京都の朝は澄み切っていて
青くて高い空が大きく広がっていた。
昨夜遅くに作ったブーケは陽を浴びていた。
ホテルを出てタクシーに乗り込むと
たくさんのお寺が景色に見えた。
鴨川も静かに流れていて穏やかな冬の日だなと思った。
会場につくとレストランの従業員にブーケを手渡した。
私の職場ではブーケが手渡されるときに
「お嫁に行く」という。
私のブーケがお嫁に行く姿は初めてで
どうか無事に役目を果たせますようにと心の中で祈った。
友人と待ち合わせて再び会場に向かった。
新婦は今までに見たことのないような緊張した顔をして
片手は新郎の腕に心細そうにつかまりながら
もう片方の手にはブーケを持って入場してきた。
人前式だから十字架もバージンロードもないけれど
厳かな式は順調に進んだ。
そして披露宴に移ると新婦は溢れるような笑顔で
メインテーブルに座った。
一度退席するときには新婦のママと手をつないでいた。
幸せな家庭で天真爛漫に育った彼女らしい演出だと思った。
結びには友人のピアノが華を添えた。
「星に願いを」が会場中に響き渡ると
一番に新郎は大きな涙を溢れさせた。
もちろん私も。
謝辞では
「彼女と居れるのはあと何十年しかないわけだから毎日を大切に過ごします」
と言った。
本当に大好きな彼女と楽しい日々を過ごして欲しいと思った。
「新幹線で帰る途中、一人が寂しく思えたよ」
とタロウに言ったら
「すぐに会いにいけるわけにはいかないけど
いつか迎えに行くよ」という言葉が返ってきた。
早くそんな日が来ますように星に願おう。 |