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Hideyの「蛍の光の下で」

帰国に伴い長い間ご愛読いただいたこの日記を終了させていただきます。
もうこのサイトに文章を綴ることはありませんが
もしこの先もおつきあいいただけるようであれば
メールをいただければ幸甚です。
皆様、本当にありがとうございました。お元気で。

絵日記

目次 (総目次)   [次の10件を表示]   表紙

2002-03-18 Miracle Years 2
2002-03-18 Miracle Years 1
2002-03-16 チャリティ・オークション 2
2002-03-16 チャリティ・オークション 1
2002-03-08 Negotiation 3
2002-03-08 Negotiation 2
2002-03-08 Negotiation 1
2002-03-03 Mamma Mia! Hideyかたまる
2002-03-02 旧ソ連の友人達 2
2002-03-02 旧ソ連の友人達 1


2002-03-18 Miracle Years 2

ではこのような英断を下せば、発展途上国は皆この「ジャパン・モデル」を模倣して同じような成功を収められるのだろうか。実際数多くの途上国がそれを試みたのだが、必ずしも成功に終わらないことは歴史が証明している。「Strategy」という別の授業の話になってしまうが、本当の「戦略」とは、あるひとつの差別的なコンセプトということでは必ずしもなく、そうした統一的コンセプトと一貫性のある数十という細かなアクティビティが有機的に絡み合う状態を指すのだという。このように木目細かく編み上げられた組織体であればこそ、他者は容易に模倣できず、持続的な成長が保証される。高度成長期の日本の戦略はまさにこうした細かな戦術の積み重ねであればこそどの国にも真似のできない戦略だった。そこにはもちろん独自の文化的要因もあった。

では、なぜ日本だけはこのような危険な賭けに勝つことができたのか、その戦略を探っていこう。

成功の要因の根本は政府主導型経済にあった。しかしケースは真っ先にこれは旧ソ連の計画経済とは似ても似つかぬものだと断っている。ソ連と違い、日本では政府と産業界が常にコミュニケーションを保ち、互いに情報を交換しながら共同で経済を動かしていったということだ。それでも官主導の計画的な経済成長には変わりない。その原動力となったのが通産省と大蔵省だった。

通産省は日本経済の意思決定センターの役割を果たし、重点化すべき産業のプライオリティを決め、さらに個々の企業にもプライオリティを与えた。通産省は産業をコントロールするための資金的な武器を擁していたわけではないが、常に政治的な影響力を行使することによって、日本にとってもっとも効率的と思われる産業界の姿を意のままに形成していった。

例えば通産省は銀行資本の行き先を決める権限は与えられていなかったが、銀行は常に通産省の指導を仰いだ。それによって銀行は保護や支援を約束されたからだ。また日本開発銀行を操って、重点的に資本注入すべき産業を決定することもできた。

通産省の基本方針は、企業間の過剰な競争を排除し少数の企業にその業界を委ねることだった。その理由は、まず重複した無駄な投資を避けられること、少数の企業に集中させることによってスケールメリットを生み出し業界全体のコストを押さえること、そして過剰な競争により社会全体の生産稼働率が低くなるのを避けることだった。具体的には進駐軍が制定させた独占禁止法を緩和し、条件付きでカルテルが可能になった。進駐軍が解体させた「財閥」も通産省の後押しによって「系列」という形で復活した。ビール、ガラス、アルミニウムなどの業界に見られるように、数社が市場を独占し、ともに安定的に成長していくという形を促した。

(つづく)

先頭 表紙

2002-03-18 Miracle Years 1

BGIE(ビジネス、政府と国際経済)の授業で日本の高度成長期を取り上げた。ケースタイトルは「Japan: The Miracle Years」。うちのBGIEのケースの中でも非常にクラシックなケースのひとつで、多分間違いなくバブルの絶頂の80年代には日本の成功の秘密を探るために既に使われていたものと思う。かつてはこのケースの分析に2日を費やしていたほどその重要性は高いものだった。残念ながら日本の「失われた10年」、そしてアメリカのニューエコノミー台頭を経て、その重要性は若干低くなったものと思われる。それでも教授は今日においてもまごうことなき経済のビッグプレーヤーである日本を探ることの意義を、授業の最初に何度も強調していた。これは歴史上数少ない政治経済のサクセスストーリーなのだと。

クラシックなケースと言いながらこのケースは何度も改訂されている。日本経済の奇跡の理由を探り当て、繰り返しそれを現代的なコンテクストで分析し直しているという。このケースを読む前は僕の知識・経験を通じていくらかでも授業に付加価値を与えられないかと思っていたが、そんなおこがましい期待はすぐに吹き飛んでしまった。僕の経済知識が乏しいこともあるし、ほとんどが自分の生まれていなかった時代の話ということ、日本の学校がそのような勉強を教えていないということもある。しかしなによりケースの分析の質が高く精緻なのだ。僕は自分が日本人であるということを一度忘れて、このケースから極東の小さな国の「奇跡の時代」の秘密を謙虚に学ぼうと決心した。「そんな知識はとっくにある」という方には申し訳ないが、無知な僕自身の整理のためにこの長い文章を書き記しておきたいと思う。

日本研究の第一人者で後に駐日大使も務めたハーバードのエドウィン・ライシャワー教授が戦後間もなく記した書簡の紹介から授業が始まった。ライシャワーによれば、天然資源が乏しく食糧の自給もままならないこの国で、唯一資源と呼べるのは安価な労働力のみである。そのような国に残された道は、労働集約的で戦前から日本が得意としていた繊維産業などを重点的に推進することだ。しかし日本の占領から解放されたアジア諸国こそ安価な労働力の宝庫であり、日本製品は国際的な競争力を持ち得なくなる。既に日本に未来はありえない、とのことだった。日本にもっとも詳しい知識人すら当時は日本の前途を絶望視していたのである。

しかし、日本は大英断を下す。ライシャワーも書いたとおり、従来の繊維産業では日本は競争力を持ち得ず、しかも繊維製品で獲得した資金では既に1億に近い民を食べさせることはできない。いちかばちか、資本と技術の集約を要し、論理的には日本にもっとも不向きな重工業によって海外から資金を還流し、それによって資源・食糧を輸入するという戦略をとったのだ。それはまさに大英断だった。なぜなら製鉄、製油、石油化学、自動車といった産業は、弾力的な需要により大きな成長が見込め、技術革新のペースや労働生産性の成長速度が速いため、将来的なノウハウの蓄積が期待できるからだ。しかし日本は戦後の荒廃からまだ遠くなく、戦争犯罪国の製品を好意的に輸入してくれる国があるかどうかも定かでないため、危険な賭けであることに変わりはなかった。日本はその賭けに勝ったのだ。

(つづく)

先頭 表紙

ガス欠コインさん、ライシャワー氏がその後どのような気持ちで日本の発展を眺めたのか、ちょっと調べてみたいと思います。 / Hidey ( 2002-03-21 23:53 )
Rさん、それはまたすごい話ですね。日本の成功の歴史をおつくりになったおじい様だったのですね。ほんとに今の政治は大局を語っているように見えても実は末端の部分では目先のことや私利私欲にとらわれてばかりで、問題が多すぎますね。 / Hidey ( 2002-03-21 23:51 )
しゃむさん、それは偶然でしたね。僕もライシャワー氏のことはもっと詳しく知りたいと思っています。うちの学校にライシャワー研究所という名の日本研究のための施設があるのです。 / Hidey ( 2002-03-21 23:49 )
りぃなさん、今の政治家、官僚じゃちょっと難しいでしょうね。人の敷いたレールを辿るような方法論しか取れなさそう。 / Hidey ( 2002-03-21 23:48 )
ライシャワーのこの大英断までは、何となく憶えています。さあ、次、見よう(笑)。 / ガス欠コイン ( 2002-03-19 21:58 )
わたしの祖父はGHQ本部に呼び出され3日間帰らなかったことがあるそうです。結果、Hideyさまの挙げられた分野のひとつをリードすることになったとか。 大英断できた理由には、敗戦によって何もかも失い、これ以上落ちようがなかったというのが強いでしょうね。今の日本がいくら景気が底をついたと言っても最も豊かな国のひとつであることに変わりはないし、大変革を行わなくても今すぐにはどうにかならないでしょうから。もっと先を見てくれ、と思います。 / R ( 2002-03-19 04:51 )
昨日ライシャワー博士の葬られた海を眺めつつ、ハル夫人の伝記を読んでいました。それも読み進むうちにおうちが目と鼻の先だったことにびっくり。 / しゃむ ( 2002-03-19 03:28 )
なるほど、奇跡的な事だったんですね。今の政治家が同じ場面にぶちあたったら、はたして同じところに賭けられるんでしょうか?もし、その時代の政治家が今の日本をみたら、どういう政策をとるんでしょう?仮定は仮定ですが、気になります。 / りぃな ( 2002-03-18 08:46 )

