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揚水の「人生薔薇色計画」

僕のハンドルは「ようすい」ではなく「あげみ」と読みます。表記はaghemiとしています。

妻の海月は「くらげ」と読みます。



ふりぃのかうんた

yesterday ふりぃのかうんた today ふりぃのかうんた


自分が何者であるか今よりももっとわからず身悶えしていた学生の頃、何をしたらいいのかについて友達と話しに話した。
結論は出なかった。どころか何をしてもいいんだということにすらなった。
ただし、本当に何をしてもいいというのではなかった。
一つだけ基準がある。
それは俺の、俺たちの、ひいてはほかの人たちの人生を薔薇色にするか、その一点。
時々それを思い出しては行動する。
それが僕たちの人生薔薇色計画。



    よそいき仕事日記   

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2002-10-29 チノ   2−1
2002-10-23 チノ   1 
2002-10-15 お詫び
2002-09-26 秋眠暁を覚えず
2002-09-17 最近人に言われて一番腹が立ったこと
2002-09-15 正しいが正しいとは限らない
2002-09-08 苦労人と見えて、私の涙を見て見ぬ振り
2002-08-25 待てば海路の日和あり
2002-08-19 好事魔多し
2002-08-18 臭い水


2002-10-29 チノ   2−1

最近猫の屍体を見掛けることが多くなったと佐々木は思う。それも礫死体を。
仕事が変わって毎日のように運転するようになったのだから、単にそれまで見る機会の少なかったことが多くなったといえばそれまでなのだろうが、猫も鈍くなったのだろうかと思う。現にそれまではあまり見た記憶のない鳩や鴉、雀などが車にはねられた屍体も見るようになったから、そうも思う。
絶対に街なかの鳥類は鈍臭くなっている。
生き物としての人間が鈍くなってしまっているのに歩を合わせているようにも見受けられる。
不景気だと言いながら、昼夜を問わず、飲食店から出る残飯などの量が減っているわけではない。むしろ増えているくらいなのかもしれない。一度覚えた無駄はなかなか抜けるものではないらしい。景気が悪くなってしまった今、かつてカラ景気に踊ったこの国の住人は、当時無駄に使った金の替わりに今では自分の生命を無駄に、無為に過ごしている。佐々木は漠然とそう思っている。食べ物を無駄にするような生き物がもしこの世界に存在を赦されているとしても、早晩その種は滅びるに違いない。人の生活に関わりの深い鳥たちが、気の毒にも
先触れとなって死んでいるのかもしれない。死ぬべきは彼らではないだろうに。
けれど俺には関係のないことだ。
佐々木にはそんなことよりも鳥や、そして猫の屍体が、屍体が増えているのではないかということが気掛かりだ。

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2002-10-23 チノ   1 

不意にやってくるもの。キンモクセイの香り。
毎年唐突に嗅がされる。それで「ああ、キンモクセイは秋の花だったんだな」と思う。洋子は何故か、小さい頃からキンモクセイの季節が覚えられない。
そしてこれも何故だかは判らないが、洋子はキンモクセイの匂いを嗅ぐと毎年憂鬱になる。
いい匂い、だとは思う。嫌いではない。けれどどうしても好きになれない。そんな匂いだった。
今年もその香りは、少し時季遅れの台風が吹き荒れた翌日、突然に洋子を襲った。
台風がもたらした土砂降りの雨粒の隙間に潜んでいたその植物のエキスは、すっかり晴れあがった明くる朝には、そこいらの空気にもうしっかり陣取って自分の存在を主張していた。もう少し控えめであればいいのではないだろうか。
それまではそこになかった、あるいは気付かなかったもの。洋子にとってのそうしたものはいつも不意にやってくる。
この年最初にキンモクセイが香った日。
その日、男は洋子の前に現れた。

