あの人から電話がかかってきた。
朝の7時半。
小学生のママの一番忙しい時間なのに。
混んでる電車が嫌いなあの人は、いつも早めに家を出て、オフィスの近くの、お気に入りのお店で朝のコーヒーを飲んでから仕事を始めていた。
きっと、それは今も変わらない習慣なのだろう。
私のことが心配だという。
電話じゃ何だからアドレスを教えてくれという。
アドレスを伝えたら。
一度会って話そう。と書いてきた。
あの人の中では私はまだ、ほっとけない可愛い後輩なのかなって思った。
あれから20年以上も経っているのに。
あの人のことが好きだった。
あの人もそれを知ってて、私のことをよく構ってくれた。
あの頃はそれでも良かったよね。
あの人には家庭があったけれど、私はそれを壊そうとはしなかった。
あくまでも「憧れの先輩」の域を超えなかった。
そう。最後の恋だった。
でも、今、私たちが会う必要なんてあるんだろうか?
私はあの頃とは違うんだよ。
全然華奢じゃなくなってるし。
性格だって、ふてぶてしいオバハンになっている。
会ってもお互い幻滅するだけなんじゃないかな。
でも、20年ぶりに声を聞いてしまった今。
いろんな理由で、迷って、迷って、まだメールの返事を出せずにいる。
ツレが焼餅焼いて化けて出てこないかなとかね。
取り合えず、久しぶりに美容院にいってみたけど♪♪♪
※12月の蝶。 |