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おけいのテアトルな日々

人は役者、人生は劇場にちなんで、ページのタイトル名を
かえました。ときどき、芝居の感想も書きますね。

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2004-11-28 「笑いの大学」(映画版)
2004-11-26 「ほぼ日手帳」届きました。
2004-11-21 「ハウルの動く城」
2004-11-21 「春風亭てい朝の落語をぶつ会」
2004-11-20 映画のペア券が当たった
2004-11-17 「二人の女兵士の物語」(THE LOFT)
2004-11-16 さん喬の会(鈴本演芸場特別企画興行)
2004-11-11 芝居が観客を変えた瞬間 〜「劇団ふるさときゃらばん」〜
2004-11-08 「トーク Show」(中井久美VS古城十忍)
2004-11-07 つづき


2004-11-28 「笑いの大学」(映画版)

今月2回目の映画で、今年一年分見てしまったような気分。
こっちは別の映画館でとってもきれいなシアターでした。
こじんまりしたホールで、イスの座り心地が最高!
映画っていろんなことが出来るんだなあと、映画初心者の私はすっかり感心しちゃった。
小劇場で上等の芝居を観たような映画だったから、見終わって思わず拍手しそうに・・。

こじゃれた感想なんかいえなくってもいい。
演劇にとってこんな観客でありたいものだと心がキュンとしちゃいました。

あの映画見たらどうあっても三谷幸喜の芝居が見たくなる。
その意味では上等のプロモーションビデじゃないかと、三谷さんに脱帽。

先頭 表紙

秋さま:あとになって印象に残る映画は、どっちだろうな。ハウルと笑いの大学と。 / おけい ( 2004-12-05 08:15 )
kouさま:観客総数は減っているのに、特定人気劇団に集中する二極化現象が起きているらしいの。安定株もいいけれどこれから育つ劇団の最初のお客さんにもなりたいですよね。 / おけい@昔からのファンなので、スゴイなあ ( 2004-12-05 08:13 )
昨夜のレイトショーでやっと観ました。明日で上映終わりなのでギリギリ。面白かった!友人と二人で貸切上映(^^; 空いているにしてもあんまりだよなぁ。。。 / ( 2004-12-01 19:33 )
三谷氏の舞台のチケットは今ではもう手に入りにくいでしょうね。10年前は当日券もちゃんとあったのに(大阪でですが)。 / kou ( 2004-11-30 13:29 )
ちっくしょうめ、ぶん殴ってやりたくなるぜ。こんやヤツは。東京在住者はなんと言ってもやっぱり有利じゃん。 / おけい@今度はご一緒にね。 ( 2004-11-29 22:02 )
へっへっへっ。あっしゃあ、芝居版の方を見てやすぜ。そりゃあ、おもしろかったですぜ。 / くすのき燕 ( 2004-11-29 15:48 )

2004-11-26 「ほぼ日手帳」届きました。

毎日のように見に行ってるHPで
手帳の製作状況が逐一紹介されて、しかも発売まであと何日ってせかされ、
あんな便利、こんな使い方なんて楽しげにアップされてるでしょ。

限定販売とか、残りわずかってのにすこぶる弱い私は
とうとう申し込みメール送っちゃったのです。
まあ、去年も欲しかったのですが、一冊3000円もする手帳なんてもったいなくて
お正月にミスドの福袋で手帳を当てるのが楽しみだったりしたし。

でもね、買っちゃいました。
「グリーンティ」っていう淡いグリーン。大好きな色です。
詳しく知りたい人はこちらを。
http://www.1101.com/store/techo2005/colors/index.html

芝居のチケットを入れるものが欲しかったのです。
電子チケットなんぞもあるご時世ですが、
私は、時々取り出してチケット眺めるのが好き。これって、チケットフェチ?