2002-03-16 チャリティ・オークション 2

“Hidey’s drawing”というだけでは誰も買ってくれないかと思い、忙しい中サンプルとして、ある雑誌広告に使われていた「ティファニーで朝食を」のオードリー・ヘプバーンを模写し、飾っておいた。実はそれが結構受けて、なんとオークションシートには延べ19人の名前が並んでしまった。中には明らかに自分が金持ちであることをひけらかすためだけにあらゆるシートに名前を書きまくる奴がいて、僕も彼のために絵を書かなくてはならないのかと心配していたが、最終的にはガールフレンドにその肖像画をプレゼントしたいという極めてまともなZaid君が105ドルで落札してくれた。

オープンビッドの方は、勝ち負けを争う臨場感からか、それともチャリティということで相場感覚をあえて無視したからか、非常に高額の落札が相次いだ。1,000ドル以上のリゾートツアーというのもあった。買う奴もすごいがそれを無償で提供する奴ももっとすごい。結局こいつらお金が余っているんだなとほとほと感心してしまった。

僕はそんなわけにはいかないので、メキシコ人の友人Rodrigoが奥さんと一緒にもてなしてくれるメキシカンディナーを競り落とした。これもオープンビッドだったため、何と115ドルを要する落札となってしまった。これを落札しないとなにも金銭的な貢献ができないなと妥協しての出費だった。

セクションきっての伊達男、アルゼンチン出身のGabrielによるプライベートダンスレッスンというのが一番盛り上がった。女の子達がキャーキャー言いながら競って値を吊り上げるのだが、値の上がり方がちょっとスローになるとGabrielが一枚ずつ服を脱いでゆき、また値段が吊り上がる。結局Marieというフランス人の女の子が100ドルで落札。Gabrielはその値段に少し不服そうだった。

狂乱の一夜の売上はなんと17,163ドル。81人の学生がひとりにつき27,000円以上拠出したという計算になる。まあ多くの人が救われることだし悪いことではないんだけど、どうしてもボンボン学生の道楽といった感が最後まで拭えなかったというのが正直なところだ。

いよいよ明日から一週間の春休み。おろそかになっている復習などもしたいと思うが、やはり生活に余裕ができるのはうれしい。たまたま英会話学校が休みの妻と充実した時間を過ごしたいと思っている。もちろんその時間には先日失敗したMamma Mia!のリベンジも含まれている。たまっていた話もようやく日記に書けそうだ。


*最後に僕のサンプルデッサンのオードリーを添付しておきます。


先頭 表紙

ちえちゃん、年賀状かなんかでつまらないイラストは描いたことがあったかもしれないけど。。。ちえちゃんって器用だから何でもできそうだけどな。 / Hidey ( 2002-03-21 23:47 )
すごーーい!Hideyさんがこんなに絵が上手だなんて知らなかったよ〜見た事なかったものね?私はまったく絵の才能がないから尊敬しちゃう!! / Chie ( 2002-03-20 08:51 )
まゆ猫さん、僕も映画としては、そしてオードリーの可愛らしさとしては、圧倒的に「ローマ」が好きです。ファッションで言えばこの絵と同じ「ティファニー」かな。 / Hidey ( 2002-03-18 05:36 )
Emikoさん、これは芸術ではないので、模写するだけなら何万回も線を書きつづければモデルと同じ線は再現できるものです。楽しい春休み。。。にしたいと思ってます! / Hidey ( 2002-03-18 05:35 )
Rさん、お金でなくて行動であらわしたとしても、そこでの自己満足が勝っているか、思いやりが勝っているかというと、同じように難しいことですよね。僕自身は自分の自己満足を見通して自分を責め抜いた後に贖罪に近い形で人に善を施すパターンが多いです。(←告白) / Hidey ( 2002-03-18 05:33 )
夢樂堂さん、メンテの対象が多すぎて大変な春休みになってます。 / Hidey ( 2002-03-18 05:30 )
浪花撫子さん、とっても納得して読ませていただきました。情けは人のためならずってね。でも人によってはチャリティやボランティアの善性を全否定する人がいるけど、実際善行を行っている自分の意識を完全に消せる人はいないと思うけど、それでも絶対的に善意の人というのはこの世にたくさんいるのだと思っています。いずれにしてもおっしゃるとおり、「でも、ええこととしよう」ですね。 / Hidey ( 2002-03-18 05:29 )
KATSUMIさん、確かに機会はないよりあったほうがいいでしょうね。Gabrielはバティとはちょっと違うタイプでした。あんなに逞しくなく、甘いマスク、という感じ。 / Hidey ( 2002-03-18 05:26 )
oggiさん、なんとお答えしていいのか分かりません(笑)。 / Hidey ( 2002-03-18 05:25 )
鳥さん、僕もオードリーの映画はかなり見ています。オークション、他にも色んなサービスがありましたよ。 / Hidey ( 2002-03-18 05:24 )
まうさん、はじめまして。クリエーティビティについてはお手上げなのですが、眼ということではできるだけあるがままにものを見ようと心がけているので、とてもうれしいお言葉です。 / Hidey ( 2002-03-18 05:23 )
たらママさん、なんとシャープペンで書きました。ただ単に精緻に書くだけなら細い方が便利です。僕もかなりマンガにははまってしまい、少なからず絵の上でも影響を受けてしまっています。 / Hidey ( 2002-03-18 05:21 )
ガス欠コインさん、確かにあのボンボンのシンガポール人の絵は描きたくない。彼の知り合いの女性ならまだしも、あの金太朗のように贅沢で太ったような彼の絵は絶対イヤです! / Hidey ( 2002-03-18 05:20 )
PAOさん、分かります!僕も描きながら肩と腕のラインには惚れました。脇のところの微妙な皺もね(笑)。 / Hidey ( 2002-03-18 05:17 )
akemiさん、美空ひばり、そうだったんですか!?温かいお言葉、ありがたいのですが、本当に自分では無価値な絵と思ってしまっています。極端な話鉛筆タッチで再現できるコピー機があれば済んじゃうわけですからね。 / Hidey ( 2002-03-18 05:16 )
peachさんのお美しいお姿なら是非。そう言えば妻の絵は一度も描いたことがありません。彼女もそういうガラではないのです。 / Hidey ( 2002-03-18 05:15 )
おとじろうさん、結局僕の絵を落札してくれたZaidは、同じ学校に通うガールフレンドの希望でキャンパスの風景を描いてくれとのこと。ちょっと大変そうだけど人物画よりはフラストレーションがなくていいかもしれません。クリエーティビティのなさを余り気にしなくていいから。 / Hidey ( 2002-03-18 05:13 )
Ecruさん、休みにまかせて早速重くて長い日記を書きました。つっこみようがないくらい重くて長いです。ごめんなさい。 / Hidey ( 2002-03-18 05:11 )
りぃなさん、本職から見ればこれが無価値な模写に過ぎないことはよくお分かりですよね。本当の創造力をお持ちの人を僕は尊敬します。いつかりぃなさんの作品を見させていただきたいものです。 / Hidey ( 2002-03-18 05:10 )
mignonneさん、僕はクリエーティビティがないので、絵については敢えて忠実な模写に留めています。自己表現はとってもできません。 / Hidey ( 2002-03-18 05:09 )
スーパーしえろさん、オードリーは古今東西最も好きなアメリカ人女性のひとりです。 / Hidey ( 2002-03-18 05:07 )
しゃどう猫さん、よく見ると左右が微妙に不対象。まだまだです。 / Hidey ( 2002-03-18 05:07 )
Hideyさまは、オードリーお好きですか? どの作品が一番のお好み? わたしはやっぱりローマです。ヘアースタイルが好き、男物のガウン着ているところが好き。 / まゆ猫 ( 2002-03-18 02:53 )
どうしてそんな多彩なのでしょうか?ちょっぴり神様を憎んでしまいそうです♪奥様とどうぞ楽しい春休みを・・ / Emiko ( 2002-03-18 01:18 )
わたしも撫子さまに同意です。自分はこれだけやった、という保障にもなります。それでも、しないよりはした方がもちろん良いのだけど。誰が出しても、どんな心から出してもお金はお金。有効活用できればそれで良いと、『お金を出すだけ』と言われ続ける日本人は思いたいですけど、ね。 / R ( 2002-03-17 17:02 )
春休み、メンテナンスにあてるといいですね。 / 夢樂堂 ( 2002-03-17 12:12 )
チャリティというのは、実は「慈善を施している」側が救われる事が多いんやないかと思います。「人を助ける事ができる立場でよかった」とでもいうんでしょうか。うちも夫の仕事関係で、年に3回程「資金集め」パーティーがありますが、ほとんど「着飾ってご馳走を食べる罪悪感(?)をまぎらわすため、お金を出す」集まりみたいなもんです。芸能人のチャリティなんて特にそうですわね。ほとんどが、ぱっとしない人達が、お金と引き替えにカメラを構えてもらってる。 / 浪花撫子@でも、ええこととしよう。 ( 2002-03-17 09:42 )
加えて、アルゼンチンの伊達男でガブリエルといえば、「バティストゥータ」を思い浮かべてしまいました(笑)。 / KATSUMI@故障リスト ( 2002-03-17 00:44 )
絵が描ける人と楽器がひける人は無条件で尊敬します(笑)。でも金持ちの道楽にしても、それを還元する機会があるのは良いことだと思います。日本では自分の金でもないのに垂れ流す人、多いですからね。 / KATSUMI@故障リスト ( 2002-03-17 00:43 )
絵もお上手だなんてすごいわ。やはりプリンスだわ。 / oggi@本当に ( 2002-03-17 00:39 )
最初、写真かと思いました!私もオードリー好きで、部屋にポストカード飾ってます。//物じゃなく、ダンスレッスンなんかもオークションできるんですね! / ( 2002-03-16 22:39 )
デッサンと文章を拝見して、眼が冴えてる方だなあ、と。うらやましい才能です。 / まう@はじめまして ( 2002-03-16 22:35 )
これは木炭デッサンですか?それとも鉛筆?高校で一応絵画部に出入りしていましたが、絵は本当に下手でマンガばかり読んでいました。これだけ表情が描ける人がうらやましいです。 / たらママ ( 2002-03-16 22:25 )
「何のだと」→「何なのだと」 / ガス欠コイン ( 2002-03-16 21:14 )
う〜ん、いい味出してるなあ。僕は絵の才能には乏しかったから。昔、New Orleansで写真から描いてもらったことがあったなあ。おっと、何の話しだ(笑)。それにしてもお金とは何のだと改めて思いますね。善意などなくとも、金持ちであることをひけらかしたいがために、高額で落札した奴が役に立つ。Hideyさんのは、まともな奴に落札されて良かったですね。だいぶ、気分が違うでしょう。 / ガス欠コイン ( 2002-03-16 21:12 )
口の表情と肩から腕にかけての線に惚れてしまいました。 / 走る酔人(PAO) ( 2002-03-16 20:08 )
美空ひばりも若かりし頃、オードリーを真似た衣装で歌っていましたね。  Hidey画伯のデッサン、ぬくもりが感じられて素敵です。なんでも「うまい」だけではつまらなく、そこにあたたかみが宿ってこそ「いいなあ」と思えるのでしょうね。 / akemi ( 2002-03-16 19:48 )
Hidey様、素敵ですね!!そう言えば絵に書いて頂いた事は無いので、お願いして見たい位ですが、やっぱりチョッと恥ずかしいワ!?奥様も描いて差し上げていらっしゃるのかしら?浪漫チックですよね。 / peach ( 2002-03-16 18:44 )
上手い!私はまたHideyさまが落札なさった絵かと最初思いました。素晴らしい。よい春休みを。 / おとじろう ( 2002-03-16 18:33 )
ほんと何でもできるんですねー。すごいな。明日から春休みですか。日記の更新楽しみです。 / Ecru ( 2002-03-16 18:33 )
素晴らしい☆ 太刀打ち出来ないので退散しますv / りぃな@しっかりしろアート専攻のくせに! ( 2002-03-16 18:09 )
多才なんですのね!!私は芸術、特に絵画に関してはまったくだめで・・・純粋に絵で自己表現できる方を尊敬してしまいます。 / mignonne ( 2002-03-16 18:04 )
Hideyさまって、絵も描けるんだ〜。オードリー・ペップバーン、きっぱり!って感じ。 / スーパーしえろ ( 2002-03-16 17:22 )
うわぁお、すっごく綺麗なデッサンですね。凄いっ! / しゃどう猫 ( 2002-03-16 16:55 )

