僕のハンドルは「ようすい」ではなく「あげみ」と読みます。表記はaghemiとしています。
妻の海月は「くらげ」と読みます。 yesterday today 自分が何者であるか今よりももっとわからず身悶えしていた学生の頃、何をしたらいいのかについて友達と話しに話した。 結論は出なかった。どころか何をしてもいいんだということにすらなった。 ただし、本当に何をしてもいいというのではなかった。 一つだけ基準がある。 それは俺の、俺たちの、ひいてはほかの人たちの人生を薔薇色にするか、その一点。 時々それを思い出しては行動する。 それが僕たちの人生薔薇色計画。 よそいき仕事日記 ◆ |
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2003-06-09 お伽噺じゃあ、ないんじゃよ |
2003-06-09 お伽噺じゃあ、ないんじゃよ | |
齢90歳になんなんとするあるご老婆のお言葉、らしい。 |
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風歌さん、僕は高校生の頃祖母が巻き込まれた赤狩りの話を聞きました。大人になった今聞けるものならうかがって欲しいと思います。 / 揚水 ( 2003-06-12 09:59 ) そりゃうらやましいや、kotarouさん。 / 揚水 ( 2003-06-12 09:58 ) 夢樂堂さん、経験値は知恵ですね。 / 揚水 ( 2003-06-12 09:57 ) 涙は君のため僕のため、誰か知らない人のため。 / 揚水 ( 2003-06-12 08:03 ) そうだそうだ!涙は嬉しい時と感動した時のためにとっておきたいね。(斉藤由貴じゃないぜ) / もげんぴ ( 2003-06-12 00:55 ) 僕はきっとなんでもないことを聞く時にそういう反応をしてしまうと思いました。もちろん今とは違ったことにはそれこそ「お伽噺」の反応をしてしまいがちになることも否めない事実でしょうが。以上お三方にまとめてのお答えですみません。 / 揚水 ( 2003-06-10 07:31 ) 奇抜なこともありふれたこともひっくるめて彼女の生きてきた現実。ですから「お伽噺じゃないんじゃよ」、なんでしょう。百年弱昔といえば、各家庭にろくに電気が通っていた訳でもなかったでしょう。車も少なかった。今からすれば無いにも等しい。そうした中、それを特殊なこととせずに生きた生きてきた人のお話。嬉しくて切なくて、なんと言っていいのか、僕は聞けばきっとじわりとしてしまいます。 / 揚水 ( 2003-06-10 07:29 ) この方がおっしゃるには、昔語りをする時、リアルにあった現実として受け止めてくれるお孫さんと、自分の知らない、もう不思議な世界、遠い夢の国のお話でも聞くかのようなお孫さんとに分かれるとのことです。彼女にとってありふれた、まさにリアルな現実であった過去の経験。それをそのまま受け止めてもらえることが嬉しいのだと思います。 / 揚水 ( 2003-06-10 07:28 ) 幼い頃は母から戦争の話しをよく聞いた、大人になったら替えって聞けなくなった。よそのお年寄りからは聞き出せるのに、なぜか身内には聞けない・・・ / 風歌 ( 2003-06-09 14:09 ) この間ホームのおばぁちゃんから昔「産婆さん」だった時の実録話聞いたけど、面白かったわぁ。半分ボケ話が混ざっていたとしても、ハラハラドキドキの冒険モノ聞いてるみたいでね。 / kotarou ( 2003-06-09 09:43 ) お年寄りのお話を聴くのが大好きです。味も知恵もありますからね。 / 夢樂堂@お見舞いありがとう ( 2003-06-09 08:49 ) |
2003-06-04 人は面と向かって話してみるまでは判らない | |
寮にいて、僕はほかの人間に会うのが正直面倒くさかったのです。 |
