2002-09-06 愛してるけど、さようなら。
2002-08-29 裏ニューヨーク事情？　その1。（怖がりの人は読まないでね。）
2002-08-29 裏ニューヨーク事情？　その2。（怖がりの人は読まないでね。）　
2002-08-29 裏ニューヨーク事情？　その3。（怖がりの人は読まないでね。）
2002-08-26 だからあなたが好き。
2002-08-26 だからあなたが好き。(part 2)　
2002-08-26 だからあなたが好き。(part 3)　
2002-08-23 目の覚めるような美男。
2002-08-22 一瞬のふわりとした感覚。
2002-08-21 来週の木曜日、7時にお暇な方へ。

ずっとあなたはわたしと一緒だった。
つらい時や、悲しい時、怒っている時は、
わたしを落ち着かせてくれて、
嬉しい時や楽しい時にも、
あなたはわたしのそばでもっと幸せな気分にしてくれた。
考えがまとまらない時、集中できない時には、
あなたはいつもわたしを助けてくれたね。


あなたの存在がなければ、わたしはやっていけない、
とも思った事もあったよ。
わたしはあなたに依存してるんだ。
何もあなたの代わりにはなれないよ。
だけど、もうおわりにしよう。


あなたとの思い出がわたしを苦しめる。
日常だったあなたがいなくて、
呼吸ができなくなりそうになるんだ。
あなたの事が恋しくて、頭がおかしくなりそうになる。
自分が自分じゃないみたいだよ。
いっそのこと、こんなにつらいのなら、
おわりにするのをやめてしまおうか、と思う時もある。
だけど、わたしはわたしにあなたなしでも
やっていけると証明してみたいんだ。


わたしはあなたと一緒では
見えない力で束縛されて、自由になれない。
いろんなところで、いろんな方法で、
あなたはわたしを誘惑してくる。
でも、わたしはたくさんの深呼吸をして、
からだの中からあなたの記憶を追い出してる。


一緒に過ごした10年間は後悔はしてないよ。
あなたのことを愛していたし、今でもきっとそうなんだ。
今まで、ありがとう。
そして、さようなら。

先頭 表紙

「何かすごい気味が悪い所だったんだけど、その中でも一ケ所だけぞっとして絶対に近寄りたくなかった場所があったのね。で、帰りがけに記念写真を取ったんだけど、見て。」

そう言って、パートナーが休暇に行ったスペインの写真を見せてくれた。彼女が悪寒を感じた、と言っていた場所に半透明の球が映っていた。もともと私のパートナーはこういうスピリチュアルな世界の事に興味津々なので、一人でそのことにずっとこだわり続けていた。

次の日、彼女は私のオフィスに来て、興奮ぎみに話しだした。「何か、あの写真の事が気になって昨日の夜、アルバムを引っぱり出して他の写真を見てみたのよ。そしたら、ほれ。」（っていうか仕事しろよ。）見せてくれた写真は、彼女と弟が実家のクリスマスツリーの前で仲良く座っている写真であった。すると、彼らの真ん中にスペインの写真のと同じ形状の球が。「あぁ、この前と同じだね。」と言う私に彼女は続けてクリスマスツリーだけの写真を見せてくれた。そこには、球は写っていない。そして「これは弟のカメラでとった写真ね。」とその後に見せてくれた写真には、球が写っていた。

この写真に映った透明、または半透明の球はOrbと呼ばれる。独特のテクスチャーとアウトラインのようなものがあるのが特徴だ。Orbはこの世にもう存在しない人々や動物の魂などである、とよく言われる。大抵の人達は死んだ後に次の世界に移っていくのだが、Orbの場合、魂が精神界に行かずに、何かや場所に未練があって、一番エネルギーを使わずに動きやすい球形になって、この世に残った形だ、と言われている。（参考：http://www.ghoststudy.com）

私のパートナーはこの写真をたくさんの人に見せてまわったらしい。私もどちらかと言うと彼女のように、目に見えないものでもすんなりと信じる、というほうなので、彼女の「このOrbは亡くなったおばあちゃんの魂だ。」という説を疑問にも感じずに聞いた。が、当たり前の事で、たくさんの人のリアクションは「レンズのごみじゃないの〜」とか、「変な人〜」とかそんなもんばっかりで、彼女の話を信じたのは少数だったらしい。

そんな懐疑的な態度をとっていた人たちの考えをいっきに変えてしまった出来事があった。そしてまさか私自身がその張本人になるとはさらさら思っていなかった。が、なってしまったのである。


2に続く。

先頭 表紙

私はミッドタウンにあるブライアントパークの景色がものすごく好きである。人工と自然のジャクスタポジションが素晴しく、木々の壁がそこから透けてみえる高層ビルの数々のフィルターとなって、私達ニューヨーカーを少しだけ競争の激しい汚いビジネス社会から守ってくれているような気持ちにしてくれる。