2002-03-16 チャリティ・オークション 1

昨日セクション(クラス)主催によるチャリティ・オークションがあった。伝統的に開催されている行事で、学生達がめいめいに品物やサービスを持ち寄ってオークションを行い、集まったお金をすべて慈善事業に寄付するという仕組みだ。どんな事業に寄付すべきかということもセクションミーティングにより投票で決定した。南アフリカやタイ出身の学生が自国の貧しい子供達に教育の機会を与えるプログラムを紹介したり、アメリカの学生が皮膚がん基金や孤児養育の施設などを紹介したりし、集まった金額によるだが基本的には大小10のプログラムに寄付をすることになった。

チャリティの精神の真偽についてはなんとも言えない。聞くからに彼は日々こういったことを真面目に考えて生きているんだなという学生もいるし、こいつは何やらビジネスエリートのたしなみのように考えているのではという輩もいる。いずれにせよ裕福な学生の手元に遊んでいる金があるのなら、恵まれない境遇の人たちに再配分されることに依存はないので、僕もそれ以上は真剣に考えないことにした。

提供するのはモノでもサービスでもよいということだったので、あらゆる種類のドネーションが集まった。ちょっと例を挙げると、お手製のキルト、レッドソックス対ヤンキースのボックスシートチケットといったものから、車による学校送迎一週間分、学校近くの寮の部屋での昼寝の権利、各国の学生による郷土料理のおもてなし、海軍出身の学生によるペンタゴンツアー、そして人気のBGIEの教授の家でのディナー、これも大人気の担任教授の愛車ハーレーでタンデムツーリングなど、多岐に渡っていた。

僕はといえば、妻がいつかフリーマーケットででも出品しようとしていた博多人形、そして僕の自筆の肖像画デッサンを提供することにした。自分の写真なり恋人の写真なりを持ってきてくれればそっくりに鉛筆で模写するというものだ。子供の頃絵の教室に通っただけだが、その後も下手の横好きで時々描くことがあった。それでもかれこれ10年以上はまともに絵を描いていない。まあチャリティオークションだから下手でも許されるだろうということで意を決して出品することにした。

お祭好きの学生達とあって当日の盛り上がりは凄かった。学校併設のスペースを貸し切り、ビールはほとんど飲み放題、本格的なタコスディナーにBGMはサルサ、ドレスコードはリゾートファッションといった具合で、南アフリカの子供達のことなどすっかり忘却の彼方であった。

100を超える品物やサービスが集まり、基本的にはドネーション一点ずつの説明書きが壁に掲示され、それに対応してテーブルに並べてあるオークションシートに名前と金額をどんどん書き込んでいくという形式だった。誰かが10ドルと書けば、また誰かが15ドルと書き足していくというわけだ。高額商品は別途通常のオープンビッド形式で、「50ドル!」「60ドル!」という参加者の競り合いを司会が仕切るという形を取った。

(つづく)

先頭 表紙

2002-03-08 Negotiation 3

しかし実際のビジネスの交渉は、必ずしもゲームのようには行かない。三対三での、とある食品会社での賃金を含む労働条件をめぐる労使交渉のシミュレーションがあった。ケース上には一応「労働者の人権のために」など心情的な要素も盛られているのだが、シミュレーションである限り、我々学生は結局お互いに何を犠牲にして何を得、釣り合いを取るかというところにすぐ向かってしまう。それぞれの要素が体系的に数値化されて、取引により自分の得点をいかに向上させるかという交渉になる。

授業の一番最後に、我々の行った労使交渉が、実はホーメルというソーセージ、コンビーフ等を加工する大手企業での実話に基づいたものであるとの種明かしがあり、交渉の一部始終を追ったドキュメンタリー映画を観た。組合側はプロのニゴシエーターを雇い、彼のメディアを利用したイメージ戦略により労使の闘いは全国規模の関心事となった。企業側は意地でも屈しないとの姿勢を貫き、交渉期限が迫っても双方の主張は平行線を辿り、ついにストに突入する。

組合側は勢いづくが、思いのほか企業側が粘りを見せる。なんとストは20週間を超え、組合側にはほころびが見えはじめる。稼ぎがなく、それほど裕福でない労働者の中には、仲間の罵声を浴びながら工場に戻る者も出はじめる。裏切り者を阻止しようと、雪の中工場の門前に車を集めてバリケードをつくったりもする。はじめは徹底抗戦の姿勢を見せていた中心的メンバーも、「仲間を裏切ったり企業に屈するのは死ぬほど辛いが、妻も子供も家計のために働きに出て、自分だけが何もできずぶらぶらしていることにはもう耐えられない」と涙ながらに語り、とうとう彼らも工場に戻る。結局出戻った労働者、新規雇用の労働者で工場は生産性を回復し、最後まで闘いつづけた多くの組合員は完全に職を失った。壮絶な闘いに終止符が打たれた。