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いや、あの、書店に「フランス書院文庫」が並んでいる様が可笑しいかもしれないのです。えーと。百聞は一見に如かず、いっぺん見てきてちょーすか? / 揚水 ( 2003-06-09 04:59 ) いいっすね。あまり読んだ経験はないですが、そちらの方がぐっときそうです。 / 揚水 ( 2003-06-09 04:57 ) ええー、悶絶するほどおもろいの、それって??? / あみすけ ( 2003-06-08 00:33 ) 白水社ではダメか? / 夢樂堂@お見舞いありがとう ( 2003-06-07 20:24 ) ええ!? そうなの? でもフランス書院文庫ってのはまったく別物です、はい。 / 揚水 ( 2003-06-07 08:18 ) そういえばあなたの文ってちょっとフランスっぽいね。サガンとか。 / もげんぴ ( 2003-06-06 22:01 ) お久しぶりです。本屋さんをのぞいてみてください。抱腹絶倒間違いなし。 / 揚水 ( 2003-06-05 20:55 ) はい、要りません(割ときっぱり)。 / 揚水 ( 2003-06-05 20:55 ) おひさです!フランス書院文庫?見たことも聞いたこともありません、私は^^;。 / あみすけ ( 2003-06-04 22:39 ) むははは。本なんかいらないわよねぇ〜 / kotarou ( 2003-06-04 19:02 ) |
2003-06-02 おいおいもう6月じゃんかよ | |
スキャナ不調。 |
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ほお! / 揚水 ( 2003-06-10 07:15 ) いえ、仔細あってHNが変わりました。kotaさんとつっこみまくっていた化け猫です。 / 風歌@久しぶりにつっこんだの ( 2003-06-09 07:21 ) ねえ(笑)。 / 揚水 ( 2003-06-05 20:54 ) ああ、そうか、そういう見方もできるんだと妙に納得。気付かなかった。迂闊。 / 揚水@おはつでしたでしょうか? ( 2003-06-05 20:53 ) パソの根本的なお手入れ、ずっと先延ばしにしてていい加減やろうと思った矢先にここ読んで、再び挫折。そうなのよ、時間と手間と労力・・・で、スッキリしないんじゃねぇ・・・・ / 働くおばさん@kotarou? ( 2003-06-04 10:12 ) もう1年が半分・・などというベタなことは言いません・・・・怒涛の後半です。 / 風歌 ( 2003-06-02 07:54 ) |
2003-05-31 べたべた | |
くっついて離れてまたくっついて、眠る。 |
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でがしょ? / 揚水 ( 2003-06-05 20:50 ) それが何よりでげす。こっちも一緒。 / 夢樂堂 ( 2003-06-01 12:46 ) |
2003-05-29 そりゃ無茶だろう | |
わったっしゃっお〜んがっくっかっ、やっまっのっこっりっすー♪ |
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あらためまして下の記事にまとめレス。みなさんおめでとう。 / 揚水 ( 2003-06-05 20:52 ) 訂正済み。もり→やま。 / 揚水 ( 2003-05-30 09:06 ) 伴奏つけてあげよっかぁ!山の子リス〜♪じゃなかったっけな? / みるみる@Atelier ( 2003-05-30 07:18 ) ベースもギターもチェロもドラムも、ほんのさわりだけ(笑)。 / 揚水 ( 2003-05-30 00:16 ) 弾けません(笑)。音が出せるくらいです。チューニングに30分は掛かる(笑)。 その三味線なら夢樂堂さん、僕も弾けますよ(笑)。 / 揚水 ( 2003-05-30 00:13 ) ゴーシュ、ということは弾けない、ということですねえ(笑)。当たりです。 / 揚水@ちゃんと読んでないや ( 2003-05-30 00:10 ) 酔っぱらいながら一緒にセッションしたいものです。横レスすいません 夢樂堂さん、三味線!すごいですね!! / りょう ( 2003-05-29 23:06 ) チェロが弾けるんですか。夢樂堂は三味線しか弾けない。楽器ではなく・・・・ / 夢樂堂 ( 2003-05-29 15:06 ) うん、上手、上手。(^v^) セロ弾きのゴーシュみたい♪ / ぷらら(^▽^) ( 2003-05-29 09:30 ) |
2003-05-25 生まれてきてくれて、嬉しい | |
いつか機会があって君に聞かせる日が来るかもしれない。 |
