himajin top
Love sick

私はそれ(ばらの花束)を、じかに、正確に写生しようとして、細部に熱中し、ばらの花をありのままに描くことに没頭した。その結果、私はもたもたとつまずき、どこへも到達できず、最初にもっていた観念(イデー)、私を魅了したヴィジョン、つまり出発点を見失い、二度と取り戻すことができなくなってしまった。私はもう一度それを取り戻したいと思う。―うまく最初の魅惑を取り返すことができれば。
ピエール・ボナール
アンジェール・ラモットとの対話より 1943年

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2005-01-26 「東京タワー」
2003-12-25 Lovers Rock
2003-11-03 ブルー/プルッシャン
2003-09-30 「ベンダンジ」
2003-08-21 ダーリン
2003-07-26 She's Rain
2003-07-02 a scarab
2003-06-16 「パーロット」
2003-06-06 日々、よき眠りがあなたにありますように。
2003-06-01 La vie en rose


2005-01-26 「東京タワー」

あと数時間で日付が変わり、大晦日を迎えようとしていた。
寒い一日だった。
私たちは白い息を吐きながら、まるで向こうと同じだと言った。
明日は雪になる。

首都高速道に混雑はなく、車はスピードをあげたまま都心へ向かった。
左に観覧車、右にベイブリッジ。東京タワーが細く赤く光っていた。
大好きな東京タワー
12月30日の日付が赤く映しだされていた。
赤く光る東京タワー。

飯倉トンネルを過ぎて、新宿へ向かう。







一年は、忘却の曲線のように。
私は生活を喜びで満たし、悲しみを紡ぎ、そのカーブを描いてきた。
しかしそれがどんな快楽だったか、ひどく心を痛めたかどうか、引き寄せることもなく、追いやることもなく、今はもう思い出すこともなかった。



12.30 TOKYO TOWER


つっこみ 先頭 表紙

Just Himajin! / ニナ ( 2006-01-07 11:58 )
【 Happy Merry Christmas! & just Imagine 】 / **ムッシュ** ( 2005-12-25 08:47 )
今年のクリスマスシーズン、とってもとっても楽しみ! / りり ( 2005-08-15 10:56 )
ニナの独り言?をまた読めて嬉しい。ほとぼりが冷めてから淡々と綴られる想いは、その時の熱い気持ちを垣間見せる。またひとついい女になる。 / 是非話したいな@え ( 2005-02-04 22:44 )
会長!ほったらかしでごめんなさい。ちょっと年をとったけど、私も相変わらず。 / ニナ ( 2005-01-27 01:13 )
Hideyさん!お久しぶり。どこかですれ違っていたかもね。もうそろそろイタリア人になれそう? / ニナ ( 2005-01-27 01:10 )
あ、もうどうしてたんだよぅ。でも元気でいてくれてよかった。あたしは相変わらず。 / akemi ( 2005-01-26 14:46 )
あらあら、同じような時間に同じようなところ走ってたんだね。最後に新宿へ向かったのも一緒。僕はイタリア人の友人と一緒だったけど。 / Hidey ( 2005-01-26 01:05 )
わーい なんてうれしいの。私もしあわせ。キスしちゃう / ニナ ( 2005-01-26 00:40 )
今この瞬間、あなたに会えてしあわせ。私はエッフェル塔を見る毎日です。 / りら@パリのネットカフェより ( 2005-01-26 00:28 )

2003-12-25 Lovers Rock

カーラジオから聞こえた歌は、懐かしい曲だった。
シャーデーの ラヴァーズ・ロック。

赤のソファに座り、物思いにふける冬の午後によく聴いた。
あの頃の空間に混ざったような、不思議な感覚が少し訪れる。
月日が過ぎるのはあっという間で、私は年を重ねていく。

