席が4つあるというので
競馬なんてほとんどやったことがないけれど
お言葉に甘えて私も参加させてもらうことにした。
結局来れたのは後輩の男の子と私とそしてあの彼。
昨日とは違う青い空。
澄んだ空気が気持ちよくて
席に座ると3人でワインを飲み始めた。
アルゼンチンなんとかというレースがあったので
ワインの試飲会と販売をやっていたのだ。
お昼過ぎからゆっくりと味わった。
途中、気が大きくなって大金を放り込みそうになったけど
それはちょっとガマンして
ちょっとずつ本当に遊びの程度でレースを楽しんだ。
後輩は一勝もできずにぶつぶつ言っていたけれど。
こうしていると私と彼は会社の仲間同士。
こうしていればね。
二人になるとすぐに手を繋いで
恋人同士のように車に乗り込む。
信号待ちのキスもそれだけは私だけのものと思えた。
丘の上から見る景色はすっと伸びていたし
このままどこかへ行けそうな気がした。
そんな時間はすぐに過ぎ去ってしまうのに。
別れ際、「ありがとう、また明日ね」と言うと
ギュッと彼の胸に顔を埋めた。
鼓動を感じて少し安心するとそのまま車を降りた。
それからは後ろを振り返らずにまっすぐ歩いた。
何事もなかったかのように
遠い空を眺めて少し冷えた空気を吸う。
家に帰ると何日ぶりかのタロウからの電話。
普通に、普通に話をする。
心の中で謝りながら。
ワタシノキモチハドコニイルノ?
* * * * * *
青い空も大好きだけど
赤い夕日は秋の夕暮れにはピッタリだね。 |