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Hideyの「蛍の光の下で」

帰国に伴い長い間ご愛読いただいたこの日記を終了させていただきます。
もうこのサイトに文章を綴ることはありませんが
もしこの先もおつきあいいただけるようであれば
メールをいただければ幸甚です。
皆様、本当にありがとうございました。お元気で。

絵日記

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2001-12-21 期末試験終了 2
2001-12-21 期末試験終了 1
2001-12-11 学級崩壊
2001-12-09 初雪
2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 4
2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 3
2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 2
2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 1
2001-12-02 アウトレットショッピング
2001-12-01 Thanks Giving Weekend 2


2001-12-21 期末試験終了 2

マーケティングは、Rogersというカナダ最大のケーブルテレビ会社が、1995年の段階でケーブル回線を利用した高速インターネット接続サービスを開始する際、まだ需要の見通しが明らかでない中で、ターゲットカスタマーをネットのヘビーユーザーに絞るべきか、それとも初めからより広いターゲットへの普及を図るべきか、その際プライシングはどうすべきか、という問題だった。需要予測や、それに基づくコスト計算、損益分岐点分析など、エクセルを駆使しなくてはならない極めて厄介なケースだった。

学生達は一様に厳しい表情でケースと格闘していたが、実は僕はこのケースをサマースクールで経験していた。当時の非アメリカ人ばかりのクラスメート50人余りがそのようなアドバンテージを得ていたことになるが、何しろその頃はまだプライシングの何たるかなど知らない状態だったので、それほど助けられたという訳ではない。しかし、問題文を読む時間で大きなハンディを負う我々非アメリカ人としては、多少気が楽になったことは事実だ。

しかし恐れていたとおり、この事実が試験後すぐに問題になった。再試験を求める一部の学生の声もあったが、結局そのような事態には至らず、試験は有効ということになった。と言ってもサマースクールの友人に聞くと、ほとんどが授業の結論などきれいに忘れてしまっており、騒ぐほどのことではなかった。しかし僕だけは、広告代理店出身で、しかも通常の代理店マーケティングの範疇外の極めて難解なケースだったこともあって、授業のエッセンスは鮮明に覚えていた。その意味ではやはり個人的には助けられたのかもしれない。

最後に生産管理の試験は、自動車のハーネスをエンジンルームと運転席を隔てる壁に通す際に使用する、グロメットと呼ばれる樹脂製のパッキンのような部品を生産する企業の話。既存のIHG方式と呼ばれるグロメットではエンジンルームの蒸気を完全に遮断することができないので、新たに開発を始めたRIM方式のグロメットの生産を検討した。詳細にわたるコスト計算におけるメリット、デメリット、その他の生産工程上のメリット、デメリットを比較検討し、この新製品の導入の是非を決定する、という問題だ。意図的に数値的な情報が不十分になっており、不親切極まりない。単純な投資リターンのファイナンシャルな問題にとどめず、工場生産における危機管理、企業戦略とのフィットなど、上位概念的な工場経営論を問うということなのだろう。

やはり日本人にとっては10ページにわたる複雑な内容の英文を読むことは大きなハンディになる。どうしてもアメリカ人の2倍近くの時間を割くことになってしまう。解答も1,500ワード、2,000ワード程度のものが求められ、ここでも同様のハンディを負うことになる。これらの読み書きを差し引いた残りの時間の中で、最終的にはアメリカ人と同レベルの評価にまでもっていくような課題解決をしなくてはならない。

ようやく終わった。21人の日本人で久しぶりに味わった一番搾りは格別だった。グラスが割れそうなくらいの勢いで乾杯をした。今日から3週間の冬休みに入る。妻と街を探索したり、映画を観たりと、やりたいことは山ほどある。しかし既に一教科につき厚さ8センチにも及ぶ来学期の授業のケースが配布されている。遊びだけの3週間というわけにはいかないだろう。

とにもかくにも、この日記に返って来られたことが一番嬉しい。皆さんの近況も読み漁りたいし、たまっていた話も少しずつ書き綴っていきたい。今日からはワイングラスをデスクにおきながらパソコンに向かう夜が続くことになりそうだ。

先頭 表紙

ナライフさん、せっかく学んだ勉強を、会社で戻ったときにどう活かせるかが今から心配です。本音は子会社の幹部とかやってみたいんですけどね。 / Hidey ( 2001-12-26 14:44 )
お疲れ様でした!!読んでいるだけでも脳がウニになってしまいました。 / ナライフ ( 2001-12-26 14:33 )
たらママさん、やはりこちらで大学院にいらしたのですね。何のお勉強をされてたのでしょうか?機会があったら是非教えていただきたいところです。結構英作文はさくさく書けるつもりでいるのですが、なにしろ周りの連中の知的レベルが高いので、日本人にしてはちょっとばかりできたつもりでも、彼らのハイレベルな言葉使いとそのスピードには到底かないません。 / Hidey ( 2001-12-23 19:36 )
Ecruさん、僕も点数のことは考えないようにしています。日記を書く間のないくらい別の意味で忙しい休みになりそうですが、やっぱり日記をつけることは格別の幸せですので、ひきつづきUPしていきたいと思います。 / Hidey ( 2001-12-23 19:30 )
みかりんさん、どんなにワインが好きでも、やっぱり打ち上げはビールですね!何度やっても「くーっ!」となってしまいます。みかりんさんももうすぐお休みですよね。本当に一年間お疲れ様でした。 / Hidey ( 2001-12-23 19:29 )
ガス欠コインさん、テストはもうしばらくいいです、という感じです。ガス欠コインさんも年末の追い込みで大変だと思いますが、今年は結構続けて休めるのでは?お互い一年間お疲れ様でした。 / Hidey ( 2001-12-23 19:26 )
パンドラさん、早速ワイン飲んでます。冬だし、映画などもたくさん観られるので、これからは赤も混ぜていきたいなと思っています。赤の場合はほんとにワインの質が問われるから、いいお店を見つけてこないと。パンドラさんも、年末だし、飲みすぎには気をつけてください。とりあえずカンパイです。 / Hidey ( 2001-12-23 19:24 )
lim.さん、ありがとう。相変わらず美味しいもの食べてますか?こちらも休みに入ってからは食生活が飛躍的に充実。ちょっと体重が増えてしまいそうで心配です。 / Hidey ( 2001-12-23 19:22 )
こんなにintensiveではありませんが、私も英語の分厚いテキストと格闘した米国大学院時代を懐かしく思い出しました。書く方は語彙がよほどなければ大変ですが、基本的には日本語の文章を書くのが得意な人は、英語の文章も(細かい文法ミスはともかく)割と楽に沢山書けるものです。要は考える力・文章にする力は語学とは別物だと思います。 / たらママ ( 2001-12-23 16:28 )
お疲れさまでした。わたしには問題読むので充分な試験です。なさけないけど、何点とれるか考えるだけでもおそろしいわ。3週間、たっぷりリフレッシュしてください。日記の方も楽しみにしておりますので。 / Ecru ( 2001-12-23 15:02 )
お疲れ様でした。頑張った後のビールは最高ですね!冬休み。。どうか楽しんで下さいね☆ / みかりん ( 2001-12-23 14:29 )
お疲れさまでした。う〜ん、課題を解決するというところに、この試験の異常なまでの難しさを感じます。加えて、言葉のハンディキャップ。Hideyさんも日常会話は完璧なのでしょうが、こういう試験となると、こっちの単語を使いたいのに思い出せないなどということもあったのではないでしょうか。まあでも、ほどほどに休んで、良いクリスマスと新年をお過ごしください。 / ガス欠コイン ( 2001-12-23 13:24 )
おつかれさまでした!! ハードな坂を登りきったあとの酒はしみます格別ですねっ!!^^ ワタシも海の向こうでHideyさまにカンパイ!! おやすみのあいだ、またHideyさまの日記楽しみにさせてね。白ワインの香りといっしょに^^ / パンドラ ( 2001-12-23 11:58 )
遅くなりましたが、試験ほんとにお疲れさまでした。奥様と素敵な時間をたくさん過ごしてくださいね。 / lim. ( 2001-12-23 02:28 )
akemiさん、ちょっとロマンチックなお話はご無沙汰になるかもしれません。授業で印象に残ったこととか、むしろお腹を抱えて笑ったこととか、いくつか書きたいことがあるのです。「ただいま」です。 / Hidey ( 2001-12-22 21:55 )
Rさん、いいですね、そのおフランスな「ヴァカンス」という響き。寒くても楽しそうです。絵のお仕事なのですね?僕も下手の横好きですがかつては描いたりしてました。Rさんのお仕事も是非拝見してみたいと思います。でもまずはごゆっくり! / Hidey ( 2001-12-22 21:53 )
Hirokoさん、日本でホワイトクリスマスって結構貴重ですよね。ボストンもHirokoさんが去ってから、また一段と寒くなりました。昨日は風も強く、街を歩くのが辛かったです。冬休みは既に満喫しています! / Hidey ( 2001-12-22 21:51 )
プルーさん、ホワイトクリスマス?本当ですか?それは嬉しい。結局クリスマスは妻の家族や妻自身の不安もあって、NY行きは控えることになってしまいました。トホホ。そちらは真賀砂州子さんもいらして賑やかなクリスマスになりそうですね。是非楽しんできてください。 / Hidey ( 2001-12-22 21:49 )
今宵もまた、ワイングラスを片手にロマンティックなおはなしを綴ってくださるのでしょうか。「お帰りなさい」 / akemi ( 2001-12-22 21:19 )
わたしも今日からヴァカンスです。なのに何故か手にはアトリエの鍵が…。最愛のパートナーと素敵な休暇をお過ごし下さい。 / R ( 2001-12-22 17:03 )
お疲れ様でしたー! いいですねぇ、ホワイトクリスマス。 今年は日本も雪が降りそうです。(ボストンよりこっちの方が寒い気がします) お勉強も大切ですが、楽しい冬休みをお過ごし下さいね♪ / Hiroko ( 2001-12-22 13:55 )
Hideyさんも楽しいクリスマスを。今年もしかするとホワイトになるかもしれないらしいです。楽しみ。 / プルー ( 2001-12-22 01:40 )

2001-12-21 期末試験終了 1

今日から冬休みだというのに早起きをしてしまった。いま、午前6時半。青みを帯び始めた空に、教会の尖塔が鋭い輪郭のシルエットを描いている。たなびく薄雲に微かな朱が挿す。今日も寒い一日になりそうだ。

8月27日に始まった学期がようやく昨日終了した。この月曜日から、リーダーシップ、アカウンティング、マーケティング、生産管理という順番で、一日につき4時間半の作文形式の期末試験が実施された。試験の終わった解放感にのって楽しい話題を提供したいところだが、自分の記録のためにも、今日はアカデミックな話に徹することにする。