シンプルな歌声は、冬の乾いた空気の中に流れていった。




メリークリスマス。
晴れの日も風の日も、大切な人が平和でありますように。

星の輝く夜に。


つっこみ 先頭 表紙

↓のばしすぎ! / ニナ ( 2005-01-26 00:26 )
ボンヨヨヨ〜〜ン / ** ムッシュ ** ( 2005-01-15 14:42 )
パラリ / Ecru ( 2004-12-25 18:31 )
ポロリ / **団鬼七** ( 2004-11-02 17:00 )
どうもありがとう。メッセージを見つけてとても嬉しかったです。チューしたいくらいで。皆さんのページ、読んでいますがなかなかつっこみできずにすみません。止まったままもう3月ですね...   / ニナ ( 2004-03-15 01:04 )
お誕生日おめでとうございます。また美しく素敵な1年になりますように。 / ひらり ( 2004-03-12 22:59 )
お誕生日おめでとうございます!ますます美しい1年でありますように! / りり ( 2004-03-12 11:17 )
マダムの美しい新たな一年を、わたしの方こそ期待しています。 / R@Happy Birthday! ( 2004-03-12 07:24 )
撫ちゃん!そっちで会ったときに乾杯できれば十分。ありがとう。よい一年になりますように。 / ニナ ( 2004-01-12 23:21 )
忙しさにかまけて、シャンパンを贈ることができなかったことを許してください。 / 撫子 ( 2004-01-12 05:17 )
Ecru こちらこそどうぞよろしく。届いたあの柄、同じでにっこりでした!楽しいおしゃべりを。 / ニナ ( 2004-01-09 01:50 )
りり 今年もどうぞよろしく。シャーデー好きだった女の子に会うとすごくうれしい。砂浜のPVといえば、「チャイナガール」でドキドキしてました。 / ニナ ( 2004-01-09 01:47 )
今年もどうぞよろしくお願いいたします。素敵な日記と写真、楽しみにしています。また、今年も色々おしゃべりさせてください。 / Ecru ( 2004-01-03 23:21 )
大学生の時にすごく好きでよく聴いてました。あの赤い服を着て砂浜を転げまわるPVも大好きだった。覚えてる? / りり@よいお年を! ( 2003-12-29 19:11 )
よい年をお迎えください。 / ニナ ( 2003-12-29 12:03 )
バケツ持ちでも何でも お供します! / ニナ ( 2003-12-29 12:03 )
来年はカリ・スマ改め 虚匠を目指します? / ムッシュ ( 2003-12-27 13:09 )
Ecru 雪かきに来れば(しつこいって?)、ソファで一緒にランチでも。ラム肉食べた。共食いだったよ〜 / ニナ ( 2003-12-26 22:02 )
フローラ ありがとう。静かな夜を過ごしました。私もピンクは甘くて優しくて大好きです。 / ニナ ( 2003-12-26 21:56 )
ムツシュ 次のも見ちゃった。笑いました!来年もいろいろと企んでくださいね。 / ニナ ( 2003-12-26 21:46 )
これが、赤のソファーですか!なんか感激!!メリークリマス!素敵な夜になりますように。 / Ecru ( 2003-12-25 23:45 )
メリークリスマス、ニナさま! ニナさまにも素敵な今宵でありますように。 / フローラ ( 2003-12-25 21:51 )
Merry Christmas 見るの早いから! / ♂ムッシュ★サンタ♀ ( 2003-12-25 10:57 )

2003-11-03 ブルー/プルッシャン

ジルと私は、血族の環境が良く似ていた。

連休は?
ファミリーが来る
あら、私も
みんなの世話をするのね
そう。部屋へ連れて行き、食事へ連れて行き、
とにかく、ずっと一緒でしょう
お互いに



ジルと私は、良く似ていた。
融通が利かなくなると決まって、「でたらめな自己愛に満ちた人間だ」と、互いによくそう言い合った。
「恋人も隣人も、あなたは愛することがないでしょう」
ジルは、「それはあなたのことだ」と言い返した。

ジル、あるいは私には独自の世界があって、
どんなに親しい相手といえども、ある一線以上に踏み込ませたくない域、手出しのできない域があった。
「配偶者や子がいたら、少しは違っていたでしょうに」
「配偶者や子がいるのに、違うとは思えないね」
「それって私のこと?」

それなのに、私もジルも、その家族という呪縛から解かれることがない。
こうして休日にファミリーの世話をするジルを思うと、私は黙ってしまう。
小さな捕らわれを思うと、ジルに優しくしようと、そう思うのだった。