現実の世界での交渉は、汗や涙の匂いがし、命の重みを纏う。失敗の代償はあまりにも大きく、それは人の人生を大きく狂わせることもある。苦労知らずの学生達が理論好きの教授のもと、仮にも「ゲーム」と名のつくような学問の体系の中で学ぶ交渉術が、文字通り机上の論理として砕け散る現実を見たことに、僕は心の底で安堵していた。

先頭 表紙

パンドラさん、このケースでは結局勝ち目はなかったのでしょうね。争点もほとんど給与だけだったようだし、実際には。クリエーティブな解決方法の余地がなかったようです。勉強が相変わらずきつくて余り元気じゃなかったですが、明日から一週間春休み。日本は桜が記録的に早かったようですね。こちらも記録的に暖かく、来週はいい休みになりそうです。 / Hidey ( 2002-03-16 15:37 )
Hirokoさん、こちらこそお久しぶり。どんどんと言うほどには全く書けていないのが現状です。ほんとはもっと書き記したいことがあるのですが、勉強がきつくて今は平日には書けません。でも明日から一週間春休みなので、ちょっと頑張って書きたいと思っています。お暇なときにゆっくりどうぞ。 / Hidey ( 2002-03-16 15:34 )
しゃむさん、MBAの授業、成績や試験さえなければこんなに楽しい授業はないのでしょうけど。。。思えばGMATとの闘いから始まったのですね。もうコツとか忘れちゃったな、きっと。 / Hidey ( 2002-03-16 15:32 )
はるぴょんさん、詳しくは知らないのですが、映画を観ていた限りでは、そのプロのnegotiatorも多少職業的過ぎるところがあって、外からのイメージとしてはどっちもどっちだったかもしれません。ホーメルは今でも有名な企業で、財務状況はわかりませんが、商品、知名度は高いようです。 / Hidey ( 2002-03-16 15:30 )
むらりょうさん、WIN-WINの可能性はたくさんあると思うのですが、特に日本では企業風土やつまらないこだわりから思い切れないことが多いですよね。僕の本業である広告でいえば、最近はサントリーと富士フィルムのタイアップが話題のようですが、そういう発想はいつでもあったのです。思い切れない企業が多すぎただけ。 / Hidey ( 2002-03-16 15:28 )
kofukuさん、すみません、ご無沙汰してます!お元気ですか?もうご帰国が近くなってきてしまいましたね。ぜひ近々お会いしたいと思います。改めてご連絡します。情報システム系の話も興味あります。色々教えてください。 / Hidey ( 2002-03-16 15:25 )
ブチョーさん、一瞬吉村さんかと思っちゃいましたよ。「沈まぬ太陽」、実はまだ読んでいないのですが、いい本らしいですね。僕もちょっとしたきっかけであの会社の事故の話はいつまでも心に引っかかっています。落ち目のアーチストの例としてBilly Joelを上げてしまいましたが、彼は今Elton Johnと全米を回って大人気のようです。Piano Man、ぜひぜひ歌いましょ!いつものメンツ集めてくださいね。 / Hidey ( 2002-03-16 15:23 )
浪花撫子さん、ほんとにタフなニゴシエーターという感じ!とても胸に響くつっこみでした。特にうちの学校の卒業生は若くして傲慢な奴が多くて、それが武器だったり限界だったりするようです。人間どこへいっても両端の真理を押さえることが肝要なのでしょうね。 / Hidey ( 2002-03-16 15:19 )
nameさん、そうですね、現実離れしているのではという疑問も残りますが、根本の精神は大事だし、現実の中にそういうチャンスを見つけていけるよう前向きになれれば本当にいいことだと思います。 / Hidey ( 2002-03-16 15:16 )
misatoさん、さすがに交渉事の達人ですね、その方は。分かってらっしゃる。僕の過去のビジネス体験でもそういった経験はそれほど多いわけではないのですが、商売柄異業種タイアップを仕掛けるというのが多くて、そういった意味では根本は体に染みついているかもしれません。 / Hidey ( 2002-03-16 15:15 )
鳥さん、はじめまして。かっこいいというよりはほんとにボロボロになっています。英語にご興味をお持ちなんですね。これからも日記を楽しみにしています。交渉術、確かに日本でももっと増やしていい学問だと思います。 / Hidey ( 2002-03-16 15:12 )
KATSUMIさん、孫子は確かに先見の明がありますよね。余り詳しくないのですが、「実虚篇」かな?おっしゃるとおり、お互いの優先順位の際にこそ活路があるわけですが、なかなか見えにくいんですよね。それを見せ合うことが大切と広く教えているということだけでも、この学問の意義は大きいと思います。 / Hidey ( 2002-03-16 15:09 )
りぃなさん、思っていたことを代弁していただいて、ありがとうございます!きっと両方の要素が大事なんでしょうね。 / Hidey ( 2002-03-16 15:04 )
たらママさん、最近の管理職研修は、MBA方式を模倣したものが多いようですね。でもその本場でもまだ教育法は試行錯誤のようで、うちの学校でも毎年カリキュラムが大きく変わったりするようです。確かにアメリカ人の論理的な割り切り方は交渉においては強いですね。日々実感しています。 / Hidey ( 2002-03-16 15:03 )
ガス欠コインさん、机上の論理だろうと理想が追及できる限りにおいてはより学んでみたいのですが、やっぱりそれだけじゃないな、というのは正直ありましたね。人を幸せにできる論理、そして現実の厳しさのなかで人を思いやる気持ち、その両方があればいいんですけど。 / Hidey ( 2002-03-16 15:00 )
Ecruさん、最後の例の話は、もともと街と企業が一体化していただけに、かつての街が完全に死に、新しい街が出来上がったそうです。悲しいことです。 / Hidey ( 2002-03-16 14:58 )
クマさん、どこかで聞いたような科白。。。現実から逃れているモラトリアムといえば本当にうちの学生はそうなんですけどね。ただし徹底して理論を追及する強さも確かにあるのです。だからこそ実業界ではその力を発揮している人が多いのですが。 / Hidey ( 2002-03-16 14:56 )
あややさん、リトルダンサー、いいらしいですね。いずれ暇を見つけてみてみたい映画のひとつです。つっこみの件、お気遣いなく。暇のあるとき、気が向いたときにいただけるだけで充分うれしいです! / Hidey ( 2002-03-16 14:55 )
組合が企業に勝つには、どうすればよかったのかなあ・・・って考えてみました。でもやっぱりわからない。現実は重いですね。Hideyさま、お元気ですか? 日本はもうちらほら桜がふっくらほころんでいますよ。 / パンドラ ( 2002-03-16 08:30 )
あーん、どんどん更新されていってるぅぅぅぅぅぅ・・・。Hideyさんの日記は読み応えがあり、じっくり噛み砕いて読みたいので大切に取ってあるんですよ。で、時間のある時にゆっくり読もうと・・・。突っ込みいれる間もなく新しい日記がぁ・・・。時間見つけて今度ゆっくり突っ込ませてくださいね♪ / Hiroko@お久し振りです! ( 2002-03-15 00:56 )
ケースだけを読むと損得で考えてしまいますが、個々のドラマをみてしまうとそれだけでは計りえないものがありますね。Hideyさまのお話を伺っているとMBAの授業楽しそう!その前にGMAT50点も取れなさそうですけど・・・(笑) / しゃむ塔<bセージありがとうございました ( 2002-03-13 02:05 )
組合側が雇ったnegotiaterはメディアを利用したということですが、その後の企業イメージはどうなったのかしら。日本だと「非情な会社」(情だけでやっていけるものではないけれど)というレッテルを取り去るのはかなり難しいと思うけど、アメリカではその「強さ」が評価の対象になったりするのでしょうか。 / はるぴょん ( 2002-03-12 15:16 )
実際のビジネスでもWIN-WINの落とし所を探るのですが、見つからない事が多いです。出来るだけ多くの情報を把握しなさいって事なんでしょうね。 / むらりょう ( 2002-03-11 18:05 )
Negotiation 面白そうです.私もとればよかった.「手に職」とばかり情報システム系の科目ばかり取ってしまったのがよかったのかどうか....もうすぐボストンを離れると思うとやはり寂しいです.たまには連絡くださいねHidey君. / kofuku ( 2002-03-11 17:05 )
つきなみですが、「沈まぬ太陽」はインパクトあったなぁ。半官半民(死語?)だと組合も大変だし、ベースが実話ってのがやはり強烈でした。帰国したらまた”PianoMan”合唱しましょ。 / ブチョー ( 2002-03-11 12:08 )
日本の経営者達は、制服着て現場に立ったり、営業に出て頭を下げたりという経験があるけど、アメリカの場合、ブルーカラー業務(現場)を経験した経営者ってほぼ皆無でしょ? どっちがいいかは判らんけど、自分の百分の一以下の収入の労働者達を容赦なく解雇できるのも、学生の頃から、理論としての経営を実施しているからなんでしょうねえ。 / 浪花撫子@タフ ネゴシエーター ( 2002-03-11 11:22 )
こういう勉強、私は大好きでした。皆が幸せになれるnegotiationならいいですよね。 / name ( 2002-03-10 21:22 )
交渉事の上手い知人に秘訣を聞くと「皆がハッピーになる様にする事」と一言。そしてそれを実践していく事によってまた新たな成功を呼べるのですって。皆がハッピー・・要はそこなのですよね。 / misato ( 2002-03-10 00:29 )
はじめまして!ボストン留学中とはかっこいい。交渉事…苦手です。欧米では交渉術を学問として習うんですね〜。私も習いたい! / ( 2002-03-09 16:40 )
孫子ではないですが、相手の欲しているものと自らの欲していることの優先順位が理解できれば落しどころは見えると思いますが。現実にはそれが明らかにならないまま交渉することが多くて、それが問題の種になっている気がします。100を常に得ようとすると、最後のケースのように悲劇的な結末を迎えてしまいますね。 / KATSUMI@故障リスト ( 2002-03-09 14:57 )
2までは、さすがは交渉術!と思って読んでたんですが、この最後で、目から鱗です。現実は学問と違ってホント生々しいですね。痛みを分かる人か、あくまで非情になれる人、どっちががネゴシエーターに向くのか、って考えちゃいました。 / りぃな ( 2002-03-09 11:47 )
最近は日本の企業研修請負業者が企画する管理職研修にもnegotiationというメニューがあるみたいですよ。どの程度やってもらえるかは知りませんが。こういう能力って、日本の学校じゃ教わることもほとんどないでしょう。私は時々アメリカ人の交渉戦術の巧みさというか狡猾さに驚いたり脅威に感じることがあります。 / たらママ ( 2002-03-09 00:25 )
現実はオレンジのようにはいかないですね。そうですか、基になる現実があったわけだ。机上の論理として砕け散ることに安堵するという、Hideyさんの気持ちが良くわかります。まさに旧国鉄がそうでしたね。Hideyさん他、生徒のみなさんが、現実にそういう決断を迫られた時のことを考えると、シュミレーションの種を明かすやり方は、正しいと僕は思います。それにしても、日々、緊張の連続ですね。 / ガス欠コイン ( 2002-03-08 23:56 )
すべてA子さんB子さんの例のようにいけば、どんなにいいでしょう。最後の例は、この時期なんだか胸にこたえます。 / Ecru ( 2002-03-08 23:39 )
現実から逃れているモラトリアムの弱さかなぁ・・・・ / クマ ( 2002-03-08 20:32 )
サウト→スト / あやや ( 2002-03-08 18:08 )
リトルダンサーという映画のワンシーンでも、父親が息子の夢をかなえるためにサウト破りをして仲間から石を投げられるシーンがありました。今回も思うところ多い文章でした。毎回楽しく読ませていただいてますが言葉少なくてごめんなさい。 / あやや ( 2002-03-08 18:08 )

