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揚水の「人生薔薇色計画」

僕のハンドルは「ようすい」ではなく「あげみ」と読みます。表記はaghemiとしています。

妻の海月は「くらげ」と読みます。



ふりぃのかうんた

yesterday ふりぃのかうんた today ふりぃのかうんた


自分が何者であるか今よりももっとわからず身悶えしていた学生の頃、何をしたらいいのかについて友達と話しに話した。
結論は出なかった。どころか何をしてもいいんだということにすらなった。
ただし、本当に何をしてもいいというのではなかった。
一つだけ基準がある。
それは俺の、俺たちの、ひいてはほかの人たちの人生を薔薇色にするか、その一点。
時々それを思い出しては行動する。
それが僕たちの人生薔薇色計画。



    よそいき仕事日記   

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2003-07-24 俺は河童をまだ見ない
2003-07-21 目の前を急に横切ったりなんかされるとびっくりするじゃないか、君
2003-07-18 流浪 18  陵辱
2003-07-17 パッキャラマド
2003-07-16 流浪 17  針屋への道すがら
2003-07-15 使わないでいるとダメになる
2003-07-14 美しい日々
2003-07-14 転載 新世紀へようこそ 101(号外) これまでとこれから
2003-07-13 ただそこにいるだけで
2003-07-11 もの思う雨の夜の空


2003-07-24 俺は河童をまだ見ない

世に河童という生き物がいるということだが、残念ながら俺はまだその姿を見たことがない。
俺がこの先どれだけ生きるか知らないが、死ぬまでに一匹くらい見る機会がないものだろうか。
人間なら毎日見ているのだが、河童は見ない。

けれど人は河太郎なんざより余程奇妙な生き物かも知れぬ。
今はそれで満足しておくべきか。

なにやら、今日は「河童忌」という日に当たるらしい。

俺はそれでも多分まだ河童を見ない。

先頭 表紙

夢樂堂さん、そうした河童も確かにおられますね。 / 揚水 ( 2003-07-26 10:42 )
kotarouさん、ぷららさん、なるほど見ましたわ。 / 揚水 ( 2003-07-26 10:41 )
妹尾河童なら見たけどね。 / 夢樂堂 ( 2003-07-24 14:32 )
↓あはは♪ ワタシも見た見た☆ 4ヶ月ぶりにハニーに会いに、魔女の宅急便みたく飛んでったよね(^-^)  / ぷらら(^▽^)  ( 2003-07-24 10:04 )
昨日かなぁ。某ひまじんさんのとこにいたよ(笑)箒に乗って北へ向かってた / kotarou ( 2003-07-24 09:10 )

