラマは30巻続けても平気だが,大陸書房は8巻出したところで倒産してしまった。

先頭 表紙

『リング』だったか『リング2』だったかは、そう言われたのでかなり注意して聞いてたんですが、わかりませんでした。明菜は、自信ありません。 / こすもぽたりん ( 2000-09-20 20:35 )
中森明菜にもありましたっけ。不幸にして(?)存じません。あと,ヘンなものが映ってる! と噂されたホラー映画『フェノミナ』(ジェニファー・コネリーが美しい)のビデオ持ってるんですが,スプラッタホラーだけあってヘンなものだらけでいったい何がヘンなのかわかりません(泣)。 / 烏丸 ( 2000-09-20 20:32 )
中森明菜にもその手のがありませんでしたっけ? / こすもぽたりん ( 2000-09-20 16:23 )
岩崎宏美「万華鏡」とかですね。なるほど,そういう蒐集もまた一興(というつっこみの途中に,誰も書いた記憶のない「私ニモ集メサセテェェ」と言ううめき文字が!)。 / 烏丸ライブ ( 2000-09-20 12:19 )
こ、怖いCDってぇのも蒐集されていらっしゃるんですかい? 「かぐや姫ライブ」とか。あれはCDになってないか。ああ、やだやだ、怖い。やーめたっと、この話題。 / こすもぽたりん ( 2000-09-20 00:41 )
いえいえ。1階には「あかずのクローゼット」が。ちなみに,CDは井戸のほうにしまっておりまして,夜な夜な,一枚,二枚……。 / 烏丸 ( 2000-09-20 00:09 )
まさかとは思いますが御不浄に保管されていらっしゃるとか? / こすもぽたりん ( 2000-09-19 20:17 )
いや,これはですね,館のほうでなく,階下のほうにですね,ぬるっと。 / 烏丸 ( 2000-09-19 18:44 )
をを、このような本が烏丸家納戸名物「のろいの館」に詰まっているわけでございますね。くわばらくわばら。 / こすもぽたりん ( 2000-09-19 18:17 )

2000-09-19 [雑談] マンガ界の謎 その1'

【続・サンデーコミックスについて】

 「マンガ界の謎 その1」について,サンデーコミックスは「少年サンデー」(小学館)と関係ないのでは,というつっこみを「オタクばんざい」の二木神居氏からいただいた。ご指摘ごもっともで,実は,確証はない。
 確かに,『少年アトム』『鉄人28号』など,光文社の月刊マンガ誌「少年」に連載されたものも含まれているし,桑田次郎『8マン』のように「少年サンデー」のライバル誌である「少年マガジン」(講談社)連載作品すら含まれている。
 ちなみに,当時「少年サンデー」の顔であった赤塚不二夫『おそ松くん』はのちに講談社から発売され,現在は手に入るのは竹書房版だ。また,サンデーコミックスの顔たる『サイボーグ009』は,「少年キング」(少年画報社)で連載が開始され,「少年マガジン」「冒険王」(秋田書店)「少女コミック」(小学館)「少年サンデー」など各誌に掲載されている。
 要するに,マンガの連載誌と単行本発行社は作家と出版社あるいは編集者との知己,契約の問題でしかなく,秋田書店に問い合わせたら「少年サンデー誌とは関係ない」と言われる可能性も高いか,とは思う。

 しかし,それにしてもサンデーコミックスにおける「少年サンデー」色は濃厚で,1970年代後半(未確認)に小学館自らが少年サンデーコミックスを発刊するまでは,「少年サンデー」掲載作品の単行本の受け皿として秋田書店のサンデーコミックスが機能していたのは間違いないと思われる。
 よくわからないのは,サンデーコミックスが,すでに休刊となっていた「少年」掲載作や当時まだマンガの単行本のラインナップを持とうとしなかった小学館系列作の“意識的な”受け皿だったのか,それともそうでもなかったのか,ということだ。要するに,なんでよりによって「サンデー」という名前が付いてるの,と言い換えてもよい。
 「謎」などというよりは,このあたりを解きほぐした資料が欲しい,と,そう書いたほうがよかったのだろう。たとえば,あの新書サイズ(縦18cm)のマンガの単行本を最初に体系づけて発行したのはいったいどこだったのだろう,ということだ。

 そういえば,そもそも,なぜウィークデーに発売される雑誌なのにサンデーなんだ「少年サンデー」。ついでにいえばもっとわけがわからんぞ「サンデー毎日」。

先頭 表紙

そうだそうだ! ファンは待っているぞよ。 / こすもぽたりん ( 2000-09-20 16:23 )
というわけで本文にもリンク貼りました。ここはひとつオタク談義の再開をよろしく。 > 二木神居さま / 烏丸 ( 2000-09-20 12:55 )
二木神居さんにも早く復帰して欲しいですね。素晴らしきオタクの世界を楽しみにしておりますのに。 / こすもぽたりん ( 2000-09-20 00:42 )

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