妻と家庭を持つことができるとわかったときは喜びより、不安の方が強かった。
その日が無事にきますようにと毎日、祈った。
いざ私のもとに来てくれた時、あまりの嬉しさに涙がでそうになった。
望んで、望んで、諦めかけてようやく手に入れた幸福。
妻の存在は私の全てになった。
でも、愛しすぎちゃいけない。干渉しすぎたらいけない。妻の幸福のために。
私は距離のとりかたに悩んだ。
そして。失うことを恐れた。
妻の将来にも思いを馳せた。
私が死んだら妻はひとりぼっちになる。
そんな悲しい思いは絶対させない。
そして、もう一人の女を我が家に引き入れた。
妻の話し相手として。
彼女は妻より不細工で、臆病で、妻より数段劣っているように見えた。
でも、一緒に暮らしているとその細やかな気遣いに心惹かれるようになった。三歩下がってついてくるような女性だった。なのにいざという時は頼りになる。
妻の目を盗んで彼女とのランデブーを楽しむようになった。
最初はこっそりと。バレないように。
一直線に私を愛してくれる妻と違って、彼女は私を翻弄する。
だんだんとその行動は大胆になり、抱きついてくるかと思うと、冷酷にも突き放したりするようになった。
美人ではないけれど、愛嬌のある表情は私を笑わせてくれたりする。
すっかり私は彼女に夢中になってしまった。
普段、私は二人の間に挟まれて寝る。
昨日。ふとしたことで妻の機嫌をそこねた。
「ごめんなさいって言うまで彼女の隣には寝かせてあげない。」妻は私にこういった。
バレていると思ってた。
私が彼女とベタベタする時間を楽しんでいたことを。
それでも。
その事を盾に脅されたことは、ショックだった。
ヒトとして、私は、まだまだ未熟だ。
二人の女性の間を上手に渡りきれていない。
ご拝読ありがとうございました!
妻=長女。
彼女=次女。
と置き換えていただくと、本来の日記の姿に戻るはず?
※美しい妻。 |