先頭 表紙

しえろちゃんが言うんだから確かです。しかも、彼女はその恋人と半同棲中?! / おけい ( 2004-12-05 08:08 )
あるまじろさま:お家に帰るまでが修学旅行ならば、チケットを買ったときから、開演ベルを待ちわびるのが私にとってのお芝居かな。 / おけい@ときどき手ひどい失恋もするけど ( 2004-12-05 08:05 )
秋さま:いま、ちょっとした手帳ブームかも。ほぼ日手帳、パタンと開いてすっごく使い易いの。何だか飛びっきりの一年が始まりそうな予感。 / おけい@追加販売も始まったよ〜 ( 2004-12-05 08:00 )
そうね、芝居を見るのと、恋をするのは似ている、と思います。 / しえろ ( 2004-11-30 21:21 )
チケットを手に入れてから会場に行くまでその芝居に恋してるみたいですね。 / あるまじろ ( 2004-11-26 23:32 )
ああん。もっと早くに教えてよぉ〜。今年はミスドで我慢なのだ、一昨日手に入れたのだ。来年は「ほぼ日手帳」の赤にするっ! / 秋@影響されやすいヤツ ( 2004-11-26 02:07 )

2004-11-21 「ハウルの動く城」

中村獅童の『いま、会いにゆきます』と散々迷った末、しえろさんオススメの『ハウルの動く城』へ。封切り二日目なので混んでいるかなと一時間ほど早めに行く。
ここは、800名ほどのホールで一日に6回の上映。ほぼ満席だけど、探せば空席もちらほら。
昼時の上映のせいか、お客さんはほとんど飲食物持参。ポップコーンの香ばしい誘惑、映画館にはコーラがよく似合う。
思えば芝居の観客はずいぶんと忍従と禁欲を強いられているんだなあとため息。

宮崎駿映画の観客にはお馴染みの上空からの俯瞰シーンや空中戦のリアルな迫力、巨大なハウルの城が斜面を落下するシーンの衝撃・・等など、映像的にはずいぶんと高度になっているようだ。でも、映画のインパクトはやはり「もののけ姫」の方が大きかった気がする。世界観が迫ってくる感じっていうか。
荒地の魔女(アテレコ)の美輪明宏が不気味でいやらしくってよかったな。それから王宮付きの魔女サリマンの加藤治子もステキ。一流の役者さんは話芸に品がある。

映画の中でハウルやソフィーたちの食べていた厚切りのベーコンとふたつ玉の目玉焼き。めっちゃ美味そう。帰りにスーパーで桜玉子と特売のベーコンを買って帰る。
息子に言わせると宮崎映画の中の食い物は本物よりはるかに巨大で見るからに美味そうに出てくるんだよぅって。

先頭 表紙

くぎさま:映画を見ても、芝居を見ても、小説本を読んでも、食べるシーンに妙に気がいく私です。生来の食いしん坊。子どもの頃からうまそうに食うヤツだと褒められて(?)いました。 / おけい@ハウルのベーコン最高! ( 2004-12-04 13:55 )
あるまじろさま:「世界が広がっていく感じ」。うん、そうな感じだよね。満たされるというより、広がっていく感じ。 / おけい@違和感って必要悪かも。 ( 2004-12-04 13:52 )
しえろさま:あんたは休んだほうがいい・・・、爆睡をオススメします。 / おけい@元気ふくらませておいでね ( 2004-12-04 13:50 )
きんととさま:月並みですが、こころにもご馳走を!美人も心に美容液ですぞ、きんととくん。 / おけい@最近は落語会ばかり? ( 2004-12-04 13:49 )
秋さま:e席リザーブってはじめて知りました。映画って観客サービスなかなかのものね。小さなホールは席指定になっていたり。 / おけい@サービス向上大歓迎 ( 2004-12-04 13:45 )
僕は、まだハウル観てません。でも、観たいなぁ、今日も映画館の前通ると人イッパイ並んでました。もう少し空いたらいこうかな。息子さんの言う通り、あの大きさ、それに、それ一口で食べたりするところが、おいしそうに見えるポイントなのかもしれませんね。 / くぎ ( 2004-11-23 23:05 )
『千と千尋の・・・』の1シーンのような汚さを見せつけることも一種の良さです。気持ちの悪いモノや違和感のあるモノと触れあっていくことで世界が広がっていく感じが好きでした。今回はまだ観てませんが妻と一緒に観るでしょう。 / あるまじろ ( 2004-11-22 22:55 )
おすすめっても、私まだ見てない。でも、見たい。。。この頃のシネコンとか、イスのすわり心地とかすごく研究してあるらしいよ。劇場のイスの座りごこちの悪さといったら! / しえろ ( 2004-11-22 09:08 )
このところ、芝居も映画もじぇんじぇん観る余裕が・・・いかんいかん。 / きんとと ( 2004-11-22 07:44 )
ワタシが「アイーダ」をS席七列目真ん中で観劇していた頃、夫と娘はe席リザーブで初日に観たんだって〜。 / ( 2004-11-22 00:40 )

