2002-07-16 白と黒と、そのあいだ。
2002-07-14 時間という薬。
2002-07-01 Chaussefile　-靴マニア-
2002-06-13 夏支度。
2002-06-09 恋人たち。
2002-06-04 今日は敵？
2002-06-03 Germanopratine.
2002-05-31 睡眠。
2002-05-29 ロッカールームで。
2002-05-24 妄想してみたり。

鮮やかな色も身につけるけれど、ワードローブの中身は断然、無彩色が多い。
特に灰色。
たぶん、一番たくさん持っているはず。

なかでも、一番好きなのはチャコールグレー。
つまり、青みのあるもの。
絶対に買わないのは黄み系統。
これは本当に似合わないから。
笑っちゃうくらい、だめ。

黒や白も難しいけれど、好みのグレーを選ぶのはもっともっと難しい。




グレーの色出しで信頼しているのはPRADA。
洋服はもちろん、皮革も。
とはいえ、さすがに高価なのでソルドで少しだけ。

それから、agnes.bも。
特に夏の麻。
毎年、青みグレーの麻のものを必ず出している。

JOSEPHは定番に。
パンツの出来がいいので評判だけど、それ以上に青みグレーをよく使うので見るようになった。

フィレンツェで買った夏の帽子
プーマのスニーカー
カスタネールのサンダル
セルジュ・Ａのバッグ
ペルラの下着

気がつくとグレーばっかり……







"Jurgi Persoons"
グレーのものばかり作ってる。

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容易に、運命、という言葉を使うのは好きじゃない。

たしかに出会いは運命だけど、選び取るのは自身なのだから。
いいことも、わるいことも。
どんな結果になったとしても。

それでも、どうにもならない時がある。
ちがうかもしれない、と怯えながらその道を選ぶとき。
逃げることしかできないとき。
抵抗しきれないとき。
他に何の選択肢もないとき。

自分で選択できないこと、自分をコントロールできなくなることは恐怖だ。



時間はいつも、わたしのコントロールの外にある。
とても恐ろしいけれど、同時に、同じだけやさしい。
もしも、自由に時間を進めたり遅らせたり止めたりできたとしたら、わたしはある時点で動けなくなっていたはず。

あの、すべてが終わったと思った時、わたしは一切の思考をやめ、時間も止まったと錯覚した。
錯覚はあくまで錯覚で、時間はいつも通り流れ、留まることを赦さなかった。
乱暴に、強引に。
そこにわたしの意志はない。
選択の必要もない。
身をまかせることは、とても甘やかで。




10年、という時間が経ち、ようやくわたしにも時間という薬が効いてきたみたい。
少し前から考えていたことを、ようやく実行に移した。

決めました、と言うわたしに、先生はただ、そうか、と言った。
そして、探しておいてくれたのだろう、古いオープンリールのテープを出してくれ、ここで聴くか、と訊ねた。
ひとりで聴く勇気があるかわからなかったので、はい、と答えた。

"NIGUN" BLOCH
"ROMANCE" DOVORAK
"POEME" CHAUSSON
"SONATE POUR VIOLON ET PIANO" POULENC
"INTRODUCTIN ET RONDO COPRICCIOSO" SAINT-SAENS

Piu allegroを練習していた時のことを思い出して笑う。
笑うことができる。
自分から離れたくせに、遠ざけたくせに、本当に遠くなったのを思い知って、泣いた。
安全なところにうずくまって。
もう、あの淵に立つこともない。
その現実を受け止めることもできるようになった。
すべて時の効能だろう。






時間は、特定の神を持たないわたしにとっての
大いなるもの、なのかもかもしれない。
明日はCDを探しに行こうかな。

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むかでちゃん、と呼ばれている。
靴気狂いだから。

もちろん服も好きなんだけど、何か違う。
かといって、いわばコレクション状態の下着とも違う。

何が違うのか。
気に入ったものと、自分の足に合うものが一致するかどうか、というのが他の何にも増して難しいところ?
ぴったり来るものを見つけると、運命かしら、なんて思えるところ？