2003-07-21 目の前を急に横切ったりなんかされるとびっくりするじゃないか、君

念願叶って草を刈ったのである。
僕の草刈機はエンジンこそかかるもののスロットルを開くと止まってしまうので、友人の家の草刈機を借りてきた。

草刈りを終えて、車一台ほどの狭い坂道、道路から家まで上がる道に散らばった草を熊手で集めていたと思いねえ。

僕は眼下の狭い範囲のみに視線を向けていた。

と。

目の前を走り抜ける明るい褐色の物体。

「うわ、びっくりした!」

誰もいないのにそう叫んだ間抜けなわたくし。

走り抜けたほうを見遣れば彼のイキモノもちょうどこちらを振り返っていた。
で、すぐに走り去った。

大きな栗鼠だった。
山の方から来るならともかく、彼奴は道路の方から上ってきたぞ。

なんでまた。

栗鼠のやってきた方を見ると、僕の視線に仔狸がぎくりと立ち止まった。

「ちぇ」

名残惜しそうに振り返り振り返り立ち去る仔狸はそうつぶやいたように思えた。
狸が栗鼠を追っていたものとみえる。

悪かったな、邪魔しちまってよ。

先頭 表紙

いやさにゃえさん、それはちょっと穿ちすぎかも(笑)。確かに「僕」は僕と重なる部分もありますが、僕はどちらかといえば「僕」よりも訳も判らず殺し合っていた兵士に近いように思います、自分で自分を見て。「流浪」は多分まだまだ続きますからこの先どうなるのか…。書きますからまた読んでくださいね。 / 揚水 ( 2003-07-23 07:27 )
わたくしも蛇はちょっとギョッとします。 / 揚水 ( 2003-07-23 07:24 )
なんか当たり前に見てますので。でも家を離れていたのでずいぶん久し振りに見ました。 / 揚水 ( 2003-07-23 07:23 )
りすりす、りすなのよ(笑)。 / 揚水 ( 2003-07-23 07:22 )
栗鼠のいる環境っていいなあ。 流浪の少女が栗鼠で親爺が狸で主人公があなたなのね。 / さにゃえもん ( 2003-07-22 23:07 )
昔、ユースホステルの庭を草刈したことがあります。その時は蛇がたくさん。蛇なのに鳥肌が立ちました。 / 夢樂堂 ( 2003-07-22 13:32 )
栗鼠に狸?いいですなぁ。生き物は心を和ませてくれます。私は昨日、都会の住宅街を「ブタ」が散歩しているのに遭遇しました。詳細は今夜。 / kotarou ( 2003-07-22 09:54 )
よかったねーー!念願の草刈り。あー、うちも剪定しなきゃなぁ・・・。でさ、狸が何を追っていたのぉ? / みるみる ( 2003-07-22 09:00 )

2003-07-18 流浪 18  陵辱

見える。押し倒され泣きじゃくりながら、そばにあった石を親爺の頭に振り下ろしたのだろうか。僕は凄まじいものを見る思いがした。だが、彼女はやはり弱い。親爺もまたきっと弱いのだ。だからこの娘を襲う。まだ萎えていない親爺の陰茎が存外に力強く、それでいて余計に哀れなほど親爺を貧相で力弱いものに見せる。けれど親爺の力は娘よりは多分強い。放っておく訳にもいかなかった。口が利けなければ、知恵が足りなければ襲ってもいいのか? 僕は親爺に言わずもがなのことと思いながら問うてみた。案の定親爺は黙っている。僕は、この男は悪者ではないと思った。悪くないというのではない。悪いと知って、してはならないと知りながら、悪事を為す。だから、悪者にはなりきれない。そして悪事を為す自分を止めることが出来ない。弱いのだ。親爺を見ていて僕は恥ずかしくなってしまった。自分の恥部を曝け出された気分にさせられる。僕もまた弱い人間の一人に違いない。たまたま害為す立場にならなかっただけなのかもしれない。彼の、そして自分の弱さを思い、息が苦しくなる。親爺は間違いなく卑怯だが、僕もまた卑怯だ。犯そうとしたのは自分ではないにもかかわらず、何か自分の後ろ暗いところを見せつけられたようで暗澹とした気持ちになった。娘との間に腕組みして立っている僕を上目遣いに盗み見ながら、親爺はのろのろとその場を立ち去った。僕は時間をかけて娘が身繕いするのを待ち、後ろからついていけば不安を感じさせるだろうと思い、先に立って針屋まで歩いていくことにした。陵辱の現場から針屋は意外にも近いところにあって驚いた。親爺はきっと誰にも見咎められないところでは娘を襲うことすら出来ないのだろうと思った。結果としてやり遂せるにしろ阻まれるにしろ、それはあまり関係なく、誰かが自分を止めてくれる場所でなければ安心して悪さもできないのに違いない。僕は彼の弱さを思ってまた再び胸の塞ぐ思いがする。その的にされた娘はさらに悲しい。弱いものが自分よりもさらに弱いものを自分の快楽のために慰み者にする。そんなことはもうたくさんだ。お針子の家は、ここに来るまでのどの家よりも大きくて立派だった。それでも集落の中心や他の洞にはもっと大きな家もあるらしい。鍛冶屋もそうだが、何か特殊な生業を持つ家は中心から外れて奥まった場所に居を置くことがこの里での慣わしのようだった。挨拶をする以外は黙って針を届けて鍛冶屋の心尽くしの衣類を受け取り、また黙ったまま出された茶を啜った。こういう出会い方をするのでなければきっと気のいいおばさん、との印象でも受けたであろうお針子は何が起こったか承知している様子で、悲しそうに、でも僕に向かって微笑んでくれた。どうも娘とは血の繋がった親子ではなさそうだった。ありがとう。沈黙を破って突然に礼を言われ、僕はまごついてしまった。熱い茶がぬるくなってもまだ時間をかけてゆっくりと飲み、針屋を辞した。何か言いたかったが、何も言えなかった。僕は黙っていた。娘も僕がいる間ずっと無言だった。ありがとう。お針子はもう一度僕に礼を言った。僕は黙って彼女の目を見た。彼女は優しく僕の視線を受け止め、振り返って慈愛に満ちた目で娘を見た。僕は衣類の礼だけ言って、あとはまた黙って男の小屋に帰った。そもそも帰り道、話す相手もいなかったのだけれど。帰ってからは、炭を焼く窯を男と二人で築く仕事が待っていた。僕は努めてその作業に専念するようにした。あまり余計なことを独りで考えたくはなかった。穴を掘り伐っておいた木を頃よい長さに刻み、窯の底から隙間なく並