2002-03-08 Negotiation 2

しかし、仮にビリー・ジョエル本人は5万人を集客できる自信があるとした場合、3万人までの部分についてはひとり5000円のチケット収入をすべてドームが受け取り、3万人を越える部分はビリー・ジョエルが受け取るという契約を設定したらどうなるか。ビリー・ジョエルの読みどおり5万人の集客があったとすると、ドームにとっては最初の3万人分の売上1.5億円が丸々利益となり、ブリトニー・スピアーズの場合の1億円より得になる。ビリー・ジョエルの取り分は残りの2万人×5000円で1億円となり、彼も千葉マリンスタジアムの場合の8000万円よりも得をする計算になる。集客に関する両者の期待値の相違を利用した、巧妙な契約が成立し得るのだ。(このケースの前提として、ビリー・ジョエルもブリトニー・スピアーズも同じ日にしか体があいていないものとし、またコンサート制作費はギャラに含まれるものとする。現実にはもっと費用がかかり、その分企業による協賛が必要になる)

授業ではこのようなセオリーを学びつつ、クラスメートとの実際の交渉を何度も行った。クラスの半分に黄色い紙に印刷されたケースが配られ、残り半分に青い紙のケースが配られる。黄色、青それぞれのケースを受け取った学生がペアをつくり交渉をする。二つのシートには共通した状況設定も書かれているが、多くの部分はそれぞれの立場に固有の設定となっている。

ケースによっては拡大しようのないパイをいかに取り合うかを求められたり、上記のようにクリエーティブな交渉術によってパイを拡大することを求められたりする。はじめは一対一の交渉だったのが三対三の交渉になったりし、もっとも複雑なものとしては、新しい港の建設をめぐる6人の利害関係者による条件調停もあった。

3人一組、合計26チーム対抗によるM&Aゲームというのもあった。それぞれのチームに対し麻雀のパイように4つの企業がランダムに与えられ、それらを他のチームと売買し合い、ある組み合わせ(つまり役のようなもの)ができれば企業の組み合わせによる相乗効果により得点が増えていくというものだった。同じ企業でも自分のチームと他のチームではその価値が異なっていたり、複雑な点数計算、制限時間を意識しての交渉(はじめは安売りしがちだが、次第に役が出来上がってくるとお互い高く売ろうとし、最後は時間切れ前に叩き売る)と、結構複雑なゲームなのだ。ITを駆使し、各チーム一台のパソコンに無線LANによって各チームの売買状況が刻々と表示され、ネット上でのオークションも可能だったりする。僕のチームは中の上くらいの成績だった。

結局のところ広くはゲーム理論の授業なのだが、ビジネスでの応用を考えて交渉術に的を絞った形となっている。ゲーム理論である限り、異なる設定において、その設定に固有のルールをいかに見つけ出し、相互利益を拡大しつつ自分に有利にそれを配分するかが重要だ。エゴと相互協力がどこまでも衝突しつつ、いかにそれらを調和させるかが求められる。

(つづく)

先頭 表紙

2002-03-08 Negotiation 1

2月の末にNegotiationの試験があり、2ヶ月足らずの短いコースが終わった。交渉術というといかにもハードなビジネスの世界らしく、いかにはったりを効かせつつ相手の本音を探り出し、よりよい条件を引き出すかという術を学ぶかのように聞こえるが、決してそれだけではない。一番最初の授業で教授曰く、「これから2ヶ月弱のコースで君達に教えることは極めて単純だ。ひとつは二人ないしそれ以上の人数で一枚のピッツァをいかにして切り分けるか。もうひとつは、そのピッツァをいかにしてより大きく膨らまし、互いにハッピーになれるように切り分けるかということだ」もちろんこの時は彼が何を言わんとしているのかよく分からなかった。

簡単に言うとこういうことだ。A子とB子がひとつのオレンジを分けようとしている。普通に考えればちょうど半分に分ければよいのだが、場合によってはよりよい分け方が存在し得る。例えばA子はオレンジの房を食べるのが好きだが、B子はむしろオレンジの皮を使ってケーキ作りの材料にすることを欲しているとする。A子はオレンジの房に100の価値を認め、皮の価値を0と考えている。B子にとっては房は20の価値しかなく、皮は80の価値があるとする。そうすると素直に皮も房も半分にした場合、A子にとっての価値は(100+0)÷2=50、B子にとっての価値も(20+80)÷2=50となる。しかしA子が房をすべて取り、B子が皮をすべて取れば、A子にとっての価値は100、B子にとっての価値は80となり、素直に半分に分けるのと比べ二人ともハッピーになるのである。

言ってみれば交渉の参加者の志向の違いを利用してパイを大きく(100を180に拡大)したわけだ。そんな特殊なケースはそんなにないだろうと思われるかもしれないが、互いに誠意を持って本音を引き出しあい、創意工夫を尽くした条件を考え出せば、結構ハッピーエンドが増えるものらしい。

