himajin top
Hideyの「蛍の光の下で」

帰国に伴い長い間ご愛読いただいたこの日記を終了させていただきます。
もうこのサイトに文章を綴ることはありませんが
もしこの先もおつきあいいただけるようであれば
メールをいただければ幸甚です。
皆様、本当にありがとうございました。お元気で。

絵日記

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2001-10-24 Priscilla Ball
2001-10-24 世界最高の生産方式
2001-10-20 後藤久美子さんのこと 9
2001-10-20 後藤久美子さんのこと 8
2001-10-20 後藤久美子さんのこと 7
2001-10-15 後藤久美子さんのこと 6
2001-10-15 後藤久美子さんのこと 5
2001-10-15 後藤久美子さんのこと 4
2001-10-13 後藤久美子さんのこと 3
2001-10-09 後藤久美子さんのこと 2


2001-10-24 Priscilla Ball

ところで、トヨタ・プロダクション・システムを学んだこの日はPriscilla Ballというフォーマルなパーティーがあった。フォーマルとは言え、男性は皆女装しなくてはならないという異常なパーティーだった。Priscillaというのは、同名のオーストラリアの映画からとったもので、その映画は、女装した男性3人の珍道中を描いたものなのだそうだ。ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、僕は全然知らなかった。

僕はそのパーティーのチケットを買っていなかったが、クラスメートが企画した、Pre-Priscilla Partyという小パーティーに参加した。同じクラスの女の子が、自宅にPriscilla Ballの出席者を集めて、メイクを手伝ってやるというのがそもそもの目的だったのだが、クラスでも僕を含め半分以上いたPriscilla Ball不参加者も、仲間の女装姿を肴に軽く飲めるようなパーティーにしたいということだったので、僕もカメラをもって参加した。

いま、ひまじんに写真をアップできる態勢にないことを感謝しよう。とにかく醜くおぞましかった。手元にごつい男達の女装写真があるが、これらの写真を僕は二度と見ることはないだろう。まあ楽しかったからよかったんだけど。

だが、白状しよう。高校時代の僕の特技は女装であった。別に女装が趣味なわけではないが、とにかく誰も男だとは分からないのだ。劇やら文化祭のコンテストやらで女装をさせられたことがあり、悪乗りしてそのままクラスメート(含フィー子夫)と街を歩いたりカレー屋に行ってしおらしくチキンカレーを注文したりしたが、誰も不審に思わないのだ。

もういい歳こいてそんなことは二度とすることはないと思っていたが、後日Priscilla Ballの盛りあがり方を聞き、来年は行ってみようかとひそかに思う自分が怖い。

しかしもっと怖かったのは、あのパーティーの日、夕闇に紛れながら、けばけばしい衣装をまとった、体躯のたくましい大勢の「淑女」達がキャンパスを徘徊しているのを目撃したことだった。ああ怖かった。

先頭 表紙

Hirokoさん、連続3回というのは凄いですね。いい映画らしいので、是非見てみたいと思っています。 / Hidey ( 2001-10-27 22:50 )
ナライフさん、情けない話をご披露してしまいました。Halloween、雰囲気を感じたいのですが、狭い勉強部屋ではあまり感じられないのです。今夜はパーティーに行ってみようかな? / Hidey ( 2001-10-27 22:50 )
浪花撫子さん、その小耳情報、ちょっと怖い。さすがにそこまでしてやってしまうのは嫌ですよね。しゃれになる程度でないと。。。(僕のはしゃれだったのか?) / Hidey ( 2001-10-27 22:49 )
みなみさん、いつか、そのうち、できれば、ね。 / Hidey ( 2001-10-27 22:48 )
Ecruさん、はじめまして。11年前に仕事でイタリア各地を40日廻って以来、そう思うようになりました。今は料理など、着々準備中です。 / Hidey ( 2001-10-27 22:47 )
はるぴょんさん、実はひそかに気付かれていて、何も言えなかったというのだと怖いですよね。 / Hidey ( 2001-10-27 22:45 )
Hirokoさん、忘れた頃にUPします。 / Hidey ( 2001-10-27 22:39 )
makiさん、むしろニキビがいつもどこかにできていた昔よりは、オヤジになった今のほうが肌自体はきれいかも(?) / Hidey ( 2001-10-27 22:38 )
yukiさん、そんな方だったのですか!?でも是非見てみたいです。いずれオフででも写真を見せ合いましょう。 / Hidey ( 2001-10-27 22:36 )
Rさん、ほんとにいい映画らしいですね。いずれ機会が会ったら是非見てみたいです。(来年パーティーに行く前に参考にするかな?) / Hidey ( 2001-10-27 22:35 )
ガス欠コインさんの渋い文章からは想像もできない女装姿。。。ちょっと見てみたい気もします。 / Hidey ( 2001-10-27 22:34 )
パンドラさん、あまり美しい想像をつくりすぎないでください。いずれ会うときに困ってしまう。。。 / Hidey ( 2001-10-27 22:33 )
みかりんさん、当時の写真はボストンにはないのです。残念ながら。妻が持ってきてくれたりしたら、ちょっと検討してみます。(でも、こんなことを妻に頼む僕って一体。。。?) / Hidey ( 2001-10-27 22:31 )
りるりるさん、そう思います。なんだかんだでみんな化けててうれしそうだった。僕はどうしようかな。。。 / Hidey ( 2001-10-27 22:29 )
akemiさん、自営のおじさん、怖いですね。うーん、たまたま氏と写るのもとっても怖い気がするのでやめておきます。(笑) / Hidey ( 2001-10-27 22:28 )
プルーさん、そう、Halloweenなんですよね。ちょっと勉強ばかりであまり考える余裕がありませんでした。でもパーティーがいくつか予定されてるので、ひとつくらい行ってみようと思います。 / Hidey ( 2001-10-27 22:26 )
たまたまさん、歩いてました。(嘘)ぜひまた会いましょう。ちょっとここのところMid-term examが相次いで余裕がないのですが、余裕ができたらそのうちお知らせします。 / Hidey ( 2001-10-27 22:24 )
TAKEさん、正直見たくない!(笑)アメリカ人できれいな顔立ちをしている男もいるのですが、どうしてもおぞましくなってしまうんですよね。 / Hidey ( 2001-10-27 22:22 )
おと吉さん、病み付きにはなりたくないです。でも世の中そういう人も多そうですね。 / Hidey ( 2001-10-27 22:21 )
ゆーさん、さすがに大人になってからは男っぽい顔つきになって、ちょっともう今では無理だと思います。ぜったいゆーさんの勝ち! / Hidey ( 2001-10-27 22:19 )
mignonneさん、そう思ってらっしゃるmignonneさんのほうが怖い。 / Hidey ( 2001-10-27 22:18 )
観ました、観ましたその映画!! しかもパーマ屋さん?で連続3回も!! / Hiroko ( 2001-10-26 20:42 )
自分はとても女装には向いていないと思うのですが、そのパーティ楽しそうですよね。そちらはまさにハロウィンの季節で盛り上がっているのでしょうね。 / ナライフ ( 2001-10-26 15:58 )
小耳情報によると、「ごく普通の男性達による女装の会」みたいなのがあって、年一度は会合があるそうです。そいで、女性用のブティックが閉店後に男性向けにお店を開いて、心おきなく買い物を楽しんでもらうという計らいをするとこもあるらしいです。ふーむ。 / 浪花撫子@女装はファンタシー? ( 2001-10-26 13:51 )
楽しそうなパーティですね!! Hideyさんの変身姿も見てみたい……♪ 写真待ってます(笑) / みなみ ( 2001-10-26 00:10 )
↓本文と関係なくて、ごめんなさい。 / Ecru ( 2001-10-26 00:04 )
はじめまして。R様もところのつっこみに反応してしまいました。60歳を過ぎたら、イタリア人を目指す計画なんて、素通りできないもの。いつか詳しく聞かせてください。 / Ecru ( 2001-10-26 00:03 )
女装するだけなら誰でも(?)できるけれど、気づかれないというのがすごい!以前、深夜のファミレスで女装のおじさんが入ってきてパフェか何かをオーダーしてひとくちも食べないで、そのうち帰ってしまったのを目撃したことがあります。この都会で、深夜、いろんなことを考えている人がいる、と妙に感慨深かったです。 / はるぴょん ( 2001-10-25 22:42 )
いつまでも待ってますので、ぜひUPして下さい。観てみたいです〜♪ きっと繊細なお方に違いない。。。 / Hiroko ( 2001-10-25 22:28 )
えぇ!超見たい・・・。きっとHideyさんって肌がきれいなんだろーなぁ。。。ヾ(≧▽≦)ノ" / maki ( 2001-10-25 14:24 )
なんか、またHideyさんにあって、刺激をうけたくなった。また誘ってくださいよ。今度はこっちも友達つれていきますーー。 / たまたま ( 2001-10-25 10:13 )
akemiさん↓僕もデジカメ持ってません。いつも友達に取ってもらってメールで送ってもらってアップしてます。。でも、Hideyさん、女装はいつでも、、、、ごいっしょします。 / たまたま ( 2001-10-25 10:12 )
あ、思い出した、私、学生時代、男の子に化粧してみるのが趣味だった!(しかも、ドーランで)みんなに大受けだった。 / yuki@またしたい! ( 2001-10-25 09:03 )
『Priscilla』、映画もなかなか良い出来でお薦めです。Hideyさんの女装姿にはかないませんけれど。 / R ( 2001-10-25 04:53 )
僕もメイクしたらそれなりになったんですがねえ。Hidey氏とは違う意味のような(爆)。 / ガス欠コイン ( 2001-10-25 04:36 )
きれいな方なんだなあ・・・きっと。どきどき^^ Hideyさまの日記にまた新たな楽しみが・・・♪  / パンドラ@桟敷カッコイイナ! ( 2001-10-25 01:11 )
当時の写真があれば。。是非見たいです(笑)いい思い出ですね。。。☆ / みかりん ( 2001-10-24 23:21 )
あはは。その場に居たらかなり恐いかも〜。女装してない組で、来年こそと思っているのはHideyさんだけじゃないような気がしますが・・・。(笑) / りるりる ( 2001-10-24 22:48 )
え〜、見たい見たい〜!以前、女装すきのおじさまとファミレスに入ってみたことがあります。周囲の怪訝そうな顔が妙に可笑しかった。通販の下着を奥さんの名前で注文し、仕事場に届けてもらっていると言っていた自営のおじさん…まだやってんのかな?たまたまちゃんと2人で女装したスナップ希望!んで、たまたまちゃんがアップすればいいんじゃん!(笑) / akemi ( 2001-10-24 21:37 )
Hideyさんの女装姿、見たかったな。その当時の写真はもってらっしゃるかしら。こちらはもうすぐハロウィーンのパレード、ドラッグクイーンが街を練り歩きます。 / 今ダウンロードしたカレン聞いてますプルー ( 2001-10-24 21:27 )
Hideyさんの女装すごくわかる。そういえば、先週の木曜日、女装してQuincy Marketの近くあるいていませんでした??? 自分も年に2,3回はしますよ。今度みます??写真あるけど、、、(ははは) / たまたま ( 2001-10-24 20:48 )
女装が似合うなんてカッコいいすね^^ 僕も一度だけ女装したことがありますが、すれ違う人がみんな振り返るできばえでした、あまりの不気味さに(笑) / TAKE ( 2001-10-24 19:28 )
女装に限らず他人に化けることは、一度やったら病み付きになる。写真のアップおまちしておりやんす。 / おと吉 ( 2001-10-24 17:47 )
Hideyさまの女装、、、ぉ美しそうです。きっと負けます。(←何が?)それはそうと、桟敷席〜♪おめでとうございます〜☆ / ゆー ( 2001-10-24 17:08 )
でもHideyさんの美しいお姿を是非拝見してみたいと思ってる自分も怖い・・・^^Priscillaは、Priscilla of Bostonのことかと思いました〜。私のWedding Gown,ここのにしたんです(って関係ないけど・・・) / mignonne ( 2001-10-24 16:46 )
フィー子さん、本文にちょっと書き足しときました。 / Hidey ( 2001-10-24 16:41 )
たらママさん、勇気のある方ですね。 / Hidey ( 2001-10-24 16:40 )
高校生の頃とはお肌が違ってることをお忘れなくね。(来年に期待!!) / フィー子 ( 2001-10-24 16:37 )
写真は後日でも結構ですよ。 / たらママ ( 2001-10-24 16:33 )