2004-11-21 「春風亭てい朝の落語をぶつ会」

アマチュアとはいえ30年の芸暦をほこる地元広島演芸協会の会長さんである。
本職は確か建設会社の営業マン。
以前、落語ワークショップを受けたときに講師だったのがてい朝さん。
その折一席伺ったのが「時そば」で、その上手さに舌を巻いた。
落語会は今回で二十五回目、木戸銭は千円。独演会は年1回のペースとか。

毎年続いている国民文化祭、開催県以外ではあまり知名度のないのが残念。
その中のプログラムに演劇や音楽、伝統芸能・映像・文芸等とともに演芸競演会の部門がある。
プロの高座のほかに落語コンテストというのがあり日本各地から公募で選ばれた8人から9人のアマチュア落語家の中から最優秀賞(文部大臣賞)が選ばれる。
てい朝さんはその常連で、6年前にはその文部大臣賞も受賞している。それこそ「下手なプロよりうまい」アマチュア落語家なのだ。

本日のプログラムは以下のとおり。
「元犬」 さ家えん童 *兵庫県の高校1年生。地元演芸団体では笑年部。達者なものだ。
「初音の鼓」 六ツ家千艘 *「りくつやせんそう」と読みます。
「真田小僧」 春風亭てい朝
*やはりキャリア。噺の口跡が安定していて安心して聞けます。
「シルバー結婚式」 三遊亭楽団治 *えん童くんと共に上方落語のアマチュアさん。
    仲入り
「マジック」 中島幸司 *袋町の喫茶店のマスターだそうで、この人もアマチュア芸暦40年。
「井戸の茶碗」 春風亭てい朝
* 大好きな噺で、今日のお目当て。武士同士の意地の張り合いに振り回される屑屋の清べいさんの困惑振り。プロのあれこれを聞いた耳には物足りない気もするが「井戸の茶碗」本来の面白さがよく出ている。

芝居の観客席には圧倒的に女性客が多いが、寄席・落語会にはまだまだ男性のお客さんも足を運ぶようだ。今日の会などおじさん含有率が以上に高かった。  

先頭 表紙

うぃっちさま:はまると結構奥の深い寄席芸の世界。ぜひわたくしのお供にお連れいたしましょう。 / おけい ( 2004-11-29 22:13 )
あるまじろさま:思い立ったが吉日、ぜひぜひ、お出かけくださいませ。高くなったとはいえ木戸銭(2500円〜2800円)、芝居よか安いんよ。 / おけい@お湯くんも連れてくべし! ( 2004-11-29 22:11 )
今日の日経に、風間杜夫の落語を聴く会についてのコラムが載ってました。かなりうまいらしいです。今回は居残り左平次をやるそうですよ。 / うぃっち@通りすがりの未ログイン ( 2004-11-21 22:29 )
寄席に行ったことがなくそちら方面、勉強不足です。一度行きたいですね。 / あるまじろ ( 2004-11-21 12:22 )

2004-11-20 映画のペア券が当たった

映画館限定のチケットなので、選択肢はあまりない。
もっともわたしは映画にはちっとも詳しくないので
なかなか決まらないのだけれど。

一番最近に見に行ったのが多分「もののけ姫」(!)
他人はどうあれ自分が見たいのはコレとか
あんまり評判にはなってないけれどオススメだよとか
ちゃんと自分の映画観っていうのスタンスのあるひとに憧れちゃう。


↓ごめん、しえろちゃん。
 あたしは認めるわよ、いつまでも少女のあなたを。

先頭 表紙

「ハウルの動く城」は? / しえろ@いくつになっても少女 ( 2004-11-20 20:09 )

2004-11-17 「二人の女兵士の物語」(THE LOFT)

作・演出 坂手洋二
出演 小島聖、宮島千栄

LOFTは新国立劇場小劇場、客席に向けてV字型に舞台がせり出し、舞台を挟むように観客席。
足場を組んで勾配をつけた長短6列のベンチ席。
薄明かりホールに入り手探りで指定の席にたどり着くと、もうウロウロする気は失せてしまった。
舞台との境は黒い手すり、最前列の観客のためにひざ掛けが一枚ずつおいてある。
観客はいやでも舞台に集中するはず・・・、だったのか?

