2002-02-14 バレンタインズ・デイ
2002-01-25 「石蹴り遊び」
2002-01-24 おなかの青いインコたち
2002-01-24 SONOMAの香り
2002-01-22 ４０セントのソフトクリーム
2002-01-20 「形のないもの」
2002-01-19 プラムの季節
2002-01-17 MOLESKINEの黒い手帳
2002-01-17 真夏のはずなのに
2002-01-16 機内にて、もう一枚

今日はバレンタインズ・デイ。皆さまはどのようにお過ごしですか？　日本では今年も、チョコレート売り場が大繁盛しているのかしら。ここオーストラリアでも、今日は「恋人と過ごす日」ではありますが、もっぱら男性から女性にプレゼントを贈るパターンが一般的なのです。

プレゼントの一番人気は、バラの花。こちらの男性は、何かにつけて彼女や奥様に花束を買って帰ることが多いのですが、今日は特にフラワースタンドでバラを求める男性の姿が目立ちました。

「仕事帰りに待ち合わせ、バラの花束を彼女に手渡してから、どこか素敵なレストランでディナー」・・・というのが、バレンタインの定番デート。逆に、付き合っている彼からバレンタインのバラをもらえなかった彼女はもうむちゃくちゃ怒って当然、という感じ。おかげでバラの売り上げは相当なものらしく、国内だけではまかないきれなくて、昨日までに１００万本近い冷凍のバラがオーストラリアに輸入されたそうです。

たとえば、私の知り合いのエメレットの場合。朝から会社でブリブリに怒っていたので「どうしたの？」と聞いたら、ダンナさまがちょうど今日、簡単な目の手術をすることになってしまい、明日までは家でアイスノンをあてながらじっとしていなければならないのだそう。「もぅ・・・なんでこんな日に手術するの？　バレンタイン・ディナーにもいけやしない！」とか言って、大荒れしちゃってたいへん（笑）。

女性の皆さま。来年あたり、２月の前半はオーストラリアに滞在してみるのもいいかもしれません。１４日にはたくさんのバラの花束に囲まれて、ちょっとした女王さま気分が味わえるかも・・・？

つっこみ 先頭 表紙

 
 
あまい豆のはなびら
夢のなかのハバネラ
ひっそりあくびする豹

黄金色の星が降って星が降って
湿った野辺に瞑れた眼球
鵲のいない夜
 
 
 

つっこみ 先頭 表紙

夏はどこへいってしまったの？　お願い、晴れて。

今週は毎日、嵐まじりの曇り空だったから、ピヨちゃんたち（すいません、安易なネーミングです）もさびしそう。

アパートのベランダに、毎日タネをおねだりにくるインコ。この写真では暗くて見えないけれど、お腹が青いので「Blue-bellied」といいます。最近はすっかり慣れちゃって、開けている窓の隙間から首をかしげながらトコトコ入ってくるの。

一見かわいげだけど、じつは脚力が強くてけっこう欲張り。別の鳥がタネに近寄ってきても、キックで追い払ってしまいます。

つっこみ 先頭 表紙

「とにかく落ち着かなくては。」　そう自分にいい聞かせても、心臓が勝手に暴走してしまう。そんな時は、好きな香りをかぐと少しだけ自分をとりもどせる。

「事実は小説より奇なり」というけれど、そのとおりだなぁとしみじみ感じてしまう今日このごろ。人にはうまく説明しきれない不条理な状況って、日常の中に意外とたくさん転がっている。私なんてすじがね入り（？）の軟弱者だから、ぽろぽろ弱音を吐いたりしてみっともない。実際には、誰もがそれぞれの不条理を抱えながら、人前で嘆いてみせるのは無意味だって痛感していて口には出さずにいるのかも、などと思ってみたり。

そういう事態に遭って精神的に落ちこんでしまったら、手を差し伸べてくれる人が現れる時もまれにあるけれど、ふつうは自力で這いあがるしかないし、それで当然だと思う。鬱の連鎖から抜け出せるかどうか、けっきょくは自分次第。私の場合、平日は仕事で気がまぎれるから大丈夫だけれど、休日には気をつけないと、部屋から一歩も外に出られなくなってしまう。・・・もっとも、部屋から出ないで済む日があるっていうのは、とても贅沢なことなんだろうな。

本当は、誰にも会わずに部屋の隅でじっと安部公房でも読んでいる方が、ずっとラク。きっちりと書かれた不条理にこそ共感できるし、癒される。中途半端に救われる物語は、作者の優しさの表れだと解釈できなくもないけれど、読んでいて醒めてしまう。もっとも、フィクションの作者に共感するかどうかなんて読み方は、野暮ったくて恥ずかしいものだけれど。

誰にも会いたくない――そういう気持ちを抑えつけて、薄化粧をして街に出る。ブラウスの裾と手首に、ひかえめな香りを付けて。

最近のお気に入りは、クラブツリー＆イヴリンのオードトワレ「SONOMA Valley」（今書いてみて気がついたけど、このブランドの名前って「林檎とイブ」だったのね・・・）。ちょっと甘めだけど、子供の頃に嗅いだ夏草の匂いがする。小さくて白い花をいっぱいつけた草むらのような。なつかしい。

つっこみ 先頭 表紙

うえ〜ベタベタやね（自分つっこみ）。ついでに甘いお話をもう一つ。

この夏、シドニー界隈に衝撃が走りました。というのも、長いあいだ３０セントというきわめてフレンドリーな価格で庶民に親しまれてきたマクドナルドのソフトクリームが、４０セントに値上げされたから・・・って、それでもじゅうぶんに驚異的な値段だってばっ！