2001-10-24 世界最高の生産方式

ゴクミの話にかまけてすっかり近況報告が滞ってしまった。実は多忙ながらも非常に密度の濃い2週間だったのだ。古い順に簡単に振り返ってみたい。

10月12日金曜日、TOM(生産管理の授業)でトヨタのケンタッキー工場(TMMK)のケースを取り上げた。毎年必ずカバーする、古典的なケースだという。1985年、貿易摩擦や円高という環境の中で、トヨタがはじめて本格的な現地生産体制を敷いたのがこのTMMKにおいてであった。世界最高の生産方式として既に世界の賞賛を得ていたTPS、トヨタ・プロダクション・システムが、アメリカに舞台を変えても通用するか、世界中が固唾を飲んで見守っていた。

授業のはじめに、まずはイメージが浮かぶようにと、教授が実際のTMMKの製造過程をまとめたビデオを見せてくれる。80人のクラスメートは食い入るように画面を見つめる。だれもが、今日の授業の意味合いの重さをわかっているのだ。以前の現代資本主義の授業でのトヨタの記述でもそうだったが、今回も、工場経営を芸術にまで高めた日本企業の雄姿を、世界各国からのクラスメートとともにじっくり鑑賞するというのは鳥肌ものだった。

「ジャストインタイム」、「かんばん」、「平準化」、「自動化」、「改善」という、TPSを代表する数々の成功の要素を学習した。それらの意味するところは、世に出回っている数多のトヨタ本に任せるとしよう。授業では、ジャストインタイムは別として、“Kanban”、“Heijunka”など、すべて日本語をそのまま使って教える。なぜならそれらの言葉は、既に世界中の工場経営において、定番のシステムとして日本語のまま浸透しているからだ。ちょっと教授も学生も発音がおぼつかないのが笑えた。

世界の名だたる企業がこぞって名古屋のトヨタの工場を訪れ、その経営の秘密を探り、模倣するのだが、結局TPSを取り入れて成功した企業は皆無だったそうだ。

つまるところ、TPSの真髄は、あらゆる技術を駆使して問題点をさらけ出し、5マイルにもわたる生産ラインを頻繁に止めてまで原因を突き止め、そして限りない改善の努力をするということにあった。失敗を問うたり、責任の所在を明確にしたりするのではなく、工場全体のワークフローにおいて、問題を顕在化し、共有する。個々の技術というよりは、全体のシステム・哲学こそが大事なのだ。

簡単なようだが、個人主義的で、個人レベルの問題の所在を明らかにすることに慣れたアメリカ人のマインドセットでは、なかなかこれが模倣できないのだそうだ。かと言って、日本の他の自動車メーカーは模倣しきれたわけではない。テクニックを戦略へと高め、理念にまで昇華するということは、やはりそう簡単ではないということか。

先頭 表紙

しゃむさん、↓「向上」→「工場」でした。 / Hidey ( 2001-10-28 09:18 )
Rさん、多分間違ってないでしょう。こちらこそお世話になってます。 / Hidey ( 2001-10-27 22:17 )
しゃむさん、kanbanはあくまで工場でのパーツ発注原票のことで、ふつうの看板はやっぱりsignでしょう。kanbanが通じるのはあくまで向上に携わっている人の話です。 / Hidey ( 2001-10-27 22:16 )
わたしが思っているHideyさんの会社が間違っていなければ、うちの父が常々お世話になっているはずです〜(広告なの)。 / R@ ( 2001-10-27 16:37 )
看板ってそのままでいいんですね。。前に「立て看板」を説明するのに苦労した思い出が・・・ / しゃむ ( 2001-10-27 16:02 )
はるぴょんさん、情けなくないですよ。こっちに来て知る偉大な部分のほうが多いのではないですか?やはり自分と同じDNAを持っている人たち、持っている企業が、世界を舞台に活躍することは、絶対的に魂の共鳴を呼ぶものがあります。愛国心を超越したものだと思います。 / Hidey ( 2001-10-27 07:08 )
makiさん、それはご主人、究極の選択。でもこれから家が建つんですもんね。ちょっと無理だよね。 / Hidey ( 2001-10-27 07:05 )
昔パキスタンに住んでたときは、豊田通商の人がいて、日本人社会はつきあい上みなトヨタ車に乗っていました。 / Hidey ( 2001-10-27 07:04 )
Rさん、それはそれは。逆に教えてもらうことがいっぱいありそうですね。僕もこちらで始めて学んだだけなので、これからもっと勉強してみたいと思っています。 / Hidey ( 2001-10-27 07:03 )
ガス欠コインさん、一度だけトヨタカップサッカーの運営を手伝ったことがあります。一年目で下っ端作業だったので、ほとんど何も分かりませんでしたが。 / Hidey ( 2001-10-27 07:02 )
たらママさん、「andon」というのもありますが、[ae]の発音記号だったので、何言ってるのか分かりませんでした。 / Hidey ( 2001-10-27 07:00 )
akemiさん、と言いつつ僕は一度もトヨタ車を所有したことがありません。やっぱりドイツ車がいいなあ。 / Hidey ( 2001-10-27 06:59 )
TAKEさん、僕はまだトヨタの仕事はほとんどしたことがありませんが、ご存知かと思いますが、うちのT社担当営業は30〜40人いるのです。(もっとかな?)仕事の規模の大きさが分かります。 / Hidey ( 2001-10-27 06:58 )
おとじろうさん、相当ひま中。(笑)確かに日本人のよい部分も悪い部分も、どんどん浸透して知られてきているのは実感しますね。 / Hidey ( 2001-10-27 06:55 )
にわか愛国主義、ではないですが、海外にいて、日本の偉大な功績を初めて知り(そこで知るのが情けないのですが)、とても誇らしくなることがあります。私は日本人の勤勉さと、仕事の正確さは世界に誇れると思っています。 / はるぴょん ( 2001-10-25 22:46 )
彼の会社でTOYOTAの設計に携わっている部があるそうで、彼はそちらに行きたいみたいです。でも、名古屋に行かなくちゃいけなくなるから諦めてるみたい・・・。 / maki ( 2001-10-25 14:22 )
うちの会社もアジアとアフリカの一部の国でトヨタを売っています。トヨタは商社をよーく使います。彼らはメーカーのプロフェッショナル。餅屋は餅屋です。どことは言わないが、商社が切りまくった自動車メーカーはいまは風前の灯火。やっぱ、トヨタはすごいーーー。 / たまたま ( 2001-10-25 10:10 )
わたしの父は以前トヨタにいて、退社後もトヨタと仕事をしているので、とても興味深いお話です。 / R ( 2001-10-25 04:50 )
先日、NHKの特番で見た廃棄物の再生方法など、本当に目を見張るものです。 / ガス欠コイン ( 2001-10-25 04:43 )
TAKEと同様です。文句ばかり言いながらトヨタの仕事やっていたんですが、井の中の蛙とはよく言ったもんで、外に出て初めて、あの大企業の合理性を思い知りました。悪い思い出ばかりじゃないんだけど、ほんとに若くて無知だった。 / ガス欠コイン ( 2001-10-25 04:42 )
わたし、初めて外人から「カンバン」という言葉を聞いた時、その意味知りませんでした。 / たらママ ( 2001-10-24 22:50 )
わ〜すごいんだな〜日本が誇る世界のトヨタ!Heijunka の言葉がそのまま使われているなんて!ちょっと感動です。「車はトヨタ!」ラングレー以外は全部トヨタ車だ!←うちとあたしの実家 / akemi ( 2001-10-24 21:44 )
かっての会社勤め時代はトヨタ自動車の車のカタログ作りがメインで、頻繁にトヨタ本社にも伺って多くの方とお仕事をさせていただきました。フリーランスになり他のメーカーと仕事をするようになって、トヨタのシステムと人材の優秀さを改めて実感させられることは多いです。 / TAKE ( 2001-10-24 19:25 )
ひまじんも段々グローバル化してきているせいか、"Heijunka"が"Himajinka"に見えてしまいました(笑)。親子代々トヨタ勤務といった職人的な環境もアメリカでは不思議なことでしょうね。 / おとじろう ( 2001-10-24 17:45 )

2001-10-20 後藤久美子さんのこと 9

12月20日、最終日。初めてどんよりと曇った朝だった。前日までの屋外での撮影が三日とも晴天に恵まれたことは、神に感謝するしかなかった。最後の仕事にふさわしい環境が用意されていたのだ。この日はお屋敷での撮影だったので、背景が建物で埋まっていれば、太陽はそれほど必要ない。曇りには曇りなりの撮り方があるのだ。

切れるように寒い朝だった。フランス人のスタッフが機材を運ぶトラックの扉の裏には、スタッフがめいめいに作ったノエルの飾りが貼り付けられていた。この仕事が終わったら、誰もが自分のささやかな世界に戻り、家族とともに温かい年末の時間が過ごせるのだ。

この日は落ち着いたペースで撮影が進んだ。空が明るくなるのを時々待ったくらいで、何の問題もなく作業をこなしていった。

この地方では歴史的な価値のある、かつての貴族の館を貸し切っての撮影だった。昼食はその館の一角の寒々とした部屋でとったのだが、後藤さんの希望もあって、スタッフがカップラーメンを大量に持ってきていた。後藤さんは美味しそうに「緑のたぬき」か何かを食べていた。こちらの撮影では昼からおおっぴらにワインを出すのだが、お屋敷でカップラーメンとワインというのもちょっと妙だった。

後藤さんがのっぽの運転手に一輪の花を渡すシーンがラストカットだった。監督の「OK!」の声で、30人を超えるスタッフの笑顔がこぼれ、「お疲れ様でした!」と後藤さんを労う。スタッフはスタッフ同士で握手を交しあった。

最後に全員で記念撮影をし、後藤さんは普段着に着替える。クライアントは車に乗り込んだ後藤さんと満足そうに最後の談笑を交わす。それを見ていて僕もようやく肩の力が抜けるのを感じた。やっと終わったのだ。

後藤さんを乗せた車がゆっくりと動き出した。後藤さんはウィンドーを下ろして、お疲れさま、と後片付けをするスタッフに声を掛ける。最後に僕に向かって大きな声で言った。「留学、がんばってね!」