女優二人のオムニバス形式で脈絡のないショートストーリーが展開する。
舞台中央から突き出た怪獣の角のようなロケットの残骸のような装置は場面により回転する!
あんなわけのわかんない芝居なのに、お二人ともなかなか巧い。でも、退屈な芝居でした。
人間同士の裏切りや諍いを二人を通して描こうとしたのか。
でも、つまんなかったな。坂手洋二の芝居にはロクなことがないねえ。
こんな舞台の設置をしちゃあ客席は200名が精いっぱいだろう。空席もちらほら。
記憶から抹殺したい1時間半でした。

芝居が速くハネたので、ホテルの近くの「江戸東京博物館」に行く。
閉館時間が押していたので「水木しげる展」は諦めて常設展へ。
復元された実物大の日本橋を渡って、江戸時代にタイムスリップ。
広々とした館内にゆったりと精巧なミニチュアの江戸の町並みや武家屋敷の模型が配置されている。
本物そっくりに復元された江戸のお長屋や円タクや明治時代に初めての作られた公衆電話。持ってみて実際の重さを確かめられる千両箱。
見て触って実感できる展示に楽しそうに見て回るカップルの姿も多数散見。
江戸期の木製の水道や小判や2分銀などのお金も実物が見られ、落語大好きの私には垂涎ものでした。正統派の東京土産もここで買えます。
チャンスがあったらぜひまた来たいな。

石原都知事に座布団いちまい!

先頭 表紙

第三希望は芸術性の高さに定評のあるクナウカの「マクベス」(下北沢のスズナリ)、でもついていけるか自分?と不安。第四希望が青年団リンク・地点の「三人姉妹」、会場のアトリエ春風舎にたどり着けるか心配。で、選外のロフトの芝居へ。正解、アトリエ春風舎に行くべきだった。(嗚呼!) / おけい ( 2004-11-21 23:45 )
第一希望は、永井愛の「見よ、飛行機の高く飛べるを」(世田谷パブリックシアター)、週末のチケットは完売。第二希望は大人計画の新作、こちらは全日チケット完売。当日券の列に並ぶか、とりあえず買える前売り券にするか、悩んだ末・・・。はずしちゃいましたね。残念! / おけい ( 2004-11-20 16:31 )

2004-11-16 さん喬の会(鈴本演芸場特別企画興行)

11月中席の「夜の部」が連日独演会になっていて、この日がお目当のさん喬の会。チケットは完売なので木戸口では立ち見券の販売をしてます。
いつもの会と違いお土産付(さん喬さんのイラストのクリアホルダーが2枚ずつ)、感激!

開口一番 「子ほめ」 前座 
*上がって途中で詰まり、でもちゃんと復帰、印象に残るよなあ。 

「粗忽の釘」 柳家さん弥 
*7月から二つ目になったばかりだそう。29歳だって。

「ちりとてちん」 柳家さん喬
*前座時代に師匠の小さんについて回った巡業での食べ物をやたらと食わされた話、小さんという人は食い物には頓着しない人だったらしく、お飯と味噌汁と漬物さえあればよかったという。珍しく長いマクラ。
同種の「酢豆腐」よりあざとい感じが好きじゃなかったのだが、今年は縁があるのか、菊丸さんについで二回目め。
最初の男の世辞のよさに対して、ちりとてちんを食わされるあとの男はよっぽど隠居に恨まれていたらしいね。唐辛子の混ぜ方が念が入ってる。一端とめた唐辛子の容器を持ちかえてさらに掛けるところなんて巧い。

ゲストは「Oh!江戸ベンチャーズ」の懐かしい演奏
*素人楽団だそうで、お寺の副住職さんだったり、墓石屋さん、布団の西川の営業マン等など。この日のために奥さんに頼み込んで新しいドラムを購入したなんて話、いいなあ。どうしてなかなかの演奏振りで、客席挙げて盛り上がった。鈴本の高座にエレキが鳴り響き七色のテープが舞う。

