健康診断のために会社の診療所に行った。
病院に行くことが嫌いな私は、
健康診断といってもあまり気乗りはしない。
「わざわざ、朝食抜いて気分悪くなったら意味ないじゃない」と
同期の子に文句を言いながらもとりあえず診療所へ出かける。
いくつかの検査を済ませてから
最も恐れている採血へ。
血を見るのが怖い。
倒れそうになるの。
他の人の血がた〜くさん並んでいるところへ
近寄るのもイヤ。
空いていたのですぐに看護婦さんの元へ呼ばれた。
若くてキレイな看護婦さんだった。
どうせなら早く済ませて帰りたいから
自ら腕を差し出して元気に
「お願いしま〜す」と言った。
「血管、細いですねぇ」
「いつも言われます・・・」
「えっと、申し訳ないんですけど逆の腕を出していただけますか?」
「はぁ」
「親指を握ってください。ちょっとチクッとしますよ」
もちろん私は針の先を見ないように遠くを見ていた。
そろそろ終わるだろうと思って、注射器に目を向けると
一滴の血も採れていない。
「ごめんなさい、失敗しました」
「はぁ」
「少しお待ちいただけますか?」
「はぁ」
「私には無理です」と私の診断カードを隣の看護婦さんに押し付けた。
隣の少しお年を召した看護婦さんが私の名前を呼び、
さっきと反対の腕をとって
あっという間に採血を済ませてしまった。
教訓。
看護婦は美人より上手いがいい。 |