やっと新しい仕事が始まった。
緊張、緊張、緊張・・・
というのに
職場はブライダルフェアの準備に追われていた。
結婚を控えているカップルを迎え相談にのるためのイベントだが
花屋としてはすべてのパーティー会場や受付、
打ち合わせスペース、レストランの装飾をするのはもちろん
装花やブーケを売り込むための見本をいくつも展示しなくてはならない。
通常のものよりも豪華かつ個性的で手の込んだものを作ることになる。
もちろんお客さまに見ていただくことがイチバンの目的であるのだけれど
個人的な技術やアイデアを試す場でもあり
それがフラワーコーディネーターとしての評価にも繋がってくるから
みんな必死に製作をしているわけだ。
そんな場に私が入って
どこに何があるのかも
人の名前さえも覚えていないのに
突然に製作の手伝いをしたり
夜食の買出しに行ったりと
息を抜く暇もないぐらいの一日を過ごした。
緊張と慣れない立ち仕事で体は悲鳴を上げているはずなのに
それを感じることもできないぐらいだった。
次の日、やっと時間ができて
ホテルの中を見学したときに
昨日作っていたお花がお客さまの前に置かれているのを初めて見た。
様々な花を組み合わせて一つの形を作り出す。
一生に一度の結婚式では新郎新婦が主役であることは間違いないが
花はそれを良くも悪くも演出できる大きな脇役のひとつだと思う。
初日から終電間近まで働いたけれど
充実感はいっぱいの一日だった。
* * * * * *
写真も撮る時間がなくて
友達がつくったブーケを。 |