のんびりしたホテルからのFedexはちゃんと届いていた。3月に僕はColumbiaとシカゴのKelloggという学校から合格通知をもらった。そして4月、記念受験のつもりだった今の学校からも嬉しい報せが届き、こうしてボストンにいる。

社の派遣で来ているので、2年間の勉強が終わったら同じ会社に戻ることになる。しかし、もう今までのような広告の現場の仕事をすることはないと思う。派遣の主旨が経営計画スタッフの育成だからだ。広告の仕事に憧れ、憧れなど吹き飛ぶような激務を経験し、そして惚れ直した。まだまだいろいろな経験を積みたかったが、人生にはタイミングというものがある。自分を育てるためにも留まってはいられないのだ。

だから、後藤さんとの仕事は正真正銘の最後の仕事になった。最後を飾るにふさわしい素晴らしい仕事との出会い、素晴らしい女優さんとの出会いに、今なお僕は感謝している。

先頭 表紙

たまたまさん、僕はマルセイユでは最高にまずいパスタを食べて残してしまいました。15:00過ぎの、どこも閉まってる時間だったので。僕はとてもコネにはなりませんが、それこそMBAが好きな会社なので、取得されればチャンスはありかも。 / Hidey ( 2001-10-27 06:53 )
りるりるさん、こちらこそ、きちんと読んでくれてありがとう。本当は江角マキコさんの方が色々書けることが(それもとてもいい話が)あったのですが、ちょっともうしばらくはやめときます。疲れた。 / Hidey ( 2001-10-27 06:51 )
ガス欠コインさん、超感動、超興奮です!彼とは、逆境の中、前回の東京モーターショーのコンセプトを二人で作り上げた、とても大切な戦友同士です。今回も彼の仕事を幕張で見ることができると思います。是非そのうち三人で飲みたいですね! / Hidey ( 2001-10-27 06:49 )
真面目に、、、いまの商社勤務より貴社での仕事のほうが向いている(っていうか好きです)。Hideyさんのコネで途中入社のチャンスを、、、それとも、わたしはいりませんか???(笑) / たまたま ( 2001-10-25 10:05 )
自分もマルセイユに行ってきました。で、ブイヤベーズがうまかった。でも、あれって元猟師の食事だったとか、、、、 / たまたま ( 2001-10-25 10:03 )
ご無沙汰してました。このゴクミ編は途中まで読んで完結したら一気に読もうと待っていました。全部通して読まないと頭の悪い自分は忘れちゃったりするからです。日記でのHideyさん、現実のHideyさん、どっちも最高に素敵です。 / たまたま ( 2001-10-25 10:02 )
Hideyさん、そうですよ。彼と僕はもう8年程前ですが、築地で(デザイナー2人と4人で)共同事務所を構えていました。人違いなどあるはずもないですが、念のため、◯澤さんとしておきましょうか(笑)。コピーライター同士、一緒に仕事をすることはほとんどないのですっかりご無沙汰していますが。 / ガス欠コイン ( 2001-10-25 04:50 )
Hideyさん。お疲れ様&こんな素敵な日記を書いて下さってありがとう。とても読み応えのある文章で、彼女のことはもちろんですが、Hideyさんの真摯な姿に素直に感動してしまいました。は〜(ため息)、しばしいい夢を見させてもらったという感じです。 / りるりる ( 2001-10-24 22:30 )
たらママさん、「桟敷」と言うんですか。ちょっともぞもぞして座り心地が悪い感じです。光栄なことではありますが。本当に、今は勉強が第一。でも、今の貴重な経験を自分のためにも記録しておきたいので、何とか続けます。 / Hidey ( 2001-10-24 16:08 )
mignonneさん、はじめまして。最近始められたページは読ませていただいてました。かつての有名ライターさんでいらしたのですね。ちょっと僕はどなたか存じ上げないのですが、1年くらい何となくひまじんは訪れていたので、お名前を伺えばすぐ分かるかもしれません。フィー子さんとちえちゃんとはもともと友人です。これからもよろしく。 / Hidey ( 2001-10-24 16:06 )
みなみさん、ありがとう。真賀砂州子さんのあとではちょっとプレッシャーなのですが。。。 / Hidey ( 2001-10-24 16:03 )
Hirokoさん、勉強がどんどん厳しくなってきてるので、ちょっとTOPはプレッシャーなのですが、ここまできたら貪欲に何でもやってみようと思います。更新は週末に集中しそうですが、よろしくお願いします。 / Hidey ( 2001-10-24 16:02 )
おとじろうさん、今日はおと吉さんではないのですね。後藤さんは子育てにも哲学を持っていて、「徹子の部屋」で言ってたのですが、「私は子供は皆天才だと思う。大人がいろいろな既成概念を押し付けるから、その天才性がそがれてしまう。私は自分の子供を雑草のように育てたい」とのこと。立派なもんです。 / Hidey ( 2001-10-24 16:01 )
Rさん、つっこみありがとうございます。そんなに立派なものではないのですが、そんな姿を目指したいとは思ってます。この2年はただがむしゃらに走るだけですが。 / Hidey ( 2001-10-24 15:58 )
真賀砂州子さん、バトンタッチって何のことかな、と思ったら、トップページに行ってびっくり。考えてみれば僕の日記に一番初めにつっこんでいただいたのが砂州子さんでした。こうしてバトンを受け取るのはとても感慨深いものがあります。最近つっこませていただいてないですが、勉強の息抜きにしょっちゅう笑わせてもらっています。これからもよろしく。 / Hidey ( 2001-10-24 15:57 )
ひまじんTOP桟敷席登場、おめでとうございます。歯切れのよいエッセイ、いつも楽しみにしております。更新のプレッシャーにめげず、お勉強の妨げにならない程度に書いてくださいね。 / たらママ ( 2001-10-24 15:24 )
いつも楽しく拝見しております。これからもいろいろなことを教えてくださいね。 / mignonne@はじめまして ( 2001-10-24 14:47 )
Hirokoさんに同じく♪♪ / みなみ ( 2001-10-24 13:53 )
TOPですね〜、これからも楽しみにしてますー♪ / Hiroko@会社ヒマ〜 ( 2001-10-24 13:33 )
ぱち、ぱち、ぱち。最後まで楽しく読ませていただきました。ゴクミのイメージ変わりました。ただ、綺麗な人だけではなかったのですね。海外で暮らして子供を持っても、遠く離れた日本のお仕事をプロとして受けている姿も美しかった。 / おとじろう ( 2001-10-24 13:32 )
バトンタッチでございま酢。 ボストンからのあつーい記事をこれからも楽しみにしておりまする。もうすぐ奥様のご登場で脛。デジカメ画像も楽しみにしておりまする♪ / 真賀砂州子 ( 2001-10-24 13:18 )
Hideyさんの最後のお仕事、全部読ませていただきました。誠実で情熱的だけれど、自分に酔うことのない冷静さを合わせ持ったプロフェッショナルぶりに感嘆します。 / R ( 2001-10-23 08:01 )
ガス欠コインさん、えっ本当ですか?もしかして「トッチー」?築地のそばに事務所を構えるフリーの方ですよ。どきどき。 / Hidey ( 2001-10-23 07:29 )
Hideyさん、こちらこそよろしくお願いします。二輪への愛に満ちたコピーライター?もしかして、僕の先輩かも? / ガス欠コイン ( 2001-10-23 06:26 )
makiさん、大変な職場のようですね。(笑)でもその中でmakiさんは誠実に働いてらっしゃるのでしょうね。makiさんの文章からもそれは読み取れます。うちの会社は、外からは派手に見えるようだけど、実は仕事にプロ意識をもった、すばらしい連中ばかりです。自分もどこかに小さく凝り固まってやいけない、いつも前に進まなければ、と思わせられる、素晴らしい環境だったことは事実です。一周年、おめでとう! / Hidey ( 2001-10-22 18:19 )
プルーさんこそ、僕にとっては、気品に溢れて、日常の辛い思いなど綺麗にどこかにくるんで、落ち着いたトーンの素晴らしい文章を書かれる方だと思っています。今回はお会いできなくて残念でしたけど。うわさ・・・変なうわさでないことを、たまたま氏の良識に期待してます! / Hidey ( 2001-10-22 18:14 )
ゆーさん、お湯は美味しかったでしょうか?そんなに楽しみにしていただけてたなら光栄です。機会があってオフをすることがあったら、ゴクミ生写真集でもお目にかけましょう! / Hidey ( 2001-10-22 18:09 )
そろそろ旅行好きのChieちゃんも体がうずいている頃では?この状況じゃちょっと手控えちゃうよね。でももしほんとに東海岸に来ることがあったら、是非寄ってください。5、6月をお薦めします。 / Hidey ( 2001-10-22 18:07 )
lamanchaさん、実は一番初めは僕も何が何でもKelloggだったのです。実際遊びにいったこともあるし。本当に素晴らしい学校のようですので、もしほんとに受けられるようなら、頑張ってください。 / Hidey ( 2001-10-22 18:05 )
↓「行き方」→「生き方」 / Hidey ( 2001-10-22 18:03 )
Hirokoさん、あまり自分の行き方は書いたつもりなかったのですが。。。実際撮影現場では営業は一番楽なのです。今さら営業がじたばたしても仕方ないですから。でもその分そこに至るまでの戦略立案、チームの指揮、クライアントとの調整など、手がぬけない仕事はいっぱいあります。撮影現場はそのご褒美という感じかな。でも何か問題が起こると営業が矢面なのですが。 / Hidey ( 2001-10-22 18:02 )
みなみさん、足の爪先に近いほうでこぐというのは、長い時間乗っても足が疲れないこぎ方で、実際役に立つのだそうです。僕も自分で自転車に乗るとき、そこだけは注意してしまったりしてます。 / Hidey ( 2001-10-22 17:59 )
Oggiさん、確かに、印象的なシーンが心にいつまでも残っているので、描写が楽でしたね。いろいろな想像をしていただければ嬉しいです。 / Hidey ( 2001-10-22 17:57 )
りさ子さん、ありがとう。ちょっと恥ずかしいけど。僕もりさ子さんの文章やHPはちょっと覗かせていただきました。とてもタフに生きてらっしゃる方だと思います。そうですね、本当に是非どこかでお目にかかりたいものです。日本にいればすぐ飛んでいくのですが。。。 / Hidey ( 2001-10-22 17:55 )
(ガス欠コインさんへ続き)なんにしても、僕こそガス欠コインさんの文章にはとても励まされているし、人の良心を信じることができるという、そんな貴重な思いをさせていただいています。一緒にお仕事がしてみたかった!僕はバイクの仕事もしてたのですが、二輪への愛に満ちた素晴らしいコピーライターさんがいて、ガス欠コインさんの文章を読むと、彼のことが思い出されます。今後も何かの形で繋がっていければいいですね。 / Hidey ( 2001-10-22 17:51 )
ガス欠コインさん、いや、恐れ多いです、そんなに言われると。うちの営業の仕事、よくご存知ですね。多分この数年、社のインフラの向上も手伝って、プレゼン時の提案力は飛躍的に向上しています。こうしたツールや人材を、主体的・目的的に活用して、そしてもっと大事な、solutionへのvisionを持ち、プレゼンをひとつのオーケストラに纏め上げていく技量が今の営業には求められています。うちの会社にもなかにはちゃんといるんですよ、そういう営業。僕はとりあえず努力だけでしたが。 / Hidey ( 2001-10-22 17:42 )
フィー子さん、お待たせ。読んでるほうもお疲れですみませんでした。あの横顔の写真、ほんとにいいよね。エルメスに似合いそう!今度のFRAUはどうだったかな? / Hidey ( 2001-10-22 17:35 )
たらママさん、僕ももともとプロという言葉が好きで、プロの仕事を少なくとも心がけていたので、後藤さんのような方とは本当に仕事がやりやすかったです。勉強にもなりました。 / Hidey ( 2001-10-22 17:33 )
パンドラさん、そんなことないんですよ。結構ほんとは努力が苦手なほうなのですが、今は仕方がないという感じ。でも、確かになぜか仕事だけは完遂するほうでしたね。仕事はすごく好きだったみたい。 / Hidey ( 2001-10-22 17:31 )
すごいなぁ。いつもこんな素敵な仕事をしている人が世の中にいるんだなぁって思えるの、Hideyさんの日記読んでると。この会社にはどこを探してもいません。みんな嫌な事は下に押し付けて・・・手柄だけを自分の手にしてるの。。。ホント辛いです。 / maki ( 2001-10-22 14:50 )
Hideyさんの日記を読んでいると、つらいこともある筈なのに、さらりと書いていらっしゃる。Hideyさんのような素晴らしい方が経営に加われば、日本企業社会も捨てたものではないと思う。皆とHideyさんのおうわさもしました。今度はぜひ本人にお会いして、違う夢をみたいと思ってます。 / プルー ( 2001-10-22 10:34 )
Hideyさま、お疲れ様でした!一貫して、情景描写がすばらしいと思いました。ここぞっていう時に、場の景色が目に浮かぶようでした。後藤久美子さんも、きっとHidey様のこと、印象的におもっていらっしゃったでしょうね。ところで、私、Hideyさまが9話まで更新されているのを見付け、じっくり読ませていただこうとコーヒーをおとし始めたのですが、早く読みたくて焦っていたのか、肝心のコーヒーを入れ忘れて、お湯が出てきました。 / ゆー ( 2001-10-22 10:03 )
最後のお仕事だったんだ。。。本当に素晴らしいお仕事が出来てよかったですね!今の留学生活も私から見たら羨ましいです。奥様がそちらに行って落ち着いたら遊びに行きたいです♪ / Chie ( 2001-10-22 09:47 )
生き生きしていた時間は宝物ですね!もし、自分がアメリカのMBAを取りに行く事があったら、Kelloggへentrepreneurshipを勉強しに行きたいです。 / lamancha ( 2001-10-22 02:37 )
お疲れ様でしたー♪とっても読み応えがありました。Hideyさんの生き方とか仕事に対する情熱とかが、これでもかっていうくらいに伝わってきた気がします。全く素晴らしい人生を送ってらっしゃると思います。これからも頑張ってください。応援しています!また楽しいお話聞かせてくださいね♪ / Hiroko@文才にも惚れてしまいました ( 2001-10-22 00:04 )
おつかれさまでした。 興味深く読みました。 自分の知らない世界をこっそりのぞかせていただいたようです。 今日、自転車に乗った時につい姿勢を意識してみたり。 してしまいました。 / みなみ ( 2001-10-21 20:46 )
お疲れ様でした。まるで自分が隣で撮影風景を見ているように、楽しく読ませて頂きました。Hidey様の文章は知的センスが溢れていて感動しますわ。 / oggi ( 2001-10-21 20:06 )
名文ですね。過去の日記も全部読んでみたくなりました。どんな方か会ってみたくなりました。もしかしたらどこかですれ違ってたかも知れないけれど。 / りさ子 ( 2001-10-21 19:15 )
(続く)そうではないことが、ひとつひとつの文面からはっきり伝わってきます。短い睡眠時間で、MBA取得を目指し、ひまじんに参加するかどうか迷われたことが良くわかりました。お互い、頑張りましょう。本当に、ありがとう。ちょっと元気を削がれることが続いていたのですが、強い勇気をもらいました。 / ガス欠コイン ( 2001-10-21 01:54 )
Hidey様、素晴らしい、尊敬に値する、集中力をお持ちだと思います。僕も一生懸命読んだので、それが十分伝わってきます。僕は短い時間の集中度には、自信があるのですが、長く続かない。いい勉強をさせてもらいました。すごく乱暴で失礼な言い方かも知れませんが、営業として関わっているなら、もっといい加減にやる方法もあったはず。 / ガス欠コイン ( 2001-10-21 01:51 )
はーーーーー、お疲れ様でしたーーーー。この執筆も、このお仕事も。いろいろ話を聞いていたので最後につっこもうと思ってずっと読んでいました。ああようやくつっこめる(笑)。ゴクミの美しい横顔、小さなエルメスの写真たてに入れて、リビングにひっそり飾っています。美しいものを見るのって本当に幸せ♪どうもどうもいろいろとありがとうございましたー! / フィー子 ( 2001-10-21 00:38 )
プロフェッショナルな後藤さんの仕事ぶりを拝読し、だから彼女は本物なんだ、と納得しました。よいお仕事と巡り合えてよかったですね。 / たらママ ( 2001-10-21 00:34 )
大作をありがとう・・! 決めたら必ずやりぬく、決して手を抜かない誠実なHideyさまのお人柄がひしひしと伝わってきます。きっとHideyさまは「成し遂げるひと」、声の限りに応援させてね。カンパイ! / パンドラ ( 2001-10-20 23:51 )
やっと終わりました。軽い気持ちで書き出したらこんなに長ったらしくなってしまい、読んでる方には大変申し訳なかったと思います。自分でも疲れたし、最近の出来事を書きたくなりましたが、この1週間大変多忙で、ようやく今朝続きを書くことができました。またこれからはボストンの日常生活を書いていきますので、よろしくお願いします。 / Hidey ( 2001-10-20 23:16 )