４０セント！　１豪ドル＝６０円で計算すれば２４円、６５円なら２６円、７０円でも２８円という、為替リスクもぜんっぜん怖くない超お値打ち価格。「もう〜　駄菓子じゃないんだから！」と、思わずカウンターでつっこみ入れたくなってしまいます。「世界を食いつくす」ともいわれている超巨大多国籍企業の思惑にはまってしまうのは片腹痛いことであるよ・・・と思いながらも炎天下、５０セントコインを握りしめてはつい店頭に並んでしまう、心の弱い美奈子です。

つっこみ 先頭 表紙

今日　どこかで生まれている幸福
あつい手当てをとりこぼしながら
銀の匙をくわえて放射状に拡がっていく微笑み
それぞれがそれぞれに大切であると名指すこと
名指されるものたち　それら
明け方の陽光に輝く尖塔の
上空に湧きあがる雲のようなもの

目を凝らすと消える短い虹を一瞬
さなかに淡く抱えていて
いずれの白昼の立ち位置からも異なった像に示される
離れた青空ではくっきりとした姿勢をとりながら
近づけば掴みどころのない湿り気に戻ってしまう
細かく調べたところで意味がないのは
あらゆることはとうにどこかで描かれていて
見渡せば到るところ　既視感で照り返されているから
それでも日暮れ前にはすぐれた人々が
誰も見たことのない断崖から骨をよじりながら
夕映えを摘みとろうと血の流れを傾けている

望んでいたのは死に向かう入江を遠ざけるための
苦くて白い粒ではなくて小さな赤い実だったのに
わかってきたのは自分の口に運ぼうとしても宙に溶けてしまうこと
ベランダで鳴き交わす小鳥たちの肩を優しく撫でながら
くちばしの中にそっと押し込んでやる　ひとつずつ
ここですれちがったものたち　みんな天国へいきなさいね
そう小さく念じながら

湿ったハトロン紙がわずかに乾いて剥落していくように
自分は少しずつこぼれていく　だから何ということもなくて
できれば　その時に洩れる音が伝えられればいい
押し黙ったままの苛烈な夏の重みから支えられきれずに
ふと迷い出てくる幻とともに
ただ一言
わかっていると

*
*
*

先頭 表紙

滞日経験のあるオージーから、日本の食べ物についてたずねられることがあります。「何という名前でしたか？　秋の果物で、大きくてとてもジューシィなピーチ・・・？」「モモのこと？」「Oh, yes. MOMO ...」　そう言って、うっとりとした顔つきになった人もいたっけ。

日本の桃はとてもおいしい。たっぷりと柔らかい果肉、あたりを圧倒する匂い、それに表皮の色のグラデーションは、芸術品といってもよさそう。でも正直に言うと、あれほどわかりやすいおいしさだと、こわいような、いけないような。レセプターにセロトニンがパシッパシッとはまるような味って腰が引けてしまうのです。私はむしろ、ふつうのプラムが好き。小ぶりで皮の近くはほんの少しすっぱくて、だからこそ中の甘味がつややかに歯に沁みるような、盛夏の果実。

真っ赤なプラム、上の二つはブラッド・ルビー種（名前のとおり血赤サンゴのような暗紅色）、下の二つはやや大きめのサンタ・ローザ種。中央のあざやかな黄色は、アプリコット。

先頭 表紙

新しい年の始めに楽しみなのが、新しい手帳を選ぶこと。普通は年末に選んだりするのだろうけれど、去年の年末はとても忙しくて、雑貨のショッピングに出掛ける時間もなかったぐらいなのです。

そういうわけで、２００２年の手帳はシドニーに戻ってきてから買いに行こう・・・と楽しみにしていたの。大きめの文房具屋さんで、ちゃんとアテはつけてあって。

ここ３年ぐらい、気に入って続けて使っていたのは、イタリアのモード・エ・モード・デザインの「MOLESKINE」。一日あたり１ページのブランクページ式（薄く罫線が入ってる）で、何かと書きつけるのに便利。とてもシンプルな作りだけれど、抑制のきいた美しさを感じる。能書き（？）によると、アンリ・マチスやヘミングウェイも愛用していたシリーズなのだとか。けっこう歴史あるものらしいのです。

だけれど昨日、街中の一番大きいお店に行ってみたら、もう売り切れてしまっていたの。紙の手帳としてはお値段がやや高めだから、他のお店にもあまり置いてなさそう。うーん、残念。

先頭 表紙

ホントは真夏のはずなのに、最近はずっと曇ってばかり。夜中にはザーザー雨が降ったりして。うんと晴れて暑くなったら週末はビーチに遊びにいけるのに・・・。こちらの人の間では、オゾンホールの影響？ともっぱらのうわさ。

オーストラリアにくる前は、連日気持ちのいい晴天ばかり続くんだろうなぁと思っていたから、何だか期待はずれの毎日です。

先頭 表紙

年末年始は東京に戻っていたのですが、所用が多かったのでどなたにも連絡しませんでした。声かけてくださっていた方々、ごめんなさい。空港での出入国手続きは、「シドニーのキングズフォードスミス空港では平均2時間半待ち」という噂を聞いていたのだけれど、実際にはそれほど時間もかからず。ただし、X線チェックなどでサイレンが鳴っちゃった人は面倒で、パンパンにつめたスーツケースでも全部開けて中身を見せなくてはいけないのが大変そうでした。

写真は機内食のデザート、カスタードクリームのパイ包み。お味は悪くなかったよ。ナイフだけプラスチックになっていたのが、印象的。

先頭 表紙