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Hideyの「蛍の光の下で」

帰国に伴い長い間ご愛読いただいたこの日記を終了させていただきます。
もうこのサイトに文章を綴ることはありませんが
もしこの先もおつきあいいただけるようであれば
メールをいただければ幸甚です。
皆様、本当にありがとうございました。お元気で。

絵日記

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2003-02-06 英語に自信のある方もない方もぜひお試しあれ! これがGMAT
2003-02-06 MBA受験って何するの?
2003-02-03 最後の勝負 3
2003-02-03 最後の勝負 2
2003-02-03 最後の勝負 1
2003-01-20 クリスマスイブに考えたこと
2003-01-18 ボストンでりぃなさんと会う
2003-01-03 Management in Perspective 3
2002-12-31 Management in Perspective 2
2002-12-31 Management in Perspective 1


2003-02-06 英語に自信のある方もない方もぜひお試しあれ! これがGMAT

その文法問題だが、TOEICやTOEFLとは段違いに難しい。文法問題とは言っても、5つの選択肢のほとんどが形だけは正しい文法を成していたりすることもある。GMAT文法と言われ、TOEFLの例文にも出てくるような表現が不正解だったりする場合もある。論理的で簡潔な英語をもっとも厳しく追及するのがGMATである。

百聞は一見に如かず。オフィシャル・ガイドから、GMATらしい素直な問題を拾ってみた。英語に自信のある人もない人もどうぞお試しあれ。

太字の部分にあたる表現を5つの選択肢から選び、もっともよい英文を構成せよ。
(選択肢(A)は必ず太字と同じ表現になっており、それが正解の場合もある)

1.
Based on accounts of various ancient writers, scholars have painted a sketchy picture of the activities of an all-female cult that, perhaps as early as the sixth century B.C., worshipped a goddess known in Latin as Bona Dea, “the good goddess.”
(A) Based on accounts of various ancient writers
(B) Basing it on various ancient writers’ accounts
(C) With accounts of various ancient writers used for a basis
(D) By the accounts of various ancient writers they used
(E) Using accounts of various ancient writers

2.
George Sand was one of the first European writers to consider the rural poor to be legitimate subjects for literature and portray these with sympathy and respect in her novels.
(A) to be legitimate subjects for literature and portray these
(B) should be legitimate subjects for literature and portray these
(C) as being legitimate subjects for literature and portraying them
(D) as if they were legitimate subjects for literature and portray them
(E) legitimate subjects for literature and to portray them

3.
Dirt roads may evoke the bucolic simplicity of another century, but financially strained townships point out that dirt roads cost twice as much as maintaining paved roads.
(A) dirt roads cost twice as much as maintaining paved roads
(B) dirt roads cost twice as much to maintain as paved roads do
(C) maintaining dirt roads costs twice as much as paved roads do
(D) maintaining dirt roads costs twice as much as it does for paved roads
(E) to maintain dirt roads costs twice as much as for paved roads

4.
Quasars are so distant that their light has taken billions of years to reach the Earth; consequently, we see them as they were during the formation of the universe.
(A) we see them as they were during
(B) we see them as they had been during
(C) we see them as if during
(D) they appear to us as they did in
(E) they appear to us as though in

5.
Although Napoleon’s army entered Russia with far more supplies than they had in their previous campaigns, it had provisions for only twenty-four days.
(A) they had in their previous campaigns
(B) their previous campaigns had had
(C) they had for any previous campaign
(D) in their previous campaigns
(E) for any previous campaign