2001-10-20 後藤久美子さんのこと 8

12月19日早朝。朝焼けが旧法王庁の土色の壁を紅く染める。我々は後藤さんの到着前から長い時間をかけていろんな角度からロケーションを眺め、話し合っていた。どうしたら坂が最も坂らしく見えるかを検討していたのだ。

人は普段、平衡感覚が保たれた視野の広い目で風景を眺め、体で傾斜を感じながら、坂道を認識している。これが、風景の一部を切り取り、平衡感覚を無視した無機的なカメラを通した絵になると、坂を強調したつもりが、単に遠近感のある平らな道にしか見えなくなってしまう。

あれこれ検討した結果、監督が画期的な撮り方を提案する。綴れ折りの坂がヘアピンカーブになっている部分を、ヘアピンの外側からローアングルで撮るという手法だった。画面の左には下り坂が見え、そのまま綴れ折りになった上り坂が、画面右側に不自然なくらいの角度を作り出す。後藤さんが画面左の坂を遠くから登って近づき、ローアングルのカメラのすぐ前でタイヤが強調されたダイナミックなカーブを描き、右の坂道をぐいぐい登って遠ざかってゆく、という凄いカットだった。

後藤さんが来る前にスタントで実験してみたのだが、カメラの直前で、所定の位置でヘアピンカーブを決めて坂を登るというのは、非常に難しいことが分かった。しかし本番で後藤さんは軽々とこなしてしまう。さすがF1ドライバーのパートナーだ。運動神経がいいとは聞いていたが、これほどとは思わなかった。

朝からジャンがエレナマイノちゃんを連れてママの撮影を見学。エレナマイノちゃんにとっては初めて見るママのCFの仕事ではないかと思う。

この日のラストカットは、後藤さんが朝市で買い物をしたり、ポルシェのプレイボーイに声を掛けられたりするカットだったが、僕個人にとって一番大事な仕事は、CF撮影が終わった後、普通のデジタルビデオカメラで、販売店大会用に後藤さんの挨拶ビデオを撮るという作業だった。

前日までに、日本に残ったクライアントとやり取りをして、僕が挨拶の言葉を作文した。巨大なカンニングペーパーを用意して、カメラの上に掲げることで、後藤さんは目線をこちらに保ちながら文章を読み上げることができるという仕組みだ。

しかし驚いたことに後藤さんは既に僕が書いた文章をすべて暗記した上で、自分になじんだ言葉遣いに直してくれていたのだ。カンペを用意することはちゃんと伝えていたのだが、自然な表情、口調がいいからと、後藤さんが自ら進んで暗記してくれたのだ。断言しよう。普通のタレントさんは、CFの仕事で、それもテレビに映るわけではなく販売店大会で映すビデオのために、こんな努力は絶対にしない。おかげで撮りは一発でOK。後藤さんのプロ根性を見せつけられた出来事だった。

撮影の合間に、僕達が数日前に行ったアヴィニヨンのパキスタン料理屋(!)が余りにもうまかったという話をしていたら、「じゃあ今日私も連れてってよ」ということで、この日の夜は後藤さんを囲んでのエスニックディナーになった。

みんな赤ワインで気持ちよく酔っ払ってしまって、よく覚えていないのだが、後藤さんとだいぶ恋愛論を闘わせた事実だけは覚えている。人は結婚しようとも、パートナー以外の異性と会うとき、相手を100%ただの友人や知り合いとして認識するなんてのは嘘だ、と僕は話し、私はひとりの人を愛したらその人のすべてをとことん愛し抜くのよ、と後藤さんは話した。お互い違うことを言っていたわけではなかった。

大事なカットはほとんど撮った。あとは、後藤さんの家として設定したお屋敷での撮影が残るだけだった。

(つづく)

先頭 表紙

2001-10-20 後藤久美子さんのこと 7

日曜日は現地スタッフの料金が2倍になってしまうので、一日休暇となった。土曜日も同じなのだが、スタジオでのスティル撮影で、それほどスタッフの数も時間も必要ないため決行したのだ。そんなわけで、日曜はクライアントの希望もあり、マルセイユ観光。本当は論文を書いていたい気持ちもあったが(同行のクライアントにだけは留学の件は打ち明けていた)、ここまできてマルセイユという街を見ないというのもないだろうと思い、一日羽を伸ばすことにした。フランスとは思えない、南イタリアのゴミゴミした港町を彷彿とさせる街だった。

撮影三日目、12月18日月曜。いよいよ今日からCF撮影だ。まずは朝市篇のトップカット、アヴィニヨンの目抜き通りを走る後藤さんというカットからだった。アヴィニヨンらしいセンス溢れるミニバスをチャーター。その他にも渋滞を表現するための自動車を沢山並べた。

晴れ男が二人いたこともあって朝から抜けるような青空だったが、とにかく寒かった。簡易テントを張って石油ストーブを焚く。ケータリングのクロワッサンが感動的に美味しい。コーヒーはエスプレッソ。しゃきっと目が覚める。

後藤さん登場。青いデニムのジャケットにボーダーのインナー、ベージュのセミロングのスカート。今までの広告にはないくらいまったりとしたファッションだったが、後藤さんが着るとちょうどいい按配になるのが不思議だ。販売店大会用に、僕がリバーサルフィルムでメイキングを写真撮影することになっていたので、ファインダーで後藤さんを追うことが多かったのだが、彼女の端整で知的な横顔ににはちょっと感心してしまった。この人は横顔が一番美しい人なのだ。