試験はオープンブックと言われる形式をとり、教科書、ノート、他人の作った要約のコピーなど、何を開いても構わない。暗記力を試すのではなく、課題解決能力を試す試験だということだ。通常の授業と同じ「ケース」を読んで私見を論じる形をとる。うちの学校の膨大なケースコレクションから、10ページ程度のケースが選ばれて出題される。問題文はすべて、「○○氏はこの問題をどのように解決すべきか?」といったものである。分析より解決が求められる昨今のビジネスを反映したかのような、極めてストレートな出題だ。学生はケースを読み込み、考えを巡らせ、大まかな構成を考え、ノートパソコンに解答を打ち込む。時にはエクセルで細かい表計算をし、それも添付資料という形で提出する。

リーダーシップの試験では、ロープライス・スーパーストアという本来のアイデンティティを忘れ、高級志向トレンドに流されてどっちつかずの中途半端なポジショニングを占めるに至った、イギリスのAsdaという流通グループの話を取り上げた。トップが引責辞任した後に社外から抜擢された新任のチーフ・エグゼキュティブは、この問題をどう解決すべきか、といったものだった。まるでマーケティングの試験のようだが、ケースを読み込むと、組織論的な問題解決が極めて重要であることが分かる。この試験はネットに接続する環境があれば、家でも受験が可能という、テイク・ホーム形式だった。学生は午前9:00に一斉に問題をダウンロードし、午後1:30までに解答のアップロードを済ませる。この日は雪が降っていたので、テイク・ホームのありがたみが身に染みた。

アカウンティングは唯一この試験のために教授陣がミニケースを作成した教科だった。ひとつ目のケースは舞台興行を手がける企業の投資と回収において、先行投資をどのように資産化、減価償却すべきか、新しい劇場をリースする際の利息計算はどのようにすべきかなどといった問題。ふたつめのケースは、自動車のエンジンを製造する企業が、製造工程の変化に伴い増加してきた製造間接費を、より現実の作業内容に即して複数の製品に配賦するための方法論を求めるものだった。ABC(Activity-Based Costing)という、うちの教授が開発した有名なコスト計算方式を使わせる問題だ。

(つづく)

先頭 表紙

Hirokoさん、何度も失神しそうになりました(笑)。英語は不断の努力が大事。僕もこの休み中になまらないように、妻ともども勉強したいと思っています。 / Hidey ( 2001-12-22 21:47 )
akemiさん、つっこみの早さにびっくりしました!だって続編をUPしようとしてちょっとまごついてたらもうつっこみが入っているんだもん。日本も3連休のようで。よっしーくんはクリスマスに帰宅できたのですね。さぞかし幸せなクリスマスになってるのでしょうね。これから日記読ませていただきます。 / Hidey ( 2001-12-22 21:45 )
試験方式までなんか画期的なんですねー。 に、しても「正解!」っという答えのない問題のようで、 作文で(注:英語!!)答えるなんて、考えただけで失神してしまいそうです(笑)。 アジア人の英語は比較的聞き取りやすかった(と思ってる)んですけど、Hideyさんの英語はアメリカ人と同じくらい難しかったです。 / Hiroko@英語勉強中 ( 2001-12-22 13:48 )
ほんとにほんとにお疲れさまでした。我が家も幸せな週末を迎えています…。あたしは久々の夜更かし…あわてて寝ます。(笑) / akemi ( 2001-12-22 01:18 )

2001-12-11 学級崩壊

これまであえて書かなかったファイナンスの授業について書こうと思う。書くことを避けていたのは、ケースを読んでいても特に起死回生の逆転劇や、カリスマ的リーダーの天才的経営手腕といった、胸躍る内容に溢れる訳でもなく、極めて数値的で、日記で紹介するには面白味に欠ける内容ばかりだからだ。

今日あえてそのファイナンスに触れるのは、ビジネススクールにも「学級崩壊」が存在するのだと思い知ったからだ。もちろんそれは、キレた学生が授業を妨害して教授を困らせた、という話ではない。

ファイナンスとは、投資やリターンの現在価値、それに基づいたキャッシュフロー分析、ポートフォリオのリスク・リターン分析、ヘッジファンドの性質、意義などを学んだりする科目である。Σやら標準偏差やら共分散やらと数学、統計学を多用する授業で、干からび始めた脳みそにはいささかきついものがある。

そんな授業を教えるのは、ビジネススクールで教鞭をとるのは今年が初めてという、中国出身の若い教授だ。

どう言ったらあのカオスが理解してもらえるだろうか。ファイナンス系の仕事の経験があり、予習もきちんと理解したつもりで授業に臨んだ学生たちが、彼の授業によって混乱を深めて教室を出てゆく。まったく経験のない我々は、ただでさえ宇宙語の学習に等しいところに、彼のとりとめのなく脈絡も見出しにくい授業の進め方に、ただあんぐりと口をあけているだけである。

つまりは、うち独特のケースディスカッションという形式に固執する余りに、正解不正解を含めて極めて多岐にわたる学生たちの意見を余りにも尊重しすぎて、それらすべてを同等に扱って進行していくので、何が正しいのかさっぱり分からなくなる。解釈の違いによって解答が異なることも確かにあるが、それにしても標準的な解釈、正解をなかなか明示してくれない。ある説明と次の説明の間に必要なリンクが抜け落ちる。しかし我々も内容に今いち自信がないので、抜け落ちているのかどうかもその場ではよく分からない。

本人はとても謙虚で心優しい教授なので逆に始末が悪い。そして、誤解ないように言っておくが、うちのセクションの学生も極めて大人の連中ばかりである。かなり不満がたまり始めてからも、なんとか理解しようと努力したり、彼が初めて教えたケースのコピーにセクション全員のメッセージを寄せ書きして、フレームに飾ってプレゼントしたりなどした。

しかし、さすがにこれはやばい、ということになり、急遽セクションミーティングを開いて、教授の交代、別の教授による補講などを含め、学生側の希望を取りまとめた。各セクションには教授との橋渡し役を務めるアカデミック委員のような学生がおり、また、いわゆる担任にあたるセクションチェアーという教授もいるので、彼らが一緒にファイナンスのコースヘッドの教授に掛け合うことになった。

当の本人も含めて、極めて重苦しい議論が持たれたらしい。その結果コースヘッドが二度ほど授業を視察することになり、相変わらずの混乱具合に彼も頭を抱えるシーンがあったが、教授交代という事態にはならず、補講の機会も与えられなかった。結局ベテラン教授が彼に適切なアドバイスを与えるということでかたが付いてしまった。

仕方がないので学生の中でもファイナンスに理解の深い者が勉強会を開催してくれるなど、自衛手段をとることになった。僕も日本から持ってきたMBA本を頼りになんとかキャッチアップに努めている。

