日曜日。
アイの運動会だった。
俊足でならしたアイだけれど、練習ではどうしても1位になれなかったらしい。
靴がいけなかったんだと思う。
特売で1000円程度で買った靴を履かせていたからサイズもぴったりあってなかったし。
そんなわけで。
1週間前に母と子供たちと上野動物園に出かけた帰り、アメ横で。
「運動会で一等賞になれるように良い靴を買ってあげたいの。」と私が言ったら。
「靴なら買ってあげる。おじいちゃまが、どうしてかしら、死ぬ間際まで『アイに靴を買ってやりたい。』って言ってから。」と母。
そういえば、去年。一緒に行った軽井沢のアウトレットで、「来年はアイの靴を俺が買ってやる。」って父が言ってたっけ。その意も酌んで、5000円の高級ブランドの靴が3000円で売ってたので、買ってもらうことにした。
いろんな人のいろんな思いの入った運動靴。
ちょっと重いかなと感じて、プレッシャーにならないように。
前の日まで。
「一生懸命、前を向いて走ったら、何番でもいいのよ。」。
そう言い続けた。
運動会、当日。
アイは。
後ろを振り返りながらも、ぶっちぎりの一等賞でテープを切った。
天国のおじいちゃん、見てたかな。
去年。「おじいちゃんもいつも一等賞だった。さすがおじいちゃんの孫だ。来年は絶対、見に行くから。」って約束したものね。
いつも、期待に答える娘じゃなくてもいいけど。
アイはここぞという時にはきっちり決めてくれる。本当に親孝行。
それより、何より。
娘の一等賞は、親として純粋に嬉しかった。 |