洋子は小さな動物病院で働いている。
獣医師でも正式な助手というでもなく、アルバイトで病院の雑用をしている。いずれは獣医になりたいと思ってこの世界に飛び込んだけれど、それには大学に通わなければならない。そして洋子は高校を中退しているので、大学に通うためにはまず大検を受けるか高校に通い直すところから始めなければならない。今さら高校生活に戻る気にもなれず、洋子は大検を受ける方法を選択した。
目的をはっきり持った若者にとって、そしてそれ故にこそ、その目的のための手段が時に煩わしく迂遠なものにも思われる。獣医になりたいと思い、大検や大学受験のための勉強をしながらもまずは少しでもそうしたところの近くに身を置いておきたいと考えて始めたアルバイトではあった。さしあたって受験をするにも何にもお金が必要ということもあった。洋子にとってここで働くことは目的ではなく手段の一つであったはずだった。けれど日々それなりに充実していて、洋子は当初の目的を見失い掛けていた。
「副院長、谷口さんちのエルザちゃんの処置、これでよろしかったですか?」
副院長といっても夫婦でやっている小さな動物病院には、院長とその妻の二人の獣医師以外には洋子しかいない。
「奥さん」と呼ぶのもおかしいような気がしたし、妙に馴れ馴れしいような気がして名前では呼べない洋子は、彼女を勝手に副院長と呼んでいた。
洋子がアルバイトで入るまでは、名目上夫の方が院長ということになっていたようではあるが、特にそうした区別はなかったらしい。病院にやってくる飼い主達はそれまで「院長先生」「敦子先生」などと呼んで区別していたようだ。本人達は「ああ」とか「ねえ」、「おい」などと呼び合ってさして気にしていなかったようだ。
「ああ、エルザちゃんね」
副院長は手際よくカルテを見て、看畜の猫を観察した。
「それでいいわよ。洋子ちゃんもだいぶ慣れてきたわね」
「はい、ありがとうございます」
誉められれば、素直に嬉しかった。

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lim.さん、なぜに「チノ」か? それはおいおい明らかになるでしょう。 / 揚水 ( 2002-10-29 12:26 )
なぜ「チノ」???? どきどきどきどき... / lim. ( 2002-10-24 14:24 )
善処します(笑)。でも今日は寝ます。 / 揚水@夜勤明け今帰り ( 2002-10-24 10:43 )
ぱちぱちぱちーー続きを早く読みたぁーーい^^; / あみすけ ( 2002-10-23 22:34 )

2002-10-15 お詫び

僕には伝えようとする、言葉で表されることが多少なりともある、のかもしれない。
そして僕は自分なりに操る言葉もある、多分。

けれども僕の言葉に対して反応してくれる人に対しての返答すら出来ないでいます。

ごめんなさい。もう少しでまた言葉を出していきます。
飛び飛びでゆっくりですがご勘弁ください。

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うわあ、俺まさに今そんな生活だ…(笑)。 / 揚水 ( 2002-10-22 13:05 )
眠いときは寝るのだぁー!!そして寝るのが飽きたら起きるのだぁー!!...なんて生活してたらダメになるね^^;。 / あみすけ ( 2002-10-19 20:47 )
おおお、お、お元気ですよお。でも眠いのれす。 / 揚水 ( 2002-10-17 09:29 )
おお、おひさです!元気してます? / あみすけ ( 2002-10-17 06:09 )
あわわ・・・お元気ですか?の間違いです。ごめんなさい。。。 / みるみる@Atelier ( 2002-10-15 21:22 )
お久しぶりです。お元気か?お忙しそうですね。今大切なこと、十分になさってくださいね。のんびり楽しみにしています。 / みるみる@Atelier ( 2002-10-15 21:17 )

2002-09-26 秋眠暁を覚えず

現在午後三時四十分。今起きました。

隔日勤務という体系は、一勤務連続21時間働いて次の日は明休(あけきゅう)となります。
昨日が明休だったのですが、本来休みである今日も無駄に寝てしまいました。午前五時にあがる明休の昨日、午後三時まで洗車していたからでしょうか。
もう少し上手に時間を使うようにしなければならないでしょうね。

他の同僚に比べて上手く営収を挙げられない最近の僕の楽しみは、営業車をきれいにすることです。
普段でも他の人たちの二〜三倍、休みの前などは四倍から八倍は掛けて洗車しています。