正解が一番多い方には素敵なボストン土産をお送りします。まじで。当てずっぽうで結構ですのでぜひやってみてください。

先頭 表紙

azzurriさん、早めに締め切ってしまい、ごめんなさい。ちなみにGMATは「ジーマット」と発音して、Graduate Management Admission Testの略です。ポッキーに似たようなのがあるの? / Hidey ( 2003-02-14 17:27 )
ささみさん、あれ、ごめんなさい、抜かしちゃった。ご主人の苦労も少しお分かりいただけたでしょうか?とっくにお分かりですよね。間近で見てるのは辛かったでしょうね。春が待ち遠しいですね! / Hidey ( 2003-02-14 17:24 )
時間のある時にゆっくりやろう!と思っていたら、締め切られてしまいました、、、とは言っても、さっぱりわからないんですけど(笑)!GMAT?新しいお菓子の名前でしょうか???ポッキーぽいような。。。 / azzurri ( 2003-02-14 16:05 )
みほちゃん、その答えはK君の答え?それともみほちゃんが改めてやってみたの?わざわざ学校からつっこんでくれてありがとう。 / Hidey ( 2003-02-14 06:18 )
りぃなさん、SATよりもGREよりもさらに難易度の高いテストですから、自信はなくさなくて大丈夫。こんなのテクニックだから、詰め込めば何とかなるものです。それにこの手の文法はアメリカ人同士の会話でもほとんど無視されるものですからね。 / Hidey ( 2003-02-14 06:16 )
なみまるさん、はじめまして!英語に大変ご興味がおありのようですね。日記を拝見させていただきました。ここにあるのは本当に基本的な問題で、普通は問題文も、そしてその太字の部分も1.5倍くらいの長さがあります。平均1分半で解かないと、もっと難しいほかのセクションに時間がまわりません。内容よりも時間との勝負が地獄でした。 / Hidey ( 2003-02-14 06:14 )
おとじろうさん、ケンブリッジ英検ってのは受けたことないです。他の英語の試験は大概受けてるけど。そろそろちゃんと気分転換になるような日記を書きたいと思います。 / Hidey ( 2003-02-14 06:11 )
むらぱぱさん、その後ご加減はいかがですか?ほんとに心配。あまり動き回らないで養生してくださいね。私的に問題を解いていただいたでしょうか?さて、Whartonを目指す記念すべき第一歩になるでしょうか? / Hidey ( 2003-02-14 06:09 )
夢樂堂さん、普通そうですよね。僕も大学を卒業した頃は、「ああ、これでもう一生試験なんか受けなくてもいい」と思っていたのですが、いまだに試験に追われています。おかしいなあ。 / Hidey ( 2003-02-14 06:07 )
鳥さん、これは日本人には難しいです。だって教養あるアメリカ人をふるいにかけるためのテストなのですから。でも実はこれでも短くて易しいほうの問題であるのも事実。とはいってもちゃんとコツがあって、僕も4ヶ月ほどしっかりそのコツを詰め込みました。 / Hidey ( 2003-02-14 06:06 )
フィー子さん、メールいただきました。あなたの旦那はバケモノ。 / Hidey ( 2003-02-14 06:04 )
lamanchaさん、お久しぶりです!以前Kellogg受験を検討されたと書かれていたことが印象に残っています。いつの日かのための練習になりましたでしょうか? / Hidey ( 2003-02-14 06:03 )
akemiさん、これ、本当の会場で椅子に座って受けると、本当にゾゾーッとしますよ。しかもその場で点数が出てがっくりしたり。なんども悲しい声で妻に「今回もダメだった…」と電話したものです。 / Hidey ( 2003-02-14 06:01 )
コインさん、僕もすべての単語が分かっているわけではなくて、「quasarってなんだ?」ってな感じです。でも単語が分からなくても文型から分かりますよね。 / Hidey ( 2003-02-14 05:59 )
Ecruさん、もし個人的にトライされていたのであれば、次回の日記に正解を書きますのでご参照ください。 / Hidey ( 2003-02-14 05:57 )
ハライタ子さん、腹痛はもう治りましたか?痛みが増えなかったらいいんだけど。。。挑戦、ありがとうございます! / Hidey ( 2003-02-14 05:56 )
ricaさん、こちらこそ、ご近所づきあいをよろしくお願いします!僕ははるか20年近く前に高校留学をしたのですが、みんなが休日にSATを受けるとか言ってたのをおぼろげに覚えています。みんな苦労してたのね、全然気づかなかったけど。 / Hidey ( 2003-02-14 05:55 )
PACHIさん、翻訳ソフト、珍訳がなかなか笑えますよね。さあ、そのソフトの実力はいかに? / Hidey ( 2003-02-14 05:53 )
たらママさん、TOEFLはまだ一部ペーパーも実施しているし、ペーパーの点数も立派に通用しますよ!ちゃんと換算表があるので。たらママさんはGREを受けたのですか? / Hidey ( 2003-02-14 05:51 )
PAOさん、TOEICもだいぶ疲れますよね。特に歳とってくると辛いですね。この留学のための社内選抜でも足切りのためのTOEICを受けました。でも900点以上の人ばかりなので足切りにも何もならなかったです(笑)。 / Hidey ( 2003-02-14 05:50 )
BEBAC? / Miho@school ( 2003-02-14 04:23 )
ああーちょっとまってぇぇぇー!!!まだメールしていないぃぃー(そんなに土産が欲しいのか)ていうか金曜日の朝?日本時間?えぇ。。。無理ですわ(ガクリ) / みほ ( 2003-02-13 13:07 )
AECDA、にしまーす。ガス欠コインさんの文章を真似っこすると、(コインさん、失礼しますー。。)現役留学生なのに、自信がないです(汗)英語を勉強しなおそうという思いは、いつの間にやら、どこへやら…あぁ、情けないー(涙) / りぃな@数学のテスト明け(めでたい) ( 2003-02-13 12:49 )
全く自信がありませんが(汗)、英語学科出身なのに(汗)、「ADBAB」でお願いします。何をお願いするんだか(笑)。 / ガス欠コイン ( 2003-02-12 23:30 )
はじめまして!なるほどー。GMATってこういうテストだったんですね。初めて知りました。答えは「AEBDC」でしょうか。 / なみまる ( 2003-02-12 23:03 )
↓言葉が足りませんね。次の日記で正解とともに詳しい解説を書かせていただきます。その時点で自動的に応募締め切りになりますのでよろしくお願いします。お土産、何にしようかなあ…。 / Hidey ( 2003-02-12 14:11 )
たくさんのご参加ありがとうございます。相変わらず毎日60ページ前後のリーディングを強いられており、更新が滞っておりますが、金曜から三連休のためこちらの木曜日の夜には更新できそうなので、まだ参加をご検討されている方は日本時間の2/14(金)の朝ぐらいまでにお願いします。匿名の参加も大歓迎です。 / Hidey ( 2003-02-12 14:11 )
ケンブリッジ大学検定試験ともちょっと違いますね。今仕事中で気分転換にと来ましたが、ふーむ、頭が痛い。見ているだけでちっとも読んでいない。。。金曜日までに挑戦してみようかな。ごきげんよ〜! / おとじろう ( 2003-02-12 13:52 )
ABECB ! ヤッパ直感で。 / ガックン ( 2003-02-12 10:29 )
ご心配をお掛けしてます。歩き回れないので、ゆっくりと考えさせて下さい。。。でも、こういうのは直感なんでしょうね。 / むらぱぱ ( 2003-02-10 19:35 )
ワハハ、試験的なものはもう30年間近くしておりません。 / 夢樂堂 ( 2003-02-10 08:13 )
ひゃ〜!難しすぎるーっ!たぶんこのつっこみが、今までの中で1番時間かかってます(笑) ADBDA・・・あ。一緒の人がいない・・・(T_T) こりゃはずれだな。 / ( 2003-02-09 20:33 )
↓あれ、切れちゃった。夫連れて出直してきまーす(T_T)。 / フィー子 ( 2003-02-09 17:18 )
ひーーーー(_ / フィー子 ( 2003-02-09 17:17 )
AABBCかな? / lamancha ( 2003-02-09 16:44 )
風邪はひいてないはずなのに、背筋がゾゾ〜ッとしました。   出直してきます・・・(爆) / akemi ( 2003-02-09 15:55 )
11日の休日に真剣に挑戦してみます。でも辞書が必要か(汗)。 / ガス欠コイン ( 2003-02-09 14:48 )
EEDDB! いいセンいってるかな? / ささみ ( 2003-02-09 13:51 )
ひえ〜目がすべります。落ち着いて挑戦してみようかな? / Ecru ( 2003-02-09 13:24 )
みほちゃん、K君の場合は現役なんでそんなに難しくないでしょうから、全問正解の場合のみ、他の方とは別の賞品をお送りしましょう。あて先はもちろんNZ。 / Hidey ( 2003-02-09 07:32 )
EBEAD 只今、腹痛と闘っております。痛みを忘れるために挑戦させていただきました。 / ハライタ子 ( 2003-02-09 07:10 )
Hideyさま!こんにちは。そうなのです、ボストンに来てしまいました。これからはご近所様ということでよろしくお願い致しますネ!・・・って来てみたらGMAT(笑)。やだ〜。もうricaは大学入る時のSATとachievementで苦労は十分でございます・・・。 / rica ( 2003-02-09 03:40 )
家パソ付属の脱力系翻訳ソフトにかけて、一番日本語らしくなった文を選んでみました(笑) ABEAD……全部間違ってる気がする。。。 / PACHI ( 2003-02-08 22:11 )
TOFLEの形式が変わってたの、今頃知りました。じゃあ履歴書にはもう書けないか。昔のスコア(当たり前)。GMAT、そういやありましたね。こんな問題が。懐かしい。 / たらママ ( 2003-02-08 20:57 )
わたしはTOEICでさえ2時間終了後は集中力の使いすぎで脳みそが干物状態になってしまって、日本語もうまくしゃべれていなかったりする。 / 走る酔人(PAO) ( 2003-02-08 15:42 )
結構結構、って・・・。私が苦労してるの楽しんでますか?(笑)なぁんて冗談ですが先日Kとその、GMATの話をしまして、おまえ本当に韓国人かという点数を取っていたので彼にこの日記をみせて私名義でもう一度答えなおしてもしも一番正解が多かったら、それでもお土産もらえますかぁ?(笑) / みほ ( 2003-02-08 13:27 )
答えてみたいけど恥ずかしい方、匿名で答えていただいても結構です。あとで正解数が一番多かった場合は名乗り出ていただければ、本当に賞品をお送りします。または3月中旬に一時帰国した際に直接お渡ししてもいいかな?(日本在住の方の場合)。 / Hidey ( 2003-02-08 05:44 )
PACHIさん、時間をゆっくりとってトライしてみてください。まだ次の日記を書く余裕がありませんので、もうすこしお待ちできますよー。 / Hidey ( 2003-02-08 05:41 )
やっぱり恥ずかしいから内緒!さん、ほんとのあてずっぽの場合、全問正解の確率は3125分の1になりますね。でもちゃんと考えていただいたようなので確率はもっと上がるかな? / Hidey ( 2003-02-08 05:40 )
みほちゃん、元気そうで何より!それに英語もとっても苦労しているようで、結構結構。苦労しなければ永遠に上手くならないしね。たまにAばっかり4つ連続正解とかってあるよね。さあ今回はどうなることか。 / Hidey ( 2003-02-08 05:37 )
内緒でね!さん、いえいえ、匿名も結構です。もし正解数トップで商品をお渡しする場合には名乗り出てくださいね! / Hidey ( 2003-02-08 05:35 )
有末那智さん、はじめまして!トライしていただきありがとうございます。正解の発表をお楽しみに。 / Hidey ( 2003-02-08 05:34 )
素敵なボストン土産には心惹かれますが、英文が読めないのはもちろんとして、問題の意味を理解するのにも時間がかかってしまった私にはとてもムリ。でも、試してみたいことがあるので、あてずっぽ解答はまたおうちに帰ってから……(遅いかな?) / PACHI ( 2003-02-07 15:23 )
私もAAAAA!にしようと思ってたのに、先を越されちゃいました。それじゃ、ほとんどあてずっぽで。EBADC! / やっぱり恥ずかしいから内緒! ( 2003-02-07 13:01 )
英語で疲れてるのにこんな日記に遭遇するなんて・・・(笑、ごめんなさぁっぃ!)AAAAA!(問題読んでません)5問あるんだから絶対一つはAっしょ!(え?そういう問題じゃない?)いつも英語がんばっているというご苦労賞に私にもその商品のおすそ分けをし(だまらっしゃい) / みほ ( 2003-02-07 12:54 )
AEDAEでは如何でしょうか?未ログインでごめんなさい。。 / 内緒でね! ( 2003-02-07 09:47 )
こんにちは、はじめてまして。楽しそうでしたので英語苦手なんですが・・・やってみます。・・・AEADE・・・あてずっぽです(大汗) / 有末那智。@鉛筆ころがし〜 ( 2003-02-06 17:18 )
他の皆様、GMATはかなり難しいのではずれて当たり前。恥ずかしがらずにあてずっぽで賞品を当ててみてください。もちろん自信がおありの方は狙ってみて! / Hidey ( 2003-02-06 16:39 )
しゃどう猫くん、さっそくありがとう!正解は次回の日記でね。 / Hidey ( 2003-02-06 16:37 )
おぉ、面白そう。気分転換にやってみました。ちゃかちゃかっと、AEBDAで、いかがなものか? ひとつでも当たっていたら、ボストンの新鮮なロブスター送ってねっ! / しゃどう猫@猫ハンデつき。 ( 2003-02-06 16:25 )

2003-02-06 MBA受験って何するの?