先頭 表紙

2003-07-17 パッキャラマド

ドとレとミとファとソとラとシの音が出ない。

って、全部やん。

クラリネットだって「やってらんねえや!」とか思っちゃったりするのかしらん?

とりあえず今日は仕事を平穏無事に済ませて帰ってきた。
でもなんか、パッキャラマド。

ああなんかやってらんねえや。

さて寝て起きてまた頑張んべや。

ドとレとミとファとソとラとシの音が出せるようになるのだ。

明日はしんどそうだなあ。

先頭 表紙

結構楽ちんだったなあ。 / 揚水@未ログイン他所から ( 2003-07-18 22:06 )

2003-07-16 流浪 17  針屋への道すがら

なしに諒解出来るような気がした。代掻きの済む時期に桃が咲いている。この里はまたそういうところでもあるのだろう。ここならば一年中桃が咲いていても不思議はない。後で知ったところによれば、この里は実際に一年中桃が咲き、そして実を結ぶのだという。気の早いところはもう田植えを済ませている。用水脇に生えている丈の高い草を折り取ってそれを振り回しながら歩いていく。道は狭い。人二人が擦れ違うに少し余裕があるくらい。向こうから一人の青年がやってくる。僕は草の茎を振り回すのを止めた。お互いに近付いてきて、僕と青年は会釈を交わした。この男は。他の誰を見てもそれがいつどこであった人間であるのか判らなかったが、彼が誰であるのかは判った。向こうでも僕が誰であるかに気付いたようだ。一瞬男の表情が硬くなった。それでも彼はすぐに思い直したかのように微笑んだ。僕も笑った。言葉は交わさなかった。彼には野良着がよく似合っていた。よく晴れている。通り過ぎて僕は一度振り返ったが、彼はこちらを振り返らずまっすぐ前を見て歩み去った。鍛冶屋に聞いてきた道順によれば、お針子の家に至るには用水の脇の小径から外れるらしい。鍛冶屋の小屋から里への道は全体に緩やかな下り坂になっていたけれど、その道からお針子の家に至るには小径からそれて少し上ることになるようだ。鍛冶屋は板葺きだが、里の家々のほとんどは萱葺きだった。小川は里の中心に、右側に離れていく。僕の歩く小径の右側には用水が流れさらに田が広がり、左側は林になっている。下生えの雑草が、日向では白や黄色の、日陰では青や薄紫の小さな花をつけている。脇道の入り口は林が切れて、その道筋が少しばかりひらけている。そちらにもそこかしこに桃が植えられていた。まず右側に二軒、次に左側に一軒。明るい日差しの下に三軒の家。道が曲がっていて見えないが、お針子の家はそのさらに奥ということだ。字が四軒家で屋号は針屋といったところか。僕は脇道に入って上の方を見遣った。下の三軒を越えてもまだしばらく目指す家は見えなかった。藪の中で何か気配がした。さして気にも留めないで通り過ぎると、今度ははっきり藪の植物が揺れる音がする。振り返った。何も音がしない。動物でも通ったか、気のせいか。僕はまた歩き始めようとする。違う、気のせいではない。人のうめくような声がしている。僕は荷を道端に置き、踵を返して藪に分け入った。驚いた。誰か怪我でもしているのではないかと思って声の方に進んでみると、男が若い娘に覆い被さっている。はじめ逢い引きの邪魔をしてしまったのではないかと心配したが、娘は口に布を詰められ涙を流している。急いで近寄って男を引き剥がした。突然の闖入者に男は抵抗したが、僕が数回殴られる間に一回殴り返すとすぐにおとなしくなった。僕にしてみれば決死の覚悟で割って入ってみたものの、よくよく見れば男は歳のいったおっさんだった。よれよれのおっさんがぺたんと座り込んでしまった。酒臭い。娘は大儀そうにゆるゆると身を起こし衣服の前を掻き合わせている。僕はなるべくそちらを見ないようにするため、じっと親爺を見つめた。親爺は目を逸らす。僕は彼に近づいた。あの娘は喋ることが出来ない、知恵が足りないんだ。そう言ってアル中の親爺は顔をあげ、生臭い息を吐いた。額は血に濡れている。押し倒されていた娘の頭があった位置の近くに両手に少し余る大きさの石が転がっていて、よく見れば血が付いている。桃花源、という風でもなさそうだな。娘は静かに涙を流している。泣きじゃくっていたのが収まってきた、そういう風にも