例えば実際の世界ではこんなケースが考えられる(ケースは僕が過去の試験問題を勝手にアレンジしたものです)。往年の人気歌手ビリー・ジョエルが東京ドームでのコンサートを検討しており、ドームとギャラの交渉を行う。ビリー・ジョエルはすでに千葉マリンスタジアムから8000万円のギャラでのコンサート開催を打診されているので、当然東京ドームにも最低8000万円で交渉をする。しかし東京ドーム側は同じ日の公演に関し、人気絶頂のブリトニー・スピアーズからもオファーがあり、3億のギャラを要求されている。東京ドームの読みでは、ビリー・ジョエルは既に人気も衰えており、せいぜい5000円のチケットで3万人の集客、つまり1.5億の売上しか期待できない。これに対しブリトニー・スピアーズの場合は、8000円のチケットで5万人の集客、つまり4億の売上を期待できる。ブリトニー・スピアーズと契約すれば、売上4億−ギャラ3億で、差し引き1億の利益が期待できる。ブリトニー・スピアーズを蹴ってまでビリー・ジョエルと契約するとなると1億以上の利益が必要になり、ビリー・ジョエルへの払いは5000万円以下しか出せないということになる。このままでは最低8000万円を要求しているビリー・ジョエルとは契約は成立し得ない。

(つづく)

先頭 表紙

フィー子さん、そうそう!本音を出し合えれば、実は微妙な価値観の相違が明らかになって、そこから取引が可能になるのですが、一番の阻害要因は猜疑心ですね。そーかー、仕事でいつも実感してるわけだ。 / Hidey ( 2002-03-16 14:52 )
しっぽなさん、ケーキの話はとってもわかりやすいかも!芸術に含蓄はありませんが、最近ひょんなきっかけで絵を書くことがありましたので、最新の日記をご覧ください。話は変わりますが、ボストン美術館は印象画好きの人にはとても素晴らしいところですよ。 / Hidey ( 2002-03-16 14:50 )
スーパーしえろさん、そのやり方って頭の体操にありましたよね。僕もよく応用していますが、世の中にはもっといい方法があるものなんですね。 / Hidey ( 2002-03-16 14:48 )
ああとても私の部署の話と似ていて興味深かったです。わけるのは土地で分け合うのは親族なんですが(^_^;)。人間はさっぱりと本音を出し合うのが如何に難しいか。モノに執着して生きたくはないなーとは思うのだけどそうはいかないもんですよね。よくわからないつっこみですいません・・・。 / フィー子 ( 2002-03-12 10:09 )
1+1が必ずしも2になるわけではない、ってこういうことなのですね!スーパーしえろ様ぁ〜〜うちは「生クリームにところ」「スポンジのところ」に分かれます〜〜ーいちごは当然生クリームの方に!?よこレスすみません;それにしてもHidey様は芸術の方にも含蓄が・・・!!是非お書きになった絵を拝見させてください〜〜〜 / しっぽな@やっぱり尊敬!! ( 2002-03-08 21:56 )
なるほど。子どもが小さいとき、ケーキを半分こ・・・というときは、かたっぽのこに二等分させ、もう一方の子に選ばせるという手法をとっていましたが、もしかすると、ショートケーキのいちごだけと、本体だけという分け方もありえたということね、ふむふむ。実体験に即してわかりやすいです。 / スーパーしえろ ( 2002-03-08 19:38 )

2002-03-03 Mamma Mia! Hideyかたまる

2月23日に妻とニューヨークへ行った。今回の目的はミュージカル「Mamma Mia!」。8月に予約したのだが、土曜日の公演が取れるのがようやく半年後のこの日ということで、長く待たれた公演だった。

Mamma Mia!はABBA結成25周年を記念して制作された、22のABBAの楽曲が散りばめられたラブコメディーで、99年4月よりロンドンのプリンス・エドワード劇場で上演が続いている。1年先までチケットは完売、無期限上演という状況だ。昨年の10月からようやくブロードウェーでの公演が始まり、ロンドン同様の盛況を見せている。キャッツ、オペラ座の怪人並みの大ヒット作になることは間違いない。

ご存知の方も多いかと思うが、12月1日に汐留に竣工する電通四季劇場「海」の柿落としとして、ようやく日本での上演が決定した。ただしこれはもちろん劇団四季による日本語での上演である。圧倒的に音楽的要素が重要なこの作品を四季がどこまで再現できるかは疑問だ。

物語は22のABBAの曲を結びつけるために無理矢理作ったようなドタバタのコメディーとなっている。まあ、このミュージカルに骨太なストーリーを求める人間がどこにいるだろう。結婚式を間近に控えた、ギリシャの小島に住む主人公Sophieが、三人の男性に手紙を出すシーンから始まる。Sophieは母親Donnaの昔の日記を盗み見して、これまで知ることのなかった自分の父親が、かつてDonnaが同時期につきあっていた三人の男性のうちの一人に違いないことを知る(Donnaもその中の誰なのかは知らない)。父親に手をとられてバージンロードを歩きたいという夢を見ていたSophieは、Donnaに内緒で彼らに結婚式への招待状を出した、というような話だ。

ストーリーにあわせて、往年のABBAのヒット曲が歌われる。Honey Honey、Money Money Money、Thank You for the Music、Dancing Queen、The Winner Takes It All、One of Us、そしてタイトル曲のMamma Miaなど。

ニューヨークにはそれほど興味のない妻も、ミュージカルだけは楽しみにしていた。劇の科白は特に聴き取りにくいので、前日の夜に妻のためにあらすじを和訳しておいた。

うちの学校が特別に契約している、片道ひとり20ドルという格安のバスツアーがあるのでそれを利用した。20時の開演にあわせて18時に寿司田を予約。久しぶりに繊細な日本食を味わった。美味しかったが、最後の方になるとやはり本場日本の魚料理が懐かしくなってしまった。それでも夫婦そろって幸せいっぱいで、肌寒いマンハッタンをマディソンからブロードウェーまで歩いた。

開演10分前にWinter Gardenに着く。チケットは窓口でのピックアップになっていたので、予約票とクレジットカードを渡してチケットを受け取る。―はずだったのだ。窓口のおじさんはしばらくチケットを探し、予約票を確認したあと申し訳なさそうに僕に告げた。「あなたが予約したのは今日の14:00からのマチネー(昼公演)ですよ」

ガビーン。そうだった。半年前のことですっかり忘れていたが、確かにマチネーを取ったような記憶があった。まさに「Mamma mia!(何てこった!)」と言いたいところだった。僕はポカンと口をあけたまま妻の元に戻り、「ごめん」とだけ謝った。謝るというよりはあまりにも落胆した僕の表情に、妻は僕らしい失敗だと笑った。そう、僕はこういうことをよくやる人間なのだ。ほんとにごめん。

あまりに悔しいので着々とリベンジ計画を立てている。幸い3月18日から一週間の春休みにあわせてチケットが取れそうなので、近く悲願は果たせそうだ。そのときこそ本物の劇評を書かせていただきたいので、取りあえずはリベンジを待て!

