私は異国に住んでいた。
たぶん…。
ニューヨーク?
高層アパートの一室で。
「なんで、死んじゃったの?」
「この先、私はどうしたらいいの?」
ひとり途方にくれていた。
赴任先のその街で、ツレが突然なくなった。
たぶん、数か月が過ぎている感じ。
そろそろ落ち着いたでしょって会社の人から言われて。
日本に帰国することになって。
何を処分して、何を持ち帰るか。
その日、新しい部屋に入りきる量だけを選び取らなければならなかった。
でも。
「どうしてあなたはここにいないの?」
そんな思いに囚われて、身動きがとれない。
何ひとつ捨てられない。
ひとりぼっちで。
時間だけが流れていく。
かなり長い夢だったと思う。
目が覚めた時、涙がぽとり。ぽとり。と落ちた。
なんであんな夢をみたんだろう。
私、ガンガン物捨ててるのに。
ずっと考えていて。
気が付いた。
あれはもう一人の私だ。
ツレは911の時、ニューヨークの、あのビルにいたかもしれなかった。
その事に気が付いたとき。
ああ、私にはそれからの十数年があって。
娘達がいてくれて。
ひとりぼっちじゃなくて。
幸せって。
思わなきゃなって。
実感した。
※あの頃住んでいた近所のレストランは今の季節、レストランやショッピングモールは卵だらけでとっても可愛かったけど。最近日本でもイースターのイベントを見かけますね。甘く懐かしい気持ちに囚われます。 |