鈍臭いからなあ、俺。

まあ色んな人が乗ってくる営業車ですから、きれいにしておくに越したことはないでしょう。

「折り梅」という映画を観に行ってきます。

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こちらも遅くなってごめんなさい、リカちゃん。映画の出来としてはあまりいい映画でもありません。手記の内容と、それを映画として作ろうとしたたくさんの人たちの力があったことが凄かったのではないかと思います。 / 揚水 ( 2002-10-15 21:15 )
遅くなってごめんなさい。lim.さん、まだ時間に慣れません。 / 揚水 ( 2002-10-15 21:13 )
以前にも映画の1コマについて、教えていただきましたが、またいい映画があった際には、お知らせいただけるとうれしいです!(^^) 映画、行く相手がいますので、是非(随分厚かましいな、自分) / 綺羅 ( 2002-10-04 11:17 )
私はそんな激務についたことがないのですが、看護婦さんや介護士などの友人はいつもそんな生活みたい。おかげで昼間に遊んだりできますが。昼間に映画を見に行くことができるのも、こういうお仕事の特権かも知れませんね。 / lim. ( 2002-09-30 13:24 )
慣れますか。御指南ありがとうございます。「折り梅」とは、アルツハイマーのお姑さんとの暮らしを綴った主婦の手記を映画化したものです。 / 揚水 ( 2002-09-27 18:49 )
おひさです。私も以前、泊まり→明けの繰り返し勤務をしてたことがあります。よく余った時間で映画鑑賞や普段出来ないことをやってました。段々と慣れてきますよ、時間の使い方が。ところで「折り梅」ってどんな映画ですか? / あみすけ ( 2002-09-27 05:39 )

2002-09-17 最近人に言われて一番腹が立ったこと

知り合って間もない人間にこんなことを言われた。

「揚水さんの彼女はもう40だから乳垂れてるんでしょ?」

きっとお前はこれまでの人生、本当に大切なものなんて何一つ手に入れることなく生きてきたんだろうなあ。

哀れな奴。

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いいんです、lim.さん。彼は美しい海月を見る資格を永遠に失いました。 / 揚水 ( 2002-09-26 15:39 )
ばいばいきん出来ればいいんですがねえ…。 / 揚水 ( 2002-09-26 15:38 )
なんじゃそりゃ、ほんと、わけわかんないですね。 / lim. ( 2002-09-25 07:40 )
そういう方はばいばいきーーんしましょう(^^;)。 / あみすけ ( 2002-09-18 05:52 )
それひどい!! / あみすけ ( 2002-09-17 23:27 )
あ、そうだ。お久し振り、涼さん。読んでくださってありがとう。あははってね…(笑)。 / 揚水 ( 2002-09-17 21:36 )
あはは、揚水さんだ!あはは、ごちそうさま(笑) 一番幸せなことっす。←なにこの書き方  / 涼@外出なのでまた♪ ( 2002-09-17 16:10 )
考えてしまったよ。大切な人と、大切な気持ちのそばで生きていられることって、幸せだな。揚水さんの彼女は幸せだ。そして揚水さんも幸せね。なんかうまく気持ち書けなかったけど、書きたかったっす。 / 涼@こちら一日雨 ( 2002-09-17 16:08 )
一番情けないのはそういう奴にいちいち腹を立てる間抜けな自分だったりして(笑)。 / 揚水 ( 2002-09-17 16:04 )
その人にとっての大切なものって何なんだろうね。聞いみてさらに驚いた経験あるから気持ち悪くて聞けない私がいたりして(笑) って、久しぶり。いつも拝読してまっす。お元気そうで何よりーって思っておりまする(o^-^o) / 涼@ご無沙汰 ( 2002-09-17 15:23 )

2002-09-15 正しいが正しいとは限らない

多くの人間がいる中で働いていると、こいつおかしいんじゃないか、と思うこともありますよね。

ぼくはこれまであまり多くの人と関わらないで仕事をしていたためか、人と人は違う、というとても基本的なことを実感せずにいたのかもしれません。

職場にいる僕から見てとんでもないことばかりする人間に腹を立てていましたが、腹を立てれば結局は彼と同じです。
自分の思う「正しいこと」を振りかざす彼に、こちらも自分の「正しいこと」を振りかざしていては馬鹿の連鎖は止まりません。