つっこみ 先頭 表紙

白いだけならいいんだけど、赤ら顔で、すっかりいなかっぺ? / ニナ ( 2003-12-19 20:35 )
透き通るような白い首筋に、このブルーがぴったりね。 / Ecru ( 2003-11-22 00:21 )
アキジさん お久しぶり!ロマンチックでいいですね。こちらはもうすぐ雪が舞うはずです。あの〜私もダメダメ同盟(ネーミングセンスないけど?失礼)に入れてもらいたいです。日記、相変わらず惚れ惚れとする(誉めすぎ?失礼)上手い文章ですね。 / ニナ ( 2003-11-17 01:31 )
透き通ったブルー、切り取られた秋の空のようですね。手を伸ばしても届かない、もどかしさを思います。 / アキジ ( 2003-11-13 02:48 )
詩的な青ですよね。涙なら一粒でじゅうぶん。もし何か確かめられることがあれば、待っていたものが訪れたなら、説明できたらよいなと思います。(散文的になりそうですが) / ニナ ( 2003-11-11 00:22 )
透明で硬質な青・・・・涙のかたちってこんなかしら、と思ったりします。 こぼれ落ちずに胸のどこかに留まって、何かを確かめているような、あるいは待っているような。  / フローラ ( 2003-11-10 16:25 )

2003-09-30 「ベンダンジ」

交差点の角からふいに現れた女性は、まっすぐにこちらへ向かって歩いてきた。
瞬間的に思った。彼女は、ジルの恋人。

ジルが恋人と住むマンションは、すぐ裏手にある。
正しい姿勢で歩いてくるその女性は、私が勝手に想像していた彼女の服装の趣味と、例えば高いヒールのサンダルやボトムの色、小さな顔にやや大きめのサングラスなど、それらはよく似ていた。
プラチナの髪は、以前ジルから聞いたそれと同じ。
彼女は、停止している車の横、運転席の私の横を通り過ぎて行った。
美しい顔をしている。

   こっちを向いてよハニー 

私は、コマーシャルで流れるメロディーをつけて、歌うようにつぶやいた。


長い赤信号がやっと青に変わり、右折して駅の通りに向かう。
T字のその交差点を曲がる時、ちらりと右のドアミラーに目を移したけれど、もう彼女の姿はなかった。

「ブルーアイズ」 ジルがそう呼んだ瞳を見たかった。







9/5 am2:30 komatsu build


つっこみ 先頭 表紙

香港ハニ〜 「ベンダンジ」をテーマに、装飾をしたビルの中で。 / ニナ ( 2003-10-20 21:31 )
写真の中の文字、なんて書いてあるのかな? / りり@呼んだ? って人違いか〜 ( 2003-10-17 17:46 )
つい、そこを行きすぎてしまう私です。反省。でも治らない。 / ニナ@早い!楽しみに ( 2003-10-14 00:24 )
知らなかったから、見なかったから、よかったこと、というのもあるしね。謎はなぞのままが美しいのかも。 / 真冬@既に航空券げっと ( 2003-10-09 02:01 )

2003-08-21 ダーリン

ぼんやりと去年を思い出していた。
肩に残った夏のこと

       あの冬のはじまりのような日に、
       私は、恋人に確かめてもらいたかった。
       夏が残っているね と。
       指でなぞって、確かめてもらいたかった。


プールの陽射しは、なかなかそこに日焼けの跡をつけられないままで、
水着の端をめくって確かめるよくやる癖は、もう癖ではなくなっていた。
そして私は、手にした訳本の、ふいにはじまる冬の情景にすんなりと入っていた。