毎回、出席するのが憂鬱な唯一の授業。それがファイナンスなのだ。

先頭 表紙

peachさんこそお忙しい毎日でいらっしゃるのですね。でも、時には考える間もないほど忙しいのもいいかもしれませんね。この休みはやりたいことのリストがいっぱい。無駄なく時間を費やしていきたいと思っています。 / Hidey ( 2001-12-22 21:42 )
ゆーさん、ありがとう。ようやく解放されました。冬休み初日は、買ったばかりの車でボストン中を廻って、ペンディングになっていたいろいろな買い物をするなど、とても充実。妻も喜んでいました。これからはのんびりした日常生活もご報告させていただきます。 / Hidey ( 2001-12-22 21:40 )
PAOさん、先生でいらしたのですか!本当に臨機応変って大切なんでしょうね。大学院の教授だって、彼らの相対しているのは普遍的な学問だけでなく、変化に富んだ、生身の人間なんですから。ある学生が冗談で、「彼はうちの学校のリーダーシップの授業を取るべきだ」と言っていたのが思い出されます。 / Hidey ( 2001-12-22 21:38 )
ガス欠コインさん、そう、公正なところは否めません。それぞれ多様な背景を持つ学生の多角的な分析を求めることは、ケースメソッドの真髄で、それ自体は素晴らしいことなのですが、ファイナンスという、数値的な要素が多くて、「唯一の正解」がきちんと存在することの多い教科においては、正直ケースメソッドをどこまで遵守するか、学ぶほうとしては疑問を感じています。おっしゃるとおり、英断が求められることは多いのだと思います。 / Hidey ( 2001-12-22 21:35 )
りぃなさん、成績が全員A+というのは羨ましいですが、やっぱり何を学ばせてもらえるかが大事ですもんね。まあこの教授は不器用なだけで怠慢とかそんなところはないので、まだましとしますか。 / Hidey ( 2001-12-22 21:31 )
はるぴょんさん、おっしゃるとおり、いい人であることと、人を教える技術を有することは全然別ですよね。この先生の場合は、学生が今彼の発言にどう反応しており、どれほど理解が進んでいるのか、その辺の想像力が欠けているようです。ちょっとした授業中の彼の言動からも、ちょっと変わった人だな、と思えるところがあって、対人関係においての不器用さが授業のメソッドにも影響を来しているのではないかと分析しています。 / Hidey ( 2001-12-22 21:29 )
(lamanchaさんへつづき)こちらでもらっている教科書は非常に分かりやすく、quantitativeな部分の理解も大変進むのですが、現実の世界のケーススタディとなると、かなり教科書を越えた知識が必要になり、その辺のギャップを教授が以下に埋めるが肝要なのですが、この教授はその技術がまだまだということです。学校としては、授業ではquantitativeな部分をしっかり押さえて、take awayとしてはconceptualなところと、最低限のquantitativeを学べていればいいようです。 / Hidey ( 2001-12-22 21:25 )
lamanchaさん、たくさんのsuggestionありがとうございます。うちの授業はほとんどprerequisiteはありません。もともとがgeneral managementの学校なので、rule of thumbとまではいかないまでも、数値的な知識を超えたところの判断能力を培う部分が多いようです。僕は個人的にはcalculusは高校でやっていたんで、最低限の知識はあるのですが。。。 / Hidey ( 2001-12-22 21:18 )
makiさんこそ、財務関数の勉強までしてるなんて!大変ですよね。でも世の中の仕組みがちょっと分かるという点ではいい勉強になりますね。 / Hidey ( 2001-12-22 21:14 )
Hirokoさん、文学部で必須科目?それはすごいね。僕は統計学に関する最後の記憶は、中学だか高校だかで標準偏差を学んだことくらいでした。でもGMATという、ビジネススクール受験に必要なテストで、結構標準偏差に関する問題が出てくるので、何でかなと思っていたのですが、今ようやく納得しているところです。 / Hidey ( 2001-12-22 21:13 )
ナライフさん、本当に、教授からだけでなく、他の学生からも学ぶところの多い環境に感謝しています。教授も本当によい人なんですけどねー。日本からファイナンスの本を取り寄せようかとも思っています。 / Hidey ( 2001-12-22 21:10 )
おとじろうさん、ふと立ち止まると確かに憤りを感じるのですが、不思議な話、余裕がなさ過ぎて怒る暇もないというのが事実でした。それに僕は企業派遣なので自分のお金は払っていないのですが、確かに自費で来ている連中の怒り方は凄いものがありました。勤労学生でいらしたのですか。学ぶことの大切さを本当にご存知でいらっしゃるのですね。僕も改めて今の幸せな環境に感謝したいと思います。 / Hidey ( 2001-12-22 21:08 )
koedaさん、はじめまして。最近の日本の小学校の現状は実はよく知らないので、皆さんのつっこみを呼んで、なるほどと納得しています。唯一の正解のない教育も素晴らしいことだとは思いますが、理解の促進も大事。教えるって難しいことなんでしょうね。かくいう僕も、昔は真剣に教職を考えたことがあったのですが。 / Hidey ( 2001-12-22 21:04 )
たらママさん、yukiさんへのつっこみ返しでも書いたのですが、通常は研究と教えることのクォリティを両立させている教授が多いのです。でもようやく最近は彼もペースをつかめてきたようで、些事にこだわりすぎて脱線したりすることもなくなり、次の授業の要点を事前にメールしてくれるなど、わかりやすさが格段に進歩しました。あとは自分自身の理解度の問題です。 / Hidey ( 2001-12-22 21:01 )
フィー子さん、お陰でこの冬休みは復習もしなくてはならず、結構忙しくなりそう。妻の英語も見てあげることになってるしね。旦那と一緒によいクリスマスを! / Hidey ( 2001-12-22 20:58 )
yukiさん、このファイナンスの教授はともかくとして、こちらの大学院の教授の、教えることに関する質の高さには、日々感動を覚えます。日本の大学などでは、その道の研究の第一人者であれば、教授は教えることの技術は期待されていないのとは大違いです。学問的にだけでなく、人間的に学ぶところが多く、しかもしゃれが通じて学生とのインタラクションを楽しんでしまうこちらの教授たちには、本当に感謝しています。 / Hidey ( 2001-12-22 20:57 )
たまたまさん、先日の生産管理の授業はちょっと消化不十分だったと思うので、たまたまさん得意の数学を駆使するファイナンスの授業を見てもらってもよかったかもしれないね。ようやく教授もしっかりしてきています。チケットはどうなったのかな? / Hidey ( 2001-12-22 20:53 )
akemiさん、学生同士で教えあうのは、交流が進んだりと、意外な副産物を生みました。時間がない中、クラスメートのために簡単なテキストを作ったりと、彼らの「分かち合う」ことを尊ぶ姿勢には感銘を受けました。 / Hidey ( 2001-12-22 20:51 )
パンドラさん、とても考えさせられるつっこみ、ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思う。我々学生側も無駄にする時間などまったくない中で毎日勉学に励んでいるわけですから。でもとりあえず今は冬休み。久しぶりにのーんびりしています。 / Hidey ( 2001-12-22 20:48 )
オフ会の報告、ドキドキです!(笑)  奥様と素敵なHolidayを過ごして下さい♪ / Hiroko ( 2001-12-21 14:42 )
あぁ〜ヤッパリ!Hidey様もお忙しくなさっていらっしゃるのですね。。。ご心配を頂いていた私の方は、今日何とか日記をアップ出来ました。あの時の事が嘘のように、忙しい毎日で、愉しく賑やかにしています!!これからもどうぞ宜しくお願い致します。 / peach ( 2001-12-21 11:39 )
Hidey様、試験お疲れ様でした!!!奥様と御一緒に、楽しい冬休みの始まりですね! / ゆー ( 2001-12-21 09:36 )
つっこみをくださった皆さん、お返事ができなくて申し訳ありません。現在期末試験中につき、12月20日にはすべてから解放されて冬休みに入りますので、もうしばらくお待ちください。そんな中、昨日はHirokoさんがボストンに来てくれたので、たまたまさんとそのお友達と5人で第3回ボストンオフを決行しました。その様子はまた後日アップさせていただきます。 / Hidey ( 2001-12-15 23:02 )
私も人にものを教える仕事をしてますが、状況判断をし、臨機応変に相手をリードしていくことの大切さを感じています。 / 走る酔人(PAO) ( 2001-12-15 22:01 )
僕もパンドラさんに一票。いろいろなことがあるなと思いつつ、公正さも感じます。でも、すべての意見を尊重していたら、確かに収拾がつかなくなる。英断が必要ですよね、時には。 / ガス欠コイン ( 2001-12-13 12:13 )
そういう事もあるんですね・・・。うちも、先生が怠慢で学級崩壊、っていう情けないことがありました。今は院生を教えてるんですが・・・。首にならないのが不思議。。 / りぃな/成績は全員A+でした ( 2001-12-12 15:49 )
数字で分析するから、ある程度の方向性があるような気がするのですけどね。その先生もあまり確信がないのでしょうか。面白そうな授業のような気がするのに、、残念ですね。 / プルー ( 2001-12-12 02:37 )
教鞭をとるのが初めて、ということを考慮したとしても、それ以前の段階で人に教えるのにむいてない人っていると思います。もちろん人間性とは何の関係もなく。 / はるぴょん ( 2001-12-11 22:24 )
以下はquantitativeなぶぶんが「宇宙語」、つまり混乱の一大原因と仮定して書きましたが、よく読んでみると、quantitative 以外の所でも問題がありそうですね、その授業… / lamancha ( 2001-12-11 17:44 )
数学科の教養課程にあるような基礎科目を履修せずしてFinanceの授業でいきなり、quantitativeなアプローチをすると言うのは講義の設定自体、かなり無謀に感じます。しかも、先生は新任!コースのコンセプトを変えてもらうか(例えばanalytical→rule of thumb形式に変更するとか)、数理のクラッシュコース(もしくは、チュートリアル)をMath DepartmentかMITあたりで受講させてもらう事は出来ないのかしら?高い授業料が無駄になりますわ。でも時間的にもう、それどころでは無い? / lamancha ( 2001-12-11 17:20 )
理数的思考はステップを踏まないと大変ですね。Prerequisiteはシラバスに明記されていないのでしょうか?書店で見る入門書をみても、Statistics(特にStochastic Process)やDifferential Equation(←コレを理解するにはCalculusを知っている必要があるわね)の知識が無いと、例えばポートフォリオのリターン最適化(←さらに、これにはCalculus of Variationの知識もいりま砂)など、どうやって理解するのだろうかと逆に不思議です。 / lamancha ( 2001-12-11 17:10 )
ファイナンス。文字だけでもイヤな感じがしちゃいます。駄目ですね、これじゃ・・・(苦笑) / maki ( 2001-12-11 16:29 )
ひぇ〜、「統計学」!! もうやりたくありません!!( 泣) 文学部で必須科目だったなんて......。 あ、そうそう、席とれました!! よろしくお願いします!! / Hiroko ( 2001-12-11 15:44 )
さぞやその先生も初めてということで混乱されたのでしょうね。それにしても学生の方々の軌道修正やキャッチアップに向けての意欲と実行力、団結力は凄いですね。あっぱれです。 / ナライフ ( 2001-12-11 13:46 )
自分でお金を払って受けた講義がそのような状態だと、「金返せ」と訴えたくなりません?勤労学生の頃何度も思いました。 / おとじろう ( 2001-12-11 13:43 )
小学校の学級崩壊の原点もそこにあると思います。子供たちの意見を尊重する「総合教育」の誤った認識のために正解を出しても他の意見を求めたり、出揃った意見に対してなんのコメントもしないという授業を見たことがあります。せめて模範回答くらい必要ですよね。 / koeda ( 2001-12-11 10:00 )
それは教える人の力量不足、習うことと教えることは別物ということですね。ビジネスの世界ではワケのわからないプレゼンをすると客から2度と相手にされない、ということをその先生は理解なさるべきでしょう。 / たらママ ( 2001-12-11 09:32 )
あちゃー。いろんなことがあるんですねえ・・・。 / フィー子 ( 2001-12-11 09:32 )
小学校の学級崩壊だって、同じ理由で起こるんだと思う。先生と生徒が授業を共有できないのは悲劇。(もちろん、先生だけに問題あるケースばかりじゃないけど)いい人、ということと、向き不向きとは別だもんね。 / yuki ( 2001-12-11 09:24 )
へーー、そんな大変な事業があるんですか??すごい。。でも、その統計学とかって確か私の専門科目だったような、、、数学科、統計確率だったので、、、そうそう、遅くなったけど授業まだ見に行くチャンスありますか? / たまたま ( 2001-12-11 08:29 )
う〜ん、本当だ!パンドラさんに一票。この若い教授がいい人だ、というのがなんとも…。学生同士でフォローしあうことでまた別の学習効果があったらいいけれど…。 / akemi ( 2001-12-11 07:26 )
Hideyさま、こちらは朝なのよ、おはよう^^ 教える側も教わる側も闘いなのですね・・・お勉強の濃度やその高さをしみじみと思い知らされます。でも、ビジネス界のリーダーを育てる場所、教える側の試行錯誤は許されないようにも思う・・・・そんな時間は、今の時代、もうないような気がします。 / パンドラ ( 2001-12-11 06:04 )

2001-12-09 初雪

「ねえ見て、雪だよ」
買い物に疲れて夕寝をしていた僕を妻が起こした。驚いて目をこすって外を見ると、確かに向かいの家の屋根や駐車場の車に、うっすらと雪が積もっている。街を歩きながら「今日は寒いね」などと話してはいたが、まさか雪になるとは思っていなかった。数日前には日中の気温が摂氏20度に達し、先週の土曜日には多分それ以上の陽気で、そこら中で半袖の服を見かけていたので、驚きはなおさらだった。

昼間は妻と一緒に、ダウンタウンへ買い物に出掛けた。ベッドルームに妻専用の小さなデスク兼コンソールが欲しいというので、街一番のショッピングストリート、Newbury Streetを中心に、いくつかの店をあたることにした。Newbury Streetには、瀟洒な煉瓦造りの建物が東西に見渡す限り建ち並び、その一階や半地下、半二階の部分に様々なブティックが収まっている。ファッション、雑貨、オープンカフェ、有名ブランドショップなど、思いつく限りのあらゆるビジネスが、小ぢんまりと店を構える。建物とブティックの、新旧の調和が美しい。クリスマス前の装飾や人の賑わいが、街に仄かなぬくもりを与えていた。

難なく手頃なナチュラルウッドのデスクを見つけた。妻と別れ、僕は予約を入れていた美容院へ行く。若い日本人の従業員ばかりの店で、日本人の髪質にあったカットをしてくれる。腕も非常によいし、シャンプー後のマッサージも嬉しい。妻はその間、同じ通りでもまだ足を踏み入れていないエリアを探索していた。