先頭 表紙

ちえちゃん、唖然どころか、この2〜3年で一番落ち込んだかも。。。僕もキャッツは昔観ました。キャッツは寝ないで結構歌に感動したんだけど、オペラ座の怪人でしっかり時差ぼけで眠りこけました。また報告するね。 / Hidey ( 2002-03-16 14:47 )
わかな、笑うな!でも無事に3月19日のチケットをゲットしたのでまたまた1泊2日でNYに行ってきます。そっちも南アフリカ楽しんできてね。 / Hidey ( 2002-03-16 14:46 )
あらら。。。それはきっと唖然としちゃいましたね。でも奥さまと一緒にNYでのデートというだけでも楽しかったでしょうね♪私も昔キャッツを見たんだけど前半寝ちゃって幕間に解説してもらったなぁ(笑)次回の楽しみが出来て逆によかったかもね☆ / Chie ( 2002-03-14 08:51 )
hahaha...! / Wakana ( 2002-03-10 16:44 )
りるりるさん、お久しぶりです!僕もすっかり自分に不機嫌でした。妻がそれを察して「元気出せ」と話してくれました。せいぜい罪ほろぼしに彼女の英会話の宿題の面倒を見てあげる羽目になりました。 / Hidey ( 2002-03-08 17:38 )
lim.さん、僕もブロードウェーは5年くらい行ってません。それだけに楽しみだったんだけどね。オペラは一度NYで行ってみたいと思っています。 / Hidey ( 2002-03-08 17:36 )
俺様さんらしい微妙なつっこみありがとうございます。ほんと、ドタバタさんですよー。俺様さんに負けないかも。 / Hidey ( 2002-03-08 17:35 )
まゆ猫さん、妻も正確からして、ちょっとしたところに厳しいくせに、大きなことには鷹揚だったりするのです。怖かったり助かったり。 / Hidey ( 2002-03-08 17:34 )
Ecruさん、リベンジ、3月19日決行です。乞うご期待!敢えて自分の都合のいい解釈をすると、それほどプライオリティをおいていないことに関しては、すっかり無防備、無頓着だったりします。でもミュージカルのチケットについては決して無頓着なはずではなかったのだけど。。。 / Hidey ( 2002-03-08 17:32 )
nameさん、お薦めの作品があったら是非教えてください。これからもミュージカルのためだけにNYへ行きたいと思っています。 / Hidey ( 2002-03-08 17:30 )
misatoさん、はじめまして。開始時間の間違いくらいまだまだ軽いもんです。でも一応自己弁護すると、コンサートや演劇関係で今までこういうことはやったことなかったですね。 / Hidey ( 2002-03-08 17:29 )
スーパーしえろさん、まさにこのミュージカルのタイトルどおりの気持ちでした。僕も老人性痴呆か? / Hidey ( 2002-03-08 17:27 )
りぃなさん、余りに僕の本領が発揮されたので怒るよりも笑ってしまったようです。今度やったら殺される。 / Hidey ( 2002-03-08 17:26 )
mignonneさん、そんなところで親近感を覚えてくれなくても。。。 / Hidey ( 2002-03-08 17:25 )
おとじろうさん、ありがとうございます。確かに、今度の3月19日の公演は夜の部なので、マチネーのキャストよりもよいような気がしてます。またご報告します。 / Hidey ( 2002-03-08 17:24 )
プルーさん、そんな賑やかなところで働いてらっしゃったのですね。Mamma Mia!はもうご覧になりましたか? / Hidey ( 2002-03-08 17:23 )
たらママさん、確かにタラちゃんのドタキャン度を考えると、塁損は大変なことになりそうですね。往復時間もさることながら、もう幸せな気持ちで妻と歩きながら、頭の中がABBAだらけだったので、ただ呆然としてしまいました。 / Hidey ( 2002-03-08 17:21 )
Rさん、意外と言っているうちはまだまだ甘い!バレエはついぞ観たことがないです。一度観ればはまってしまうのかもしれないけど。 / Hidey ( 2002-03-08 17:17 )
りさ子さん、その「あらあらあらあらあらあら」は、「あきれて物がいえない」、と解釈してよろしいでしょうか?(笑) / Hidey ( 2002-03-08 17:16 )
マイケルさん、そう、Winter Garden Theatreなのです。CATSは僕も行きました。僕も2年前くらいから話には聞いてて、日本でやれば絶対ABBAブーム再来で大ヒットするのに!と思ってました。でも本場のキャストが来ることが前提ですけどね。 / Hidey ( 2002-03-08 17:14 )
ガス欠コインさん、リベンジ、3月19日に決定しました。今度こそチケットを間違えないようにしないと。妻は優しいというより単に予定調和で呆れられただけなのです。「こういうこともあるとわかってて確認しなかった私がバカだった」とまで言ってました。 / Hidey ( 2002-03-08 17:12 )
マッキ〜さん、僕をよく知っている人なら、何を今さらというくらい、この手の話はよくあることなのです。でも、本当に大事なところではあまり失敗しないつもりだったんだけど、こんなことになるとは、トホホ。 / Hidey ( 2002-03-08 17:11 )
クマさん、はじめまして。留学にも色々ありますが、僕の留学は決して楽しいばかりの留学ではないのです。はっきり言って辛いことばっかりです。高校の頃のホームステイは楽しかったな。。。 / Hidey ( 2002-03-08 17:09 )
そ、それは残念。私だったら、自分自身に怒って不機嫌になってしまいそう。(爆)でも、まだリベンジの可能性があって何よりでしたね。 / りるりる ( 2002-03-06 23:55 )
ミュージカルかあ。ここ何年も行っていません。久々に行きたいです。バレエとかオペラでも良いな。 / lim. ( 2002-03-06 13:21 )
タイトルを見てHideyさんのどこが固まったのか心配してましたが(爆)そんなことが!! Hideyさんて結構、ドタバタさんだったんですね(笑) / 俺様@もっとドタバタさん ( 2002-03-06 09:22 )
ああ、これはショックですよねぇ。でも奥様太っ腹!エライ! リベンジ劇評楽しみにしています。 / まゆ猫 ( 2002-03-06 06:47 )
そうなの、残念でしたね。でも、奥様はやさしいし、リベンジの目処もたっているようでよかった。「よくやる人間」というところに、目は釘付けです。ほんとに? / Ecru ( 2002-03-05 18:42 )
つっこみありがとうございます。私は、何気にミュージカル好きです / name ( 2002-03-04 23:57 )
初めまして。実は私もコンサートの開始時間を間違えた事があるのですが、盛りに盛り上がっていたステージを見た瞬間の脱力感と言ったら・・あの時の脱力感は今でも忘れられません! / misato ( 2002-03-04 16:57 )
Mammma mia! ね。文字通り・・・でも、お仲間がいてうれしいわ(って一緒にされちゃご迷惑ね。私のは天然に老人性が加わってますもの) / スーパーしえろ ( 2002-03-04 16:48 )
あっちゃー。でも、許してくれる奥様でよかったですね♪リベンジ計画はもっと豪華にvvv / りぃな ( 2002-03-04 16:15 )
なんだかちょっとHideyさまに親近感を覚えた私^^ / mignonne ( 2002-03-04 14:35 )
ありゃまぁ。次の時のほうがいい公演ですよ、きっと。 / おとじろう ( 2002-03-04 13:20 )
おお、マイガッド!IMEはいつもへんてこりんな変換をするので。参賀はさんがですの。全く!マイクロソフト、ちゃんと変換してほしい! / プルー ( 2002-03-04 10:04 )
ウインターガーデン(昔近くで働いてました、Catsをやってたころですよね)も懐かしいし、ママミアーも!。前の大家参賀いつも言ってたの。 / プルー ( 2002-03-04 10:02 )
当日にチケットを受け取るシステムだとこういうこともありえますね。私も娘の病気やら行事やらで行けなかったコンサートチケットの損失累計はこの1年半で10万円くらいになるかもしれません。でも、ボストンとNYは往復時間がかかる分、ショックは大きいでしょう。すぐに次のチケットが取れそうでよかったですね。 / たらママ ( 2002-03-04 08:33 )
まああああああ。意外な一面ですね。 わたしは『The Car Man』というバレエが観たいのですが、うっかりしているうちにこちらでの上演を見のがしてしまいました。そろそろ日本に行くはずなので無理矢理帰国したい気分です。 / R ( 2002-03-04 05:44 )
あらあらあらあらあらあら(^^;  / りさ子 ( 2002-03-04 01:35 )
何年か前からCDが出回っていたので気になっていたんです。ところで上演されている劇場はWinter Garden Theatre (ずっと"Cats"を上演していた所)なんですね〜 / マイケル ( 2002-03-04 00:34 )
わーお。でも、リベンジが出来ることが決まって良かったですね。奥さん、優しいですね、それにしても。怒りまくられても、しょうがないような失敗なのに。まあ、そんなHideyさんにも慣れているのでしょう。四季には失礼だけど、ちょっと無理だと思うので、Hideyさんのリベンジ劇評、楽しみにしています。 / ガス欠コイン@メッセージ、ありがとう。 ( 2002-03-04 00:31 )
はあ〜っ・・・。お気持ちお察しいたします。私も友人のコンサート開始時間を間違えたことがあります。あとで「オープニング聞いてくれた?」と聞かれたときには、ホント謝るしかできませんでした(笑)。 / KATSUMI@ジャマイ会 ( 2002-03-04 00:12 )
日記から、いつもしっかりした意見を聞かせてもらっていたので、こんなところで!という驚きがありました。私なんて毎日の生活で失敗ばかり。(笑) / マッキ〜 ( 2002-03-03 23:57 )
留学したいなぁ・・・・・・・ / クマ ( 2002-03-03 23:48 )

2002-03-02 旧ソ連の友人達 2

授業中、旧ソ連を揶揄したブラックジョークが飛び出すことがたまにある。ElenaとAlexを友人と認めているからこそ成立するジョークなのだが、注意深く聞けば冷戦に勝利したアメリカの驕りが見え隠れし、ElenaとAlexが一瞬複雑な表情をするのが分かる。そんなに簡単に世の中が変わるわけがないのだ。

だからこそ先日のBGIEの授業で旧ソ連を取り上げた日、授業に先立ってElenaがソ連に関する簡単なプレゼンテーションをしてくれた意義は大きかった。どんなに間違った理想だろうと、国を愛しその発展を願ってやまなかったソ連の国民の姿を見せてくれた。高邁な理想を掲げた1917年当時の憲法の条文、レーニン、スプートニク、ガガーリンの写真もあった。「私がロシア出身だと言うと、きっと故郷では大変だったのねとかすぐ言われるけど、そんなこと言われても困ってしまう。私はいつも楽しく希望を持って暮らしていたし、それはアメリカ人の生活を見ても何も違わないことだと思うわ」