ジョゼフは言う。
 さあ、ダーリン
 どうだい、ダーリン
 来いよ、ダーリン 
 いいかい、ダーリン

私はキティのように、ジルに同じく呼んでもらおう。

 まあいいさ、ダーリン 
 こうだよ、ダーリン
 ああ、ダーリン
 愛するダーリン

ねえ、それは自慰行為だよ と誰かが言う。
そう、
私たちは本当に馬鹿げている。



原題「 WAR STORY 」 グウェン・エイデルマン 


つっこみ 先頭 表紙

エンジェル(彼はこう呼ぶときもあるの) 9月仕様に少し色が変わりそうですか?近況、メールします。 / ニナ ( 2003-09-08 21:46 )
りり 見た? Danaeでしょう?シュナップス、モロッコ革のスリッパ、黒パン その他いろいろ魅力的です。 / ニナ@ハニ〜 ( 2003-09-08 21:38 )
この夏は、ちょっとした心境の変化がありました。9月は、いかがお過ごしですか? / Ecru ( 2003-09-07 21:31 )
装丁を見てピン!と来ました・・・。 / りり ( 2003-09-04 12:47 )
ムッシュ!あの〜今度お縄芸でも魅せてね。 / ニナ ( 2003-08-28 19:13 )
カエル!また焼いたからもう白くないよ。グッチのレザーのブレス。ぐるぐる巻きつけるお気に入り。 / ニナ ( 2003-08-28 19:07 )
↓そりゃ〜縛って日焼けしたら! / ムッシュ ( 2003-08-28 18:56 )
もしやその紐の下には焼け損じの白いお肌が?? / カエル ( 2003-08-28 16:55 )
ムッシュ やっぱり「○ロの魔術師」!さすがね〜 シャーリング、写ってた。ファンとしては全身見せて欲しかったけれど。 / ニナ ( 2003-08-27 23:01 )
団鬼七の新刊 【喪服婦人、熱海山中亀甲縛り、縛り縛られ嗚呼無情】もこの夏是非・・・!   / ムッシュ ( 2003-08-26 12:20 )
撫ちゃん この本、するする読めると思うよ。アナイス・ニンの「小鳥たち」が書店になくて、代りに買ったらおもしろかった。「夜を抱いて」グウェン・エイデルマン 雨沢泰 訳 文藝春秋 「ばかばかしさ」がないと、やってられないものね。 / ニナ ( 2003-08-25 22:44 )
そう、私たちは本当に馬鹿げてる。。。なんてお互いのことを笑いあえるときは絶頂かも。。。ダーリン。 / 撫子 ( 2003-08-25 06:00 )
りり!それってきっと、齧りたいくらいにおいしそうかも。これ、携帯のカメラテスト。フレンチトーストほどに焼けたらいいな。そこにハニーをたっぷり〜? / ニナ ( 2003-08-22 21:54 )
真冬 じゃ真夏と呼ばせて。9月から少し環境が変わるので、早めの秋を楽しもうと思ってます。いつも性急なだけかも。 / ニナ ( 2003-08-22 21:40 )
私はカカオとカフェオレの中間ぐらいになっちゃったので、大変なのですが、ニナ様は、きれいなほんのり焼けなのですね。 / りり@ハニーと呼んで ( 2003-08-22 20:03 )
南へ行った私は一日で不覚にもすっかり夏物になってしまいました。あとが大変。でもだれも日に焼けたね、なんて言ってくれないわ(ツマンナイ)。短くても夏休み、すこしのんびりできたのなら、よかったです。いつもお忙しそうですもの。 / 真冬 ( 2003-08-22 04:35 )

2003-07-26 She's Rain

母の身体が回復に向かい、週一の実家へと通うことも、しなくて済むようになった。
何度も高速道路を往復したおかげで、私のトンネル恐怖症はすっかり治ってしまった。
      
      ふん、ただのトンネルじゃない。そう呟いて通過する。
      スピードは落ちていないし、
      大丈夫、全然怖くない。




6月が過ぎると、店はすっかり暇になった。

金曜の夜に、ニコロ・パガニーニのヴァイオリンを一番前のソファーに座って聴き、
日曜日には去年のビキニをつけて、デッキチェアーで夕方まで過ごした。
それから、
髪をカットして、冷茶用のガラスピッチャーを一つ増やし、古いTシャツを捨てた。
コンクールがあり、車を修理に出し、友人に電話をした。
雨の朝には、揺れる木々をベランダから見ながら、彼女のことを思った。
 「She's Rain」 昔読んだ、本のタイトルと同じ。

今年の7月は、なんだか少しも暑くない。


先頭 表紙

2003-07-02 a scarab

彼女たちがボート遊びをしている間、
私たちは乗降場から少し離れたベンチに座り、時間が過ぎるのを待った。
時折、ボートに向かって手を振った。
ボートの向きが変わると、湖面が揺れる。はしゃぐ声や飛沫の音は、こちらまで聞こえなかった。
鳥は水面を進み
水は流れ出て、湿地を濡らしていった。

若い二人がベンチの前を通り過ぎて行った。
「ここはいつも静かだな」
「この前もここに座ったでしょ」
私たちはいつもここに座っている。
5月の午後の風は冷たく、私は車に上着を残してきたことを少し後悔した。

桟橋を通り過ぎる人々に、醒めた眼差しを向けながら、私たちは同じ話しを(例えば朝の玄関や日曜日の食卓では決して語られることの無い話しを)繰り返した。
あの作家はよく、「揺り籠、舟、あるいは戦場」と書いていたが、
全く、その通りじゃないの。最近、私はよくそう思うようになった。