   お仲入り

「たぬき」  柳家さん喬
*師匠小さんの十八番だった噺。う〜ん、子狸がいまひとつかな。さん喬さん、騙す話は苦手のよう。

「芝浜」   柳家さん喬
*そのさん喬さんの今夜のトリがご存知「芝浜」。
魚屋の腕はいいが仕事の腰の据わらない勝蔵としっかりものの内儀さん。半信半疑の勝っつぁんに考える暇も与えず、夢だ、夢だの一点張りでうまく丸め込んでしまう彼女の鮮やかなやり取りが眼目のような話だ。まるで「おれおれ詐欺」の逆バージョンといえなくもない。
ところがさん喬さんのかみさんは嘘があまり巧くない。だまされる勝蔵がよほどバカにみえてしまう。だが、この演出が終幕のサゲのところで俄然、生きてくる。
「怖かったの、元のあなたに戻ってしまいそうで」。必死にこうでもするしかなかった彼女が、「ごめんなさいね」と泣きながらことの経緯を告白する。「すまなかったな、さぞ辛かったろう」「俺に甲斐性がないばっかりに、辛い思いをさせた。」と頭を下げる勝蔵。
これほどの亭主を持てりゃ、女房冥利に尽きるというもの。女房の辛さ・切なさを分かり労わってくれる亭主だったらこんな幸せはないやね。観客席で思わず涙ぐんだ女性客も多かったよう。まるで東芝日曜劇場のような「芝浜」でした。

先頭 表紙

うぃっちさま:おんなじ噺が演じ手の噺家によって微妙に違う。それを聞き較べるのも落語の楽しみの一つ。おんなじ噺家さんでも微妙に変化していく。そのプロセスもまた楽しみ。落語は奥が深いです。 / おけい@談志さんも是非! ( 2004-11-20 16:36 )
談志さんの芝浜って、あるなら聞いてみたいですわ。なんか勝っつぁんとカミさん2人とも化かし合いしそう・・・。 / うぃっち@灘の生一本 ( 2004-11-17 21:26 )

2004-11-11 芝居が観客を変えた瞬間 〜「劇団ふるさときゃらばん」〜

CGC中国グループ創業25周年記念として、味の素冷凍食品(株)などの協賛のもとに上演された舞台。
観客のほとんどはおそらく懸賞のペア券当選者、つまりタダのお客さんである。芝居嫌いはそもそも応募しないだろうけど、一見して観客層が、普段の演劇公演とは違う感じ。
もっと泥臭いイメージだったが、どうしてどうして歌も踊りも迫力満点。役者にキレがあって小気味よい。芝居も巧いし、和製ミュージカルを標榜するだけのことはある。しかも劇中の音楽は生演奏。
和様の振りもかっこよく取り入れてあり、中年の観客にもすんなりと馴染めるものだ。松竹新喜劇とボリショイバレーがドッキングしたような感じね。
ドブネズミルックの営業マンとラインのパートさんの作業着姿、その諍いのシーンなどまるでウエストサイドストーリーのようにカッコいい。
大枚叩いて観にいった四季の公演なんかよりずっと感激しちゃったよ。
ミュージカルとして、食品メーカーをリストラされたサラリーマンの奮闘記というストーリーに違和感を感じさせない。人物造形が非常にわかりやすく(その分類型的な感じはあるが)、メッセージがストレート。
一念発起してパートに出た専業主婦にたちまち正社員の道が開けたり、企業戦士がすぐにベテラン主婦になれたり、リストラされた退職金で家の残りのローンが完済できてしまったり、50歳を過ぎたらスーパーのパートでさえ簡単には見つからない筈・・・等々。よく考えると都合よく話が進みすぎるところはある。
それでも、上司(管理職)は最前線で働くパートや平社員が働きやすいようにサポートするものだという主張や本当の仕事の醍醐味は現場でこそ一番よくわかるものというメッセージは多くのサラリーマンの共感するところだ。
最高のサラリーマン応援歌である。