T(ボストンの地下鉄)に乗って、大型モール、Cambridge Galleriaへ向かう。妻が映画を観ながら英語の勉強ができるよう、DVDを買うことにしていた。こちらのレンタルビデオ屋では、DVDレンタルは当たり前なので、ソフトには事欠かない。年末の買い物で家電売場は普段以上にごったがえす。DVDは日米の規格が異なり、ボストンにいる残り1年半しか使わないため、ソニーの一番安いモデルを購入した。ソフトも一緒に売っていたので、妻は大好きなリチャード・ギアの“Pretty Woman”とディズニーの“Snow White”を選び、僕はまだ観ていなかった“Chocolat”を買った。

夕寝から目覚めて、DVDをテレビとミニコンポに接続し、早速“Pretty Woman”を再生してみた。サブタイトルと一時停止、リワインド機能さえしっかりしていれば、英語学習には問題ない。画像も美しく申し分ない。妻は早速夢中になって画面に見入る。“Pretty Woman”は、彼女は何度も観ている映画なので、英語のサブタイトルがあれば充分理解できる。ハリウッドならではのお伽噺だが、害はないし、悪くない。ジュリア・ロバーツがまだ初々しい。妻は既に軽い夕食をとってしまっていたようなので、僕はいつものスパゲッティ・アレ・ボンゴレをつくって食べた。

映画が終わって窓から外を見下ろすと、本格的に雪が降り積もっていた。5センチくらいというところだろうか。街灯のオレンジ色の光が雪の舞う大気と白く覆われた地表にはね返り、夜をセピア色に染めていた。音もなく、いよいよこの街に冬が訪れた。雪国の夜は明るいのだということを、僕は久しぶりに思い出した。

先頭 表紙

わかなちゃんがこちらに帰ってくる頃はもっと寒くなってるかな。冬休み初日の昨日の朝も、一瞬雪がちらついたもんね。どうやらホワイトクリスマスはなさそうな雰囲気だけど。学校が休みの分には雪が降るのは楽しいので、ちょっと期待しています。 / Hidey ( 2001-12-22 20:45 )
まぁなんと美しい文章・・・。 / わかな ( 2001-12-16 14:50 )
lim.さん、僕も冬に関しての意見はおおむね同じです。もっと言えば、部屋であったかくして朝から雪見酒というのが一番いいですね。何年か前に東京でドカ雪が記録的な被害をもたらした成人の日は、そんな風に楽しく過ごしました。 / Hidey ( 2001-12-11 05:31 )
reiさん、ほんとに異常気象でしたね。雪が降ってからは連日すっかり寒くなりました。そろそろ自転車通学も終わりかな。そうなると20分歩いていくことになるかも。バスが通っているのですが、特に冬になるとどれくらい時間がかかるか読めないようなので。 / Hidey ( 2001-12-11 05:29 )
りるりるさん、冬を脱して南国へいったことはありますが、夏の国から厳冬へ行くのって想像したこともありませんでした。でもそうでもしないと確かにスキーはできないですよね。気をつけて楽しんできてください。 / Hidey ( 2001-12-11 05:27 )
りぃなさん、そちらはもうかなり降っているのでしょうか?まあ、せっかくだからクリスマスには雪があってほしいけど、うちの妻はホワイトクリスマスなどどうでもいいようで、ただただこれ以上寒くならないように、雪が降らないように祈っているようです。 / Hidey ( 2001-12-11 05:25 )
たらママさん、一昨日の雪は早速人の手により溶けてしまいましたが、今後降り続くと、3月までずっと積もったまま溶けないそうです。かつてもっとすごいメイン州で10ヶ月過ごしたので、何となく勝手は分かっているのですが。 / Hidey ( 2001-12-11 05:23 )
ナライフさん、気合よりも家族よりも、もしかしてそろそろ忘年会で大変なのでは? / Hidey ( 2001-12-11 05:21 )
ガス欠コインさん、まだボストンに来てから高いところに登ったことがありません。今度是非最上階にジャズバーがあるというプルデンシャル・タワーに行ってみたいと思います。 / Hidey ( 2001-12-11 05:20 )
パンドラさんの言葉はいつも心に積もる感じがします。残念ながら僕のそばにいてくれる人は、そんなロマンチックな言葉は決して使わないタイプの人なのです(笑)。 / Hidey ( 2001-12-11 05:19 )
akemiさん、昨日妻とも話していたのですが、不思議なことに街を歩いている限りは、外国という感じはもうしないのです。自分の住処があるというのは大きなことですね。でも、セピア色の雪の夜を見ていたときは、ああ、ボストンなんだな、と実感しました。 / Hidey ( 2001-12-11 05:17 )
寒いのは苦手ですが、雪が大好きな私。東京もこの二日ほど冷え込んで、ホワイトクリスマスが期待できるかもしれません。雪が降る直前の静けさが良いですね。 / lim. ( 2001-12-10 15:11 )
今年の冬はやけにあったかくて気味が悪いなー、と思っていたら最近こっちも寒くなってきました。奥さんと素敵な時間をエンジョイしてくださいね。 / rei ( 2001-12-10 12:16 )
レンガ造りの街やオレンジの街燈。ボストンの雪景色を想像してうっとりしてしまいました。我が家は年末、スキーのできるリゾート地に行く予定もあり、「寒いのはちょっと。」なんて思っていましたが、急に楽しみになってきちゃった。(笑) / りるりる ( 2001-12-10 12:11 )
そちらも雪が降ったんですね! 雪を見ると、何だか心も気持ちもはしゃいじゃいます。いい時間をお過ごしになられたようで、こっちも心が暖かくなりますv / りぃな ( 2001-12-10 11:17 )
高緯度ですよね。雪は相当積もるのでしょうか。 / たらママ ( 2001-12-10 09:47 )
前回とはガラッと変わって、心に染入るお話。うーむ、これからの1週間、気合入れるのもいいが、ゆっくり家族と過ごそうっと。                     / ナライフ ( 2001-12-10 09:36 )
そうか、今頃だったか。意外と遅いんですね。僕が10数年前に行った時は3月の始めで、2日目は猛吹雪。意を決して、あの有名な展望台に行ったら、「視界0マイル」という看板を、スタッフの女性が微笑みながら指さしてくれたのを思い出しました。急に可笑しくなりました。とにかく本当に寒いでしょうから、体には気をつけてください。 / ガス欠コイン ( 2001-12-10 01:28 )
雪につつまれると言葉がしんしんとココロにつもるかんじがするね。そんなとき、そばにいてくれるひとがいたら、いいな。そうっとひとひらの言葉さしだしてみせるの。 / パンドラ ( 2001-12-10 00:02 )
外国での暮らし…。素敵な夢物語を読んでいる気分。情景の浮かぶ文章はとっても心和みます。あたしは結構、雑貨好きなのでどんなのがあるのか見てみたいな〜。置かれているお店も含めて。。  もしかして改善されつつあるかもね>偏見!(爆) / akemi ( 2001-12-09 23:15 )

2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 4

営業としての僕の仕事は、再び来日したカレンの信頼を得ることだった。「教えてもらう」姿勢をアピールし、一つひとつうちの戦略を事前に見せ、その妥当性を確認してもらった。意見の相違もあったが、我々がいかなる科学的根拠からメディアプランを提案したかも知ってもらった。何度も彼女と話をするうちに、確かな信頼が生まれ、こちらも彼女の深い洞察を謙虚に受け止めた。

第2次プレゼンでは、神田うのを捨てつつも、日本市場では不可欠なテレビCFは固持し、その代わり彼女が固執する雑誌メディアも充実を図った。かつて雑誌局に在籍した僕の経験が生き、年間6ページの広告出稿に対し、4〜6ページのアウトレット取材記事をサービスしてもらうよう各誌に交渉。さらにボリュームディスカウントも得て、投下金額の2倍以上のスペースを確保した。懸案のブランド提案も、より顕著で明快な形に書き換えた。

忘れもしない、2000年3月26日。温かい小雨の降る丸の内をカレンとともにスターバックスに向かう道すがら、彼女から正式に扱い決定の返事をもらった。彼女の好きなキャラメルマキアートをポケットマネーでご馳走したことは言うまでもない。

それからの御殿場のサクセスストーリーは皆さんも知るところだろう。7月13日、御殿場インター付近は朝から記録的な渋滞となり、広い広いアウトレットは瞬く間に人の波で埋め尽くされた。結局年間200万人の動員目標に対し、600万人の動員を達成。一大アウトレットブームの火付け役となった。

カレンとはその後もさらに信頼を深め合い、よい関係を結んだ。僕の留学に際しても、担当を外れることを惜しんでくれつつも、心のこもった推薦状を書いてくれた(ビジネススクールの入学には推薦状が不可欠)。各校に必要な小論文でも、この日記に書いたような話を多少アレンジして提出。いくつかの論文の課題の中でももっとも自信のある内容になった。

日本の消費文化が我々の仕事によって多少なりとも変わってきたのかどうかはまだ分からない。欧米有名ブランドは、日本の消費者からはまだまだ搾取できると考えており、御殿場も本場と比べると絶対的にバリュー感が低いことは否めないし、出店自体を固辞するブランドも多い。しかし、2年のときを隔てて目にしたボストン郊外のPremium Outletsに、プレゼンで掲げた社会的使命は実現されて然るべき正しいものだと、このたび改めて実感した。