めずらしく先に寄ったショップで、欲しかったバミューダを一粒だけ通してもらい、首に揺れるそれを、今日一日何度も「どう?」と彼に尋ねたが、
彼はそれを「コガネムシ?」と言い放ち、それ以降は何度聞いても答えなかった。
でも多分、よく似合っていると思ったに違いない。そう思う。

そんな風にして、約束の休日は過ぎて行った。


先頭 表紙

2003-06-16 「パーロット」

ちょうど歩道が途切れた場所に、見なれない白の国産車が停まった。
ジルだった。
私が近づくと、ジルは運転席から助手席側のドアを開けて、
「 ニナ、どうして約束した場所にいないの? 」と言った。
「 何、その車 」
「 仕事で使った。
  歩いてどこへいくつもりだよ 」ジルは少し迷惑そうな顔をした。
「 ちゃんといました。でも来ないから歩いていただけ 」私はそう答えて、車に乗った。
助手席に座ると、ジルは頬にキスをしようとして顔をよせ、
私はそれを避けた。まただ、というジルの表情が残る。

ジルは車を発進させると、今日の仕事の内容を簡単に喋った。
「 この車、乗り心地が悪い 」と言う私に、「 初めて乗るから? 」と、ジルは呑気に聞き返した。
「 そうじゃない 」
間の抜けた白い車になんて、乗りたくない。


銀座のショップの話しをした。
二人のデザイナーに出会ったこと。いろんな質問をして、答えてもらったこと。
地下鉄を降りると既に大雨で、注意深く水溜りを避けて通りを渡り、
途中で諦め、ジーンズの裾を折り曲げ、ローファーを濡らしてそこへ向かったこと。

        サボテンに、垂直にナイフが刺さり、飾られていた。
           ケンチクカハカイセヨ
        ブラックキャットの、乾燥しきった黒い固まりが飾られていた。
           キャバレーデシヌウツクシイメノゴクドウ
        アルミで包まれた丸い固まりには、中にカーネーションが詰まっているという。
        バナナの房は、難破船のような姿になっていた。

「 私が高校生の頃、彼らは幼稚園児だったわけよ
  ジルはその頃、もう大人ね 」
「 まいったな 」
「 参るでしょう 」


私も部屋の棚にあるバーロットに、タイトルをつけてジルにプレゼントしようかしら
いい具合に乾燥して、捻れ曲がっているから。
「かわいそうなパーロット その2」 なんてね


先頭 表紙

2003-06-06 日々、よき眠りがあなたにありますように。

       女王のような娘よ、
       あなたの足は、くつの中にあって、
       なんと麗しいことであろう。
       あなたのももは、まろやかで、玉のごとく、
       名人の手のわざのようだ。
       あなたのほぞは、
       混ぜたぶどう酒を欠くことのない丸い杯のごとく、
       あなたの腹は、
       ゆりの花で囲まれた山盛りの麦のようだ。
       あなたの両乳ぶさは、
       かもしかの二子である二匹の小じかのようだ。
       あなたの首は象牙のやぐらのごとく、
       あなたの目は、バテラビムの門のほとりにある
       ヘシボンの池のごとく、
       あなたの鼻は、ダマスコを見おろす
       レバノンのやぐらのようだ。
       あなたの頭は、カルメルのようにあなたを飾り、
       髪の毛は紫色のようで、王はそのたれ髪に捕われた。


       愛する者よ、快活なおとめよ、
       あなたはなんと美しく愛すべき者であろう。
       あなたはなつめやしの木のように威厳があり、
       あなたの乳ぶさはそのふさのようだ。
       わたしは言う、「このなつめやしの木にのぼり、
       その枝に取りつこう。
       どうか、あなたの乳ぶさが、ぶどうのふさのごとく、
       あなたの息のにおいがりんごのごとく、
       あなたの口づけが、
       なめらかに流れ下る良きぶどう酒のごとく、
       くちびると歯の上をすべるように」と。

                          雅歌 第7章





「Metallina」


先頭 表紙

2003-06-01 La vie en rose

先日、ある女性からこう言われた。

生まれながらにして
花を取り結ぶ運命なのですね

ちょうど、何もかも放り出したい気分だったから
励まされたようで、とてもうれしかった。
ありがとう




オールドローズを彼女へ


先頭 表紙


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