授業の話を書くにはあまりに時間的余裕がないのでたまにはこんなのも。

最近社の後輩がメールをよこし、「MBAの受験って何をするんですか?」と、とても素朴な質問を投げてきた。GMATという共通の試験を受けて点数を申告し、英語のネイティブ・スピーカー以外はTOEFLも受けて点数を申告。平均5つくらいのエッセー(小論文)を通じて自分をアピールし、別途履歴書にあたるレジュメ、上司など身近で自分を客観視できる二人の人による推薦状、大学時代の成績証明書を提出、その上で面接を受けるのだ、と簡潔に答えた。すると「GMATってどんな試験ですか」とまたメールがきたので、「地獄の試験。あとは自分で調べなさい」と返してやった。

ちょっと忙しかったこともあって邪険に扱ってしまったので少し反省し、この日記上でもう少し分かりやすく解説することにした。彼も日記を読んでいてくれるようだし、ひまじんの方にも何かの参考になればと思った次第。

TOEFLはそれ程説明の必要はないだろう。TOEICではビジネスに寄った問題が多いのに対し、TOEFLではよりトータルで、よりアカデミックな問題が多く出題される。TOEICと比べてヒアリングが難しいというか、とにかく問題文が長くてはじめの方の内容が思い出せないという事態に陥ることもある。そして長文読解ではいくつかある問題文のうち必ずひとつはアメリカ史やアメリカ文化に関する話だったり、また純粋な語彙力(この単語の同義語は次のうちどれか?など)が問われたりする。

僕が受験した年に従来の677点満点のペーパーテストから300点満点のコンピューターテストに移行した。塾としてもペーパーテスト対策のノウハウの方がはるかに多く蓄積されていたので、僕は移行前の最後の二回のペーパーテストを受験した。トップ10のビジネススクールに合格するためにはペーパーでは少なくとも620点(コンピューターテストで260点)は必要になる。

そして魔のGMAT。コンピューター形式で、月に1回受験することができる。800点満点で700点に届けばGMATに関してだけはどこの学校を受けるにも安心してよいと思われる。

囲いで仕切られた机に向かって受けるのだが、キーボードを叩く音がそこら中から聞こえる環境での受験になる。はじめに作文を二つ書かされる。Analysis of an Issueという問題では、ある命題を与えられ、賛成か反対か自分の立場を決めて、いくつか(大抵三つ)の根拠とそれらの根拠から結論に至るロジックを明確に書くことを要求される。もうひとつはAnalysis of an Argument というもので、これは与えられた命題をとにかく論理的に否定するというものだ。ここでも三つ程度の根拠が求められる。作文はそれぞれ30分。

作文でどっと疲れたところで次に数学の問題。37問を75分で解くのだが、範囲的には中学生の数学レベル。しかし日本の数学の出題形式とは若干異なっていたり、順列・組み合わせ・確率などは侮れなかったりする。とは言え英語が不得手な日本人としてはここが得点源。ほぼ満点を取ることで英語の問題の不出来をカバーするのだ。

最後に英語の問題。41問で75分。読解問題、論理的思考を試される問題、そして文法問題によって構成される。本物のバイリンガルでなければ普通41問はとうてい時間内には答えられない。その世界でもっともGMATに詳しい塾の先生がはじめに教えることは、4つの読解問題(それぞれの読解問題の中に設問が6つある)のうちひとつは捨てろ、ということだ。全部当てずっぽうに答えて、日本人にもまだ勝ち目がある文法問題などに時間を充てるべきというのだ。僕も5回受けたが、ほとんどその方法を適用した。

先頭 表紙

PACHIさん、でもGMATはその国の人だったら、語感さえあれば何とかなりそうな気がしてしまいます。だってこの「ひまじん」に並んでいるような、日本語ネイティブの日本人が何気なく書いた文章中の文法的な誤りを指摘するくらいのことですから。Essayはでも本当に辛かったです。ひとつのEssayにつき5回くらい書き直したし。 / Hidey ( 2003-02-08 05:51 )
azzurriさん、もちろん塾には通いましたけどね。でも激務と並行しながらの勉強だったので本当に辛かったです。3時間睡眠は当たり前。ちょっと電車に乗るときも問題集を持って、上記のような問題を一問一分半で解く練習をしていました。 / Hidey ( 2003-02-08 05:47 )
この内容が全部日本語だったとしても、かなりきついと思います。。。(汗々)  2年という時間の中で同じカリキュラムをこなすのでも、英語を母国語とする人とそうでない人のハンディ差を考えれば、難易度はかなりの差でしょう。すごいです。えらいです。 / PACHI ( 2003-02-07 15:39 )
読んでいるだけで、冷や汗が出そうです、、、Hideyさまはこの地獄を乗り越えられたんですね。英語・・・えいご・・・エイゴ・・・日本の英語教育だけじゃ厳しいような気が、、、 / azzurri ( 2003-02-06 16:02 )

2003-02-03 最後の勝負 3

Leading Teams(チーム・リーディング):それぞれ思惑が異なる構成員によって成り立つチームをどのように効果的にマネージすべきかを学ぶ授業。この授業は変則的に学期の前半だけで終わる、Half Courseと呼ばれるものである。従って学期の後半には別途Evolution of Global Business: Entrepreneurial Perspective(グローバル・ビジネスの発展:その起業的視点)というHalf Courseの授業を取ることが決まっている。本当はLeading Teamsの代わりに、学期後半の他のHalf Courseの授業を取りたかったのだが、論文の締め切りに追われる学期後半に週6科目(通常は5科目)というのは自殺行為だと思い、学期前半のこの科目を取得することにした。しかし結果的には前衛的な授業メソッドに加え、先述のうちの会社のナレッジ・マネジメントの焦点となる、「勝てるチーム」の普遍化というテーマには非常に近い内容であることが分かり、今は意欲的に授業を受けている。

思い出も残したい、友人ともいい時間を過ごしたい、そしてこの街をもっと歩きたいと思う残りの4ヶ月。それらを犠牲にする気はないけれど、やはりここに来た第一の目的を優先したいと思っている。ある意味この4ヶ月の努力が、僕の生涯を通じての勝負におけるキャパシティを決めることになるのだ。たったひとつの授業とて無駄にはできない。そのためには単にケースを読み込むだけではなく、ポイントを整理し、積極的に授業に参加し、他人の意見から学び、復習もしなければならない。

そんなわけで以前にはなかったほど日記も滞る日々が続いている。貴重な日々の記録にしても犠牲にしたくはないが、日記については遅れがちになりながらも卒業前の一ヶ月の休みでカバーすることもできる。微妙なバランスを最後まで強いられる4ヶ月になりそうだ。

ひまじんにはなかなか顔を出せない日々が続くかもしれない。「絵日記」は可能な限りコンスタントに続けていきたいと思うけれど。でも、これまでに負けずに面白い授業がたくさんあるので、その報告にもご期待ください。

先頭 表紙

りぃなさん、時間差をおかずに本当に実践できれば本当に嬉しいけれど。大丈夫かなあ。うちの会社だからなあ。そろそろ面白い授業もたまってきましたので、そのうちまた書くね。 / Hidey ( 2003-02-14 06:23 )
Ecruさん、ありがとうございます。充実はしているものの今日みたいに週末はもうばてばてです。真剣に体調も心配しつつあるけれど、もう授業はあと3ヶ月弱だし、なんとか頑張ります。 / Hidey ( 2003-02-14 06:22 )
いよいよ総まとめの時期に入ってきましたね。今学んでいることが、時間差をあまりおかずに実用できるのは、本当に羨ましいです。今までで一番、今学期勉強したことが、強い骨となり肉なりそうな予感がします。そんなご報告日記も、楽しみにしていますねv / りぃな ( 2003-02-13 12:58 )
熱い決意が伝わってきます。きっととても充実した時間になりことでしょうね。体調に気をつけて駆け抜けてください。 / Ecru ( 2003-02-09 13:28 )
たらママさん、きちんと豊作の状態で収穫ができるように、今は焦って肥料をやったり水をまいたりで大変です。時間の経つのが怖い。けど早く働きたい。 / Hidey ( 2003-02-06 15:13 )
最後の学期とは、早いものですね。収穫の時ですか。 / たらママ ( 2003-02-05 22:22 )

2003-02-03 最後の勝負 2

The Marketing of Innovations(革新的技術のマーケティング):革新的な技術を企業がどのようにマーケティングすべきかを、様々なケースを通じて学ぶ授業。この授業については同じ時間帯のほかの授業との入れ替えを希望していたのだが、希望がかなわず甘んじることになった。ケースによって当たり外れがある。先日は「オーディオ・スポットライト」という面白いケースを取り上げた。通常のスピーカーのように空気を震わせることなく、超音波によって最短30センチ幅の狭い範囲にいる人にだけ音を認識させ、その外にいる人にはまったく音が聞こえないという魔法のようなスピーカーである。暗闇でスポットライトを浴びた部分だけが色を発するのと同様、音のビームを浴びた範囲の人だけがその音源を聞くことができるのだ。開発者のMITの学生がこの技術をいかに商品化すべきかを討議する授業だった。その学生(今は一企業の社長)がゲストとして実際に教室を訪れ、魔法のスピーカーのデモンストレーションをしてくれた。教授の性格が悪そうなのが玉に瑕。

Corporate Strategy(コーポレート・ストラテジー):一年生で学んだ事業単位の戦略ではなく、それらを統合する、企業全体の戦略を学ぶ授業。インド人の極めて聡明な教授が緊張感溢れる授業をリードする。僕が社の思惑通り全社統括的な職種につくのであれば間違いなく必要になる概念である。一番はじめの授業では小さなイギリスの広告代理店からM&Aを通じて瞬く間に世界のトップ・メガ・エージェンシーに成長し、業界で初めてコンサルティング業務にまで事業を拡張したサーチ&サーチの成功と失敗について学んだ。その後はシャープを含むいくつかの企業を取り上げながら、企業の垂直統合の是非、その成功・失敗要因をたっぷり学んだ。ケースをだらだらと分析するだけではなく、体系的に教えてくれるタイプの教授なので、学びが蓄積しやすい。