三日目にして初めて自転車に乗ってもらったのだが、これが結構営業としては気を遣うところだ。自転車業界的に正しく美しい乗り方というものがある。背筋を伸ばし、脇を締め、腕はリラックス、ハンドルは握ってもブレーキには手をかけない。ペダルには土踏まずではなく、爪先に近い部分をかけ、足をできるだけ地面に平行な形に保って軽やかにこぐ。やってみるとこれが難しい。もろもろの撮影条件がそろい、よい表情を引き出し、さらにこのようなルールを守った絵ということになるので、かなり時間をかける必要があった。

後藤さんはこれまでのタレントやモデルと比べて驚くほど飲み込みが早く、初めから美しいこぎ方をしてくれた。できるだけ条件にあった絵が欲しかったので何度もNGを出したが、その度に明るい声で応えてくれた。ブレーキに手をかけずに最後まで走り抜けるのはちょっと怖いのだが、これも難無くこなした。

この日のラストカットはアヴィニヨンの街を背景にしたローヌ川沿いの撮影。一点の曇りもなく青い南仏の空に12月の短い陽が傾いている中、光る川面を背に後藤さんがどこまでも平らに続く道で自転車を走らせる。これまでこの商品については9本のCFを撮ってきたが、こんなに美しい絵は初めてだった。この絵だけで15秒つくってしまいたいくらい綺麗だった。

ジャンが例のイタリア料理屋の主人を連れて現場に来ていた。妻の仕事振りに目を細める優しい夫の顔だった。ワンカット撮り終わるごとに、モニターの前に二人で座り、今撮ったばかりのシーンを楽しそうに話しながら眺める。朝から夕方まで気が張った撮影で、こうしてリラックスした表情をしてくれるのは我々にとっても非常にありがたかった。

明日はいよいよ最も大事な坂道のシーン。クライアントのダメ出しの末選び抜いた、旧法王庁の坂道での、朝イチの撮影が予定されていた。

(つづく)

先頭 表紙

確かに今の彼からは怖いなんて想像できないのですが、本人曰く昔はよく怒ってたけど、「もうやめた」そうです。 / Hidey ( 2001-10-27 06:45 )
えっ昔からひょうきんに人だったように感じるけど...男の人には怖いのかな?実は宮沢以外にもかなりご一緒しました。 / りさ子 ( 2001-10-23 14:41 )
宇恵さん、昔はだいぶ怖かったらしいけど、今はとても優しくて人を笑わせるのが好きで、しかもできる人ですよね。 / Hidey ( 2001-10-23 09:01 )
宇恵さんなんだ、懐かしい。私も昔宮沢りえのお仕事でご一緒しました。 / りさ子 ( 2001-10-22 19:25 )
演出家というか、監督は宇恵さんという、松嶋菜々子のマックスファクターや、トヨタの天才卵エスティマなどをつくった、巨匠です。 / Hidey ( 2001-10-22 18:56 )
これ演出家、誰ですか? / りさ子 ( 2001-10-21 19:15 )

2001-10-15 後藤久美子さんのこと 6

二日目はアヴィニヨン郊外のフォトスタジオでPOP用の撮影。アヴィニヨンにはスタジオなんかないという噂があったが、そんなことはなかった。暖かい室内で、天気も気にせず撮影を済ませた。

この日はスタッフ一同が後藤さんの家に招待された。ジャンの友人のイタリア人がやっている美味しいイタリア料理屋があるというので、そこにみんなで行くことになったのだが、その前に軽くシャンペンとチーズでも、ということで、20人くらいの人数で噂のお屋敷へ向かった。

庭にワインを作るためのブドウやオイルを作るためのオリーブが植えてある話は有名だろう。建物も外観は南仏風のシックで簡素なつくりに見えたのだが、中の豪華さについての記述はgossipyな雑誌に任せるところである。写真撮影などは困ると言うことだったので、ここでの記述は控えておく。

ただ、ひとつだけ無難な表現をしておこう。「このシャンペン開けといてくれる?」と後藤さんに言われて、景気よく開けたのだが、シャンペンのコルクが天井にも壁にも当たらずに、きれいな放物線を描いて床を転がっていく様を見たのは、生まれて初めてのことだった。それくらい広い家だった。

長女のエレナ・マイノちゃんは、大勢の客に興味津々の様子。エレナちゃんはフランス語のほうが話しやすいようで、後藤さんにもフランス語で話し掛けるのだが、後藤さんは徹底して日本語で答える。「二つの国を背景に持つのは素晴らしいことだから、どんなことをしても日本語は覚えてもらいたい」ということだった。まだ幼いジュリアーノ君は風邪を引いて寝ていた。

しばらくするとジャンが帰宅。F1ドライバーというのはヨーロッパではどこの国でも英雄なのだそうだが、そんなことは微塵も感じさせない柔らかな人柄。我々とも気さくに話をした。特にクライアントもF1事業を展開しているので、話があうようだった。

ジャン行きつけのイタリア料理屋へ。こぢんまりとして庶民的な店だった。シェフと言うには余りにも気さくで賑やかな主人が、ジャンを兄弟のように迎える。ジャンも嬉しそうだ。イタリアで育った彼はフランスにいてもイタリアの温かさを求めるようだった。

クライアント、後藤さん、ジャン、僕がかたまって座った。営業の役得だ。特にジャンは日本語はそれほどできるわけではないし、英語なら問題ないので、僕が隣に座ることになった。本当に、彼は微塵も偉ぶった様子がなく、美しい女優の妻の付き添いの気のいい亭主、という感じで我々に接してくれる。サッカーの話になり、「ローマのナカタはなかなかすごいね」と話す。あなたはどこのチームを応援しているのか、と訊くと、「やっぱり親友のジダンがいるユベントスだね」とのこと。フランスがワールドカップで優勝したときは、ジダンのユニフォームとジャンのヘルメットを友情の証に交換したそうだ。

後藤さんはワインが大好きと公言しているだけあって、結構強い。地元のCote du Rhoneを随分ついであげた記憶がある。

「ジャンはイタリア出身だから、本当に家族を大事にしたいと思ってるのよ。だから私も同じようにしてあげたい」と後藤さんはしみじみ話していた。

後藤さんとジャンの仲睦まじさは、周りの誰をも幸せな気持ちにさせるほどだった。誰にはばかることなく自分の選んだ伴侶を愛してやまない姿は気高さすら感じさせるものがあった。

翌日の日曜日は一日オフ。誰もが毎日緊張を持続してきたので、久しぶりにスタッフ一同気持ちよく酔っ払った夜であった。

(つづく)