ずっと私は、このこよなく愛している景色を写真におさめておきたいと思っていた。そして、ある夜近くを歩いていて、デジタルカメラを持っていた事に気付いたので、私は続けてシャッターを押した。

家に帰ってマックのモニターで見た時はびっくりして心臓が止まりそうになった。まさに、パートナーの写真と同じOrbが写っていた。それも、「一つなんてケチくさい事言わないで、たくさん写しといてよ！それから綺麗にとってよね！」と言わんばかりである。（写真参考。）

次の日、私はディスクにおとした写真をパートナーに見せた。さすがの彼女も20枚程の写真にしっかり写っているOrbに圧倒されたらしく、興奮状態であった。（だから仕事しろよって。）


3に続く。

先頭 表紙

あの夜、雨が降っていなかったのは自分でも知っていたが、もしかしたらレンズが汚れていたのかもしれない、と一週間後に私はまた同じカメラを持ってブライアントパークへ向かった。まだ日が落ちていない夕方。

この時に8月26日の日記で載せた写真もとったのだが、その前にも何枚かミッドタウンの様子をとっておいた。ブライアントパークの写真を20枚程撮り、帰宅して早速コンピューターでチェックしてみた。

...心臓が止まりそうになる驚きをこえて、一瞬心臓が止まったかと思った。やっぱりOrbは写っていたのである。それもブライアントパークの写真だけに。まるで「また会ったね！この前の綺麗に撮ってくれたぁ〜？」状態である。

私はこれもディスクにおとして、前から写真を見てみたい、と言っていたオーディオエンジニアのところへ向かった。（だから仕事しろって。）同じ時間帯に同じカメラでとったブライアントパーク以外の、Orbが写っていない写真も含めて。「す、すごいよ、ほんと。これに比べたら君のパートナーの写真なんかめちゃくちゃしょぼいよ。」と言った後、彼は無言になってしまった。「な、なんか言ってよ、黙ってたらこっちが怖くなるじゃんかよ。」と言いながら二人で沈黙してしまった。

写真に写る魂もすごいが、噂が広まるスピードもすごい。私はたくさんの人から「ねぇ、すごい写真撮ったんだって？」と聞かれ、写真のディスクをあげたオーディオエンジニアのもとには写真見たさにたくさんの人が足を運んだ。さすがに上司が「ねぇ、あの写真見せてくれない？」と聞いてきた時は苦笑してしまった。（だから仕事しようよ、みんな。）そして彼女も例外にもれず、写真に魅せられ、魂の存在を実感することになった。（私の事をまるで摩訶不思議な存在のように見つめるのも忘れなかったが。笑）

この写真の一件は、ちょっと怖かったし、びっくりもしたけれども、よく考えてみれば何か素敵なハプニングであった。私はいつも魂の存在を信じてきたし、自分自身にもガーディアンエンジェルがついている、と感じる事が度々ある。都会の森の中に浮遊する光の球の数々は幻想的であり、そしてその存在により、たくさんの人がこの写真に魅せられ、現実から一歩離れてみる機会になった。見る人それぞれへのいろんなメッセージがあの数々の写真には込められていたのかもしれない。


（ちなみに調べてみたところ、ブライアントパークは1776年にはジョージワシントンの軍隊の戦場であり、その後は貧困者の墓地になったと書いてある。もっと詳しく知りたい人はブライアントパークのオフィシャルページ、http://www.bryantpark.org/へ。）

先頭 表紙

仕事が少し早く終わると、ゆっくりと遠回りをしながら散歩をするのが好きだ。仕事が忙しければ忙しい程、この誰にも邪魔をされない私だけの時間は、心の余裕をもたらしてくれる。

観光客の様にカメラを持って歩くのも好きだ。「君の写真とってあげようか？」と声を掛けてくるニューヨーカーと適当に会話をしたりしながら、レンズから覗くいつもの見なれた景色は少し新鮮だ。昔よくやってた白黒写真をまた、やってみようか、などと思いついたりする。

2に続く。

[写真はブライアントパークから見えるエンパイアステートビル。]

先頭 表紙

さらに歩いていくと、まるでマネキンのようにウィンドーケースに入ったパフォーマーが。（写真参照）一人は詩を読み、一人はギター、もう一人はサックスを吹き、真ん中の女性はそれにあわせてモダンダンスを。こういったパフォーマンスが大好きな私はそれから30分ほど立ち止まって見入ってしまった。