Managing across Cultures(異文化間マネジメント):一年生の正式科目がはじまる前の基礎学習の時期に企業倫理の授業を教えてくれた、定評ある女性教授による授業。しかし一度僕は浮気を試みて、Managing in the Information Ageという授業を取ろうとした。僕が生涯のテーマにしたいと思っているナレッジ・マネジメントを学べるかと思ったからだ。しかしAdd and Dropのお試し期間に授業に出てみたところ、むしろEコマース中心に学ぶ授業のようだったので、希望を元に戻したのだ。Managing in the Information Ageでは楽天市場の三木谷社長(うちのOB)がケースの主役としてゲストで登場するということだったので、それだけはもったいなかったけれど。Managing across Culturesは南米、アジア、ロシアなどの特殊な設定においてビジネスをする際の慣習の違い、注意事項、そしてそれらを通じて異文化と接する心構えを学ぶといった割とソフトな授業である。昨年社がフランスのメガエージェンシーと提携を結んだので、異文化間のビジネスのあり方を学ぶことは少なからず有益になる。日本の企業文化についても3日を割いて学ぶことになっているので、いずれレポートしたいと思う。

(つづく)

先頭 表紙

nameさん、ご無沙汰しています。Management across Culturesですが、CD-ROMとネットを使って、あらゆるシチュエーションであなたならどうするかという60問弱の質問に答え、その分析結果を様々な国の人々の標準的なcultural profileと対比し、努力すべきポイントを知って、その国におけるマネジメント能力を高めるという演習もあります。結構面白いのでいずれご報告します。 / Hidey ( 2003-02-06 15:12 )
異文化マネジメントは私のゼミのthemeでもありました。懐かしい。 / name ( 2003-02-04 10:29 )

2003-02-03 最後の勝負 1

1月15日に冬学期が始まった。2年に渡り4学期あるうちの最後の学期である。驚いたことにこれまでで一番予習に苦しめられており、日記の更新もままならない日が続いている。一日に60ページのリーディングという日も珍しくない。適当に流すこともできなくはないかもしれないけれど、今学期だけはそれはしたくない。

成績は今のところ順調だ。冬休みの終わり近くに成績が発表になったが、予想よりも少しよかったので、無事卒業の目処もついた。うちの学校では相対評価によりもっとも評価の高いTから最も低いWのレンジで成績がつけられ、二年生においては秋学期と冬学期を通じてTかUが取得単位の50%以上を占めていないと学業成績委員会に引っかかり、卒業させるか否かの審議の対象になるのである。秋学期は予想通り、授業に身が入らなかったうえに5時間一本勝負という通常のExam形式によるハンディを抱えたBusiness MarketingだけはVをくらい、それ以外の論文中心の4科目はOKだった。特にConsumer Marketingでは、先述のグループ作業での努力が実り、Tをもらうことができた。冬学期でTかUがふたつあれば問題なく卒業でき、晴れてMBAを取得することができる。

にもかかわらず現在これまでに増して本気で勉強に取り組んでいるのにはいくつか理由がある。安心した直後に気が緩み、思いもよらない形で足をすくわれるという結果を避けたいということ。半年後に従事すると思われる種類の仕事に直接役立つような教科があるということ。そして生涯を通じてこれだけ集中的に勉強をする機会はもう二度とないだろうということ。

二年生が始まる直前に冬学期の科目登録も済ませていたが、「Add and Drop」というシステムにより、冬学期の初めに科目の入れ替えをする機会があった。冬学期にはそれほど目を引く授業がないので消去法的に登録していた僕は、実は結構面白い授業があることに今さらながら気づき、いくつもの授業を実際に見たうえでほとんど「全とっかえ」に近い形で入れ替えの希望を提出した。その結果正式に登録された科目は以下の通りである。

The Coming of Managerial Capitalism(経営資本主義の成り立ち):平たく言えばアメリカのビジネス史を学ぶ授業である。独立戦争直後、貿易や不動産業によりアメリカのビジネスの基礎をつくったジョン・ジェイコブ・アスター、商業の中心地ニューヨークの成り立ち、金融の黎明期、アメリカの繊維産業を形成したイギリス出身の異端児サミュエル・スレイター、鉄道の開発とそれによるビジネスへの影響などを学んでおり、この後はJ.P.モルガン、大恐慌、奴隷制度とビジネスの関わりなどを経て、最後はビル・ゲイツに至るまでをカバーする。ビジネススクールにおいていわゆる歴史の授業というのはとても珍しいと同時に、うちの代々の卒業生が口を揃えてもっとも素晴らしい授業のひとつと言うほどの名物科目である。眼光が鋭い50代くらいの女性教授が切り込むように学生に挑み、同じ表情でジョークを飛ばし、授業の終わりには確実に学びのある充実した授業である。毎回授業のはじめにその時代を説明する貴重なスライド写真によるプレゼンテーションがあり、50枚にも及ぶ参考資料的なスライドについて、教授がそれらに関連する細かい人名、年まですべて淀みなく語る姿にはいつも驚嘆させられる。

(つづく)

先頭 表紙

りぃなさん、ほかのビジネススクールは絶対評価なんだけどね。確かにビジネスと同じ原則ということか、なるほど。考えたこともなかった。いや、ほんとに真剣で恐い顔して冗談言うのでおっかしいんだよね。 / Hidey ( 2003-02-14 06:21 )
相対評価って、嫌ですよねー。。成績も、ビジネスのように相対評価。んーん、世の中って、厳しい。。 も一つついでに、眼光鋭くジョーク。きらり、か、にやり、どう光っているのかしら。なぁんて。茶化してゴメンナサイ。。 / りぃな ( 2003-02-13 12:53 )

2003-01-20 クリスマスイブに考えたこと

クリスマスイブは妻とともにボストンで一番有名なトリニティ・チャーチの礼拝に参加した。妻も僕も信者ではないけれど2000年近くもの間世界の多くの人々が守りつづけてきた祝いと祈りの本質を知ることは悪いことであるわけがなかった。異教徒にも許される範囲で我々も彼らの儀式に加わった。

牧師はキリストが誕生した頃のベツレヘムの街の情景を描写しながら、現在の中東の情勢について話をはじめた。残念ながら現在の複雑かつ悲惨な状況では神に祈るだけでは何の解決にもならない。神が何かをなすことを祈るよりは神の意思に従って我々自身が考え、行動すべきであるという趣旨の話だった。

信者たちは話に聞き入り、頭を垂れて声をあわせて祈り、賛美歌を歌う。今この瞬間に同じことがこの国中の教会で行われているのだとしたら、この国の人たちはどんなにか平和を愛する人たちであることだろう。しかし現実にはイラクの問題をとってみても、さすがにこのところブッシュ政権の勇み足への批判も高まってはいるものの、基本的にこの国の人たちは軍事力をベースにした外交により秩序を得ていることに変わりない。そして日本人もまたその庇護のもとに平和を謳歌している。そんな現代人にとって宗教とは何の意味を持つのだろう。彼らはなぜ今なお現実とは矛盾したような敬虔そうな顔をして頭を垂れているのだろう。

現代に生きる我々は何千年もの戦争の歴史の上に生まれてきた不幸な存在であり、生まれた時から握らされてきた兵器という呪われた遺産は容易に我々の手を離れようとしない。一斉に手放すことなど事実上不可能だからだ。だから究極的には戦闘的行為を前提にしない外交などありえない。朝鮮問題において世界がアメリカに期待を抱くのも背景に軍事的圧力があるからだ。新しい形の帝国主義的介入や部分的なミスジャッジメントは批判できても力による外交を今さら全否定することは無邪気でしかない。

国と国との外交は兵器による威嚇を最終手段にしたパワーバランスの上で、最高レベルの戦略論、交渉術、心理学を駆使するという極めて科学的なものである。そこには2000年前にキリストが説いた博愛の精神の介在する余地はない。我々が生れ落ちた世界に既に組み込まれている憎しみや恨み、人間の悪性を前に、右の頬を打たれて左の頬を差し出してもそのまま殺されてしまうかもしれない。少なくとも現代人はそう考えて生きているはずだ。ではなぜ彼らは祈るのか。

人間が善性と悪性を併せ持ち、矛盾を抱きながら生まれてきた以上、我々は相矛盾する信仰を持ち得るのかもしれない。一方で人智を尽くし人の悪性を利用した外交術を信じ、他方でこの世には証明の術さえあり得ない絶対的な善性を尊ぶのだ。それらは互いに全く相容れないものであり、例えば宗教的博愛心を規範にした外交術などという都合のよい折衷はあり得ない。しかし人は人である限り戦略論、交渉術、心理学などという、そういったものではないものを求めずにはいられないのだろう。何の解決にもならないかもしれないものを捨てずに持っていることで人間らしくあろうとしているのかもしれない。それは心のバランスとか魂を救うための免罪符といった軽いものではない。救われなくても身を捧げずにはいられない、そんな祈りのように僕には見えた。