先頭 表紙

なかなか僕のツボにはまるお言葉で嬉しく楽しいです。岩手の風景とはなぜか非常に嬉しいです。今は海の底ですが、いつか浮上できますでしょうかねえ。 / 揚水 ( 2003-07-23 07:20 )
母の田舎の岩手の風景がフラッシュバックしたよ。 桃源郷のような地獄のような不思議な世界だ。 改行をしない文体の全体像がロゼッタストーンを想起させるわね。 思想の深い海の底にはまった気分だわ。 / さにゃえもん ( 2003-07-17 23:31 )

2003-07-15 使わないでいるとダメになる

昨日今日と連休。
草刈るために村の家に帰ったのに、長いこと使わずほったらかしにしていた草刈機はエンジンがかからなかった。
使う用事がないチェーンソーは調子よく回るのになあ。

井戸の水は少し茶色がかっているものの、豊富に出る。
寮でばかり寝ないでまめに帰ろう。

井戸も使わないと水が細くなるからね。

もともと去年空梅雨気味で水が涸れたことから寮暮らしを余儀なくされた。
帰れる希望が出てきたので気分がよい。

海月の部屋でご飯を食べて、とりあえず寮に帰る。

明後日か明々後日くらい、家で寝ようっと。
久し振りに家の風呂に入るのだ。先月くらいまでは風呂の水を溜めることが出来ないくらいに井戸は細くなっていたものだ。
水みちが帰ってきた、のかも。
嬉しい。

草刈りしたいなあ。

先頭 表紙

そうか、カビるんだ。蜘蛛の巣じゃないんだ、ふーん。って、何のハナシやねん、キミタチ(笑)。なんやしらん、ズレてんねんで。 / 揚水 ( 2003-07-19 03:37 )
長く入院していてようやく自宅に帰れた時のこと、さて使うかと思ったのですがミョーに痒くてね〜。婦人科いったすよ。猫旦が一言言いましたわ「使わないとカビるんだな」おーっほほほ / 闇猫 ( 2003-07-18 07:10 )
僕はエンジン式しか使ったことないです。ああ草刈りたい。 / 揚水 ( 2003-07-17 01:33 )
僕らは涸れない。押せば命の泉湧く。なんつって。 / 揚水 ( 2003-07-17 01:32 )
初めて電動の草刈機を使った時は爽快でしたね。でも、雑草を取るなら昼下がりがいいと聞かされて、やり直したんです。 / 夢樂堂 ( 2003-07-16 14:32 )
このタイトルに思わず引き寄せられた今日の私。。。そう、使わないとダメになるんだって。使って使って常に刺激してないと出が悪くなるのよね。ちゃんと使ってね♪ / kotarou ( 2003-07-16 13:07 )