万雷の拍手の中で繰り返されたカーテンコール。
演劇公演の入りが悪く、大概の興行がうまくいかないといわれている広島で
この観客の熱狂振りに一番戸惑い驚いたのは、演じていた当の役者さんたちかもしれない。
大勢の観客が感激し自発的に拍手をすると、その拍手の音が違う。
わたしもそんなに何度も聞いたことはないが、この拍手を浴びると役者は一生やめられないだろうという甘美な響きである。
無料で観に来た観客にさえこれほどの興奮を残せたら、演劇の未来もいくらか明るい。
これから続く各地での公演がたくさんの観客の興奮と感動を呼び覚ますことをお祈りします。

先頭 表紙

鳥さま:こんな時代だからこそ、生身の人間が見せる鍛えられた美しさに感動します。役者もぜひそうあって欲しいですね。 / おけい ( 2004-11-20 16:25 )
あるまじろさま:まあ、そこそこかなという印象が、ステージ後半で劇的に変化。もう一度お客さんに足を運ばせるだけのものは見せてくれますね。 / おけい ( 2004-11-20 16:23 )
しえろさま:東京っていうか首都圏の人ってあんまり芝居に行かないよね。新幹線や飛行機で駆けつける地方人もいるのにさ。 / おけい ( 2004-11-20 16:21 )
秋さま:評判は聞いていたのだけれど、もっと泥臭いイメージだったの。でも本物はとってもシャープ。今度のチャンスは逃さずにぜひおいでくださいませ。 / おけい ( 2004-11-20 16:20 )
ウエストサイドストーリー、大好きです。劇は数回、劇団四季の公演を見ただけだなぁ〜。音楽が生演奏っていいですね。 / ( 2004-11-14 23:05 )
僕は人に勧められて一度拝見しましたが今でも印象に残る楽しいミュージカルの舞台でした。 / あるまじろ ( 2004-11-12 23:39 )
ふるキャラって、未経験。 / しえろ ( 2004-11-12 22:01 )
うわぁ!10月27日に高岡で公演があったんだぁ・・・。残念(涙)。 / ( 2004-11-12 04:05 )

2004-11-08 「トーク Show」(中井久美VS古城十忍)

地元の演劇市民プロデューサーとして活躍目覚しい中井久美、
演劇によるジャーナリズムといわれ東京の演劇界でも異色の存在の古城十忍、二人の対談。
広島アマチュア演劇界のコアな情報、昨今流行の中高生向け演劇ワークショップの有りよう、高校演劇現場の実態、古城さんの演劇論、テレビと舞台の違い・・等々。ほとんど喋りっぱなしの2時間、仲間内ばかりという30名ほどの聴衆では勿体ない面白さだった。
日本劇団協議会の専務理事で機関紙「Join」の編集もしている古城は元熊本日日新聞政治経済部記者。各地の高校演劇コンクールの審査員もつとめその辛口批評でも有名らしい。

(1)高校演劇ってヘン!
「高校演劇の世界」というのは実に特殊で、確かに演劇でありながら勝った負けたを言い合うのは高校演劇だけ。実際のところ、地区大会を勝ち抜き全国大会優勝を目指すところなど高校野球とまるで変わらないのだ。
コンクールには時間制限(少しでも時間をオーバーすると失格)があるため作品選びには苦慮するらしい。ネットで登場人物○人、上演○時間を入力すると検索できるシステムがあるそうで質の玉石混交が頭痛の種。
素人の駄作も多く含まれており問題が多いらしい。
上位入賞校はおおむね演劇顧問の実力が左右する傾向が強い。
地方のアマチュア演劇をやっている人は本職は教諭という人が意外におり、そこからプロの劇団になる例も多い。(最近の例では青森の「弘前劇場」)名目上はあくまで現職教師で演劇顧問、だが実態はセミプロである。
ずぶの素人とセミプロが同じ土俵でコンクールを競うという不公平な実態はあるもののトップクラスともなると下手なプロより余程上手いそうで、日本演劇の将来のためにもこのシステムには賛成とか。
演劇部を維持するのがやっとという高校も多い。
(演劇の実力では)底辺校の参加者たちに対し、少しはほめて欲しいという声もあるそうだ。コンクールの舞台は最初の一分でだいたい見極めがつく。
審査員として、アドバイスは必ずするし、良いところにはダメだしもする。ヨイショはしない。
コンクールというシステムである以上は非情な面もあるが、むしろ学校現場の悪しき平等主義こそ問題だと噛み付いた。

