2001-04-28 美しい人
2001-03-15 はじめまして……。
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　夕方から新宿で飲む予定だったので、少し早めに家を出て、南口のアフタヌーン・ティーに寄った。そこで私は、最近の静かなマイ・ブーム（死亡語）、俳優エド・ハリスばりの欧米美男子を見かけてしまったのである。
　彼は、後ろ手にポテトチップスの入った袋を下げて、何を見るでもなしに小綺麗な雑貨の並ぶ棚の間を歩いていた。ステンレス製の油差し、ビー玉を沈めたゼリーキャンドル、……たまに気を惹かれるものがあると、そっと手に取って眺め、そしてまた、たっぷりとバスタブに張った湯の中に起こる静かな対流のように、ゆっくりと、ゆっくりと、歩いた。
　きっと妻か娘の買い物が終わるまで待っているところなのだろう。歳の頃は50代後半だろうか。髪は半分以上白く、禿げていたので少し老けて見えたが、きっと現役の軍人に違いない。そう思えるほど背筋はまっすぐに伸ばされていた。まるで背骨に鉄筋でも入っているように。蜘蛛のようにこっそりと後をつける私が見る限り、それは一度として少しも曲げられることがなかった。強靭な背筋力。
　ふと、彼の手にしている袋の中のものと同じポテトチップスを見つけた。商品名ケルトチップス、輸入元は合衆国。合成調味料等の無添加が売りの品物のようだ。私は値札も見ず、躊躇うことなくそれをレジに持って行った。

　値段。予想を遥かに上回る420円。（ちょっと焦る）

　ようやくレジを済ませてみると、すでにエド・ハリス氏、見当らない。おや帰ってしまったかと思う間もなく、すぐそこに奥さんらしき女性と一緒にやってきた。やっぱりね。背が小さくてふっくらとした50をいくつか過ぎたくらいの夫人であった。それにしても２人の周りにはなんと品のある空気の流れていたことか。

　時計を見ると丁度待ち合わせ時刻の10分前。自分の姿勢をそれとなく意識しながら東口の交番へと向かった。

　後で食べたポテトチップスは美味かった。（高いだけのことはある）

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