先頭 表紙

わかなちゃん、先日の忘年会、楽しかったね。今ごろはもう日本かな。ゆっくり日本の冬を満喫してきてください。冬になると急に和食が懐かしくなる。海鮮ものが美味しい季節に帰られて、羨ましいです。 / Hidey ( 2001-12-22 20:43 )
ゆーさん、冬の御殿場は寒々しいですよね。ゆーさんの基準ではそれほど買うものがないというのは分かる気がします。一度オープンしてしまえばあとは入っているテナントのブランド勝負。これからあの店がどのように価値観を維持していいくのか、外側からじっくり見てみたいと思っています。 / Hidey ( 2001-12-22 20:41 )
Hideyすごい!是非マーケティングについていろいろ教えてください。 / わかな ( 2001-12-16 14:46 )
御殿場、いつだったか、雪の降る季節に行ってしまいました。もうすごい人出で、駐車場がすごく遠かったのを覚えています。シャトルバスも帰りは雪の中のろのろ運転で、駐車場まで40分くらいかかったような・・・。冬の御殿場を舐めていました・・・。帰りは私が運転する約束だったのに、雪の中は不安なので、結局オットが往復運転!!!でも、ゴルフウェアが安く買えたので、オットはごきげんでした。自分のものはあまり買わず、オットのものはほとんどアウトレットで済ました私は鬼嫁??? / ゆー ( 2001-12-12 10:31 )
りぃなさん、わざわざ過去日記を読んでくれてありがとう。今はとにかく日々やるべきことに追われて、大きなステップになっているのかなっていないのかよく分からない状態です。でもはじめはこんな授業ついていけないと思っていたのに慣れてはきているので、どこかしら進歩はしているのかな? / Hidey ( 2001-12-11 05:15 )
たらママさん、東名が空いていると、都心から1時間ちょっとで着いてしまうんですけどね。最近は近場でそこそこのブランドが入っているアウトレットも多いですよね。 / Hidey ( 2001-12-11 05:13 )
ナライフさん、生々しすぎてゴメンなさい。こうして書いているともう一度営業をやってみたいと思ってしまいますが、そういうわけにはいかないでしょう。果たしてどんなところに収まることやら。。。 / Hidey ( 2001-12-11 05:12 )
例の過去の日記、見ましたよ。本人にお会いになった上に、コンサートまで行かれたんですね!びっくりしました。今回のこの話、とても印象に残りました。誠意を尽くして頑張れば、何でも出来るんですね。Hideyさんなら、この留学も大きなステップになると思います。また経験談を読ませて下さいね! / りぃな/感動中・・・ ( 2001-12-10 11:29 )
当初、御殿場とはまた遠くて不便な所だな、と思っておりましたが、都心にできない理由を見て納得いたしました。・・・でも御殿場、遠いです。行きたくても時間もないし。泣く泣く近場で定価で買うしかない? / たらママ ( 2001-12-10 09:46 )
非常に刺激になる文章、有難うございます。今、こちらは月曜の朝、始業時刻前ですが、これからの1週間に気合が入ります。うーむ、実に生々しい… / ナライフ ( 2001-12-10 09:34 )
Ecruさん、嬉しい言葉をありがとうございます。今のところブランドのプレスティージにおいては軽井沢プリンスのアウトレットのほうが進んでいるようですね。プラダやフェラガモも入ってますし。でも雰囲気や、非日常性、非国内性を求めるなら、絶対的に御殿場のほうが優れています。買い物に関しては余り期待しないで、1.5流品をかなり割安に買えることに期待するくらいで行っていただけると、満足いただけるかと思います。 / Hidey ( 2001-12-09 22:50 )
れいじくん、こちらこそ、君のサクセスストーリーを聞きたいくらいです。忘年会でもしてゆっくり話したいね。エッセーは苦しみました。自分の体験をビジネススクールの欲する観点で客観視するのがなかなかできなくて、プリンストン・レビューの先生に随分助けられました。 / Hidey ( 2001-12-09 22:47 )
プルーさん、Woodburyはいつもいつもご利用いただいているようで、ありがとうございます(笑)。日本経済への貢献は大げさですよ!逆にあの仕事からは個人的に学ばせてもらったところが非常に大きいです。今度NYのチェルシーGCA本社も訪ねてみたいと思ってみます。 / Hidey ( 2001-12-09 22:45 )
ガス欠コインさん、僕は物欲の亡者ではないけど、自分の経済力の許す限り、自分にとって心地よい、自分の趣味にあった世界をつくることを欲する人間です。自分のスタイルとテイストにあった空間作り。これは広告業界で学んだことです。第2次プレゼンは僕は毛頭下りるつもりはなかったのですが、管理職となると、人材の投資とリターンの管理が重要なので、難しい決断だったと思います。 / Hidey ( 2001-12-09 22:43 )
フィー子さん、アウトレットは都心には成立し得ないのです。出店する企業としては、都心のデパートの目と鼻の先で同じ商品が半額になっていたりしたらビジネスにならないわけで、あえて都心から1時間以上の場所に置くことによって、いいブランドも入りやすくなるのです。その辺の理由がもっと理解されれば、距離の問題も多少は払拭されるのでしょうが。 / Hidey ( 2001-12-09 22:39 )
パンドラさん、いつも過分なお褒めのお言葉、恐縮です。小論文を書いていたときは、夢をかけた仕事を綴りながらも、「これはきれいごとなのだろうか」と自問したりもしましたが、こちらに来てからは、企業にとってビジョンやミッションがいかにビジネスにおいても倫理においても重要であるか、日々痛切に感じています。 / Hidey ( 2001-12-09 22:36 )
akemiさん、業界人嫌いの偏見は少し直してくださいね(笑)。特にうちの会社は半分以上はとてもまともな人だから。僕もブランド自体には余り興味がないのですが、やはりいいものはいいブランドのものが多いのも事実ですね。 / Hidey ( 2001-12-09 22:32 )
俺様様、いや、僕が作ったわけでは全然ないんですけどね。クライアントが作ったのです。マーケティング上のアドバイザーというだけですね。御殿場はまだちょっとアメリカと比べるとスケールが小さいので、今後に期待したいところです。 / Hidey ( 2001-12-09 22:30 )
しゃむさん、特に外資の日本法人は親会社と微妙な関係にあったりするので、第三者の僕の存在は多少のヘルプになっていたようです。カレンは、12年の広告生活を通じて、もっともバランスの取れた、聡明なクライアントのひとりでした。 / Hidey ( 2001-12-09 22:27 )
Hirokoさん、ビジネススクールの授業でも、日本の市場の特殊性は時々ケースの中で描かれます。簡単な描写なので、理解してもらおうとするとさらに説明が必要なのですが。H堂で働いてらしたんですか!ライバル企業はとても気になるもの。社員の方とも話してみたかったし、Hirokoさんからも様子が伺えれば嬉しいです。 / Hidey ( 2001-12-09 22:24 )
御殿場のアウトレット、がぜん行ってみたくなりました。Hideyさんの仕事の進め方の日記は本当に刺激になります。冷静な分析と、熱い気持ちが両方感じることができて。素晴らしい結果でよかったですね、おめでとうございます。 / Ecru ( 2001-12-09 10:46 )
こんな大きな成功体験があったら、エッセイ書くの楽だろうなあ。 / れいじ ( 2001-12-09 09:53 )
日本人だって、安くブランド物が買えるのなら、アウトレット絶対いける筈。それがわかるのもNYのウッドベリー間違いのない観光名所ですもの。Hideyさんて、日本経済にとても貢献してるのね。あらためてすごい人だなと思いました。 / プルー ( 2001-12-09 09:43 )
お金の使い方って、その人の人生に対する価値観が現われているような気がします。カレンとの溝を埋められたことが、Hideyさんの今の人生に関わっていることを思うと、降りなくて良かったですね(笑)。 / ガス欠コイン ( 2001-12-09 09:26 )
いいものを安く、は永遠ですね(笑)。車を持ってないので御殿場は行ってないんだけど・・・。都心にも作って〜 / フィー子 ( 2001-12-08 19:04 )
こうやって夢はカタチになっていくのかあ・・・と思いながら拝見しました。でもそういうおシゴト、というだけではなく、それに真摯に取り組むHideyさまの姿に打たれているんだろうなあ、と思います。どういう職種、というよりも、どのように自分をその夢に賭けていくのか。・・・ほんとうに素敵です。 / パンドラ ( 2001-12-08 18:08 )
キャラマキで落としたのか〜(笑) あたしはメジャ〜が苦手マイナ〜好みなんだけど(芸能人とかギョ〜カイの人とか大嫌い!世間に認知されていない中でスゴい人、モノが本物と思ってる)Hideyちゃんのスケールのでかさには感服した。ブランド物にも興味ないので御殿場は行ってないけど。。(笑) / akemi ( 2001-12-08 15:56 )
Hideyさんは御殿場アウトレットを作った方だったんですね!できた当時、やっと日本にもこういう大型アウトレットができたかー!と、嬉しく思いましたよ。 / 俺様 ( 2001-12-08 15:43 )
アメリカの成長企業であるチェルシーのディレクターに推薦状を書いてもらうなんて、大きなことですね。なかなかないことですよ!それだけHideyさまが信頼を得ていたという証拠ね。 / しゃむ ( 2001-12-08 14:56 )
日本人のマーケットって、確かにちょっと独特のものがありますよね。 私が働いていたシドニーの某ブランドショップの店長ともよく日本のマーケットとか流行とかの話をしたけどわかってもらえませんでした。私の拙い英語力のせいかなー・・・・。 広告の仕事って、面白いでしょうね。「H堂」でバイトしてた時も社員がみんなイキイキしてました。 / Hiroko ( 2001-12-08 14:50 )

2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 3

不平不満は大いにあった。第一に、現場のクライアントからは、先述のとおり、とにかくキャンペーンの目的は200万人を動員することに尽きると聞いていた。しかも、我々もブランドについて考えていなかったわけではない。先述のミッション提案に加えて、プレミアム・アウトレットの提供すべきブランド価値もマーケティング提案の中で語っていた。ファッション性の高いクリエーティブ提案も、ブランドなくしてはありえない。

何より、日本で初めての本格的なアウトレットモールという新しい価値を伝え、大々的なオープン告知を実施することが先決であり、ブランドの比重は2年目以降、徐々に重くしていけばよいと考えていた。限定的な予算の中では、せめて2年目以降のブランド展開のベースになりうる質の高いクリエーティブのトーンの中で、最大限新登場感を伝えることが、大量の情報がだらだらと消費されてゆく日本の市場性では肝要だった。

要するにカレンはアメリカでこれまで何年も展開してきたブランド戦略・戦術をそのまま日本に置き換えたかったようだった。神田うのではなく、西洋人のモデルを起用、テレビではなく雑誌を多用し、オープン告知を減らして継続的な展開に資本投下したいということだった。これはあとから知ったことだ。

彼女は自社ブランドに関しては並ぶ者のないプロかもしれないが、日本の市場性、メディア特性については、こちらもプロとしての自覚がある。しかしカレンはプレゼン後一旦帰国してしまい、直接彼女を説得ができないことがもどかしかった。

結局1ヶ月ほど無為な時間が過ぎ、クライアントから、前回のプレゼンテーションに参加した代理店ではうちの会社だけを残し、さらに3つの別の代理店を連れてきて、4社競合の第2次プレゼンをしたいと言われた。よほど降りようかという話もあったが、乗りかかった船でもあり、上司の判断で、継続参加することになった。

(つづく)

先頭 表紙

2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 2

しかも、正直限定的な予算の中で、それも首都圏の旺盛な消費意欲に充ちたヤング女性層を御殿場に向かわせるには、相当な話題性を喚起しなくてはならない。キャンペーン予算の半分強を、オープン告知に割いてもよいくらいだ。一気に認知を高めて行動へ導くにはテレビ媒体が最も効率が高い。雑誌でのPRも効果的だが、予算を考えると余り手広くやってはいられない。さらに効率論を突き詰めると、メジャー感があり、テーマ性に合致するタレントを起用することで、相乗的なキャンペーンの軸が定まり、費用対効果も高まることが実証されている。ショッピングの代名詞、神田うのを、決しておちゃらけた形でなく、あくまでスマートに、ファッショナブルに起用することを提案した。