わたしの住むアパルトは、パリで屈指の靴屋街のすぐ近く。
とっても危険。
そして歓喜に満ちている。









信頼のChristian Louboutin
新発見のSARTRE

先頭 表紙

夏が来るのを待つのが好きだ。
たぶん、なつ、そのものよりも。

帽子やサンダル、肌当たりのいい下着と服を用意して。
水着とサングラスも出番を待っている。
陽にあてた、籠の中で。





この街の夏は、まるで物足りない。
陽が落ちると肌寒いなんて、そんなの本物じゃないでしょう？
熱く熱くなってくれなきゃ困る。

あの、黙示録の夏、のように。
すべて「太陽のせい」にしたいんだから。








あついっていったらよけいにあつくなるからあついっていっちゃだめ
って、いいたい。

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兄が独立し、父と母がふたり暮しを始めて、数カ月がたつ。
彼らにとって、はじめてのふたり暮し。



両親にとって、優先されるべきものは、常にお互いなのだろう。
こどもは、ふたりの間にある、しかしまったく別のもので、混同されることはなかった。
それが、わたしにとっては当たり前だったので、なんとも思わずに来たけれど、今は、そんな両親で良かったと思う。
こどもがいなくなった後の家が、美しいものであってほしいから。





小さい頃、時々、仕事の終わった父は、母を夜の外出に誘った。
母は、わたしに夕食をとらせたあと、念入りに化粧をし、髪を整え、香水をひとふきする。
美しい下着を纏って。

それから、するりとした洋服、たいていはワンピースでたまに細い細いスカートとブラウスかニット、を選ぶ。
迷った時の、眼を瞑って思案する、その光景を見ているのが好きだった。
行ってくるからね、と、わたしの頭を撫で、注意すべきことを指示して出かける母の、少しうわのそらな貌も。

わたしを連れて出かける時の支度とは、どれもこれも違っていたので、いつも思っていた。
夜のお出かけは、どれくらい素敵なことなんだろう、と。












恋人達の家にお邪魔する、夏はもう、すぐそこに。

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ショコラにワッフル、刺繍やレース、それからビールに、モーリス・ベジャール。今なら、アントワープの7人も。
ベルギーで日本人が好きなものって、こんなかんじ？

一概には言えないけど、日本人でベルギーに嫌な感じを持っている人って、少ないと思う。
ベルギー人の方も同様で、わたしの知る限り、日本人嫌いっていないような気がする。もちろん、日本嫌いな人は、わざわざ日本人のわたしに寄ってこないだけだろうけど。

アトリエのボスは、日本が大好き。
自宅に畳があったり、鉄瓶で緑茶を飲んだり、着物をリメイクしてガウンにしたり、漢字Ｔシャツを着たりと、かなりべた。微笑ましい。

そんなベルギー人のサッカーファンである彼は、昨日わたしにこう言った。
「明日は敵だよ。」


そういうわけで？今日はアトリエを午前９時に開け、１０時に閉めてカフェへ。
大きなプロジェクターでJAPON-BELGIQUE戦を観戦するために。
今日は店の本体の美術館は休みにもかかわらず、結構な人が集まっていた。
もちろん、観戦するため。


昨日、僕は赤いものをきて来るからお前は青いものをきて来い、と言うのでジーンズにA.F.ヴァンデヴォルストの青いシャツを着て行ったら、ボスは全身コム・デ・ギャルソンで真っ赤っか。かなり恥ずかしい…。
（お互いに、愛国精神？と相手国への敬意を表した、わけではない。偶然。）


ルールはちっともわからないけれど、観ていておもしろい試合だったな。
日本の最初のゴールにはぞくぞくした。
ボスは、ジャッジに納得いかん、とか、ジャポンのユニフォームださい、とか、ジャポンのガーディアン好み！、とか、とてもとても五月蝿かった。
でも、黒のユニフォームは男前を上げる、には、わたしも同意。