そんなことを考えながら僕は妻とともに凍りつくような夜のボストンを家路に急いだ。オリーブオイルと微塵にしたセージ、タイム、ローズマリーをたっぷり塗り込んだローストチキンにシャンパンという晩餐は異教徒の真似事そのものだったけど、我ながら美味しく仕上がり夫婦ともに満足な夜になった。

先頭 表紙

りりさん、僕も以下に書いたとおりの根拠から特定の宗教は信仰しておりません。でも祈るという行動にりりさんが託される思いはとても理解できる気がします。日本人の曖昧なアイデンティティって、こういうときにはプラスに働く気がしませんか? / Hidey ( 2003-02-03 16:36 )
フィー子さん、不思議を不思議として謙虚に受け入れるって大切だけど難しいことだよね。フィー子さんはきっといま神性に近いくらいの感覚でそういう思いをされているのでしょうね。母として―。 / Hidey ( 2003-02-03 16:34 )
ガス欠コインさん、学校まで支配する宗教というのは、僕の勝手な私見ですが、やはりどこかしら押し付け的な匂いがすると思います。ニュートラルに哲学として捉えれば、あの時代のイエス・キリストの言動は人類史上類稀な哲学であり、価値ある共有財産だと思うのですが。彼が神の子であるか人間であるかに関わらず。 / Hidey ( 2003-02-03 16:32 )
PACHIさん、とても眼を開かれる言葉でした。本当に。僕がたくさんの言葉を弄して言いたかったことをわずか数行で代弁していただいた、そんなすがすがしい気持ちがしました。 / Hidey@ありがとうございます ( 2003-02-03 16:27 )
夢樂堂さん、どんなに叡智を積んでも予測もできない悲しみというのはあるのですね。歴史的なコンテクストがあることは確かですが、僕は時々あたりまえの論理的思考が万人に備わっていればこの世のかなりの理不尽が消えるのにと思ってしまいます。論理的思考というのが単に冷たい形而上学ということでないということはお分かりいただけるかと思いますが。 / Hidey ( 2003-02-03 16:25 )
azzurriさん、自分の思いの整理のために書いたような文章に、そのようなお言葉をいただき、大変恐縮しています。僕も無宗教ながら小学二年生のころからキリストの伝記に並々ならぬ興味を抱き、以来宗教観としてはキリスト教に影響を受け続けたことは否定できません。でもやはり群れることの安心感や宗派をなすことによる弊害には馴染めず、自分だけの神を信仰しています。でもああいう場所はそれなりに考えさせるものがありますね。 / Hidey ( 2003-02-03 16:21 )
akemiさん、とっても遅くなってしまいました。ごめんなさい。たまたまこんなご時世、こんな環境なので考えてしまっただけです。それも牧師さんの話に促されて。身内の魂のために祈るというのはやはり祈りの基本ではないでしょうか。僕は幸運にも両親が健在ですのでそのような機会はまだありませんが。 / Hidey ( 2003-02-03 16:15 )
私は特定の宗教を信仰しておらず、(最近は嫌気がさして)クリスマスは特にお祝いしませんし、ケーキさえ食べません。ですが、教会でも神社でも寺でもモスクでも祈りの場があれば取りあえずお祈りしています。祈るという行為は、一見何の役にも立たないからこそ大切なもののように思えます。上手く言えないけれど。 / りり ( 2003-01-27 18:23 )
ほんとに、自分の中でさえ日々刻々と相矛盾するものがうごめいているんだから、政治や宗教のような大きな枠になるとさらに複雑になりますよね。人間って不思議です。 / フィー子 ( 2003-01-26 15:52 )
僕の父はプロテスタントの信者で、教会にも時折、足を運んでいるようです。身を捧げずにはいられない。胸が締め付けられるような言葉ですね。宗教観の希薄な多くの日本人にとって、その様はどう映るのでしょうか。僕自身はカトリックの高校を出た関係もあって、ミサにも何度も出席しました。しかし、講釈は何ひとつと言っていい程、思い出すことがありません。あまりにも現実とかけ離れていたせいでしょう。 / ガス欠コイン@お久しぶりです。 ( 2003-01-24 11:08 )
神や宗教というものは結局、人間が自分の都合のために創り出したものにすぎないけれど、それはやはり在るべくして存在するもの。対象が神だろうと人間だろうと、物質だろうと概念だろうと、崇拝し信奉する「心の拠りどころ」がなければ、人は生きていかれない……。そんな「弱さ」を、ふがいなく思い、不思議に思い、またいとしくも思うこのごろです。 / PACHI ( 2003-01-21 17:24 )
2000年紀に手話通訳者の付き添いでカソリックのクリスマスミサに出かけたことがあります。まだ、同時多発テロが起こらなかった年、あんなに希望だらけの21世紀を望んでいたのに。受け入れるもの、受け入れられないものが双方にあるのは確かだが、そこで存在まで否定すると必ず悲劇になるのは悲しい。 / 夢樂堂 ( 2003-01-20 16:42 )
Hidey様の文章、とても心に染み入りました。小さい頃、キリスト様に願えば世界は平和になると、思いこんでいたけれど、実際は身近なところでさえか犯罪が起こっていて・・・クリスマス礼拝もここ何年かはすっかり行かなくなってしまいました。信者ではないけれど、少しでも祈りを捧げる場が欲しい・・・と。 / azzurri ( 2003-01-20 13:59 )
おごそかな一夜を過ごされたのですね。ひるがえって、自分がどうしていたか?と考えれば菩提寺の鐘つきに行くでもなく、わざわざ遠方から大勢が参拝にくるところの近くに住まいつつも結局、初詣もしていない・・・と。暮れに父のこないだ母の命日に墓参をしたのが、それらに代わるものだったかも知れません。しかも当座は身内の健康を祈っただけです。世界情勢にまで気持ちが及びませんでした。^^;  / akemi ( 2003-01-20 07:45 )

2003-01-18 ボストンでりぃなさんと会う

12月19日のことになるがオクラホマのりぃなさんがお連れの方と二人でボストンに遊びに来てくれた。以前から会おう会おうという話はあったのだが紆余曲折の末ようやく一年越しの夢が叶った。

年齢も境遇も随分違うけれど、同じように海外で苦労をしながら自分のために道を拓こうとする人となると他人の気がしない。彼らの泣きたくなる気持ちも密かな叫び声も、暗闇を貫くようにして遠く離れた僕の心の糸を震わせる。何かを乗り越えた時の歓びには自分のことのように嬉しくなり、励まされる。多分それは他の海外ライターさんも同じではないかと思うし、これだけは海外で苦労している者同士にしか分からないことだと思う。

りぃなさんの印象は、「よく悩む人」だ。21歳という年齢は確かに誰でもよく悩む年齢だと思うけれど、彼女は律儀に、多角的に、徹底的に悩む人なのだ。りぃなさんはよく自分の将来について悩むのだけれど、大学生の頃の僕は自分のちっぽけな能力の範囲でやりたいことは何かを漠然と考えることしかしなかった。要はあまり積極的に将来を捉えていなかったのだ。大人になることを拒んでいたのかもしれない。それに比べてりぃなさんは夢をはっきりと見定めて、そのために今自分が保有している資質、足りない資質を見極め、不足を補うために海外に飛び出し、努力をしながら悩んでいる。僕はそういう殊勝な人間ではなかった分、彼女の悩める日記に好感を持っている。ようやく最近彼女の気持ちも少しは分かる立場になったということもある。

また彼女の日記には相反する彼女の顔がたくさん映し出されている。きっと日記を通じて普段の姿、普段の生活には表れない別の姿、こうなりたいという姿を描き出し、そうしながら自分を成長させているのだと思う。どれが本当の彼女なのかはなかなか言い当てられないし、すべてが彼女なのかもしれない。21という微妙な年齢というだけでは説明できない虹のような多彩さがある。

そんなりぃなさんとボストンのローガン空港ではじめて対面した。他の方の日記でも読んでいたとおりの小柄な彼女からは日記に描かれているどの彼女の姿も容易には想像できなかった。あれだけのエネルギーや葛藤や様々な表情がこの小柄な彼女のどこにあるのだろうと、僕は笑顔で挨拶しつつも多少面食らっていた。

でも二日間一緒にボストンの街を歩いてみてりぃなさんらしい姿をいくつも見せてもらった。美しいボストンの街を歩いても彼女が街を眺める視点は少し違った。路地裏の建物と建物の隙間にわずかに切り取られた細長い空を眩しそうに見上げて写真を撮っていた。古い時代の集会場跡に残された、言論の自由のために闘ったその時代の人々の記録を真剣に読み耽っていた。普段着の街の姿を見たいと彼女は言っていたが、僕はどれだけのことをしてあげられたか今ひとつ自信がない。

欲を言えばもっとじっくりお酒を飲みたかった。一日目はほとんど寝ないで未明にオクラホマを出発してきたし、二日目の晩は翌朝早いバスに乗るために夜更かしができなかったのだ。またお連れの方がいる前であまりひまじんノリそのままに話し込むのも気が引けたし、全員に共通の話題を探すように努めたため、それほど深くつっこんだ話はしなかった。だけど言葉にはならなくても空気は伝わりあうものだし、彼女の気遣いあふれた言葉の選び方、穏やかな笑顔は今もしっかりと心に焼きついている。これからも大いに悩んで邁進してほしい。