これらの正攻法とは別に、営業としてはどうしたら競合10社に勝てるのかを冷静に分析する必要があった。予算的限界の中で最大の効果を導くには、クライアントの強みやうちの会社のネットワークをてこにして、費用対効果の高いタイアップを実現することが望ましい。こればかりは社内に担当者がいる訳ではないので、営業の僕が自ら動き回らなくてはならなかった。

まずは個人的なコネクションを頼りに、大手旅行代理店に話を持ちかけた。高い集客性をアピールして、アウトレット体験ツアーを組み、参加者には、さらに安い買い物ができるクーポンブックを提供することを提案した。「是非やりましょう」と、拍子抜けするくらいの即決。味をしめた僕は、箱根エリアに多くの拠点を持つ超大手百貨店系のリゾート開発会社、富士エリアの有名な遊園地、御殿場エリアを網羅する交通網を有する大手私鉄、そしてJR東海とも交渉、すべて好意的な返事をもらった。御殿場にも実際に足を運び、地場のホテル、ゴルフ場とも交渉して、タイアッププランの内諾をもらった。

そして、決定的とも言える戦術を考えた。これらのキャンペーン効果と、御殿場の集客性を数値化して、大まかな動員予測をするというものだった。かなり難題ではあったが、韓日ワールドカップの動員予測などを手がけたその道のプロの会社に相談し、足りない情報は独自の調査によって補足、うちの媒体効果予測システムもフル活用し、約320万人の動員見込みという、非常に綺麗な数字を叩き出した。

果たしてプレゼンは圧勝であった。しかし、それはあとから成績表を見せてもらって知ったことで、実際は予定の日を過ぎても一向に結論が出ない。親しくなった現場のクライアントに探りを入れたところ、クライアントの日本人スタッフは全員うちの会社に投票したものの、最大のキーパーソンである、アメリカ本社のマーケティング・ディレクターのカレン女史が、どの代理店も期待はずれということで、投票を棄権したという。その結果、記録上は勝ったものの、扱いはペンディングという事態になった。

何が期待はずれなのかと問い詰めると、「どの代理店も、日本市場におけるプレミアム・アウトレットというブランドの浸透・確立を提案してくれていない」とカレンが嘆いていたということだった。

(つづく)

先頭 表紙

2001-12-08 御殿場プレミアム・アウトレットの思い出 1

前回の日記にも書いたボストン郊外のWrentham Village Premium Outlets。僕はちょうど2年前の同じThanks Giving Weekendに、同じ場所を訪れていた。当時、全米20店のPremium Outletsを運営するチェルシー社は、2000年7月に海外一号店、御殿場プレミアム・アウトレットの出店を決定しており、その後も日本各地でのチェーン展開を予定していた。御殿場の立ち上げ及び今後のマーケティング・プロモーション戦略についての競合プレゼンテーションにうちの会社も参加することになり、外資クライアントということで、僕が担当営業になった。早速ニューヨークのWoodbury CommonとボストンのWrentham Villageを視察することになったのだ。

稀に見る11社競合プレゼンテーションという規模にも関わらず、勝った場合もそれほど巨額の扱いを得るわけではなかった。しかし、ドメスティッククライアントにはめっぽう強いものの、外資系クライアントとなると負けが混んでいたうちの会社としては、扱い金額に関わらず、今回はどうしても勝ちに行きたいという意図があった。僕はといえば、他のクライアントの海外作業は担当していたものの、これだけ大掛かりな競合プレゼンは初めての経験だった。

クライアントのチェルシージャパンは、キャンペーン目標はただひとつ、年間200万人の動員を達成することとしていた。しかし、ニューヨークとボストンで各店のジェネラル・マネジャーをインタビューし、日本とは大きく異なるショッピング文化を目の当たりにした僕は、もっと大きなミッションがあるのではないかと思っていた。

ブランドのネームバリューのためなら、言いなりに高額の支出をする多くの日本の消費者に対し、あくまで自分の生活様式に照らし、その商品がどれだけの価値を有するかを見定めて、購入の是非を決定するアメリカの消費者。10万円払ってまでバッグを買うことにどれだけの意義があるか、同じ10万円を使うなら、例えばカルチャースクールに通ったりするほうが余程リターンの大きい自己投資になるかもしれない。でも、10万円が5万円に下がれば、投資とリターンは釣り合いが取れるかもしれない。ブランドにコントロールされるのではなく、ブランドを自分の価値観によってコントロールするスマートな消費者。そんな消費者を後押しする、破格のバリューを提供するアウトレットモールが、プレミアム・アウトレットだと感じた。

しかし、そんなおカタい話とは別に、ショッピングには、癒し効果、自己実現効果が確かに内在する。独特のストレスに充ちた日本の社会では、それは一種の精神性を伴う社会的活動でもある。特に出口の見えない不況に苛まれた世紀末においては、100円ショップに足を向かわせる倹約精神よりは、リーズナブルな価格で好きなブランド商品が三つ買えてしまうというポジティブな価値変換が消費者の心をつかむのではないか。

こうしたアメリカ的な賢明なショッピング、日本独特のショッピングの悦びを融合させて、“Joy of Smart Shopping”というコンセプト・ワードを開発した。この新しい概念によって、日本のショッピングスタイルを大きく変えることが、クライアントの社会的使命になるのではないかと考えた。

(つづく)

先頭 表紙

プルーさん、んー、でも消費の中心は若い女性ですからね。相対的には余り変わっていないのかも。おっしゃるとおり、経済がよくなるのは嬉しいことなのですが。。。アウトレットはその意味では、経済にも貢献しつつ、まともな価値観にもかなう、接点でありソリューションであるかもしれませんね。 / Hidey ( 2001-12-09 23:18 )
パンドラさん、"Joy of Smart Shopping"は、インナーの言葉なので、コピーとして使ったわけではないのですが、今後もずっと使っていけるコンセプトだと思っています。もしまだなようでしたら、是非御殿場も一度いらしてみてください。 / Hidey ( 2001-12-09 23:15 )
Hirokoさん、僕は10万円あったら、美味しいものを食べまくるかもしれません。バッグや服は絶対買いません。 / Hidey ( 2001-12-09 23:13 )
今は日本も一部の若い女性と裕福層を除いたら、消費に対して結構堅実ではないでしょうか。もっと沢山の人が消費してくれたら、日本経済ももっと明るくなるでしょうね。アメリカ人は堅実ですが、この不景気な世の中、失業率も高いのに、皆クリスマスショッピングしてアメリカ経済助けているようです。もっともセールやアウトレットショッピングしてるはずですけど。 / プルー ( 2001-12-09 09:37 )
"Joy of Smart Shopping"!! ぐっとココロが動きましたよ!^^ / パンドラ ( 2001-12-08 18:01 )
10万円あれば・・・・、私なら旅に出ます。 10万円のバッグは買わないだろうなー・・・・。 / Hiroko ( 2001-12-08 14:37 )

2001-12-02 アウトレットショッピング

Thanks Giving Weekendの土曜日、メイン州から一度アパートに戻ったあと、すぐに再び車に乗って南に40分、Wrentham Village Premium Outletsに向かった。旅行好きの女性の方はご存知かと思うが、ここはNY郊外にあるWoodbury Common Premium Outlets、ハワイのWaikele Premium Outlets、LA郊外のDesert Hills Premium Outletsと同じ系列のアウトレットモールだ。

ご存知ない方のために解説すると、例えばWoodbury Commonの場合、200を超えるブランドがそれぞれの店を構えて運営する、ワンブランド・ワンショップ型のアウトレットモールとなっており、いわゆるセレクトショップ、ディスカウンターとは異なるものだ。Woodbury Commonにはシャネル、プラダ、グッチ、ジョルジオアルマーニといったトップブランドが入っており、60%、70%オフは当たり前といった具合である。日本からも毎年大勢の観光客が詰め掛ける。

アメリカではThanks Giving Weekendがクリスマス商戦の始まりで、あらゆる流通小売店が一斉に一大セールを開始、メディアは怒涛のキャンペーン合戦で飽和状態になる。朝のニュース番組でも、早朝5:00からの時間限定特別セールのために徹夜で並ぶ人々、開店と同時に殺到する人々をフィーチャーしたりしていた。

そんな週末に、たまたまレンタカーがあったというだけで我々もアウトレットに行くことになった。少し時間をずらして行ったつもりが、巨大な駐車場は満車状態で、空きスペース探しに随分うろうろした。

御多分に洩れずショッピング好きの妻も見る見る表情が明るくなって、広い敷地を闊歩する。彼女は全くブランド崇拝主義的なところがなく、あくまで自分の趣味にあったものだけを厳選する。その探し方はプロフェッショナルで(女性は皆そうなのかもしれないが)、店に入るや否や歩きながらさっと左右を見渡して、すぐに獲物に照準をあわせたり、「ここはダメ」と見切ったりしてしまう。そのすさまじいサーチ能力は、いつも僕にターミネーターを思い起こさせる。

僕はファッションのショッピングはそれほど好きではないのだが、迫り来る厳しい冬に備え、結構真剣に色んな店を廻ることになった。一旦買うとなると自分にあうものを探すのには結構妥協しないのだ。

結局、冬服が少なく必要性に駆られた僕と、アメリカンテイストに簡単に妥協することができなかった妻の差が出て、僕のほうが買い物が多くなってしまった。僕はカルバンクラインのセーターを二着、ヒューゴボスのダウンを一着、ティンバーランドのちょっとかわいいグローブを一組、ハッシュパピーズで売っていたハーレーダビッドソンブランドのショートブーツを一足購入。妻はナインウェストで、もともと半額くらいになっていたシューズが、“Buy one, get one free”(一足買えばもう一足は無料)になっていたので、ブーツを買って靴を一足ゲット。それとは別に靴をもう一足買った。その他にも、バス用品などをいくつか購入。気がつくと4時間くらい経っていて、ふたりとも結構疲れてしまった。

妻にしては結構少ないショッピングに、感心感心と思っていたら、翌日ボストンきってのファッションストリート、Newbury Streetでアルマーニのコートを買われてしまった。「私のお金で買ったんだからいいでしょ。それに今日だけのセールで安かったんだから」と言われたが、結局懐は一緒。とても喜んでるので、まあいいか。