2003-07-14 美しい日々

ひとり相撲。ひとりしずか。ひとり遊び。ひとり言。

ひとりごちる。

焚き火に誘われた火取虫はその火に灼かれて身を焦がす。
そして死ぬ。
燈蛾の死こそ哀れ。

ひとりごちる。

人は誰でも、ひとり。
誰かがそばにいても、ひとり。

焚き火に誘われた火取虫はその火に灼かれて身を焦がす。
そして死ぬ。
燈蛾の死こそ哀れ。

群れ成す燈蛾のようでいても、人はつまるところひとり。
寄り添う人がいても、ひとり。

ひとりぼっち。ひとり暮らし。ひとり立ち。ひとり旅。

否、寄り添うためにこそ、まずは、ひとりでいること。
寄り添うとしても寄り添わないとしても、まずはひとり。
人は一人で生まれ、一人で死ぬ。
それは何も悲しいことというのではなく。

焚き火に誘われ寄り添うように夜を舞う火取虫はその火に灼かれて身を焦がす。
そして死ぬ。生きて死ぬ。
燈蛾の死こそ哀れ。生こそ哀れ。

生まれてきたからには生きるという、ごく当たり前の、

あなたが生きている今日は、

些細でも、瑣末でも、もちろん比類なく美しくあっても当然、

他のなにものにも置き換えることはかなわない。

淡々とした日常。
たまに小さな、あるいは大きな事件が起こる、そういった日常。
嬉しいことばかりではない。かといって悲しいことばかりでもない。

自分も含めたあなたがたが生まれてきた奇跡を、
僕は一人考えてみる。

それはとても幸福なことで、幸せに甘やかされ狎らされた浅薄さを含むことだと、実は知っている。
他人の奇跡を踏みにじる人がいる。
踏みつけにされて苦しむ人がいる。
僕はそれを本当のところではきっと知らない。

それでも奇跡を、僕は考える。
答えは出ない。

かくあれかしと人々の美しい日々。

先頭 表紙

はじめまして、そそそさん。お礼を言われたりなんかすると、嬉しい。嬉しいけれど面映い。面映いけれど、嬉しいなあ、いやはや。美しい日々を、あなたに。 / 揚水 ( 2003-07-16 01:41 )
揚水さんはじめまして。今日はこの日記を読む為に私は休んだのかしら?と何か導かれた気になったり。深呼吸しました、ありがとうございます☆ / そそそ ( 2003-07-15 13:50 )

2003-07-14 転載 新世紀へようこそ 101(号外) これまでとこれから

 まず、「100 なぜアメリカは戦争をしたか」を発信した後、こんなに長い間が空いてしまったことをお詫びします。

 本の刊行予定が続いた上、身内の者を見取るということが重なって多忙をきわめ、どうしても執筆の時間がとれませんでした。

 次に、これまで100回にわたって「新世紀へようこそ」をお読みいただいたことにお礼を申し上げます。

 読者に促され、導かれて、ここまで来ることができました。2001年の9月24日に「001 しかし」を発信した時には、こんなに息の長い仕事になるとは思ってもみませんでした。

 100回を終えて、その内容を『新世紀へようこそ』と『世界のために涙せよ』として刊行し、一つの区切りがつきました。

 今後どうしようかといろいろ考えた末、しばらくの休憩の後、新しいタイトルと方針のもとに書き続けるということにしました。

 ぼくはもともと小説を書くのが本業で、国際政治を論じるなど不得手な分野です。状況に押されて始めてしまったものを、その時々の課題を必死で勉強しながらなんとか続けたというのが本音です。

 返信をいただいてまた考え、それに基づいて次回を書きながら、読み手あっての書き手であるということを痛感する日々でした。それがわかるのがメール・マガジンの利点でした。
 
 9.11の直後ほど緊迫してはいないものの、今も論ずべき課題はたくさんあります。テロリズムを生み出す国際的な政治環境は変わっていませんし、チェチェンやアチェに見るとおり国家によるテロはいよいよひどくなっています。

 アフガニスタンは軍閥割拠の混乱状態にあり、イラクの「復興」の先行きはまるで見えない。大量破壊兵器については、ぼくたち開戦反対派の言ったとおり、存在しなかったことがほぼ明かになりました。最初から大義なき戦争であった。「だから言ったじゃないか」と言いたいところです。