腹を立てるこちらが馬鹿なのだ、別に僕はいい人になろうというのではなく、自分の身を守る意味も含めて、そう考えても良さそうです。

自分の正義に固執しすぎることはなんにせよ賢くありません。

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最近思うのはそうした人を「正そう」とする僕は間違っているんじゃないかということ。人は人。もすこしクールで行こう。 / 揚水 ( 2002-09-17 14:00 )
最近、日本人なはずなのに日本語が通じないと人がいます。それと、日本語なはずなのに、宇宙の言葉のようなことを話す人も(^^; 要は、意味不明なことを言う人が多いと・・。 / 綺羅 ( 2002-09-15 18:55 )

2002-09-08 苦労人と見えて、私の涙を見て見ぬ振り

仕事に必要な資格の試験に合格後、取得者講習を受け、今月の9日から実際に営業に入りました。
月曜から金曜日までの単位で2週間余りの日勤、さらに2週間余りの夜勤を経験し、明日から本来の勤務体系である隔日勤務に入ります。
体がなかなかついていかなくて、仕事以外のことをする余裕がほとんどありませんでした。

これまでの僕は、人との関わりの多い仕事を選ぶことを、避けるともなく避けてきたように自分で思います。
けれど今回の仕事は様子が違います。毎日色々な人と会うことの多い仕事です。

うまくいくのかどうかはともかく、今僕は楽しくて仕方ありません。

先頭 表紙

それは僕も嬉しいですね、涼さん。 / 揚水 ( 2002-09-17 21:37 )
うまく書けなかったんだけど、読んで嬉しくなりました。 / 涼@またくるねー ( 2002-09-17 15:25 )
ありがとうlim.さん、楽しみます。 / 揚水 ( 2002-09-15 18:26 )
あみさん、更新が遠くて申し訳ないです。 / 揚水 ( 2002-09-15 18:25 )
いやはや、たくさんあるイヤなことも含めて、今とても楽しいです、みるさん。 / 揚水 ( 2002-09-15 18:25 )
はじめまして、さにゃえもんさん。元気、出ますか?それはとても嬉しいです。 / 揚水 ( 2002-09-15 18:25 )
を、楽しそう且つお元気そうですね。お仕事目一杯楽しんで下さいね。 / lim. ( 2002-09-10 08:19 )
集中できることが一番!!また近況を聞かせてくださいね! / あみすけ ( 2002-09-10 06:02 )
良かったですね!充実していらっしゃるんですね。やはり人との交流は大事ですよね。だって人間なんだもん。 / みるみる@お疲れ様です! ( 2002-09-09 16:37 )
何だか読んでいて元気をもらっちゃいました。 前向きな日記って読んでる人にもパワーをくれるね。 ありがとう! / さにゃえもん ( 2002-09-08 22:48 )

2002-08-25 待てば海路の日和あり

親切な方が財布を拾ってくださり、連絡が来ました。

嬉しいこともあるものです。

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はーい。 / 揚水 ( 2002-09-08 21:45 )
lim.さん、日頃の行いの割りにはいいこと続きです。 / 揚水 ( 2002-09-08 21:44 )
リカちゃんメールありがとう。このまま幸せが続くといいなあ。 / 揚水 ( 2002-09-08 21:43 )
おーひ(^^;) / あみすけ ( 2002-09-03 22:38 )
見つかって良かったですね〜。日頃の行いかな。 / lim. ( 2002-08-27 13:24 )
幸せ続きっぱなしですね(笑) ひまじんは止めることにしたので、またメールします〜♪ / 綺羅 ( 2002-08-26 21:43 )
ありがとうございます、みるさん。 / 揚水 ( 2002-08-26 14:40 )
ええ、ラッキーでした、あみさん。 / 揚水 ( 2002-08-26 14:39 )
よかった。よかった。 / みるみる@Atelier ( 2002-08-26 09:39 )
おお、ラッキーですね!! / あみすけ ( 2002-08-25 22:35 )