先頭 表紙

ボストンからも、NYからも戻れないのでしょうか?別の都市をボストンから日本へ帰るなら、シカゴ経由で帰ったり、NY経由で帰ったりもできますが。。。とにかく事態が好転するよう、お祈りいたします。 / Hidey ( 2001-12-09 22:21 )
Hideyさまー。。。 日程が変更になり、AIRがWLになってしまいましたー。。。 まだ取れませーーん。 友人がコネを使って直接交渉してくれているのですが・・・・。あーーん。 / Hiroko ( 2001-12-08 14:22 )
↓Toフィー子さん。 / Hidey ( 2001-12-08 14:19 )
分かるような気はするけど、僕には全くそういうこだわりはないなあ。物欲も、食欲も、性欲も、優雅に充たしていれば、傍から見ても素敵なものではないかな? / Hidey ( 2001-12-08 14:18 )
Ecruさん、かっこいいかどうかは別にして、長々つきあわされるよりはいいですね。でもアウトレットではEcruさんのワードローブに値するようなものは少ないでしょうね。 / Hidey ( 2001-12-08 14:16 )
みかりんさん、いつもいつも仲睦まじいわけではないのですが、確かにこちらに来てからは、お互い助け合って仲良くしている感じです。でも一歩間違えるとストレスが喧嘩に拍車をかけてしまうと思うので、いろいろ気をつけています。 / Hidey ( 2001-12-08 14:14 )
しゃむさん、確かに女性の七不思議のひとつです。僕もインテリアや本屋などではかなりはまってしまうんですけどね。 / Hidey ( 2001-12-08 14:13 )
りぃなさん、こちらは昨日まではバカ陽気で風を切って自転車で走っても温かいほど。今日はようやく冷え込んできましたが。お互いもうひと頑張りですね。 / Hidey ( 2001-12-08 14:11 )
lim.さん、つっこんでいただき、光栄です。僕も気ままな学生。アルマーニなどびびって着られません。(まあ、それほど興味もないしね)でも、お父様、ダンディー!(思いっきり死語)という感じですね。修論頑張ってください。 / Hidey ( 2001-12-08 14:10 )
ナライフさん、お元気そうで何より。やはりお宅もターミネーター。奥さんは喜ばせてあげるのが一番。NYにも連れてってあげてください。 / Hidey ( 2001-12-08 14:08 )
プルーさん、うちの妻の趣味はかなり難しくて、ミラノのモンテナポレオーネやスピガなどを全部見て歩いても、全然無名の店でバッグをひとつ買っただけだったりするのです。4時間廻ったのは、かつてのクライアントだったから。その話は後ほどアップします。 / Hidey ( 2001-12-08 14:06 )
たらママさん、確かに、日本はGDPも二期連続マイナスで、こちらのメディアでもいよいよリセッションとの記事が出始めています。愛子ちゃん景気も株価には影響なしで、かなりがっかりしてます。 / Hidey ( 2001-12-08 14:04 )
りさ子さん、そのとおり、兄弟店です。大阪のりんくうプレミアム・アウトレットもね。その話はこれからアップします。 / Hidey ( 2001-12-08 14:00 )
mignonneさん、妻もこの日記を読んでるので、大変困ってしまいました。間違いなくmignonneさんのつっこみに大きくうなずいてました。 / Hidey ( 2001-12-08 13:59 )
peachさん、その後はお元気ですか?いつもの明るく楽しいお話を楽しみにしてます! / Hidey ( 2001-12-08 13:57 )
Rさん、たしかに広くて、ちょっと建物も寂れた感じが否めませんね。ボストンのWrenthamは、もう少し小ぢんまりとして、大変瀟洒な感じがするところです。ヨーロッパはやはりファクトリー型ばかりなのでしょうか? / Hidey ( 2001-12-08 13:56 )
Risaさん、ターミネーター2号ですか?怖い怖い。Woodburyはまともに見ようと思ったら一日では無理ですよね。でもターミネーターなら大丈夫かな。 / Hidey ( 2001-12-08 13:55 )
りりさん、ぶるぶるぶる。安くない安くない。余りめったなことを書かれると妻が反応してしまいます! / Hidey ( 2001-12-08 13:53 )
たまたまさん、商社の社販は色々あっていいでしょうね。うちの会社も数は多いけどろくなのがなかった。 / Hidey ( 2001-12-08 13:53 )
パンドラさん、こちらもボーナスが下がってしまうようで、余り景気よくお金は使ってられません。ターミネーターさんにも少しモードを変えてもらわないとね。 / Hidey ( 2001-12-08 13:51 )
akemiさん、もうちょっとの我慢で買い物三昧ですか?僕も別の意味で(学校以外は)外出したくてもできない日々が続いています。元町で怒鳴ってしまうところはさすがですね(笑)。 / Hidey ( 2001-12-08 13:49 )
ゆーさん、フライトアテンダントの方は昔からよくご存知の場所ですよね。でもちょっとやっぱり日本人のテイストとは違ったような気がしましたが。 / Hidey ( 2001-12-08 13:47 )
ちえちゃん、普段は広いだけにゆったりと買い物ができますよ。でもちえちゃんが行くならやっぱりボストンのレンサムよりはNYのウッドベリーのほうが楽しめるでしょうね。 / Hidey ( 2001-12-08 13:46 )
恐らくHidey妻と同じくアメリカンテイストの服に魅力を感じないのだけど、東側はきっとヨーロッパ系の服もいっぱいあるのね。実はお買い物好きだしモノにこだわる方なんだけど、なんとなく夫にさえそういう部分って根本的には見せたくないんです。変かな。物凄くお金持ちだったら買い物なんてしてませんってふりしたいんだけど(笑)。前に北野武が食事をしてるところを見せることは性的なことを見せることに等しいと言ってたけど買い物もちょっとそういう類な気がしてしまうの。やっぱり変かしら? / フィー子 ( 2001-12-07 23:09 )
夫も友達も買い物につきあわされると目が死んでしまいます。奥様の買い物ぶり頼もしいですね。ターミネーターなんて、かっこいい。わたしはすぐに混乱するので、だめだわ〜。 / Ecru ( 2001-12-06 23:30 )
ほんとに仲睦まじくて。。素敵なご夫妻ですね。。奥様がキラキラと輝いて見えます☆ / みかりん ( 2001-12-05 20:44 )
女性って自分の色のものはわかるの、不思議ねえ。クリスマスショッピングも始まってすごい混雑していたんでしょうね。私は平日に勝負! / しゃむ ( 2001-12-05 05:58 )
女の人にとって、ショッピングはいいストレス解消なんですよね。何時の間にかワタシもそうなってました。。前回のつっこみ返しでは、嬉しいお言葉をありがとうございましたv 出来るなら、ワタシも是非お会いしてみたいです。奥様にもv寒さも予定も厳しくなってきますが、お身体にお気を付けて! / りぃな@これからもう一頑張り ( 2001-12-04 13:32 )
はじめてつっこみに来ました。ターミネーター(笑)。私もそうかもしれません。アルマーニかあ。気まま学生の私には縁遠いものですが、父がアルマーニのコート愛用しています。軽くて品も良いんですよね。奥様もお喜びのようで、良かったですね。 / lim. ( 2001-12-04 12:28 )
ご無沙汰してしまいましたが… ついこの間、妻がWaikeleでターミネーターになっていました。その間、私は子供の相手でした。妻はWoodburyにも行きたい、と申しております…  / ナライフ ( 2001-12-04 11:40 )
ウッドベリーはヨーロピアンブランドが充実してるから、奥様もお気に召すかもね。4時間もお買い物ができるなんて、Hideyさんも十分お買い物素質あり?!かしら。 / プルー ( 2001-12-04 00:25 )
Xマス商戦、思ったよりも順調な出だしでしたね。今週ついにエンロンが倒産、大型倒産の余波に揺れているのはアメリカ本国よりも日本だったりして。 / たらママ ( 2001-12-03 23:12 )
やっと入れました!御殿場のってハワイのと兄弟?なのかな? / りさ子 ( 2001-12-03 12:15 )
そうよ、アルマーニのコートくらい安いもんよ!!(笑)<ピーコ風 「ターミネーター」、きっとうちのオットも大きくうなずくことでしょう・・・。 / mignonne ( 2001-12-03 11:11 )
Hidey様、どちらにつっこんで良いのか解らなかったの。。。ご免なさい。本文とは違う内容なのだけれど、とっても嬉しかったわ。お祝いのメッセ〜ジを頂けた事。本当にどうもありがとうございました。後程ゆっくりと帰って参ります。。。 / peach ( 2001-12-03 08:19 )
ウッドベリー、わたしが行く時は何故かガラガラに空いてました。買い物はしやすいけど、あの広さで人が少ないとゴーストタウンみたいでちょっと怖い。 / R ( 2001-12-03 03:19 )
きゃ!Woodbury Common!私の友人はそこに行く為にだけ(?!)日本から年に2度ほど私のマンハッタンのコンドに泊まりにきてました。 一度あそこに行くともうお洋服を含めブランドものは定価では買えませんわね。私、ターミネータ-具合ではHidey様の奥様に負けませんわよ!(競ってどうする…) / Risa ( 2001-12-03 02:02 )
楽しそうなショッピング光景で、こちらまでウキウキしちゃいそうです。奥様の笑顔が見られるなら、アルマーニなんて安いものですよね!? / りり ( 2001-12-03 00:37 )
アルマーニのコート??すごーーい。自分なんて、社割でたまたまみつけたアルマーニのコートが90%引きだったのでなんとか買えたけど、普通に買えるなんて、、、、ブランド物は会社でしか買ったことありません、、、(笑) / たまたま ( 2001-12-03 00:12 )
ワタシも「ターミネーター」に大ウケです♪ ああキモチいいお買い物風景^^ ・・・・(今は自分のおサイフはアア考えない考えたくない^^;) / パンドラ ( 2001-12-02 21:07 )
特別安くなくたって、もちろんブランドものでなくってもいいの!あたしはショッピング、いやおでかけがしたいのよう〜!…って、ここでゴネてどうする!(泣笑) ターミネター笑った!子どもが繰り返し見るんだな〜、コレ!初々しいカップルだわね〜。うちは一緒に買い物なんかに行ったら絶対、喧嘩!元町で「もう、ついてこないで!好きなとこ行きなさいよ!」と大声で怒鳴ったっけ…。 / akemi ( 2001-12-02 20:57 )
ところでここで言うのもなんだけれどメールアドレスがわからなくなっちゃったの。私はかわり無いのでなにか送って下さい〜 / Chie ( 2001-12-02 20:55 )
最後の1行に愛を感じます〜〜。ウッドベリーコモン、懲りもせず、朝からバスに揺られて何度か行ってみました。一人だと、結構財布の紐は固いのですが、一緒に行く相手がお買い物好きだったら、もう大変、つられちゃって、つられちゃって・・・。 / ゆー ( 2001-12-02 20:37 )
ウッドベリーコモン行きたいの!前にサンノゼに行った時(!)にいったアウトレットは日本人がいないし空いててゆっくりショッピング出来たけれど、そこはどうなの?いいな〜! / Chie ( 2001-12-02 20:28 )

2001-12-01 Thanks Giving Weekend 2

夕方、4人で再び車に乗り、ロブスターを買いに行った。妻も楽しみにしていたので、僕が言い出して、お金を払った。夏と違い、より味の深いハードシェルのロブスターが出ており、一匹1.25ポンドで5ドル少々。世界中の海老の王様、メインロブスターが丸一匹600円少々だ。妻も初めて見る生きたロブスターに興奮気味だった。