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↓酔っ払ってるかも、言葉が変だ(苦笑) 誕生日もだけど、毎日がブランニューです^^ / りょう@親ばか再び ( 2003-05-29 23:09 ) 生まれた日、そして誕生日、毎年が感動です。ものすごいプレゼントだなあと、毎年思います・・・^^ / りょう@親ばか ( 2003-05-29 23:07 ) とりあえずまとめレス失礼。この言葉は、皆さんにも言うことが出来ます。 / 揚水 ( 2003-05-29 02:40 ) おめでとう。 / jinko ( 2003-05-28 10:22 ) 私ももうすぐ誕生日です。私にもこうやって思ってくれる人がいるだろうか・・・ってちょっと考えてしまいました(笑) / 綺羅 ( 2003-05-28 04:08 ) おめでとう!生命の誕生は素晴らしきもの。そしてその成長も。 / みるみる@Atelier ( 2003-05-27 11:52 ) 全てに感謝!! / もげんぴのハニー ( 2003-05-27 09:02 ) 誕生、それは無尽蔵の可能性を秘めているのと同じ意味を持ちます。ブラボー、中島みゆき風にいうなら『生まれてきて ウェルカム』切れの / 夢樂堂 ( 2003-05-26 17:37 ) ありがとう!慧地君ばんざーい!揚水ばんざーい!海月ばんざーい!ハニーばんざーい!私ばんざーい! / もげんぴ ( 2003-05-26 09:52 ) 揚水さまにも、おめでとうを。 / フローラ ( 2003-05-26 05:45 ) 一歳のお誕生日に戻って、その言葉を聞きたくなりました。(^v^) / ぷらら(^▽^) ( 2003-05-25 23:29 ) |
2003-05-22 流浪 16 いつか来た道、やがて行く道 | |
る物はぼろぼろだ、里の女に頼んで二揃い誂えておいたから、それを自分で取ってこい。僕は今日は勝手に炭を焼く気になっていたのでなんだか調子が狂ったように感じた。それに僕はここに来てから男以外の人間に会うのは初めてだ。食料を持ってくる農婦にも鉄屋にも顔を合わせたことがない。僕の心の動きを読んだか、男は言った。心配するな、里の人間は知らないうちに知らない奴がいるようになることには慣れっこだ。もとは自分もそうやってやってきた人間ばかりだからな。仕事に熱中するあまり、初めのうち感じていていつのまにか忘れそうになっていた疑問を、僕は男に問うてみた。いったい、どういうところなんですか? その、里、というのは。どうもこうもない、そういうところさ。男の答えは簡潔だったが、僕にはどうも要領を得ない。重ねて僕は同じ事を問うた。男は答えにくそうに、それでも判りやすいよう言葉を選んで話してくれた。説明するのは難しいんだ。どうしてそうなのかは判らない、いつからあるのかも判らない、ここの里は、どこにも行きようのない人間がやってきて暮らしている。どうしてやってくるのか、またやってこられるのかも判らない。行き場のない人間すべてがここに来るというのでもなさそうだ。新しい人間がやってくるのはたまのことだからな。僕のように、ですか? そう、だな。人間そのものが生まれ変わる訳じゃないさ、それでも今までの役割から降りて、ここで新しい役割を与えられる。与えられる? 与えられる、というのも違う、新しい役割を得る機会を与えられるのかな。だとすれば僕に与えられる役割とはなんなのだろう。男の言葉を聞きながら僕は考える。一人で暮らす者もいれば所帯を持つ者もいる。ここで生まれた人はいないんですか? もちろんいる。そんなに次々と、いくらたまにではあっても人がやってきて、里に人が溢れるようなことはないんですか? ああ、それはないな。何故? やってきた人間ここで生まれた人間の区別なく、いなくなるんだ。いなくなるんですか。そう、やってきたときと同じように、すうっと、今度はいなくなる。残された人は悲しくないんでしょうか。淋しいとは思うだろうな、けれど悲しむことじゃない。ここに来て自分の役割を得たのと同じように、またどこかで新しい役割を得ているんだろうからな。まあ、上手く説明出来たかどうか判らないが、ここはそういうところだ。僕は納得したようなしないような、なんともあやふやな心持ちだった。とにかく行ってこい、ついでにこれも届けてくれ。男は油紙に包んだ縫い針を僕に手渡した。