ニューヨークは行くところどころでパフォーマンスが見られる。それはこういうある意味でゲリラ的なものであったり、公園内のコンサートであったり、地下鉄のミュージシャン演奏であったりする。カナルストリートの駅では中国の音楽を、125th St.の駅ではR&Bを、タイムズスクエアの駅ではバイオリン弾きや、カリビアン風のパーカッション、ポートオソリティーではキーボード演奏付きのオペラだったりラテンギターと歌の２人組だったり。電車に乗ったら乗ったでいきなりバケツを逆さにしたのを叩き出して、手すりまで使ってブレイクダンスを始めたり。疲れている時ははっきり言って静かにしていてほしいといらいらするのだけど、どこに行ってもいろんなパフォーマンスがあって、楽しいって言えば楽しいのである。（ちなみに地下鉄駅内でパフォーマンスをするのには、一応オーディションがあるらしい。）

ちなみに、ニューヨークで撮影されたベースプレーヤーのChristian McBrideのかっこいいミュージックビデオがある。興味がある人はhttp://www.christianmcbride.comに行ってみよう！上にあるCD'sって書いてあるのをクリックした後、一番下までスクロールして、クリックすれば見れますよ〜。


3に続く。

先頭 表紙

それから私はさらに東へ。New 42nd Streetと呼ばれるタイムズスクエアとポートオソリティーの間に位置する比較的新しい通りへ。ここは通り沿いにたくさんの商売人がいる。それは、ホットドッグやナッツを甘く煎ったベンダーであったり、似顔絵描きであったり、漢字を装飾して名前を描く人であったり、いつもにぎやかだ。

そのなかでも、たくさんの人が集まっているところがあった。私も興味をそそられて立ち止まってみると、その真ん中にはスプレーペイントを使って風景画を描いている人がいた。彼は器用にシュシュシュ〜っと白いキャンバスの上にベースの色をのせたかと思うと、その上からまたシュシュシュ〜、と違う色を。そして、フリーペーパーから紙を一枚やぶり取って、まだ乾いていないペイントの上にサッサッサと。すると、あらら〜不思議、森に見えてくるのである。彼はそのあともヘラや指やフリスビーを使って、月や地球、滝などを造りだし、魔法のようなトリックを見せてくれる。最後にはスプレーペイントの光沢も手伝って、幻想的な絵に。所要時間約5分。私は次は何だろう、この次は、と結局スプレーペイントの臭いで気分が悪くなるまで6枚分、ずっと見入ってしまった。

マンハッタン、少し歩くだけでも面白い事に遭遇する。忙しくなればなるほど、こういう時間を大切にしていこう、と思うこのごろである。

[写真上はNew 42nd Streetに新しく出来るマクドナルドのネオンサイン。（ちなみに英語での省略はMickey Dで、東京とも関西とも違うのよね。）いくらマクドナルドでもこんな派手なの見た事ない。

左下は比較的新しいサンリオのお店。キティちゃんはこちらでも大人気である。個人的にはアフロ犬を除いてキャラクターグッズは好きではないのだが、通りかかる度に興味津々でお店に入ってしまう。中にはもちろん子供から、20代の女性、それからわけのわからんおにいちゃんなどがいて、結構面白い。キティちゃんグッズの品揃えはちょっとすごい。日本風からフランス風、オールアメリカン、それからオーソドックスな赤基調まで、なんでも揃う。トースターや電子レンジなんかまで置いてあって圧倒されてしまう。キキララの商品も少しあって、小さい頃にキティちゃんよりキキララが大好きだった私は懐かしさで感慨に浸ってしまった。

右下は最近出来た吉野屋さん。日本で吉野屋の牛丼を食べた事がなかった私はここ、ニューヨークで初めて吉野屋体験をしたのであった。ちなみに従業員はみんなアメリカ人。お客さんも半分以上はアメリカ人。丼ものはきっとアメリカ人にうける！と思ってた私はちょっと満足なのである。]

先頭 表紙

「エディターを紹介するから、一緒に来て。」とプロデューサー。「あいよ。」と適当な返事をして、無能なエディターだったらいやだなぁ、なんて思いながらてくてくついてった。

「彼が君のエディター。で、彼女がアートディレクターのreiだよ。」

はじめまして、と握手をしようと彼を一目見て、目が覚めた。思わずひざまづいて拝みたくなるくらいのすっごい美男。ここまで美しい男性を見るのはものすごい久しぶりである。

職業柄だか性格上だか知らないが、私は単純に男女含めて美しい人が好きである。見ているだけで幸せな気分になる。そして普通は反対なのかもしれないが、私は女性に対して寛大で男性に厳しい。

彼は外見も文句のつけようがない程美しいが、口数が少ない、が気のきいた冗談が言える、外国に住んでいた事がある、いろいろな国を見ている、母国語以外の言葉を操れる、人の話をきちんと聞ける、落ち着きがある、ちょっとシャイである、だけど行動力がある、そして仕事ができる。一言で私の究極の理想の男であった。