ロブスターの作り方も教わった。大きなポットに約1リットルの水を入れ、1ティースプーンの塩を加えて沸騰させる。ロブスターを尻尾からゆっくり入れて蓋をし、20分ほどボイル。沸騰水が吹き零れないように注意。いたって簡単だ。最後に流水で5分ほど冷やすということだったが、これには食後、僕も妻も、「自分達でやるときはやめておこう」ということで一致した。

Momが用意していた溶かしバターでいただく。僕は子供の頃シーフード一般が苦手だったが、高校時代にこのメインロブスターを食べたことによって、認識が変わった。この日のロブスターも、Dad、Momも「これは久しぶりに極上」と太鼓判を押すくらい、感動的においしかった。妻も心の底から大満足だった。

セブンイレブンで買ってきた安い白ワインがまわり、少し感傷的な会話になった。高校生の僕を、文字通り無償の愛で包んでくれたDadとMom。決して裕福な家庭ではないのに、何の報酬も得ることなく、僕にアメリカ人の生活を体験させてくれた。

その甲斐あって多少なりとも英語が身につき、それは就職においても、仕事上でも、大きな武器になった。当時のうちの社長は国際化戦略を最優先しており、採用においても英語力が重要な判断基準となっていた。営業になってからも、クライアントの海外事業を担当したり、新規の外資クライアントを担当したりと、英語が僕固有の大切な価値となった。そして今回の留学も同じだ。社内選考、各校の面接を通じ、最後まで高校時代に身に付けた鎧が僕を守ってくれた。その鎧はDadとMomの手製のものだった。

妻のために日本語に訳しながら、そんな話をした。Momは少し涙ぐんでいた。

妻が持参したデジカメでいくつか写真を撮った。もともと機械に強いものの、ITにはさすがに疎いDadは、初めて見るデジカメ画像に驚嘆していた。撮った画像がその場で見られ、ネットを通じてすぐにどこにでも送れること、プリントもできることに感嘆していた。

あとでMomから聞いた話だと、このクリスマスプレゼントの選択肢のひとつとしてDadにパソコンを購入することを考えているという。もうそれほど自由に外に出てゆくことができないDadが、家の中で新たに熱中できるものを買ってあげたいというのだ。その際には多少なりとも手伝えればと思っている。

土曜の朝、別れを告げてボストンへ向かった。この春に免許を取ったばかりの妻が、取得後初めての運転ながら、自ら運転したいという。バックもおぼつかない妻をMomが遠くから心配そうに眺めていたが、一応このとおり無事である。100マイル(160キロ)の道のりを結構ぶっ飛ばして帰った。途中猫の死骸を避けようとして時速120キロで急ハンドルを切られたときは肝をつぶしたが、とにかく独力でアパートにたどり着いた。

新しい日々に一つひとつ努力しながら挑み、徐々に自信をつけてゆく。そんな妻の姿を見るのはこの上なく嬉しい。挑む対象は夫婦で異なるが、同じ姿勢で毎日を生きていければと思っている。


先頭 表紙

しっぽなさん、それは大変。ロブスターよりはカニのほうが始末が悪そうですね。気をつけます。 / Hidey ( 2001-12-08 14:20 )
ちえちゃん、こっちにきてくれたらごちそうするよ!フィー子さんは難しそうだけど、何とか来てもらえると嬉しいな。旦那さんとNYでも来がてら足を伸ばしていただくというのはどう? / Hidey ( 2001-12-08 13:44 )
蓋するまえに大脱走だったのですよ〜〜〜隙間や物陰に逃げ込んでとっても大変でした・・・・ / しっぽな ( 2001-12-02 21:35 )
おおーーロブスター好きの私はよだれが出ちゃう!! / Chie ( 2001-12-02 20:56 )
Rさん、僕は詰まるところ単純でお気楽な人間なので、Rさんの脱いでしまった鎧の重さとか、なかなか想像ができていないのだとおもいます。でもRさんも今歩まれている道は、捨て去ったものがあっての道なのではないかと拝察します。僕はRさんの、生きていることの重みが感じられる言葉が好きです。これからの日記も楽しみにしています。 / Hidey ( 2001-12-02 20:04 )
ガス欠コインさん、僭越ながらガス欠コインさんはご自分にふさわしい道を選ばれたのではないかと思います。それだけ誇りを持って仕事をされているのでしょうね。一度お仕事も拝見してみたいと思います。頑張ってください。 / Hidey ( 2001-12-02 19:59 )
プルーさん、今度はスチームしてみます。やはり僕は生粋のシーフードフリークではないので、せっかくのメインロブスターも、バターの助けがあったほうがいいようです。大好きなスパゲッティ・アレ・ボンゴレも、いざアサリの身を食べるときは、よっぽど小ぶりでよっぽど新鮮でないと、ほんとに美味しいとは思えないんですよね。 / Hidey ( 2001-12-02 19:57 )
Ecruさん、今のところ、二人ともとても充実した日々を過ごしており、とても楽しくやってます。これから3週間ほど期末試験に向かって大変なのですが、何とか両立していきたいと思っています。 / Hidey ( 2001-12-02 19:54 )
しっぽなさん、這い出たカニがキッチンを歩き回るシーンを想像して爆笑してしまいました。大事なアドバイス、ありがとうございます。でも蓋をすれば大丈夫かな。 / Hidey ( 2001-12-02 19:52 )
ゆーさん、目が飛び出ました。10センチくらい。ちょっと解像度が低かったようでくすんだ写真になってしまいましたが、これからデジカメの撮り方も研究したいと思います。余り写真には頼りたくないんだけど、写真があったほうがいいときは、入れていきたいと思います。 / Hidey ( 2001-12-02 19:51 )
Hirokoさん、ありがとう。14日はこちらも楽しみです。妻はまだ来るかどうか聞いてないけど。まあ、暇だから来るんじゃないかな。アメリカン航空、今は逆に厳戒態勢でいつもより安全度が増しているのではないでしょうか?でも無事は祈ってます! / Hidey ( 2001-12-02 19:49 )
PAOさん、ありがとうございます。暖かい眼差しにさせてくれる人が、メイン州にはたくさんいるのです。 / Hidey ( 2001-12-02 19:47 )
フィー子さん、ちょっとそれはドキドキ。ちえちゃんの日記にも書いたけど、フィー子夫はこの際見捨てて、5、6月頃にでもボストンに来ませんか?もちろんワールドカップ前ですが。妻が死ぬほど楽しみにしてます。もしご都合がつけば、ということですが。 / Hidey ( 2001-12-02 19:46 )
akemiさん、そのヤル気がとってもうれしいです。僕もこれから3週間ほどは期末試験に向けて泥沼の日々が続きますが、何とか乗り越えたいと思っています。 / Hidey ( 2001-12-02 19:43 )
パンドラさん、そういっていただいて嬉しいです。妻は日記をつけたりなど絶対に考えられない人なので、その分僕が少しでも記録できればと思っています。心温まる出会い。。。これからもいっぱい欲しいですね。 / Hidey ( 2001-12-02 19:40 )
わたしはせっかく作ってもらった鎧も、重さに耐えかねて脱いでしまったのかもしれません。 Hideyさんはもちろんのこと、奥様も頑張っていらっしゃる。尊敬します。 / R ( 2001-12-02 06:24 )
歩んだ→選んだです。 / ガス欠コイン ( 2001-12-02 05:36 )
Hideyさんのモチベーションが一層高まっていくのを感じます。そう言えば、僕も就職の折、英語学科出身を活かして、とある代理店の国際局勤務という研修前に異例の内定を貰ったのを思い出しました。でも僕は制作者になりたく、最終的にその話しをお断りしてコピーライターの道を歩んだのです。それから、僕は独身なのでうまく言えませんが、あなたのパートナーに本当に敬意を払わずにいられません。ますます頑張ってください。僕は僕の道で頑張るだけです。 / ガス欠コイン ( 2001-12-02 05:34 )
んー素晴らしいサンクスギビングだったようですね。素敵な奥様に、素晴らしいホストペアレンツ。ターキーは大勢でたべるとおいしいですよね。そしてメインのロブスター、、とてもおいしそうです。今度茹でずに、蒸してみてはいかが、海の味がそとに流れていかないので、味が凝縮します。 新鮮なロブスターは、何もつけなくてもとてもグッドです。 / プルー ( 2001-12-02 03:35 )
奥様への愛情がたくさん伝わってきました。お互いに個として自立しつつ支えあっていけたらいいですよね。 / Ecru ( 2001-12-02 00:16 )
PC購入のお手伝いが出来ると良いですね。私は生きた蟹を茹でる時、沸騰したお湯に入れようとして失敗したことが・・・茹でられまい、と蟹はお鍋から這い出してキッチン中に!!生きていたらお水からでいいのだそうです;; / しっぽな ( 2001-12-02 00:04 )
120キロの急ハンドル、、、想像してしまいました!!!何を?もちろん、冷静沈着なイメージのHideyさまの目が飛び出ているシーン!Hideyさまの文は、画像無しでも、十分思い描けていましたが、画像がつくと、更にパワーアップですね! / ゆー ( 2001-12-01 23:44 )
そうそう、アメリカン航空でNYに入るので、無事に着くように祈っておいて下さい(笑) / Hiroko ( 2001-12-01 22:50 )
本当にHideyさんの日記は優しい人柄が滲んでいるというか、目に浮かぶような文章で大好きです。 14日の件、お忙しいのに時間を割いていただきすみません。 とーーーっても嬉しいデス。 たまたまさんには早速メール出しておきました。 ちょっとドキドキワクワク♪です! ところで奥様にもお会いできるのでしょうか? / Hiroko@多謝 ( 2001-12-01 22:34 )
Hideyさんの、奥さんをはじめまわりの人たちに対する暖かい眼差しに私の気持も暖かくなりました。 / 走る酔人(PAO) ( 2001-12-01 22:12 )
今後はHideyの様子も、Hidey妻からメールで聞きまっせ〜♪ / フィー子 ( 2001-12-01 22:10 )
あたしも自分の「鎧」に磨きをかけよう!なんだかヤル気が沸いてきたぞ!(*^.^*) / akemi ( 2001-12-01 22:05 )
今、できること、しなければならないことに全力を尽くす!奥様も頑張ってますねえ。あたしもたまった伝票整理に追われています。2ヶ月分仕上げるぞ〜! / akemi ( 2001-12-01 22:03 )
Hideyさまと一緒に、奥さまも毎日をがんばっていかれるその風景までも、こんなふうに見せていただけて、とってもうれしい^^ 心からエールを送ります。Hideyさまのまわりには、心あたたまる出会いがたくさん集まるのですね。 / パンドラ ( 2001-12-01 21:49 )

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