僕は男に教えられた道順どおり、小川に沿って歩き出した。男の小屋は林に囲まれているが、しばらく歩くと視界がひらけてきた。小川から分かれて用水が切ってある。代掻きの済んだ田圃には水が張られている。それよりも。林から出た僕の視界の一番先に、そして視界の一番多くを占めたのは、桃。一面咲き乱れる見事な桃だった。田圃より高いところにある畑、草葺きの家々の庭、道筋、山の斜面、至るところに桃が植えられている。来たはずもない場所なのになぜか懐かしい。道を行く僕を見て、田や畑で作業する人々が頭を下げて挨拶してくれる。自然に僕も会釈を返した。その彼らの顔にも説明できない懐かしさを感じた。かつてどこかで会った、それも親しくしていた顔があるのかもしれない。けれど僕には誰がかつて会った人間なのか、それが誰なのか、どこで会った人間なのか判らない。里とは、こうしたところなのだろう。男に説明を受けても判らなかったことが、この場所にいればなんとは |
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今回は長いっすよ、多分。文字制限は確かにそうなんですけど、それでもいいところで区切ってるつもりでいるんですよぉ。 / 揚水 ( 2003-05-29 02:39 ) ぬお 久しぶりの長編ね。読んでます。いいとこで終わるんじゃなくて・・・突然終わるの・・(笑) 文字制限ね? / りょう ( 2003-05-24 01:26 ) |
2003-05-22 流浪 15 桃の里 | |
か、里の下からやってくるか、それだけのことだ。上からか下からか、何か違いでもあるんですか? なに、たいした違いもない。まあどっちにしろ上にも下にもいられないような者がやってくるところさ。その言葉を聞いて考えた。あの兵士たちのうちどれだけかは里に辿り着いたのだろうか? 男もまたどこかにいられなくなってここにやってきたのだろうか。僕はどこにいられなくなってここにいるのだろう? 男は、鍛冶屋だった。鋤や鍬や鎌、包丁などを打っている。小さなところでは釘や鎹、釣針やヤスも打つ。鍋釜の鋳掛もやるようだ。僕はまだ里がどんなところなのかさえ知らないが、里の暮らしに必要な金物の仕事の類一切は男がやっているということになる。打たないのは刀くらいのものだ。僕は男の仕事を手伝いながら居候させてもらうようなかたちになった。水車小屋は男の仕事場だった。小屋中に革のベルトが張り巡らされ、水車の回転を動力に、鎚や鞴や砥石が動くようになっていた。僕がやってきた時は動力の源のベルトがはずされていて静かだった。流れてくる鉄屋から受け取るのだという玉鋼や砂鉄、打ち直すために里から持ち込まれた農具や刃物、炭、そういったものを運ぶ単純な作業の次に覚えさせられたのが、どのベルトをどこのどの軸に掛ければどこの動力になるかという組み合わせだった。まわっている軸によく張られた革のベルトを掛ける際に指を巻き込まれないように気を付けさえすれば、力は必要だったが難しい仕事ではなかった。しばらく小屋の仕事を続けるうちに僕の何かを認めてくれたのか、男が他所からやってきた者と何らかの交渉をもっている間、それは鉄屋でもあれば野菜や米を持ってきてくれた近在の農婦であったりもしたが、男が客の訪問を受けている間、荒打ちをやらせてくれるようになった。彼が小屋の外で話をしている間も鎚音が響くのを聞いて、訪れた人間は彼以外にもこの小屋にいる者があることを自然に知ったようだった。俺の古着で悪いがな。彼はまた、そう言いながら数少ない衣類の中から作業着兼普段着の、しっかりした生地の木綿の股引と筒袖の単、腹掛けを分け与えてくれた。手で鎚を振るって刃物を鍛える際は地面の上で中腰で行うが、荒打ちは地面に掘った穴に腰掛けて行う。穴は二段に掘られていて、浅いところに腰掛け、深いところは足を伸ばせるようになっている。伸ばした足の間には金床があり、その先には火床がある。金床の上には上下に動く鎚が設えてある。水車の動力によって断続して鎚が刃物を打つ仕組みになっている。右手には楫棒があり、少しずつ段差のついた円錐状の軸に掛けられたベルトが動かせるようになっている。軸の細い方にベルトを掛ければ回転が速く、太いほうに掛ければ回転が遅くなる。一番太い方の外側には空転する、鎚とは連結していない別の軸があり、そこにベルトを掛けておけば鎚は動かない。左手には手押しの鞴がある。水車の動力による鞴は炭の火を熾しておくだけの空気しか送っていない。鋼や鉄を灼くために火床の炭火をさらに強く熾す時、手押しの鞴を押す。あちこちの軸が軋む音、ベルトが空を切ってしなる音、さまざまな速度に自分で調節した鎚の響く音、暗い小屋の中に入ると、そうした音の中で僕は鉄を打つ仕事に没頭した。炭火ばかりが、赫い。小屋の外ではさまざまなものを運んだ。男の一日の仕事は陽が昇れば始まり、陽が沈めば終わった。だから外ではたとえ雨天でもすべてのものが明るかった。僕はどちらの仕事も好んだ。里に行ってこい。ある朝男が言った。今日は急ぎで片付ける仕事もない。お前の着て |