先頭 表紙

パンドラさん、こちらこそいつもありがとう。本当に、パンドラさんの日記が日々の支えになってます。先日の応援の言葉も心に染みました。本当にありがとう。 / Hidey ( 2001-10-20 22:55 )
みなみさん、光栄ですが、今さら昔の文章を読まれるのはちょっと気恥ずかしいものですね。見習うなんてとんでもない、毎日息絶え絶え、挫折寸前です。でもひまじんの皆さんの努力を思ったりしながら、何とかがんばってます。これからもよろしく。 / Hidey ( 2001-10-20 22:54 )
Hirokoさん、はじめまして。後藤さんのすべてがすべて素晴らしいということではもちろんないし(第一そんなに知らないし)、でも人には簡単に真似できないことをしてしまっている彼女の強い部分は、誰が見ても評価に値するところなのだと思います。誰もがお互いどこかしらを見習いあえればそれはとても素敵なことですね。 / Hidey ( 2001-10-20 22:52 )
浪花撫子さん、掃除の件はちょっと分からないですねー。でもあれだけ広いお屋敷を掃除するのはどんなに働き者の主婦でも大変だと思います。うちもコルクは3回くらいぶつかります / Hidey ( 2001-10-20 22:48 )
口車大王さん、はじめまして。僕はほとんどテレビは見ない人で、芸能界やスポーツ選手の裏話もまったく興味がないのですが(よくこれでこの仕事をしていると思う)、後藤さんも、中田もイチローも、数少ない好きと言える著名人です。ケーススタディーについては、ひまじんで興味を持って読んでいただけるものだけを選んでいますが、本当は毎日かなり深くつっこんで難解で、その分奥が深いケースを学んでいます。これは本当に凄いことです。毎時間が芸術を味わっているかのよう。日本の教育も早く変わってほしいものです。 / Hidey ( 2001-10-20 22:45 )
Hideyさま、おめでとうのメッセージありがとう・・・とってもうれしかった。そして、1週間おつかれさまでした。Hideyさまにカンパイ! / パンドラ ( 2001-10-20 22:44 )
↓TAKEさんへ。 / Hidey ( 2001-10-20 22:39 )
ジャンの最後、見届けたかったです。後藤さんが「徹子の部屋」に出たとき、「ジャンはとても慎重な人だから、不思議だけどどんなに危険な仕事をしていても、安心していられる。この人なら間違いは犯さないと」と話していたのがとても印象的です。 / Hidey ( 2001-10-20 22:38 )
たらママさん、たしかに、本物と言われる人たちとの出会いは大変貴重です。この仕事をしてから、セレブリティということではなくて、あらゆる分野の本物の人たちと切磋琢磨できたことが一番大切な経験でした。 / Hidey ( 2001-10-20 22:36 )
ぴぴさん、そうですね、お互いゴクミもうらやむ夫婦になることを目指しましょう! / Hidey ( 2001-10-20 22:34 )
さららさん、はじめまして。残念!子供乗せ自転車こそ電動が一番いいのですが。子供を乗せると重くなって坂も大変だし、ふらつくので転倒して子供が怪我をしやすい。電動ならスムーズに運転できるので、楽で安全なのです。 / Hidey ( 2001-10-20 22:33 )
makiさん、誰の人生でもやっぱり自分が主役。makiさんだけの素晴らしい人生の記録、これからも楽しみにしています。 / Hidey ( 2001-10-20 22:31 )
おとじろうさん、おと吉さん、本当に、広告人生を振り返ってもきっと忘れられない思い出のひとつになりました。江角マキコさんとの仕事もとても素晴らしかったのですが、ちょっとしばらく過去を振り返るシリーズはお休みしたいと思います。思いのほか長くなってしまい、ちょっと書いてて疲れました。 / Hidey ( 2001-10-20 22:30 )
Chieちゃんは、Chieなりにとってもいい経験を積まれてると思いますよ。みんな、他の人とは違った形で大人になってゆく。だからこうしてひまじんを読んでいてもお互い勉強になりますね。久しぶりにお会いしたいですね。 / Hidey ( 2001-10-20 22:27 )
パンドラさん、この仕事のいいところは、誰もが見ている夢を、その代表者になってかなえられるところです。それくらい夢がないとこの複雑な世の中で商品は売れていかないし、そういう仕事も必要なのです。普段の仕事は地味で激しいことばかりなのですが。。。 / Hidey ( 2001-10-20 22:25 )
りりさん、おっしゃるとおりですね。僕も自分のことをいろいろ考えさせられました。目標にしたいカップルです。 / Hidey ( 2001-10-20 22:23 )
oggiさん、いつかオフででもお会いできたら、豪邸の中身をたっぷりとお知らせしましょう。ほーんとに信じられないくらい凄かったですよ。あんなこと、こんなこと、色々あったのですが。。。お伝えできなくて残念です。 / Hidey ( 2001-10-20 22:22 )
ゆーさん、本当に骨の隋まで冷えました。気力だけでもたせた年末年始。あのカップルは本当に素敵。ここではお見せできない二人のアツアツの写真もあるんですよー。 / Hidey ( 2001-10-20 22:20 )
Hideyさんの日記 おくればせながら最初から読ませて頂きました。 中でも、学校のお話やDadのお話が印象的でした。 刺激的な毎日を送ってらっしゃるんですね。 私も見習わねば!! / みなみ ( 2001-10-20 18:38 )
「国民的美少女」と呼ばれていた頃の彼女は好きじゃなかったなー。でも、25anでよく見るようになってからの彼女は本当に輝いて見えます。きっと年齢や今の時代がようやく彼女の内面に追いついたという感じなんじゃないかと思うんですけど。うまく表現できません。くやしい。あんなマッダームになりたいもんです。憧れ!! / Hiroko@はじめまして! ( 2001-10-20 10:40 )
ゴクミ孃は、ご自身のパワーの注ぎ先(美の受け止め先)が定まったんですな。彼女とアレジはんの充実ぶりが読んでいて伝わってきます。まさしくソウルメイツはお二人。ところで愚問。お屋敷のお掃除は、やはり担当の方がなさるんやろか? / 浪花撫子@シャンペンのコルク当ります。 ( 2001-10-19 04:18 )
あ、文脈が変だ。「教育ということに興味があるという見地から」という一文が抜けてしまいました。 / 口車大王 ( 2001-10-18 16:43 )
さらにさらに、計測工学科というところに在籍しながら教育工学が卒業研究のテーマだったのですが、また、会社を始める直前3年ほど大学に勤めていたのですが、すべてとは言いませんが、その時に垣間見た日本の大学教育の現場と比べると、もう話にならないくらい授業内容に差がありますね。口車の勤務先、日本の大学教育の現状を打破すべく作られたキャンパスだったのですが。元々「実学」の重要性を標榜している大学だけに、暗たんたるものを感じます。 / 口車大王 ( 2001-10-18 16:42 )
ちなみに、計装設計と工程管理と積算とシステム構築と管理をやっておりました。容量の足りない不安定な仮設電源で、しかも溶接機といっしょにつながっているコンピュータをちゃんと安定して動かす、なんてことが得意です。 / 口車大王 ( 2001-10-18 16:37 )
で、突っ込みできなくなってしまったのでここに書きますが、口車、さらにその前、プラント建設の会社に勤めておりました。ブドウジュースの製造工程の話、かなり単純化していますね。不連続プロセスと連続プロセスがあった場合、連続プロセスは止めないようにするのが常識です。この場合でも、下流の濃縮工程は連続運転できるわけですが、上流の工程に左右されて止めてしまうと、もしも熱源を使っていた場合ものすごいロスを生むことになる。また、食品ですから止めている間に雑菌を発生させることもあり得ます。 / 口車大王 ( 2001-10-18 16:35 )
口車、かつてクライアントの立場でオスカープロモーションとは、ちょこっとお付き合いありました。社員の皆さん、なかなかすばらしかった。 / 口車大王 ( 2001-10-18 16:29 )
業界裏話でも、こういう話はいいですね。後藤久美子、「独立自尊」という感覚を持っている希有な日本女性ではないでしょうか。だから、日本のアホなマスコミには「生意気」と映る。彼らは、自分達の考えた通りのリアクションをしないと、だれでも「生意気」と表現しますから。中田ヒデキしかり、イチローしかり。 / 口車大王 ( 2001-10-18 16:02 )
ジャン・アレジ、やっぱりいい奴なんですね。大きなケガをすることもなく無事現役を終えて、久美子夫人も内心ホッとされていることでしょうね。 / TAKE ( 2001-10-17 16:34 )
いい光景ですね。本物の人たちといい時間を過ごされたのは貴重ですね。 / たらママ ( 2001-10-16 22:59 )
ますます後藤久美子さんのファンになっちゃう。夫婦ってこんな風にできあがっていけたら理想ですね。 / ぴぴ ( 2001-10-16 18:44 )
このCM、個人的にとっても好きでした。欲しくなりましたよ、子供乗せ自転車を買ったばかりでしたけど。こういう形でこのCMのお話が聞けて嬉しいです。素敵なお話です。 / さらら ( 2001-10-16 17:30 )
すごいなぁ。。。私も少しでもいいから、近づけたらなぁ。。。ヾ(≧▽≦)ノ" / maki ( 2001-10-16 15:57 )
全てが夢のようなお話だわ。読んでいてこっちまでうれしくなっちゃう。一番うれしい部分は、ゴクミとジャンはお互いにいい伴侶に巡りあえた、ということですね。貴重な思い出でしたね。 / おとじろう&おと吉 ( 2001-10-16 12:14 )
改めて読んでも、興味深いお話です。(6)まで読んで、「私もゴクミちゃんをちょっとでも見習いたいな」って思ってしまいました。私とは全てが正反対で素敵な女性だけど。。。意識的にも頑張らないと!って気持ちにさせてくれます♪この後も楽しみ。 / Chie ( 2001-10-16 07:20 )
なんだかゆめみたいなお話だなあ〜〜すごいです。 / パンドラ ( 2001-10-16 01:11 )
愛し合ってるカップルっていいですね。豪邸よりも何よりも、そのことがきっと彼女を美しくさせているのだと思います。 / りり@続きが楽しみ ( 2001-10-16 00:31 )
欲を言えば、お家の内装について聞きたかったです。雑誌には素敵なお庭が載ってました。昨日のF1もすごかったですよ。アレジは途中でリタイアしちゃったけど、インタビュー時のゴクミの堂々たる姿!あれは態度が大きいと勘違いされても仕方ないけど(笑)立派なマダムの姿でした。うっとりよ / oggi ( 2001-10-15 23:28 )
周囲をも幸せ気分にさせちゃう夫婦かぁ〜♪理想だわっ☆↓寒空の元ご苦労様でした!!!ヨーロッパの寒さって、骨の髄まで冷えますねー。 / ゆー ( 2001-10-15 19:04 )

2001-10-15 後藤久美子さんのこと 5

昼過ぎからはアヴィニヨン郊外の丘の上で、スポーティーな軽量モデルの撮影。これは非常に辛かった。と言うのは、この車両がまだ完成しておらず、ぎりぎりのタイミングでヨーロッパに持っていったのは、プロトタイプと言われる試作品だった。透明のプラスチック製のチェーンケースを無理やり接着剤で固定したので、撮影車両は取り扱い最大注意状態だった。しかもスポーティーなモデルで一本足のサイドスタンドだったため、誰かが冬の吹きっさらしの丘の上で、片時も離れず車両を支えていなければならない。「誰か」とは当然僕を指していた。

再び背景のセッティングなどがあったため、車両とともにロケ地に早めに到着。アヴィニヨンの街を見下ろす絶好の場所だが、そんなことはどうでもいいくらい、寒い。結局僕は一時間くらいバカみたいに風に吹かれて、自転車を支えて立っていることになった。スタッフがコーヒーを持ってきてくれたり、カメラマンが気を遣って色々はなしたりしてくれるのだが、寒いものは寒い。

そんなわけで、「後藤さん入りまーす!」というプロマネの声は天使の声のようだった。後藤さんは、袖の短い薄手の水色のピンストライプのシャツにピンクのパンツ、スカーフという、かわいそうなくらい寒そうな格好でポーズをとる。かわいそうだがこれが仕事なのだ。天気が回復しつつあったので、雲がなくなるのを待ってもう少し撮影しようと、少し間を置くことになった。

後藤さんも手持ち無沙汰になったので、なんとなく会話がはじまった。
「…でも、ヨーロッパにこんなに長く住むことになるなんて想像もしてなかったんじゃないですか?」
「私、ほんとはアメリカに住みたいのよ。アメリカの方が好き。特にニューヨーク」
「そうですか。僕は来年からニューヨークに住もうと思ってるんです」その頃の第一希望はコロンビアだった。
「へー、羨ましい。ニューヨークで何するの?」
「ビジネスの勉強をするんです」
5分くらいだったが、なんとなくそんな会話になった。彼女もジャンに会う前から寸暇を惜しんではベルリッツに通って英語を学んでいたこと、ジャンと会ってからは必死でフランス語を勉強したことなど、いろいろ話してくれた。

ようやく空が青々としてきて、理想的な絵が撮れた。この日はちょっと早いがこれで終了。午後4:00頃にはホテルに着いた。夕食はクライアントやスタッフとワインを交えての食事会なので、この間を利用して小論文を書く。まだ時差ボケもあったため、大概朝4:00頃からも小論文を書いていた。ようやくコロンビアの出願資料が完成し、逸早く送りたかったので、ホテルにFedexを頼んでもらう。南仏ののんびりしたホテルで、Fedexなんてこの方何ヶ月も来たことがないという感じだったが何とかお願いしてピックアップしてもらうことになった。本当に大丈夫なのだろうか?不安の残る出願だった。

(つづく)

先頭 表紙

2001-10-15 後藤久美子さんのこと 4

アヴィニヨンという街の名前に聞き覚えがあるとしたら、きっとそれはフランス民謡の歌詞からではないかと思う。「アヴィニヨンの橋で、踊ろよ、踊ろよ…」と日本語に訳されているあの歌だ。南仏プロヴァンス地方の、ワインで有名なローヌ川のほとりにある、かつてローマ法王が住んでいた歴史的な街。街の真中に旧法王庁が今も厳かに威容を誇り、周囲にはかつて街を外敵から守っていた城壁がそびえる。アヴィニヨンの橋は、正式にはサン・ベネゼ橋といい、ローヌ川に途中まで懸かって切り落とされたような形で残っている。

撮影一日目は、雑誌、カタログ、ポスター等で使用するスティル撮影。スタッフは日が昇る前から、何の変哲もないアヴィニヨンの広場を朝市に仕立てるべく、大道具、小道具のセッティングをする。果物屋や花屋を雇ってきたり、エキストラのフランス人を10人ほど仕込んだり。12月という季節性が出ないように、枯葉を掃いたり、枯れ枝をくくって画に入らなくしたりする。

天気は今ひとつはっきりしない曇り空である。この時期のプロヴァンス地方は天候が非常に不安定で、雨も多いとのことだった。下手すると雪ということだってありうる。大変前時代的だが、こういうときには晴れ男が貴重な存在になる。自他ともに認める晴れ男のクリエーティブ・ディレクターに加え、僕も確率的には8割打者くらいの成績を収めていた。前年に二人揃ってロスに撮影に行ったときは最悪の大雨を呼んでしまったのだが。

「後藤さん、入りまーす!」プロダクション・マネジャーの女性の甲高い声が響く。分厚いダウンジャケットで重装備をした後藤さんが登場。設定は春や初夏の撮影ばかりで薄着が多いので、暖かくしてもらう必要があるのだ。

僕の一番大事な仕事は車両の管理とセッティング。クライアントよりもこの商品の担当が長いので、クランクやペダルの位置・角度、サドルの高さ、タイヤの空気入れの位置などを、責任もって確認するのだ。後藤さんの位置決めができたところで、「ちょっと済みません」と言ってセッティングをする。