だけど、最高の欠点があった。いい男は同時に夫であった。他の女の男には全く興味がないから、いっきに理想の男から普通の男に。（笑）それにしても、何でいい男って大抵結婚してるかゲイなのかしらん。（笑）

先頭 表紙

「この前はいろいろ助けてくれて、本当にありがとう。」
と言って、同僚が黄色い花束をくれた。

「これ、スペインからのおみやげ。幸福を呼ぶんだって。」
と、上司がキーホルダーをくれた。

「君の方が忙しくて、ストレスもたまってるのに、いつも笑っててくれるから。」
と突然プロデューサーがきれいな箱に入ったチョコレートをくれた。

「いつもありがとね。あんた、冬でもスカーフしないでしょ。」
と言って、パートナーが美しいビーズの刺繍の入ったショールをくれた。

そんなささやかな贈りものを受け取る時は、なんだか女の子に戻ってしまう気分になる。
花はオフィスを暖かくし、鞄につけたキーホルダーはいつも一緒に。
チョコレートは甘く溶けて、スカーフは秋が待ち遠しいくらい浮き立った気分に。

一瞬のふわりとした感覚に身をまかたら、日常生活に戻っていく。
素直に嬉しい、幸せの余韻。

先頭 表紙

サトルはマサチューセッツでの高校時代からの友人。その頃の私は授業や教科書から何かを学ぶよりも、ひとつでも多くの事を体験したり、感じたりすることに夢中になっていた。やんちゃ坊主みたいだった私を、見守っていてくれたのがサトルだった。私はサトルの練習室に流れている空気が好きだった。いきなり彼を訪れて、グランドピアノによっかかりながらよく話しかけた。話題が途切れると、彼はピアノを弾いた。そのたび私は優しい気分になった。

あれから何年もの時が過ぎ、彼は今年の５月にカーネギーリサイタルホールでニューヨークデビューを飾った。私の前に再び現れたピアニストのサトルはまぎれもなくプロだった。そして、彼の音はやっぱり優雅でやさしかったが、厳しさも加わっていた。技術と表現力のバランスも素晴しかった。私は彼の演奏をひとりでも多くの人に聞いてほしいと思っている。もしも、これを読んでくれたあなたが来週の７時に時間があるのならば、ぜひ東京オペラシティへ足を運んでみてほしい。少しだけ豊かな気持ちになるのをお約束する。


[以下、http://www.operacity.jp/concert/calendar/0208/020829r.htmlから抜粋。]


亀田 賢 ピアノリサイタル

2002.8.29［木］19:00
リサイタルホール
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
［曲目］
・ショパン／ノクターン 変ホ長調 op.55-2
・ショパン／幻想曲 ヘ短調 op.49
・ショパン／スケルツォ ロ短調 op.20　他
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【プロフィール】

亀田 賢（ピアノ）　Satoru Kameda, Piano
横浜に生まれる。４才よりスズキメソードにて学ぶ。国立音大附属小学校を経て、附属中学校に進む。1990年、JPTA（日本ピアノ教育連盟）の中学の部でファイナリスト。毎日学生音楽コンクール東京大会、中学の部で入選。1991年、春に渡米、アメリカのウォルナットヒル芸術高校在学中にハーバード音楽連盟のオーディションにて史上最年少で３位入賞。1998年、ニューイングランド音楽院にてピアノオーナーズオーディションに合格した後、ボストンのWGBH・FMラジオにてライブ演奏。1999年、米国、ローチェスターで、ワシントンスクエアコンサートシリーズ出演。同年、ニューヨークにおいて、ファイブタウンコンクールピアノ部門にて２位入賞。秋に東京の河合楽器青山にて、第９５回トレモロ会、ソロリサイタル出演。2000年、ニューヨーク州イーストマン音楽院修士課程取得。イタリアのカザルマジョーレ音楽祭2000年、 オランダのホーランドミュージックセッション2000年、2001年、そしてカルフォル二アのゴールドカントリーピアノインスティテュート2001年、等にて多数のコンサートに出演。2001年、ニューヨークのアーティストインターナショナルオーディション合格。夏に渡仏、パリのエコールノルマル音楽院入学。秋にサルコルトーにてアニマートコンサートシリーズ出演。2002年、ブレストピアノコンクールにてプリミエールメダイユ取得。５月、ニューヨークのカーネギーリサイタルホールにてニューヨークデビューリサイタル。これまでに小松田茂、新井伶依子、栗本恵里子、小畠康史、セス・キメルマン、ホン・クァン・チェン、パトリシア・ザンダー、ナターリア・アントノ−バ、ジェラ−ル・フレミーの各氏に師事。(以下省略）

先頭 表紙