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2003-05-22 流浪 14 水車小屋 | |
猿ならよかったのかもしれないが、森のけもののうちの誰かに撃たれる危険を冒させるくらいなら、偶然ふらふらしていた同じ人間にやらせる方がいいに決まっている。なに利用されたのならされたで構わないさ。僕は最後に王に会うことが出来て満足した。跳んだ甲斐はあった。僕の周りで宙に浮いている男たちの顔も、何かから開放されたように満足げに見えた。振り仰げば、森の王はいたずらを見つかった子供のような目で僕を見ている。多分王は笑っている。さようなら。僕たちがいなくなれば、彼らはまた束の間かもしれないが、平和な当たり前の暮らしに戻るのだろう。喰うものと喰われるものが仲良く集まったりはしない当たり前の暮らしに。僕は心の中で王に、森のけものたちに別れを告げた。雨が落ちてきた。川は、今日も澄んだ水ながら、黝い。僕は流れに飲み込まれた。おい、死んでるのか? 生きてるんなら返事しろ。僕は肩口を軽く蹴られて目を覚ました。なんだ、生きてるのか。僕は小川の淵に突っ伏していたが、川底から低く斜めに突き立った枯木に両腕をあずけるかたちでいたので溺死せずに済んでいたらしい。はい。僕は身を起こしながら返事をした。こっちは、ああ、ダメだな。少し離れたところから、同じ声が言った。僕と同じように川に突っ伏した、そして僕と違って水に顔をつけた男の肩を僕にしたように足の甲で引っ掛けてすくい上げながら、誰に話すともなく男は言った。おい、手伝え。今度ははっきり僕に向けた言葉だ。まだぼんやりとした頭のまま僕は男を手伝って川から男の死体を引き上げ、穴を掘って埋めた。僕と一緒に流されてきた兵士のうちの一人に違いない。よく晴れている。晴れてはいるが、そこいらに雨の名残りがある。水溜りやぬかるみがあるし、草木の葉はまだたっぷり濡れている。しっかり降って、それから晴れたらしい。水滴が陽射しに輝いている。他の兵士はどこに行ったのだろう? 穴を掘る際、僕は自分のシャベルを使おうと背中を探ってそこにシャベルがないことに初めて気付いた。山菜と、干し肉と腸詰の皮袋は無事だった。固く口を縛っておいたので中身はほとんど濡れていない。濡れて動きにくいので上半身裸になって作業した。男が用意した鋤で穴を掘った。じき午だ。男はまた誰に話すともない口調でそう言った。男は僕を自分の小屋に案内して飯を食わせてくれた。男の小屋は二棟あって、そのうち大きな方は外に水車が付いている。通りすがりに中をちらりと覗いてみたが、中は暗く外からはほとんど様子がわからない。小さな小屋は明るかった。粗末だがよく片付いていて清潔だった。その明るい小屋の中で昼飯をよばれた。玄米と黍の飯に焼いた川魚、蕪の汁物だけの質素な飯だった。僕は皮袋を男に差し出した。男は黙ってそれを受け取った。山菜を自在鉤にかかった汁物の鍋の中に放り込んで、干し肉は炉の火で軽く炙った。余った干し肉と腸詰は、風通しをよくした水屋に仕舞っていた。食事の間、男は終始無言だった。僕も黙って飯を食った。居心地の悪いことはなかった。食べ終わって男が口を開いた。お前は上から落ちてきたクチか、それとも下から上がってきたクチか? 僕は質問の意味が判らず、川に流されてきたはずなので、多分上から、と答えた。あなたは? 俺か? ふ…ん、俺はまあ、下からさ。上からとか下からとか、そんなに人がやってくるんですか? たまにな。その割りに、ここは静かだ。男と僕以外に人のいる気配もしない。僕の疑問を見透かすように男が言った、ここは里の一番はずれだ。この下には小さな集落がある。ここの上からやってくる |
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