りぃなさんがボストンで見たものしたことを僕が書くのも何なので、僕の見た彼女の印象を書くにとどめてみた。より詳しいボストン話は彼女の日記にご期待ください。

先頭 表紙

りぃなさん、本当に遅くなりましたがようやくつっこみに行きました。ごめんね。その理由は最新の日記参照。差し飲み、ぜひやりたいねえ。今日は珍しく酩酊しながらこうしてつっこみ返しをしています。明日を考えるとちと恐いけど。今学期もお互い頑張ろう! / Hidey ( 2003-02-03 16:12 )
ちゃらさん、ほんと、その通り。でも僕が何かの刺激になったっかどうかはよく分かりません。何よりもう少しリラックスして話したかったです。ちゃらさんも今度秋にボストンに来るのですか?タッチの差で会えなくて本当に残念。でも僕の麗しのボストン、楽しんでいってくださいね。 / Hidey ( 2003-02-03 16:09 )
みほちゃん、海外組のアイドルが何をおっしゃる!その年齢でそれだけの分別、思慮深さ、そして人生に対する真剣な態度、どれをとっても心から応援したくなります。本当に、本当に、余裕ができて殻でいいので、NZの様子も教えてください。楽しみにしています。 / Hidey ( 2003-02-03 16:07 )
PAOさん、りぃなさんは本当に真剣に生きてますからね。あの歳であそこまできちんと人生を考えていて。PAOさん、会いたいなあ。夢パンパーティーはお二人にお会いしたかったこともあるけれど、PAOさんとお会いできなかったのもとても悔しいです。ぜひ6月以降にお会いしましょう。 / Hidey ( 2003-02-03 16:04 )
でじかめさん、せっかくお越しいただいたのにお返事が遅くなってしまって大変失礼しました。前から時々日記は読ませていただいていました。クイズはけっこうはまりました。海外ひまじんオフは国内とはまた一味違うと思います。色んな国の人が一堂に会せたら、きっと楽しいでしょうね。これからもよろしくお願いします。 / Hidey ( 2003-02-03 16:02 )
より詳しいボストン話+その他も書き終えました。かなり割愛してしまいましたが。。本当に色々とありがとうございました! ところで、これを読んで私と会う人の反応が怖いのですが、はっは(汗) 今度はサシでお酒を飲んで下さいね! この時は全くダメダメでしたので、鍛えておきます。 / りぃな ( 2003-01-26 07:30 )
りぃなちゃんはちっちゃくてかわいかったでしょぅ??たぶんHideyさんと会って話したことで何か刺激になったことがあるんじゃないかと思います。 / ちゃら ( 2003-01-25 06:48 )
野望以前に課題こなすことで精一杯らしいですけどねぇ、まだ一年ですから、って、私に関しての話題でいいものなどあったかな、はて、と思ってしまったので自分磨きを今年の目標とします(笑) / みほ ( 2003-01-21 03:23 )
りぃなさんのように悩んだり壁にぶつかったりしながらも、真剣に自分に向き合って突き進もうとしている人を見ると、大声で応援したくなってしまいます。 / 走る酔人(PAO) ( 2003-01-20 23:14 )
「海外に住む事は、それだけで自分を磨く行為。」「若い時に1人で海外に出るのは凄い事」と言われたのを思い出しました。海外ひまじんオフ会したら楽しそう♪ / でじかめ@りぃなの影響でひまじん参入〜! ( 2003-01-20 07:22 )
みほさん、いえいえ、僕と同じ立場の方でしょう?きっと今はあれもやりたい、これもやりたいと野望が渦巻いている頃ではないかと思います。僕の方は元の会社という枠組みの中ですが、やはり色々な思惑がふつふつと沸いてきています。りぃなさんとみほちゃんの話もしたよ!もちろんいい話ばっかり。 / Hidey ( 2003-01-20 07:11 )
りぃな姉さまとっ!?いいなぁ(笑)将来を捉える事をしないととんでもない事になる、という良い例が身近にいるので(笑)気を引き締めなければいけませんなぁ・・・。 / みほ ( 2003-01-19 14:16 )

2003-01-03 Management in Perspective 3

その他に印象に残ったゲストとしては金融情報を提供するトンプソン・ファイナンシャルという大手企業の役員を務め、CEO就任を確実視されながらもそれまでに仕事の影響で家庭にもたらしたひずみを正すべく敢えて役員に留まり、最終的には社を辞めて、より家庭生活との両立を図れる条件を求め、情報産業をターゲットにしたプライベート・エクイティを設立したというAndy Mills氏がいた。彼は妻と二人の子供たちに対する義務を尊び、またコミュニティに対する奉仕の大切さも強調した。この場で話すことは多少憚られるが、と断りをおきながら、彼はキリスト教信者としての義務をも全うしたかったのだと話した。

もう一人、ナイプロというこれも大手の鋳型製造メーカーの社長候補になりながら、南米出身であることから明らかに状況が不利と判断し、ヘッド・ハンティングにより別の機械製造メーカーの社長に就任したSam Landol氏も印象的だった。彼の話を振り返った翌日の授業では学生たちから、彼の行動には逃げの要素もかなり含まれていたのではないかとの批判が相次いだ。後日二度目にLandol氏が訪れた授業である学生が不躾な聞き方ではなかったが、「人種差別についてはあなたの思い込みもあったのではないか」というニュアンスの質問をした。それに対し彼は、自分に自信がなかったのも事実だが、人種的な問題は企業のトップに行けば行くほどいまだに根強く残っていることも悲しい真実なのだと話した。アングロ・サクソン系のリゾート地などへ旅行するときもラフな格好はしないで敢えてジャケットやネクタイを着用するということだった。そうしなくてはホテルでの扱いが低くなるからだ。

日本の企業のトップにもざっくばらんに学生と対話してくれるような人もいるが、それとはまた本質的に異なる真摯さが彼等の中にはあった。言語にまで及ぶ文化性の問題は確かにある。年齢や立場による上下関係はそもそも日本と比べれば格段に希薄であり、それがざっくばらんな対話を可能にしていた。しかしそれ以上に彼等は学生である我々を尊重し、いずれは同じ立場になる者として敬意を示してくれていた。なにより自らの失敗、弱点を包み隠さず話してでも短い時間でできるだけ我々に何かを学ばせようという誠実さが見て取れた。日本と比べれば遥かに、人の上に立つ者にintegrity(誠実、高潔)を求めるアメリカ企業社会ということもあるけれど、ことさらにintegrityを強調するうちのリーダーシップの授業の影響もあるように思えた。

そんなわけで楽勝ながらもなかなか意義深い授業であった。ケーススタディに非ざれば授業に非ずというこの学校で敢えて毎年このような授業を貫き通すお爺ちゃん教授、やはり只者ではないのかなあ。

