おばあちゃんに会いに行ってきた。
病室に入ると、入り口近くに、関西から駆けつけていた、末っ子の叔父夫婦が所在無げに佇んでいた。
多分、ずっと病室に詰めているであろう下の叔母が「おばあちゃん。雅(みやび)ちゃんが来たわよ。起きて。」とおばあちゃんの頬を叩いた。叔母はその場を離れない。幼い頃、母親に構ってもらえなかった分、叔母は母親を慕い続けている。一番最初に名前を忘れられても、ホームに毎日のように通い続けたのはその叔母だ。
だから祖母の顔の向いてる側は伯母の特等席。
私はベッドの反対側にまわってその手を撫でた。
うっすらとおばあちゃんは目をあけて、私が触れたその手を15センチくらい持ち上げた。
なんだ。おばあちゃん。わかってるんじゃん。
もう生きてるおばあちゃんの顔は見られないと思ってたよ。
続いて上の叔母夫婦がやってきた。
おばあちゃんの産んだ子で生き残っているのは父を入れて4人。男、女、女、男。
こんな休日に、長男夫婦以外全員が揃うなんて凄いじゃない。
おばあちゃんが救急車で運ばれたのは先週の月曜日だった。
呼吸が弱くなってすぐに集中治療室に入れられた。
「危篤。」
それから1週間後の日曜日。
おばあちゃんは普通病棟に移った。
父がお医者様に「ありがとうございます。素晴らしい治療をしていただいたおかげでよみがえりました。」と頭を下げたら「いえいえ、これはご本人の力ですよ。」とお医者様は答えた。
さすがおばあちゃん。しぶとい。私だったらきっと諦めちゃったと思うよ。
だいたい97まで生きていられる自信なんてそもそもないし。
いつも毅然としていたひとだから、意識がなくて、生かされてるだけの姿を見るのはたまらないと思ってた。
今まで会いにいかなかった理由はそれだけではないけど。
今、また元気になってもいつかは別れる日がくる。
だって、トシだもんね。仕方がない。
でも、とりあえず今日は、おばあちゃんと触れ合えてよかった。
※これは私のお誕生日にムスメが買ってくれたお花。 |