 にもかかわらず日本はいよいよ右へ傾いて、「戦争ができる国」になりつつあります。与党とメディアが誘導するだけでなく、国民もまたそちらに目を向けはじめて
います。

 事態はいよいよ悪くなっているわけで、今、考えるべきことは多い。

 それを承知の上で、2か月ほど沈思黙考の期間を置くことにしました。

 9月中には新しいタイトルの新しいシリーズの1回目を発信するつもりでいます。

 「新世紀へようこそ」は9.11という具体的な事実から始まって、ぜんたいとしては各論から総論へという流れをたどりました。

 この先はもっと広い視野を用意して、世界と日本、現在と未来を考えていきたいと思っています。

 基本姿勢は、平和の原理を探すこと、になるでしょう。

        (池澤夏樹 2003−07−14)


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2003-07-13 ただそこにいるだけで

昨夜は海月にお呼ばれして野菜尽くしのお食事を食べさせてもらった。
逢えないと思っていたのに逢うことが出来た。
南瓜、トマトのサラダ、茄子の甘辛赤味噌和え、隠元の胡麻和え、ついでに帆立。

アワビなんかよりよっぽど豪華。
ごちそうさまでした。

今晩は例によって外食だったけれど、食べていると海月から電話。
「今どこに居るの?」

寮よりも海月の家に近いところで食べていたので顔を見にだけ行った。

海月は勉強していた。

彼女が鉛筆を走らせる音を聞きながら、たまに話し掛け、話し掛けられしていたけれど、彼女はそのうち勉強することに熱中するようになった。

僕は半分寝ながらまた彼女にたまに話し掛けられ、
「うん、うん」と半ば生返事。

勉強を終えた彼女が「寝る」と言ったので布団を敷いて帰ってきた。

ただ僕がそこにいるだけで。
あなたがそこにいてくれるだけで。

先頭 表紙

いえ、「昨夜」は「だけ」だったので…。ただそこにいるだけ。それだけで、嬉しい、しあわせ。二人とも本当に「眠」かったから。「寝」てはいません。残念ね(笑)。 / 揚水 ( 2003-07-14 13:35 )
あり???? 当然「寝て」きたよね?こらこら・・・ / 闇猫 ( 2003-07-14 06:08 )

2003-07-11 もの思う雨の夜の空

軽いストレスで首が、肩が痛い。

痛みをもって、ああ、生きているな、と思うこともある。
今日は特に何事もなかった、そんな日。

何も起こらなかった、あまり感じるところがなかったという日でも一日は一日。
時間は過ぎていく。
置き去りにされたように感じても、僕の上でも時間は飛び去っていく。
たとえどんな日であったとしても。
月日は経っていく。

僕はまだ生きている。

彼女はもう寝ていることだろう。閉め切った部屋の壁越しにそちらを仰ぐ。
明日もまた、まだ逢えない。
それでも。

ああ、生きているな、と思う。

先頭 表紙

jinkoさん、それもアリ。 / 揚水 ( 2003-07-14 13:30 )
僕の痛みはそんなに大きなものではありはしませんが…。何事もない中でほんの少しの異物感みたいなものを感じて、その異物感によって普段知覚されない自身の身体感覚を再認識させられる、のかも。「静かな海」と呼んでもらえるのは、最高位に嬉しいです。 / 揚水 ( 2003-07-14 13:30 )
そこにある、ここにいる、ということですね。 / 揚水 ( 2003-07-14 13:26 )
それは素敵なスタンス、です。 / 揚水 ( 2003-07-14 13:25 )
うん 腹筋をした後 お腹に軽い痛み。 締まってきてカナ?と勘違いします。 / jinko ( 2003-07-13 23:23 )
昔、ちょっと大変な手術をした時に同じ事感じだよ。 痛みで命を感じる。  好きな人と同じ空の下って感じる時の郷愁ってすき。 ここはいつでも静かな海みたいな世界があるなあ。 / さにゃえもん ( 2003-07-13 22:58 )
存在を感じる。これが幸せなときがある。 / 夢樂堂 ( 2003-07-13 08:58 )
すごくショックなことを言われた。でも、ショックだけど、落ち込んでない私。なんでだろう?私は私、だからかも。 / ど〜にゃ ( 2003-07-12 01:14 )

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