先頭 表紙

azzurriさんのお仕事、とても興味があります。フィー子さんともお知り合いのようなので、いずれぜひお会いした折にはそんな話も聞かせてください。楽しみにしています。 / Hidey ( 2003-01-18 23:42 )
azzurriさん、アメリカのビジネスのトップのintegrityはそのまま公明正大な企業文化として反映されて、それが規範となっているアメリカン・ビジネスから見ればやはり日本のビジネスはどこかいつも裏がありそうだったり、腹黒そうに見えたりするのだと思います。日本は人が集まることによって個の善悪の判断が圧殺されて集合的な論理による全然異なる価値基準が形成されてしまうけれど、アメリカはどんなに人が集まっても結局は個人自身の価値判断が求められるので、何かが歪むというのは少ないのだと思います。 / Hidey ( 2003-01-18 23:41 )
ブチョー、あけましておめでとうございます。アメリカは確かに白黒させた結果現代のアメリカ社会が成立しているわけですからね。ただし、一度白黒はっきりした結果を万人が理性としては受け入れなければいけないことは分かっていても、どこか口には出さない依然とした差別意識はちゃんとあるのも事実。その意味では白黒はっきりしただけにナァナァが永続してしまうかも。 / Hidey ( 2003-01-18 23:34 )
たらママさん、そのバランスは人それぞれですけどね。カリスマと言えば、先日ジャック・ウェルチの有名なGEのturnaround劇に関するケースを勉強しました。機会があればぜひ書いてみたいと思います。 / Hidey ( 2003-01-18 23:30 )
ライラックさん、いえいえ、あらためて考えさせられるつっこみをありがとうございました。書いてしまって絡もう一度覚めた頭で考え直すいい機会になります。沖縄の話、辛い話だと思いますがシェアしてくださってありがとうございました。今でこそ沖縄はブームですが戦前から現代にいたるまでずっと悲しい歴史をたどってきたことは認識しています。大学時代に英語のスピーチコンテストでもっとも熱心に書いた話が読谷高校(でしたっけ)の卒業式で生徒が日の丸を引き摺り下ろしたことに啓発された話でした。 / Hidey ( 2003-01-18 23:28 )
ウサ子さん、素晴らしい恩師に恵まれましたね。僕も幸いなことにこれまでの上司はほとんどがそのような尊敬できる人ばかりでした。今年もよろしくお願いします。 / Hidey ( 2003-01-18 23:23 )
りぃなさん、アメリカでもビジネスを極めた人が家庭を破綻させているケースが多いのは事実です。しかしそれに対する罪の意識は日本以上に強く、多くのビジネスマンがその是正を試みようとします。ビジネスで成功した人間には日本と同様貪欲で狡猾で人としても尊敬できない人も多い反面、日本以上に出世の条件として人格が挙げられるのも事実です。ですからビジネスが人のバランスを狂わせる傾向は万国共通だけれども、社会的規範やシステムとしては遥かにアメリカの方がバランスを保たせるものになっているということだと思います。 / Hidey ( 2003-01-18 23:22 )
因みにazzurriはいろんな業界を渡り歩き中(漂流中ともいう)で、現在はWEB制作関連のお仕事をしております。ポケモンは以前のお仕事で少し、、、身近にある商品やモノ、流行を作り出す裏方の世界は見ていても関わっていても日々勉強になります。でも、サボってないでお仕事しなくちゃ(笑)。 / azzurri ( 2003-01-08 10:42 )
授業の内容もさることながら、日本の企業のトップとかなり比較してしまいました。アメリカ企業が伸びる理由の一因を垣間見た気がします。机にかじりついているだけよりも仕事でも授業でもディスカッションやこういった現場の生の声を聞く方が好きなのですが、語学力さえあったなら(それだけじゃダメだろう!)この授業には参加してみたいですもん。でも、きっと普段の授業を投影できるからこそ余計に有意義なものなのでしょうね。 / azzurri@面白かったです♪ ( 2003-01-08 10:34 )
部落問題もそうだけど意識の薄い(もしくは過剰な)差別者と歴史的に被害意識(経験)のある被差別者という構造の中で真実を見極めるのは困難ですね。それでも白黒させるのがアメリカでナァナァで終わらせるのが日本ってのは言いすぎかな?まずはおめでとうございます。 / ブチョー ( 2003-01-07 13:31 )
Integrity、確かに必要ですね。カリスマも必要。 / たらママ ( 2003-01-06 22:38 )
父が大学に入った時は当然復帰前ですから、ものすごい嫌がらせにあったとよく言ってました。アメリカからよりも本土からの蔑まれ方のほうがよほど苦しかったですね。女性はみんな娼婦のようにも思う人がいるんですよ。開放的なんでしょ、とか言われます。ああ、また話しが逸れてしまいました。あらゆる分野でトップを極めて行く人は、人を大切にし、努力を惜しまない人なんですね。今回、3が読めてすごく嬉しいです。ありがとうございました。 / ライラック ( 2003-01-05 08:47 )
Hideyさん、私のトンチンカンなつっこみ、根気強く読んでくださってありがとう。後から読んでみたら自分でもよく判りませんでした(涙)。人種差別は思い込みではなく確実にあります。私はLandol氏のような考えは決して嫌いではありません。自分の持っているハンディ(自分がそう感じるなら)は自分の力で克服する努力をする人が好きです。日本の地域差別も相当なものですね。私は会社に入った時に上司に「沖縄の人ってお風呂に入るの?」と明らかに挑戦的に言われたことがあります。絶対に見返してやろうと思いました。その時だけ(笑)。 / ライラック ( 2003-01-05 08:39 )
あけましておめでとうございます。本当にすばらしい人はこんな人なんだろうなと思います。私の恩師がそうなのですが、業績だけでなく、何よりも人としてもすばらしい。尊敬しますし、憧れます。 / ウサ子@今年もよろしくお願いします ( 2003-01-04 21:10 )
正月休みでうかれて、頭をどこぞに置いてきてしまったので、あんまりマトモなつっこみでなくて申し訳ないのですが、こうして読んでいると、家庭を大事にする方が多いな、と。 ビジネスで成功している人は、人としても素晴らしい人が多いのではないかな、と感じました。全ての成功者がそうとは思いませんが、普通の人とは際立ったものを持っているからこそ、成功者になりえたのだな、と思いました。自分が、ゲストスピーカーになったとして、そこまで堂々と話せて、質問にも答えて・・・とか思うと、・・・ですね。。 / りぃな ( 2003-01-04 12:44 )
字数の関係でこの「3」の文章ははじめ書くのをやめようと思ったのですが、どうしても書いておきたいと思い追加いたしました。僕たち学生のためにあそこまで真摯に語ってくれた人たちのことを皆様にもお伝えしておきたかった。 / Hidey ( 2003-01-03 14:18 )

2002-12-31 Management in Perspective 2

10人ほどのゲストの中で唯一スタンディング・オベーションで送られたのは、フィデリティ・グループの一企業であるフィデリティ・パーソナル・インベストメンツの社長を務めたGail McGovernという女性だった。彼女はうちではなくコロンビア・ビジネス・スクールを卒業したが、その代わり今年からうちの学校で一年生のマーケティングを教えている。フィデリティの前にはAT&Tの消費者市場部門の副社長を務めていた。2000年と2001年に彼女は雑誌「フォーチュン」により「アメリカ経済界でもっともパワフルな50人の女性」の一人に選ばれた。

彼女はリーダーに必要な資質を5つ挙げた。一つ目は人を見抜く能力。人は簡単には変わらないものだから1%の疑問も残さないほど相手を見つめ尽くしてから人を雇うべきだと強調した。二つ目は柔軟性。特に失敗にとらわれ続けず、終わったことは終わったこととすぐに立ち直る能力を指した。三つ目は変化を愛すること。殊にアメリカ社会では変化に抗う者は生き残れないと語った。四つ目は、すべての決断はそれがビジネスにとって正しいか否かによって下すということ。その際顧客、株主、社員の利害関係の対立が懸念されることがあるが、彼等の利害は必ずしも矛盾するとは限らず、どこかに必ず一致を見るポイントがあると主張した。五つ目は仕事と人生のバランスをとること。他のゲストがこのバランスを常識・与件として捉え、ある種自明の理のように語っていたのに対し、彼女はリーダーがそれを実践しなければバランスを求める部下たちはついてこないと根拠を述べ、そのような根拠がなければバランスなど本人の自由だと冷徹に語った。

質疑応答についても彼女は楽しむかのように自信に溢れ、原稿が用意されていたかのように淀みなくすべての問いに対し明晰な回答を示した。部下に敢えて意外な、または不得手そうな役割を与えたという彼女の話に対し、一人の学生が「あなたは先ほど人の性質を見切ることを大事な要件として主張していたのに、今の話とは食い違うのではないか」と質問したが、彼女はすぐさま「I took staffing risks but not people risks.」と切り返した。

また彼女は仕事や人生におけるすべての興味を追い得るかという質問に対し、テーブルからこぼれ落ちるものもあることを認識したうえで、テーブルに残っているものを「すべて」と呼べばよいと答えた。また彼女には養女がおり、育児のために午後7時には必ず家に戻ることを実践したという。彼女がいられない時間には、仕事と同様に彼女が冴えた目で見切った完全無欠なベビーシッターがその世話をこなした。

翌日のゲスト抜きでのセッションでは「彼女はテーブルにあるものしか見ないことで人生の幅を狭めている」とか「午後7時に帰れたのは彼女の役職特権によるもので、彼女はラッキーなだけだ」といった意見も出た。的を射たような意見だけれど物事の本質は語られた言葉の字面にあるのではなく、誰がどのようにそれを語ったかにあるのだと僕は思う。成功者の語る「秘訣」ほど字面にして陳腐なものは世の中にはない。しかしその陳腐さを曲げることなく実践したことが彼等を彼等ならしめ、陳腐に見える言葉は人にある種のエネルギーを与える。ビジネスにおいては目に見えない様々な人的要素が大事な役割を果たすものである。先述の意地悪い学生の発言は同様に語る者を小さくする。彼等にはコンテクストがないのだ。

(つづく)

先頭 表紙

KATSUMIさん、そうそう、そうなんです。言わんとしたことを分かってくださってありがとうございます。そしてそのような環境をつくること自体も才能でもあるわけですからね。行動が成否を決める実社会に早く戻りたいと思ってしまいます。ポケモンの話はぜひお会いした時にお聞かせください。 / Hidey ( 2003-01-03 14:50 )
成功者の状況を特殊なものとして皮肉る人は多いです。でもただそれだけならば、普通の環境にいる人の方がもっと成功するためによい場所にいるはずなのに、ねぇ。エナジーを感じて前向きに話を貰うことの良さを実感できました。来年もよろしくお願いします。 / KATSUMI@ポケモンの話はいずれ。 ( 2002-12-31 23:09 )

2002-12-31 Management in Perspective 1

先日の日記で「楽勝科目」と表現したManagement in Perspectiveという授業について書いておこうと思う。

何をもって楽勝かというと、まずこの授業はうちの学校の最大の特徴であるケーススタディ形式をとらない、もしかしたら唯一の授業である。毎週水曜日の2時間の授業は、有名企業のCEOやそれに準ずる役職を務める(または務めた)うちの卒業生をゲストとして一人ずつ招き、彼らのリーダーシップを生で学ぶというスタイルをとった。事前の予習はゲストのプロフィールや企業の概要、ホームページなどを読むということだけで、それもすべて授業のほとんどを占める質疑応答のための参考資料に過ぎない。他の授業では10〜15ページにわたるケースを何時間もかけて真剣に読み込むことを考えると予習は皆無に等しかった。

