2002-11-05 まだ見ぬ未来を想う
2002-10-31 ひとことだけ
2002-05-28 彼じゃない彼、月と海と太陽と緑。
2002-05-08 5月の出来事
2002-04-11 from the bottom of my heart
2002-04-02 4月の憂鬱
2002-03-22 クシャミとミモザと青い海
2002-03-17 3月の日曜、紅茶を飲みながら。
2002-02-21 上向きな証拠
2002-02-19 お嫁に行く日

先のことなんて分からないから
先のことなんて考えなくていい？

あなたと一緒にいられる未来を信じてはいけない？


*　*　*　*　*　*　*


セザンヌ、シャンパン、メイクルーザー
優しい色だけを集めて。

先頭 表紙

「好きだよ、会いたかった」
たった一言だけでとても混乱する。
不器用な私をどうかどうか迷わせないで。

*　*　*　*　*　*　*

ご無沙汰しておりました。
元気に日々を過ごしているのだけれど
静かにキーボードに向う時間が少なくて
ただただベットに倒れこんでしまう日が多いのです。
ごめんなさいね。

*　*　*　*　*　*　*

ジュリアの花びらは優しくて
ひらひらと風になびく

先頭 表紙

横浜に向う途中の月は満月に満たなくて
歪な形の褐色だった。
車の窓にはポツポツと雨の雫が降りてきて
時折私達の視界を遮った。
明かりの多いところから少し離れたレストランは
広いけれど遅い時間と雨のせいで空いていて
オーダーをとりにきた髭を生やした外国人の店員はにっこり微笑んだ。

海に近い窓際から外を眺めると
稲妻が反射してキラリと光った。
時も場所も越えてどこかへ迷い込んだ気分になった。

レンガでできた倉庫には暖かい黄色のライトが灯っていた。
雨が上がってデッキのうえを歩くと
暗くて見えない水溜りに何度も足を突っ込んで
彼に笑われた。
今年最初のサンダルはおかげで水浸しだったけれど
静かで暗くて深い海を見ていたらそんなことは忘れた。

*　*　*　*　*　*　*

朝は眩しい光で目を覚ましたけれど
気づかないふりでベットの上で小さくなっていた。
太陽は大きくて温かいから私達にはもったいないと思った。

大きな道路沿いにあるイタリアンレストランに入ると
窓から涼しい風が流れてきて食欲をそそった。
アスパラガスと半熟卵のアンティパスト、魚介のジェノベーゼ、
ドルチェとカプチーノ。
店の脇の急な階段を下りると小川が流れていて木々が太陽を隠していた。
道路を走る車の騒音も聞こえない。
近くて遠いところ。そんな感じ。

*　*　*　*　*　*

これを何と呼ぶ？
それでも私の生活。

先頭 表紙

大きなイベントがあり
連日、遅い帰宅だった。
当日ホテルのロビー前に飾られた私のアレンジは
初夏の風に揺られていた。
各会場には先輩達が作り上げた作品が
一斉に並び大きな窓からの光をたくさん浴びていた。
少しずつ小さなものを作らせてもらえるようになって
さらに花に対しての見方が変わってきたように思う。

即席の打上げで口にした赤ワインは
ホテルの料理長が差し入れしてくれたもので
なんとかの賞をもらったっていう話だったけれど
それでなくてもおいしかった。


*　*　*　*　*　*　*


春になったら東京に戻れるかも
というタロウの言葉を頭の片隅に入れて
暖かくなるのを待っていたら
もう5月になった。
そして今日、その小さな期待が
現実にならないということが分かって
電話口でこっそり涙を流した。
今までと何も変わることはないのだけれど
小さな期待は思った以上に大きかったみたい。
静かな夜の空を眺めて
ようやく気持ちを落ち着けたところ。


*　*　*　*　*　*


小さな丸い箱に
ベルテッセン、マジックシルバー、クリスマスローズを。
ワイン色のテッセンはその名のとおり鈴の形。
夏に向けて一番のお気に入りになりそう。

　　　　

先頭 表紙

「パリの確立」
新世紀を迎えるパーティーで彼女は彼の子供を作りたいという。
彼はまだその決心ができない。
彼はパーティーの途中、トイレの天井から数十年後の未来に入り込んでしまう。
そこで出会ったのは彼の息子、孫、曾孫たち。
息子は彼に彼女との子供、つまり自分を作ってくれと懇願する。
そうしなければ息子の存在はなくなってしまうから。


自分の未来が見えたらどんなに楽だろうと思うこともあるけれど
それじゃ喜びも楽しみも悲しみも苦しみも悩みも味わうことはできない。
父も母も兄や私や弟が生まれて喜び、成長の途中で迷ったり悩んだりしたはずだ。
いつか私が母になったときにはその気持ちを存分に味わいたい。


このすばらしい世に私を送り出してくれた父と母に感謝しつつ
これからも精一杯生きていきたい。


*　*　*　*　*　*


少し早く職場で誕生祝をしてもらった。
店長がわざとらしく私をお遣いに行かせて
帰ってきてみたら
真っ暗の中でケーキにキャンドルが灯され
私のお気に入りのラベンダー色のアジサイや
ピンクのバラ「エスター」が小さなコンポートにアレンジされていた。
キャンドルを吹き消す前には心の中でひとつだけ願った。


*　*　*　*　*　*


これは自分へのご褒美。
最近のお気に入りの紫色の花を集めて。

先頭 表紙

4月に入ったばかりだというのに
ジャケットなしでも十分なぐらい暖かな今日。
風を感じるたびにあの頃の匂いと重ね合わせて
もうあの新鮮な気持ちを味わうことはないのかと
切なくなったり。