2002-08-19 好事魔多し

最近の僕は穏やかに幸せだ。

仕事は疲れるし忙しいけれど、楽しい。
井戸は涸れかけたけれど、救いの手をさしのべてくれる人がいる。
海月とは相変わらず。

ところで今日、財布を落とした。

先頭 表紙

読んではいますがなかなかつっこめなくてごめんなさい、リカちゃん。 / 揚水 ( 2002-08-25 18:51 )
私の日記読んでくださってるんですね♪<左右衛門 / 綺羅 ( 2002-08-22 19:40 )
相変わらずラブラブです。でも財布も、初めて海外に行った母が最近お土産でくれたものなんです。とほほ。母親のくれたものより恋人が大事な方が健全だとは思いますがね、lim.さん。 / 揚水 ( 2002-08-21 23:48 )
財布はまだ見つかりません、リカ左右衛門さん。 / 揚水 ( 2002-08-21 23:44 )
相変わらずラブラブですね。それなら財布なんて無くたって。ね〜。 / lim. ( 2002-08-20 07:48 )
財布もいつのまにか戻ってきたりして(^^) いいな〜、羨ましいな〜・・。 / 綺羅 ( 2002-08-20 00:02 )
まあ、災難には違いありませんが、この程度で済んで良かった、と。色々気を付けなさいという天の声です。最近結果的にはいいことばっか続いてましたからねえ。 / 揚水 ( 2002-08-19 23:36 )
ありゃま、財布ですか。そりゃまた災難でしたね! / あみすけ ( 2002-08-19 23:06 )
そうなのです。無事にお家に入られたようですな、良かった良かった。 / 揚水 ( 2002-08-19 23:04 )
それがその財布ですな。 / みるみる ( 2002-08-19 22:57 )

2002-08-18 臭い水

「臭水(くそうず)」、とは我が国における石油の古い呼び方だったでしょうか。

井戸の水が涸れかけ、腐っていました。
会社と僕の家の帰り道に寮があるので、所長、というか社長に相談したところ、そこの水を使って風呂でも炊事でも洗濯でもやればいいじゃないか、と言ってくださいました。ありがたいことです。

そのような話になった後で所長がお休みの日、他の寮にいる若い子達がいくら共益費はただで家賃のみ払っているといっても彼らにも悪いから、ということで、主任を通して共益費を幾ばくか負担することを申し出ました。

すると京都出身で、彼自身単身赴任で寮住まいの所長の返事はこうだったそうです。

「水臭いこと言うなや」

今度勤めている会社は人前に出る仕事なので、腐った水で洗濯した服を着たり、そんな水で沸かした風呂に入っていては仕事になりません。
何よりそんな水で煮炊きは出来ない。

会社で相談するまでは、海月が彼女の家で僕の汚れ物を洗濯をしてくれて、晩ご飯に関してはお弁当を作ってくれていました。
生きていく上で水は大切です。生活用水を確保することの大切さが判る今の暮らしはまんざら捨てたものではありませんし、困っている僕を助けてくれる人がいるということは本当に幸せです。

今日、彼らのすぐ上に住んでいながら普段はあまり顔を合わせない大家さん一家に会う機会がありましたので、井戸が涸れかけている話をしました。
大家さんが奥さんに、役場の仕事を受けている水道設備屋さんに電話をするように言ってくれました。
100万から掛かると言うことでしたので、水道を引くことは諦めました。
「いつでもうちの水を汲んでいけばいいよ」
奥さんがそう言ってくれました。

人の優しさが身に沁みます。

試しに今夜、風呂を沸かしてみました。
大して雨も降らなかったというのに、水量は充分にあったし、森の中の地面を掘り起こした時のような匂いはするものの、腐ってはいませんでした。

森の中の土の匂いは万人にとっていい匂いとは言い難いのかもしれませんが、僕にとっては好きな匂いです。
一種の芳香だと思います。

他人は僕を助けてくれますし、井戸水の状況も好転していきます。
井戸の水が元に戻ったことまで誰かが何かをしてくれた訳ではありませんが、人は人に助けられて生きているのだな、と感じ入りました。

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