授業の冒頭にはゲストが10〜20分ほど彼らのビジネスにおける信条などを話し、その後は延々と質疑応答が続く。他の授業では多くの場合授業のはじめに教授がいきなり一人の学生を指名してアイスブレーカーの役割を負わせる、いわゆるcold callという恐怖の慣例があり、そのためにも学生は欠かさず予習をするのだが、この授業にはcold callは存在しない。基本的にはゲストの話や質疑応答を聞いてからでも十分質問は考えられるので、予習の必要すらないのだ。

しかも学生の数が通常の二倍以上の180人である。楽勝科目ということでこれだけの学生が履修を希望したわけだが、教授自身は単に人気があると勘違いしてか、敢えて人数を半数に押さえようなどとはしなかった。事実上出席をとることもできないので相当数の学生がさぼっていた。僕も寝不足が重なった日や論文作業に追われた日は何度かさぼった。

そしてこの授業では、直近に訪れたゲストについて忌憚ない意見をゲスト抜きで交換し合うセッションを毎週木曜日に持つのだが、この木曜の授業は効率を考慮してクラスの半数のみの出席で行うのだ。その授業ですら、90人いるはずの学生たちは大概その半分くらいしか出席しなかった。

教授はそんな学生たちにどんな態度をとるかというと、空席が目立つ教室を眺めては、出席している学生たちに対して満足そうに微笑みながら頷いたりするのだ。多分60歳過ぎくらいだと思う。プロフィールによればこの教授には多数の著書があり、しばしばメディアにも登場してコメントを述べたりするそうである。しかし授業はほとんどすべてゲストと学生のやりとりに終始するため、彼が気の利いたことを話す場面は皆無に等しい。木曜日のセッションでは前回のゲストとの質疑応答のポイントを再現したり整理したりするのだが、それもほとんど内容的にはゲストの言葉に過ぎなかったり、かなり一般論に近い言葉に過ぎなかったりする。

そんな楽勝科目だが、それなりに履修した意義はあったと思っている。通常のケースでは描ききれない、経営者の人間臭さやビジネスにおける経験的処方を、生の声を通して感じ取ることができたのだ。

(つづく)

先頭 表紙

ライラックさんのつっこみに励まされて、一度は字数の関係で書くことをやめた続きの原稿をアップしましたのでよろしかったらご覧ください。とても真剣なつっこみ、本当に心から嬉しいです。ありがとうございました。 / Hidey ( 2003-01-03 14:47 )
この、文化における合致をもとめるという観点は、僕の取った別の授業でもセオリーとして教えられたことです。少し前の試験について書いた日記のazzurriさんへのつっこみ返しにも書きましたが、企業文化成立の要件のひとつは価値観における合意であり、それを実現するには採用、解雇を通じて同じ価値観の人間を集めるか、または企業を分割することで同じ価値観の人間を各部門ごとに固めるかという方法論しかないということです。ですのでMcGovern氏の方法論は極めて合理的といえます。 / Hidey ( 2003-01-03 14:46 )
彼女は現在ちょうど50歳です。養女はまだ10歳に満たなかったと思います。1%の疑問も残さないための考査の方法は、ひたすらプライベートな興味や趣味についての話をすることだそうです。能力的なことはレジュメにすべて書いてあるし、それは目がある人間なら誰でも読めると。むしろ「culture」における「fit」を求めるそうです。だからある程度のポジションの人間を雇うときなどはディナーパーティーで個人的に話し込むとか、そういう方法をとるそうです。 / Hidey ( 2003-01-03 14:41 )
McGovern女史ははじめAT&Tの一介のプログラマーとして技術的に優れた成績を残し、ついで中間管理職として部下を束ねる能力を身につけ、その後セールス、マーケティングなどの部門長として他部署の部門長たちとの調整能力に磨きをかけ、ついに役員になったということです。それぞれのステージでまったく別の能力が求められながら、彼女はそのすべてに卓越していたのです。 / Hidey ( 2003-01-03 14:38 )
そのようにゲストには慣れっこになっているとは言え、ケーススタディという呪縛から解放された授業というのはこの学校においては大変新鮮味があります。その意味ではこの教授は確かに異端であり同時に冒険者でもあります。 / Hidey ( 2003-01-03 14:34 )
単位が取得しやすいかどうかは分かりません。授業はすべて相対評価ですのであまり関係ないように思います。この教授ももちろんそうですが、うちの教授は企業の個人コンサルティングもしている人ばかりなので、企業のトップともつながりが深いです。ですので色んな授業を通じて名だたる企業のトップを招くというケースはしょちゅうあるのです。それがうちの学校の売りにもなっています。昨年は学校全体での講演でしたが、過去日記にもあるようにジャック・ウェルチ氏も来校しましたし、かつてはビル・ゲイツ氏も来ていたはずです。 / Hidey ( 2003-01-03 14:31 )
ライラックさん、怒涛のつっこみありがとうございます(笑)!僕としてはこれだけ熱くつっこんでいただいて、それに対して感謝こそすれ、迷惑だ何て微塵も思いません。この日記につっこみを入れてくださる方は皆さん何かしらこの分野にご興味を持ってくださり、深い考察、異論までも忌憚なくくださる方ばかりですので、他の方へのご配慮もご無用化と思います。 / Hidey ( 2003-01-03 14:25 )
Hideyさん、一人でこんなにつっこんでしまってごめんなさい。こういうのはあまりよくないことと思っています。でも!私にとってHideyさんのこの日記、授業みたいで面白くて仕方がないのです。後先、周りのことも考えずに行動してしまう私なんです(涙)。ごめんなさい。きっとこれを見たらもうつっこみたくなくなってしまう人もいるでしょうね・・・。いつの間にかつっこみはじめたら、考えずに書きはじめてしまってどんどん長くなってしまいました。これからはもう少し、整理してつっこむようにします。 / ライラック@すみませんでした ( 2003-01-02 00:29 )
テーブルのたとえでは、こぼれてしまったほう「だけ」に気をとられてしまう人もいるのですね(笑)。一つ疑問だったのですが、女史のおっしゃる5つの資質の中の1番目に言う、1%の疑問を残さない採用とはのどのようにして考査されるのですか?実際にどのような方法で見極めるのか興味を持ちました。 / ライラック ( 2003-01-02 00:22 )
きっと教授も普段はゲストへのアプローチでお忙しく、そちらの方ではなかなかやり手の方でいらっしゃるのかもしれないですね(笑)。長くなってすみませんが・・・ところでこのMcGovern女史には大変興味を持ちました。養女をお育てのようですが実際お幾つくらいのお方なのでしょうか?木曜日の交換セッションではいろんな意見が出て面白そうですね。 / ライラック ( 2003-01-02 00:14 )
McGovern女史の話は大変興味深かったのですが、実際にmanagementに関わっていく人は、常にいろんなチャンスを見逃さず、そこから必要な正しい判断で正しい情報を引き出し、そしてそれを最大限に生かす努力をする人だということがHideyさんの書かれたことからもわかりました。教授もそのことをご存じでいらっしゃるから、すべての学生にも自由な形でそのチャンスを平等に提供しているのかもしれませんね、人数制限もせず、出欠も取らずに(笑)。Managementは管理する側で管理される側では無いですものね(笑)。 / ライラック ( 2003-01-01 23:59 )
入っていたのですね。ビジネススクールでmanagementを学んだとして、たとえば5000人位の企業でもCEOレベルにまで上りつめる人はほんの一握りのはずです。そのことを考えるとこの授業にある程度きちんと出席していくということは(将来そういう職を希望しないにせよ)何かしらのヒントを得るチャンスを孕んでいるということなのかもしれませんね。。 / ライラック ( 2003-01-01 23:46 )
あまりパッとしない講議も多いのかもしれませんね。でも、深読みのし過ぎなのかもしれませんが、そんな学生さんたちの思惑ももしかしたらある程度ご存じなのかな、なんて思ってしまいました(笑)。だってHideyさんはそれなりに履修した意義があったとおっしゃってる。Hideyさんがそう思われたのは書かれてありますようにこの授業を通してessentials of managementに触れることができたからでしょう?一見楽勝科目でありながら、実際は普段のケーススタディーでは得られない、机上だけでは学び得ないエッセンスがふんだんに / ライラック ( 2003-01-01 23:35 )
Hideyさんがいらしてるビジネス・スクールにも楽勝科目と呼べるものがあるなんて意外に思っていました。そして何処の大学と同じように半数が欠席だなんて。よくありますよね、そういう「一見」人気科目って(笑)。実際、単位は取得しやすいのでしょうか?でもでも、このおいちゃん教授、なかなか徳のあるお方なんでしょうね。企業のCEOレベルの方々を毎週お呼びできる訳ですか?すごいです!こういうポーカーフェイスなおいちゃんていますね(笑)。普段の授業もHideyさんがおっしゃるように、 / ライラック ( 2003-01-01 23:20 )

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