入学式の賑やかな人ごみの中をかき分けて
講堂を目指して歩いた。
入社式の朝、慣れないスーツとパンプスで
ぎこちなく歩いた高速道路の脇の道。


毎日が二度と繰り返されるわけじゃないことは
分かっているけれど
4月になると懐かしい思い出が蘇ると同時に
少しずつ歳をとる自分を再認識して
憂鬱な気分を味わう。


*　*　*　*　*　*　


バラ「メイクルーザー」等、店の余り花を集めて作った小さなブーケ。
ちょうど上京していた母にプレゼントすると
鏡の前に立って
「ママもこんなブーケを持ってもう一度お嫁に行きたいわ」
だって。
パパは横でちょっと拗ねていたのがかわいくて笑った。

先頭 表紙

しっとりと雨の降る夜。
桜の花びらがはらはらと散っていくのを見ると
やっぱり切なくなるね。


先日仕入れたミモザの花粉に反応して
クシャミを二つした。


ちょうど3年前に出かけた卒業旅行は
1ヶ月におよんでヨーロッパをぐるりと一周した。
雪の多い街をいくつか歩き回った後に立ち寄ったニースでは
これまでの寒さがウソのように
暖かくてホッとした。
大好きなシャガール美術館では友達を先に帰らせて
夕方まで見入っていた。
夕食にはブイヤベースを食べて
その後は浜辺に座り地平線をジッと眺めた。
街中はカーニバルの真っ最中で
様々なイベントで賑やかだった。
すれ違う人たちはみなミモザのブーケを持っていて
黄色の丸い花はニースの暖かくて大きな太陽に良く似合っていると思った。
次の日も朝市で買った大きなイチゴを持って一人で浜辺に出かけた。
恐らく帰らなくちゃいけない理由がなかったら
私は毎日あの浜辺で海と空を眺めていたと思う。


3年経った今、あの場所にはあの人と一緒に行きたい。
私のお気に入りの風景を一緒に見たときに
あの人はなんて言うのかな。


*　*　*　*　*　*　*


ミモザの画像はなかったので
「マリンブルー」を。
透きとおる海の色。

先頭 表紙

いつもの道を通るたびに
春の気配を感じて
いつの間にか本当に春になってしまいました。

みなさま、ご無沙汰しております。


*　*　*　*　*　*


ベランダで育った
クリスマスローズとパンジーとダスティーミラ−。

春の息吹とともにゆっくり日記を更新していきますね。

先頭 表紙

まだまだ朝は寒くてなかなかベットから起き上がれないけれど
電車を降りて職場に向かうまでのまっすぐの道を歩いていると
日差しが優しくなってきているのに気がついた。
12月や1月には珍しかったチューリップ達も
たくさんの種類が入荷するようになり
ついには桜まで入ってきて
毎日愉しませてくれる。


月曜に予約を入れた美容院でどの髪型にしようかと雑誌をめくったり
偶然見つけて買った少しだけレースとフリルのついた白いブラウスに
合わせるパンツをベージュにしようかネイビーにしようか迷ったり
数日後に発売される大好きだった彼のCDを買おうと決心したり
映画観たい病が発病して次の休みに観にいくものをリストアップしたり
日課になってしまった食後のケーキを味わったり。

少しずつ気持ちが上向きな証拠。


*　*　*　*　*　*　*


先日、私が仕事をしている間に
タロウが買ってきてくれたクリスマスローズの鉢。
本来はクリスマスの時期にに咲くから付けられた名前だったけれど
多く出回るのはこの時期かも。
そしてローズといってもバラじゃないの。
繊細な色がとっても好き。

先頭 表紙

京都の朝は澄み切っていて
青くて高い空が大きく広がっていた。
昨夜遅くに作ったブーケは陽を浴びていた。

ホテルを出てタクシーに乗り込むと
たくさんのお寺が景色に見えた。
鴨川も静かに流れていて穏やかな冬の日だなと思った。

会場につくとレストランの従業員にブーケを手渡した。
私の職場ではブーケが手渡されるときに
「お嫁に行く」という。
私のブーケがお嫁に行く姿は初めてで
どうか無事に役目を果たせますようにと心の中で祈った。

友人と待ち合わせて再び会場に向かった。

新婦は今までに見たことのないような緊張した顔をして
片手は新郎の腕に心細そうにつかまりながら
もう片方の手にはブーケを持って入場してきた。
人前式だから十字架もバージンロードもないけれど
厳かな式は順調に進んだ。
そして披露宴に移ると新婦は溢れるような笑顔で
メインテーブルに座った。
一度退席するときには新婦のママと手をつないでいた。
幸せな家庭で天真爛漫に育った彼女らしい演出だと思った。

結びには友人のピアノが華を添えた。
「星に願いを」が会場中に響き渡ると
一番に新郎は大きな涙を溢れさせた。
もちろん私も。
謝辞では
「彼女と居れるのはあと何十年しかないわけだから毎日を大切に過ごします」
と言った。
本当に大好きな彼女と楽しい日々を過ごして欲しいと思った。


「新幹線で帰る途中、一人が寂しく思えたよ」
とタロウに言ったら
「すぐに会いにいけるわけにはいかないけど
いつか迎えに行くよ」という言葉が返ってきた。
早くそんな日が来ますように星に願おう。

先頭 表紙