可笑しいことがひとつあった。
いきなり、放送の受信が止まってしまったこと。
店の責任者が急いで点検？したけど、５分以上、中継がストップした。

放送が再開すると、スローモーションの映像が流れている。
え？なに？？？と、一同がざわつく。
なんと、得点が2-1になっていた。

ちっちゃいアメリのしわざ？



最後の３点め？は、ベルギー人のボスも「信じられない！」そうだ。
あれを得点にしないなんておかしい、と。

まあ、買った方が負けた方に、得点差の分のビールを振る舞う約束をしていたせいかもしれないけど？？？
終了後、ベルギービールを飲みにいった。
一杯、ご馳走させて頂きました。

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気がついたら、日曜が終わろうとしていた。
２０時。
西向きの部屋は明るく、暑い。


土曜日も、もう夏だった、
Tシャツに革のジャケットを羽織ったのは大失敗で、公園のスタンドでソルベを食べた。
Citron et Fraise.
れもんを先に言うのを忘れずに。



目覚めると空腹だったので、外へ。
日曜日は、一番近くの、自分のダイニングのようなカフェは閉まっている。
大通りに出て、ほんのすこし歩くと2軒のカフェがあって、そのうちの一方のテラスの席についた。

この店の温かいタルトタタンは、ヴァニラアイスが別の器によそわれてくるのがいい。
どろどろに溶けたアイスクリームは苦手だから。
甘くなった口内は、シャンパーニュで流した。


サングラスが外せるくらい陽が落ちた、と思ったら、すぐに闇になる。
２２時。
水を買って帰った。









Precision:une Parisienne qui se respecte sur le boulevard Saint-Germain ne traverse jamais sur les lignes blanches quand le feu est rouge.Une Parisienne qui se respecte guette le flot des voitures et s'elance tout en sachant qu'elle prend un risque.
Mourir pour la vitrine de chez Paule Ka. C'est delicieux.

"PETITES PRATIQUES GERMANOPRATINES" Anna Gavalda


たしかに。

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わたしはあまり眠らない。

明け方に少しだけ。
できるだけ横になったり、眠るようにしているけれど。



睡眠が少ないことの悪影響は、肉体より精神に。
眠ることは、不安や苦しみや痛みを和らげてくれる。

そう、教えてくれた彼女も、あまり眠らないひとだった。
いまは眠りの国に。







彼女の記したものを読むようになったのは、彼女の病気が、数年前に亡くなった友人と同じものだったから。

友人の時、わたしは、その死の２日前まで何も知らずにいた。
知らせを受けたのはフランスで、帰ることはできなかった。
すべてが、リアルから遠かった。

彼女の日記を読むことで、わたしは友人の死を追体験し、実感しようとしたのかもしれない。利己的な理由だ。
彼女は、それ以上のものを与えてくれたのに。



小さな死、というのは別のことだけれど、睡眠もまた、繰り返される小さな死ではないだろうか。
眠りはやさしく泣かせ、目覚めは再生を約束する。

いまは眠る彼女たちの、幸福な朝を祈って。










枕元には
包み込むように匂う、白い花。
おやすみなさい

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　温泉なんて信じられない。

というのは、

　ナマで魚を食べるなんて野蛮！
　
（北欧人の立場は？
　それ以前に骨ごと砕いた鳩を食べさせるLa Tour D'argentは一体？）

に通じる、単純な異文化蔑視のひとつなんだな、と思う。



だって、みんな……








"Le Coq Sportif"

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このところ、ジムにきちんと通っている。

夕方、アトリエからそのまま。
帰宅は、当然２１時を過ぎてしまう。

わたしが何もかも上手くできるわけないので、どこかにしわ寄せがくる。
「どこか」って、食事なんだけど。

今日の夕ごはんは、メロンとクラッカー、でした。



その、とても情けない夕食？を採りながらひまじんを徘徊するのは、とてもとても切ない。
ついつい、これが本当に長屋なら…、なんて考えてしまう。
本当なら？
もちろん、毎晩、どこかのお家を襲うのです。
なんて良いアイディア！









妄想中？

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