先頭 表紙

あるまじろさま:こんな話を面白がって聞いてくれるあてがある人は、ひまじんじゃあ、あるまじろくらいだもんね。つっこみに飛び上がって喜んだ私。高校演劇部出身です。芝居での人気を足がかりに、生徒会に立候補して当選。まるでタレント候補みたいな学生時代でした。 / おけい ( 2004-11-20 16:16 )
私も高校演劇に携わるモノですが、確かに高校演劇は一般の演劇と違います。勝ち負けの判定自体にはいつも不服がありますが、それが高校演劇の特徴だとも思っています。底辺で頑張る高校はもっと頑張ってはい上がればいいだけです。予算も部員も技術も最初は誰もゼロからのスタートです。磨いて磨いて勝負に賭ける一時期が演技を高める一つのステップになります。自由な表現はその後いくらでもできますよね。その気さえあれば。 / あるまじろ ( 2004-11-09 21:43 )
古城十忍氏の「老女と少女のポルカ」という芝居を許可を頂いて上演したことがあります。なかなか創るのに難しい芝居でしたが勉強になりました。 / あるまじろ ( 2004-11-09 21:36 )

2004-11-07 つづき

(2)たかが劇評、されど劇評
熊本のアマチュア演劇時代、頑張った、大変ねとまるでイベント扱いの自分たちの芝居が情けなかった。
きちんと批評されることがない辛さ。それが東京に出て芝居をする原動力だったという。
演劇を盛んにするためには批評(劇評)をする人を育てることだと話す。
お客が入らないのは制作サイドの宣伝が下手なせいだと思っていたわたしは意外だった。
地元メディアに定期的に劇評欄・劇評コーナーを載せることは出来ないだろうかと提案。
劇団側としても観客動員に繋がる前記事を歓迎する傾向があるか長い目で見るとあと記事(つまり劇評)を載せてもらうほうがいい。
批評にさらされないものは芸術ではない。
ただ残念ながら、全国的にも演劇欄・劇評スペースは減少傾向だそうで、
次号の「Join」でも『演劇という情報にどれだけの価値があるか』という座談会を掲載予定だという。
最近東京の芝居でも上演後観客に残ってもらい役者と演出家の話を聞く「アフタートーク」が盛んになってきた。
イギリスではパブなどで芝居の上演中毎晩、観客と演劇人が呑みながらお喋りができるそうだ。ここでも、そんなことができないものかと話す。
最近英国公演を終えた野田秀樹もイギリスではまったく無名だったがこの経験がすごく楽しかったと話したという。

(3)「老女と少女のポルカ」ここがオススメ
映画やテレビと「演劇」の一番の違いは観客が「想像する」ということだと話す古城。役者が海だと言えばそこは海であり、魚だといえば魚を想像する。これが「演劇」のお約束だ。
最後に12月に広島公演がある一跡二跳の「老女と少女のポルカ」について、その見どころを。
自分から餓死する人という実在の人物に出合いその「餓死日記」を読んだりしたことから着想を得、生きる勇気を描こうと思った。
演劇上の仕掛けとして役者は性別・年齢を超えられるかという思いがあり、おっさんの役者に老女・少女が演じられるかと考えた。
この芝居、男優がほとんど素面のまま老女と少女の役を演じる。
初演当初は最小限の衣装を着けたりしたが、後に必要ないとわかった。
観客の中に生き生きとした実像を生み出す企みに成功したと確信したためである。
役者が役を演じるとき、観客は女優が女を演じるとその差異を探そうとする。
ところが男優が女を演じるとその共通点を探そうとするものなのだという。
なるほど言われてみると、そんなこともありえる気がする。
ただ「面白いよ」だけでは、ひとは劇場に足は運ばない。さすが演出家である、面白いことをいうものだ。

先頭 表紙

くすのきさんの人形劇、キュートさが堪りませんのよ。広島公演、首を長〜くして待っております。 / おけい ( 2004-11-12 22:14 )
その通り!「想像する」 これが大事。 / くすのき燕 ( 2004-11-10 14:42 )

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