撮影開始。かなり決め込んだ構図だったので、後藤さんの色々な表情を引き出し、あとは空の色のいいときを見計らって必要枚数を取り、簡単に終了。とは言いながら、薄手のシャツにパンツでは相当寒かったと思う。何だかんだでもう昼近くになっていた。

(つづく)

先頭 表紙

2001-10-13 後藤久美子さんのこと 3

淡々と書いてきたが、僕自身、後藤久美子さんに関心がなかったわけではない。むしろ昔から非常に注目していたタレントだった。「愛(めご)にござります」という科白で、伊達正宗の幼き正室として衝撃的なメジャーデビュー。少女の体には不釣合いな、鼻筋の通った、強い意志を感じさせる顔立ち。その美しさは、捉えようのない、独立して機能するといった種類の美しさだった。

大人になってからは、より意味性のある、現実的な美しさが備わってきたように思う。アレジ氏と肩を並べて写ったいくつかの写真での微笑みは、人に多くを与えるような、そんな微笑みになっていた。貫いてきた生き方がより洗練されて、柔らかな薄肉のように彼女を覆っていた。

日本を発つ前に彼女の所属するオスカー・プロモーションを訪ね、社長と簡単な事前確認をしていた。最後に社長がこう話した。「生意気とか言われてますが、久美子は曲がったことが嫌いで嘘が言えないだけですから。『久美子ちゃんよかったよ』なんて言われても、『どこの部分がどうよかったの?』と鋭く切り返したりする。だからできるだけ正直な対応をしてやってください。そのほうが彼女も真面目に取り組めますから」

「寅さん」の山田洋二監督は、初対面のとき、余りの緊張感に水を飲みすぎたのと、うまく会話が続かないのとで、一時間に二度も三度もトイレに行ったそうだ。

でも僕にとってはそういう人のほうが全然楽だった。僕もどちらかというとそういう部分があるし、僕の周りにもそんな人が多かった。

12月14日。前日の夕方にパリ経由でアヴィニヨンに着いた僕は、スタッフと合流し、朝からロケハンに出た。撮影候補地を順番に回り、クライアントと一緒に最終確認をするのだ。クリエーティブ的見地に加えて、坂が坂らしく見えるか、左側通行を前提にした構図になっているかなど、営業的な細かいチェックをする。仕事とは言いながらも、一筋一筋が趣のあるアヴィニヨンの道を歩き、土地の人たちのくつろいだ年末の情景を眺めるのは楽しいことだった。

ロケハンを終えた夕方6:00頃、僕は自分のホテルで諸用を済ませ、スタッフの集まるホテルに向かった。10日間借り切った会議室では、昨日までとはうって変わった静寂の中で、ポラロイドのシャッター音だけが響いていた。後藤さんが既にフィッティングを始めていた。20人くらいのスタッフの視線が集まる中、雑誌広告のカンプやCFコンテを基に、後藤さん専属のスタイリストが集めてきた数々の衣装を後藤さんが次々に着てみせてくれた。

カンプに忠実に選ばれた光沢のあるグリーンのパンツに、花柄のシャツ。ボーイッシュな黒のジャケットに白いシンプルなインナー、黒のタイトなパンツ。水色のピンストライプのシャツにフレアー。青いデニム地のジャケットにシックなベージュのロングスカート。6、7通りのパターンを試してもらって、スティル撮影用(雑誌など)に2パターン、CF撮影用に2パターンを選択した。

日本を出発する前に銀座の博品館で僕が買ってきた、二人のお子さん用のクリスマスプレゼントを、クライアントからということで渡した。後藤さんはとても喜んでそれ受け取り、クライアントと後藤さんを中心に、しばし談笑が続いた。簡単な日程の確認をして、「明日からよろしく」と彼女は去った。

後藤さんの第一印象。二児の母の強さと貫禄。穏やかな笑顔に、対照的な鋭い目。あけっぴろげな話し方と笑い声にも、うっすらと漂う緊張感。想像していた通り、いまやある種のスタイルを身につけた、立派な大人の女性だった。

(つづく)

先頭 表紙

ゆーさん、本当に見習いたいですね。自分をだますことなんて簡単ですから。たった一人、誰にも見られないところにいたとしても、自分を甘やかさないでまっすぐ生きる力。本当に見習いたいです。 / Hidey ( 2001-10-15 12:12 )
浪花撫子さん、彼女も確かに丸みを帯びたのだと思いますが、基本線は変わってないですね。本当に、山口百恵さん以来、日本の誇れる女性であり、母であるような気がします。 / Hidey ( 2001-10-15 12:09 )
パンドラさん、本当にそうですよね。自分自身でいること。。。僕はできているだろうか、と考えさせられます。そんな風に考えさせられる人だったので、僕にとっては特別な出会いだったのだと思います。 / Hidey ( 2001-10-15 12:07 )
oggiさん、昔はそんなことも多かったのかもしれませんね。少なくとも我々と同行のカメラマン、監督は、そんな迎合はしない人だったので、誰にとっても気持ちのよい撮影になりました。かえってカメラマンや監督は頑固な人が多いので、後藤さんはそういう人たちとはウマが合うと思いますよ。代理店の太鼓もちが嫌いだったのかな? / Hidey ( 2001-10-15 12:05 )
ぴぴさん、筋を通すということは誰にもできることではないですよね。かつては矛盾に満ちた世界の中で予防線を張るためにも肩肘張って「生意気」な口をきかなくてはならなかったのだと思いますが、今はそんな必要もなく、ただただスタイルがきわまったという感じでした。 / Hidey ( 2001-10-15 12:02 )
おとじろうさん、はじめまして。あの有名な方ですね。僕もひまじん読者暦は1年くらいあるので、かつては読ませていただいてました。光栄です。ゴクミちゃんは和装も洋装もかっこよかったですね。 / Hidey ( 2001-10-15 11:59 )
一貫して自分を持ちつづける強さが人をひきつけるものなんですね。見習わなきゃって思います。 / ゆー ( 2001-10-15 11:10 )
どうも、ゴクミ孃ご本人は以前からそのままで、時代が彼女に追い付いたという事ですやろか? あるいは、年齢が彼女に追い付いたという事ですやろか?女の子からオバハンになって(されて)しまう日本女性の中でも、マダムへと成熟できた希有な人ですよね。 / 浪花撫子@オバハ─ン ( 2001-10-15 02:22 )
私自身でいることって実はとてもむずかしい・・・。でも、後藤久美子さんはそれができる人なんだな、と感じました。その強さをうらやましいと思います。 / パンドラ ( 2001-10-14 22:05 )
撮影時にカメラマンが気分をよくさせようと「いにね〜きれいだね〜」褒めまくるんですよね。そういう薄っぺらな世界で生きてきたから、具体的にどこがいいのか聞きたくなるのかな。 / oggi ( 2001-10-14 15:38 )
彼女の顔には、彼女のスジの通った生き方が反映されているわけですね。若い頃は、それを生意気と言われてしまうことがあるのかもしれないけれど、このくらいの年になると、もうそれはポリシー、とかスタイルということで彼女の大事な基盤なんですね。続き、待ってます。 / ぴぴ ( 2001-10-14 07:57 )
「めごにござりまする。」の美しさは強烈な印象が残ってます。その後桜田淳子に替わって、あれ?でしたね。あ、それた。現在のゴクミは自分のスタイルを持ち、貫禄と自信に溢れた魅力を感じますね。 / おとじろう ( 2001-10-14 03:43 )
akemiさん、まあ、華やかといわれても仕方ないでしょうね。そういう仕事ですからね。「気になることが…」ってのは何でしょう?ああ、気になる。 / Hidey ( 2001-10-14 00:37 )
そうなんですか。こちらのつっこみが「後藤久美子さま絶賛」っだったのを裏付けるようなお話の数々…なわけなんですね。ここいらへんは、本当に華やかな世界、って感じで進んでいきますね。 / akemi@気になることが… ( 2001-10-14 00:14 )

2001-10-09 後藤久美子さんのこと 2

さっそく後藤さんの事務所と連絡を取り、出演可否の確認を取る。二人の子供と一緒にいることを大事にしたいので、今はどんな仕事に関しても日本に戻ったりすることはできない。フランスでの撮影なら可能、ということだった。フランス、結構。かえってこの状況はプラスにできるかもしれない。クリエーティブが数日考えて作り上げたCF案は、南仏アヴィニヨンに住む後藤さんの日常の断片を切り取り、電動自転車で素敵に暮らす姿を描くというものだった。二つのバージョンを考えた。

<朝市篇>
アヴィニヨンの目抜き通りを爽やかに電動自転車で走り抜ける後藤さん。朝市でお買い物。ポルシェに乗ったプレイボーイが登場。「マダム、家まで送りましょうか?」「Non, merci」さりげなく断る後藤さん。車も要らない、バスも要らない。彼女には素敵な自転車がある。再び自転車に乗り、丘の上の家に向かう。細道もスイスイ。急坂もらくらくクリア。足を開いておどけながら、「ただいまー」とお屋敷の門をくぐる。ラストカットはせっせと自転車の手入れをする執事と運転手。後藤さんが遠くで微笑む。

<花束篇>
「最近奥様が車に乗ってくださらないのだ」と執事に向かって嘆く運転手。ノースリーブにタイトなパンツできびきびと電動自転車を走らせる後藤さん。カゴには花束があふれる。「ロッキュッパ(69,800円)にはお手上げだよ」再び嘆く運転手。アヴィニヨンの街のすぐ脇を流れるローヌ川のほとりを走る後藤さん。川の向こうには城壁と旧法王庁が見える。「ただいまー」とお屋敷に戻る後藤さん。先ほどは嘆いていた運転手も、後藤さんから一輪の花をもらってご満悦。ラストカット。自転車の手入れをする執事と運転手。

10月下旬、マーケティング、クリエーティブ、メディア、セールスプロモーション、PR、販売店対策、WEBなどの包括的な提案が実り、競合プレゼンに見事勝利。

さっそく制作作業に入ったのだが、商品の発売時期、制作スケジュール、及び後藤さんの都合をあわせると、クリスマス前の撮影になることが分かった。僕はこの頃仕事で多忙を極めつつも、MBA留学のための小論文を書きまくり、塾でアメリカ人と一緒に文章の添削を重ねていた。ひとつの学校に対して平均5本、6校で合計30本にのぼる論文を書かなくてはならず、毎日3時間睡眠の生活を続けていたのだ。

12月から1月にかけて各校のapplication(論文を含む願書)締切りが集中しており、クリスマス前にはNYとシカゴの学校にapplyを済ませようと計画していた。クライアントにはまだ留学することは秘密にしていた。CF、雑誌広告、カタログ、POPで、正味5日間の撮影が必要だったので、事前準備などあわせると、10日間フランスに滞在することになる。営業という立場なので、撮影自体に加えて、クライアントのケアなど、仕事は夜まで続く。ロケに行くということは、受験前の一番大事な時期に10日間の空白ができることを意味していた。

この商品に関する営業作業は7年間僕がひとりでやってきたので、商品やプロモーション意図など、細かい部分は僕にしか分からない。何とか人に引き継ぐこともできたが、何より最後の仕事になるであろうこのプロジェクトを完遂したいという気持ちが強かった。悩んだ末に、ロケに行くことを決定。不利になるのを覚悟で、シカゴの学校のapplicationは1月の第2回締切りに遅らせることにした。また、どうせならということで、シカゴの学校の面接を受けてからロケに参加することにした。

そんなわけで、12月10日、僕は成田からシカゴに向かった。12月23日に帰国という、14日間の無謀な日程の始まりだった。

(つづく)

先頭 表紙

ガス欠コインさん、ありがとうございます。僕は、ガス欠コインさんが多分一番多く仕事で関わっていらっしゃる代理店の出身です。10年前まではスポーツ関係の部署にもいましたので、かなり共通の知り合いがいるはずです。 / Hidey ( 2001-10-14 02:47 )
Y社のあのCMですか。嫌みのない爽やかなものだった印象があります。Y社ということは、僕はやっていませんが、共通のお知り合いがいるのは間違いないでしょう。やっぱり、この業界、狭いですね(笑)。 / ガス欠コイン ( 2001-10-14 00:36 )
はるぴょんさん、いらっしゃいませ。いえいえ、結構怠けたり、自分で情けなく思ったりすることはしょっちゅうですよ。でも何とかやらないとね。もう仕事をしてたときの感覚はすっかり忘れてしまいました。この文章を書きながら、久しぶりにそんなものを思い出しています。 / Hidey ( 2001-10-13 23:37 )
makiさん、そんなことないです。準備期間だったし、ただただかっこ悪くボロボロになっていただけのような気がします。今もまだ長い準備期間中。いつに日に輝けることやら。makiさんも頑張ってください! / Hidey ( 2001-10-13 23:35 )
Hideyさんがいつも全力で頑張っていらっしゃるのが文章から読み取れます。ステキ!お勉強かなりハードそうですが、必ず目標を達成されるであろうことを確信します。頑張って下さい。 / はるぴょん@なかなか自分にストイックになれない ( 2001-10-12 01:28 )
おぉ〜。なんかすごく格好良いなっ。仕事と夢を全力で頑張ってる人ほど、輝いてみえる人はいないと思う!これを読んで私も頑張りたいって思えました♪ありがとう! / maki ( 2001-10-11 11:34 )
あややさん、ほんとに数少ないカリスマですよね。ほんとはもっとそのカリスマを活かしたプロモーションにしたかったのですが。。。色々あるんです。続き、僕も早く書きたいのですが、ちょっと忙しくて、いつ書けるか。。。少々お待ちを! / Hidey ( 2001-10-11 03:38 )
TAKEさん、このときはトータルキャンペーンだったので、CF、雑誌、編集タイアップ、POP、PR。。。と、死にました。でも、商品を子供のように愛してましたので、何とかやりました。 / Hidey ( 2001-10-11 03:36 )
ゆーさん、残念ながらもうあのCFはなかなか流れないと思います。そもそもが自転車の需要期の春にあわせてつくったものだったし、今はニュースステーションの水曜でやってるかどうかといったところ。会社とは全然連絡とってないのでわかりませんが、来年またやるかな。。。? / Hidey ( 2001-10-11 03:34 )
パンドラさん、僕は指揮はしましたけど、僕がつくったわけではないです。クリエーティブのスタッフが原案を作り、プロの監督さんが仕上げるといった形です。僕はその作品にたどり着くまでの理屈っぽい部分や、作品ができてからどの媒体に載せるか、全体のプロモーションをどうするかなど、包括的なことをやってました。 / Hidey ( 2001-10-11 03:32 )
ume-koさん、ってあのume-koさんですよね?いらっしゃいませ。徹子の部屋は僕も見ました。非常に哲学のある人だと思いました。ゴクミちゃんのイメージに疑問を抱いていたクライアントもあれで納得でした。 / Hidey ( 2001-10-11 03:29 )
りさ子さん、はじめまして。僕もチェックのためにそのサイトに行ったのですが、残念ながらダウンロードできなかったのですが。今はニュースステーションの水曜日にまだやってるかな。。。? / Hidey ( 2001-10-11 03:27 )
たらママさん、そんな年に限って、この仕事を含め、5つも大競合プレゼンがあったのです。昨年は一生で最も忙しい年になりました。今年もかな。。。? / Hidey ( 2001-10-11 03:25 )
oggiさん、僕もクリエーティブではなく営業なので、総指揮を取る立場でした。CFの生まれる源のような、そして最後まで主旨が一貫しているかどうかチェックするというような仕事でした。おかげで11本の作品に深く関わることができました。 / Hidey ( 2001-10-11 03:23 )
みかりんさん、少女の頃のゴクミちゃんは、なんというか、つかみ所がないくらい、独立して機能する「美」という感じでしたよね。今はもっと落ち着いておおらかな、人に多くを与えることのできる「美」という気がします。 / Hidey ( 2001-10-11 03:19 )
浪花撫子さん、そう言っていただけると嬉しいです。ただ、価格がまだ中途半端だったので、効果は今ひとつだったのですが。それでもここ数年のなかではかなり売れたようです。 / Hidey ( 2001-10-11 03:16 )
ぴぴさん、春にぴぴさんも日記に書いてらっしゃいましたよね。フィー子さんとちえちゃんがつっこみで書いてた、「ゴクミの家に行ったことのある友達」というのが僕のことです。あのCMは確かによい作品でした。それほど量が出なかったのが残念ですが。 / Hidey ( 2001-10-11 03:13 )
たまたまさん、そうですね、確かに部署によっては派手な部分もあるのでしょうが、ほとんどの人たちは普通のサラリーマンです。それもかなり疲れた。今は今で大変ですが、たしかに食生活、青空を見上げることが多いことなど、人間的な生活になったとは思います。 / Hidey ( 2001-10-11 03:10 )
akemiさん、それはセコイ!うちも昔は構造的にそういうこともできましたが、最近はめっきり厳しくなって、そういうことは一切ありません。。。と思います。 / Hidey ( 2001-10-11 03:08 )
私もFRAU、今回は買い求めました。憧憬ももちろん、山口百恵的な「結婚して(ほぼ)ブラウン管から消えたけれども鮮烈なカリスマ性を保つ人」としての彼女の魅力に、久しぶりに彼女を見ました。ああ、続きが気になる、早く読みたい!! / あやや ( 2001-10-11 00:00 )
ううっ、ハードなお仕事と留学の準備・・・・。僕は直接CM制作にかかわったことはないんですけど、お仕事の内容とスケジュールの苛烈さだけは良く分かります(想像すると、胃にくる〜^^;) でもすべて前向きに挑まれたのですね。(続きが楽しみです) / TAKE@お祝いメッセージありがとうございました ( 2001-10-10 13:05 )
CM見るたびにHideyさまのお話し思い出します、きっと。できるCMはほんの十数秒なのに、その裏の苦労は計り知れないものなんですね。続きが楽しみです。 / ゆー ( 2001-10-10 09:49 )
<朝市編><花束編>ふたつともHideyさまのプランですか!?すごい〜〜〜!!想像しただけでうっとり^^ 広告代理店ってこういうお仕事するのか、なるほど・・・(無知でゴメンナサイ) / パンドラ ( 2001-10-10 01:32 )
初めてつっこみします。五感にうったえる文章、いつも楽しく読ませてもらっています。徹子の部屋で話すゴクミはとても知的に感じられました。天は二物を与う?!続きを楽しみに待っています。 / ume-ko ( 2001-10-10 01:15 )
ここでそのCM見れますね。http://www.yamaha-motor.co.jp/cf/0006.html / りさ子 ( 2001-10-10 01:06 )
仕事と受験の両立、本当に大変でしたね。 / たらママ ( 2001-10-10 00:01 )
私にも大手代理店勤務の友人がいますが、CM制作ではないので、初めて聞く話に興味津々!しかもゴクミ嬢!うふふ / oggi@次も楽しみです ( 2001-10-09 22:57 )
ゴクミちゃんって。。私の中では、まだ少女だな。。二人も子供がいるママなんですね。。なんだか時の流れを感じます。。。 / みかりん ( 2001-10-09 22:17 )
文字読んだだけでも、綺麗な画像が浮かんで商品価値が上がりましたわ。日常の手段としてのチャ─リ─やなく(特売に走る為の)風を感じたい時にお乗りくださいって事を、ゴクミ孃なら伝えられますなあ。 / 浪花撫子@いやー、美しわあー。 ( 2001-10-09 13:50 )
後藤久美子さん、私も大好きです。それにそのCMも雰囲気が出ていて大好きでした。つづき、早く、早くぅ! / ぴぴ ( 2001-10-09 09:44 )
うーん、続きが気になるー。。。でも、貴社も弊社も世間ではかなり派手なイメージですが、ほんとーはボロ雑巾ですよねー。自分はいまこちらでいかに人間らしい生活を送っているか実感しています。 / たまたま ( 2001-10-09 06:12 )
それが「領収書いただけますか?」と差し出された名刺にあった社名、大手でした。しかも来店されていたのはあきらかに仲間内での食事会だった(しかもこの人の後輩がうちのお馴染みさん、しかも払いはワリカン)ため「セコイ!身銭切って遊べや!」と思ったし、翌日「日付けなし」をもう一枚請求してきたのです。印象悪いでしょう?(笑)でも、こんなことこと細かく覚えてるあたしもイヤな女だ!(爆) / akemi ( 2001-10-09 05:17 )
いや、12時半に一旦寝て3時半にトイレに起きて、誘惑に負けPC立ち上げてしまいました。>ひま中(笑) / akemi ( 2001-10-09 05:09 )
はらぽ〜ん、僕はドラマはまったく観ない人なのでよく分からないですし、ゴクミちゃんの若い頃のこともよく知りません。世の中では「生意気」と言われていたようですが、不安定な若い時期に、虚飾に充ちた芸能界で、流されず自分を守って生きるということは並大抵の努力ではないと思います。人から恨まれることもきっと多かったと思います。 / Hidey ( 2001-10-09 05:07 )
akemiさん、こんな時間まで!お弁当は別にいいじゃないですか〜。でも我々の仕事は、95%までは地味で激しく、ストレスのたまる仕事です。5%の派手っぽい部分は年に数回のご褒美程度。いつもクライアントとメディア、制作者、社内スタッフの間に入って調整をし、ぼろ雑巾のようになってました。確かに(特に小さい代理店やプロダクションに多い)大勘違い野郎も沢山いるのですが。 / Hidey ( 2001-10-09 05:04 )
若い芸能人(ゴクミはもうそんなに若くないか)の鼻持ちならぬ様子が、ドラマ「ムコ殿」や「ブランド」に出てきましたが、ゴクミは若い頃どうだったんでしょう?(情報源がドラマしかない自分、とんでもないフィクションなのにさ。)。芸能人と仕事するのって結構たいへんなんだろうなと思っています。 / はらぽ〜ん ( 2001-10-09 05:01 )
あ〜、こんなにも仕事をし、学んでいる人がいることを改めて知って、安易にお弁当を取った(野球の昼の弁当は作ったの…言い訳)ゆうべの自分を反省。まだまだやれるじゃねぇか!>自分。。すいません、同じ次元で語るつもりはないんで。。(^^;; うちの店で、Hideyさんとおそらく同業の方が見えますが、芸能人と仕事してることをやたらハナにかけて派手な部分だけ誇張して話されるので、イメージ悪かったんです。派手なだけのお仕事じゃないですよね。あたしちょっとうわっつらだけで見てたかもしれません。広告のお仕事。。 / akemi ( 2001-10-09 04:41 )

[次の10件を表示] (総目次)