BGIEの授業は、すべての肯定的・否定的な感情を排除し、純粋に政治学的・経済学的見地から旧ソ連の計画経済を分析した質の高い授業だった。1970年ごろまではソ連共産党による計画経済が極めて効果的に機能したこと。その理由が、連邦レベルでの規模の経済、自由競争にありがちな無駄・重複の排除、一切の広告・マーケティング費用の不要、成長産業への重点的資本投下、軍備拡張による有効な雇用創造などであったこと。そしてその限界が、ひとたび計画数字を達成すればそれ以上の利潤の追求への努力は成されず、巨大な組織ゆえの情報伝達の遅れにより当初の計画が意味をなさないことも多く、軍備への投資が余りにも重くなり過ぎた上、そこでの研究の成果が他の産業に生かされず、また全般的に政治腐敗が進んだ、といった一連の事実であることを学んだ。

ことに1970年以降、社会主義の欠点が一気に露呈した理由をAlexが説明した。「20世紀当初のソ連の未成熟を考えれば、どんな単純な計画だろうと計画性ゆえの成果は当然期待できた。20世紀も後半になると経済や社会が複雑化して、少数の人間による向こう5年を見据えた計画が機能するわけがないということを我々は悟ったんだ」また彼はこうも言っていた。「アメリカだってまだ建国から200年余りで、その間には市民戦争、大恐慌、人種差別などの問題があった。我々の場合は奇跡的な経済成長があり、恐怖政治があり、国の崩壊があったが、実質的にはまだ90年の歴史でしかない。少し長い目で今後を見守ってほしい」

Elenaはゴルバチョフを評して言った。「グラスノスチにしてもペレストロイカにしても彼の思想は正しかった。けれど彼は世に出るのが10年遅かったと思う。70年代に経済のリズムが少しずつ狂い出しながらも、これまで驚異的なソ連の発展を支えてきた理想を誰もが否定できないでいたとき、彼が預言者のように現れればより多くの人が彼についていったと思う。80年代になって社会主義の理想の崩壊が見て取れるようになると、彼の思想は急進派かからすれば『まだ足りない』と映ったし、保守派からすれば『阻止すべきもの』と映った。そうして彼は国内では結局誰からも見捨てられてしまったのよ」

次のBGIEの授業は日本の高度成長期についてである。ソ連が盛り上がってしまっただけに日本代表としては責任が重いが、僕がいる分学びが増えるような授業にしたいと思う。何にしてもこれから各国の政治経済を学ぶ授業が続き、学生が自ら国際的な環境を生かした授業を創り出し、相互理解を深める機会が増えると思うと、辛い勉強も少しは楽しくなりそうだ。

先頭 表紙

バニーさん、いいですね、外資系企業の社長っていうの。僕もそのうち自分の城を持ちたいとは思ってますが、まだまだ先かな。。。笑わない人が笑ってくれるのがうれしい、って言うバニーさんの言葉が温かいですね。確かに20代の男は20代の女性には物足りないかもしれませんね。その分成長途中ということなんだろうけど。 / Hidey ( 2002-03-16 14:44 )
ダーリン1は外資系企業の社長でよくボストンに行ってるみたいです。ダーリン2はボストンでお勉強してたみたい。あまり学生のころの思い出がない人で、笑わない人だけど、私のことで笑ってくれるとうれしい。ダーリン3も勉強いっぱいしてたらしい。SMクラブの女王様と付き合っていたんですって。別に彼はMではないけど^^彼らはみんな30代です。20代の男の子といてもつまんないし。うふふ。 / バニー ( 2002-03-09 14:12 )
フィー子さん、あと2〜3ヶ月もしたらお話できますね。楽しみにしています。僕もこちらにきて多少は日本を俯瞰したいと思っているのですが、うまくいっているのかどうだかよく分かりません。 / Hidey ( 2002-03-08 17:08 )
りぃなさん、確かに日本も古い国のような新興国のような、不思議なところですね。戦時中の植民地政策は正に新興国の成り上がりで、限度を知らない暴れん坊という感じだし。戦後は戦後でにわかに欧米的価値観を植え付けられたものだから、また極端にmaterialisticでなんでもありの社会になっちゃったし。いつになったら落ち着くことやら。 / Hidey ( 2002-03-08 17:06 )
ガス欠コインさん、僕も敬愛する伯父伯母がもともと社会主義者で(その昔学生運動のリーダーをやってしっかり逮捕されてる)、彼らの影響も結構ありました。でも最終的には自分の価値観を貫いてこの場所にいます。Elenaによればゴルバチョフは国内では海外ほど人気がないようです。あまりに国内の惨状を利用して海外にいい顔をしたとの印象があるみたい。 / Hidey ( 2002-03-08 17:01 )
興味深い話でした。いつかもっと深く聞かせていただけると嬉しいです。自分の国を俯瞰的に見られるお二人の言葉がいろいろ考えさせられますね。 / フィー子 ( 2002-03-05 21:49 )
ロシアも旧ソ連も、私にとっては近くて遠い国〜。実質的にはまだ90年の歴史っていうのが印象的です。これは日本も似てますよね。遠い将来、日本もロシアもアメリカも、どうなってるのかな〜? / りぃな ( 2002-03-04 17:06 )
両極は、どちらもしっかりと見極めなければならない。大学で今も教鞭を執る僕の父は、僕が幼い頃、社会主義思想を持っていたと思います。僕は反発から、反対側に行こうとし、そこで出会ったものにも違和感を感じ、ようやくこの歳になって、自分の考えていることの位置がわかり始めてきました。貴重な話しをありがとう。Elenaの「ゴルバチョフは遅すぎた」という言葉が強く印象に残りました。 / ガス欠コイン ( 2002-03-04 00:46 )
たらママさん、そのロシア人の方、とても辛かったのでしょうね。日本のケースは50〜60年代までの内容だったので、僕のミニプレゼンもそれにあわせた内容にしておきました。特に50年代は自分が生きていた訳ではない時代なので、解説に実感がこもりにくかったです。うちのケースのアプローチとしては、極力文化的な観点を排除して、あくまで政治経済学的に分析しようとしているようです。その分学生が文化的な解説を補えればいいなと思っています。 / Hidey ( 2002-03-04 00:00 )
KATSUMIさん、いらっしゃいませ。言いたいことを代わりに言っていただけたような気がします。世界中の国の事情に首をつっこんでいる分、より本当の理解が増してくれるとよいのですが。。。 / Hidey ( 2002-03-03 23:56 )
Ecruさん、日本のケース、どれだけ貢献できたか分からないけど、各国の学生大注目のケースになったのは間違いないので、そのうちご報告します。 / Hidey ( 2002-03-03 23:54 )
ソ連が崩壊過程にあった当時、会社にロシア人のコンサルタント(本業は日本の国立大学の先生)がいました。いかに祖国の行き詰まりを憂いているかがよく伝わってきました。日本の高度成長期−国の産業政策と日本企業の経営システム構築の相乗効果での右肩上がり成長と、人口の工業化による所得水準向上(いわゆる3C普及とか)都市移動・ウサギ小屋団地・教育ママ・学生闘争など、社会的な変化も興味深い時代ですね。 / たらママ ( 2002-03-03 08:11 )
世の中に正しいものは一つじゃないし、どんなものにも正義はある。そんな相手を思いやる理想が、アメリカには欠けている気がします。でもそんなさまざまな境遇と直接触れ合える環境を持っていること、それもアメリカが深くなれる強みだと思います。 / KATSUMI@ジャマイ会 ( 2002-03-03 02:12 )
どんなに間違った理想だろうと…のところ、なんだか胸にずっしりときました。人の思うところは変わらない…ここに、希望も感じるし、同時にわかりあう難しさも感じました。ちょっと勇気がなくて、うまく表現できないのだけど。次回の授業の様子もできたら教えてくださいね。とても楽しみです。 / Ecru ( 2002-03-02 20:02 )

2002-03-02 旧ソ連の友人達 1

Elenaとはじめてゆっくり話したのは雪の日のNegotiation(交渉術)のグループ学習のときだった。課題もそこそこにキャンパスに降り積もる雪を眺めていた彼女の「私、雪って好きよ」という言葉から、思いがけない個人的な会話が始まった。

Elenaはモスクワ出身で、金髪が美しい26歳のロシア人女性だ。モスクワの高校を卒業するとともに単身アメリカに渡り、マサチューセッツの大学で学んだ。大学卒業後はモルガン・スタンレー・ディーン・ウィッターに就職、証券のトレーダーを経験した後うちの学校に入学した。

「もうアメリカには7年以上いるけれど、やっぱり雪を見ると美しいモスクワの風景を思い出すの。この学校は好きよ。大学や会社ではロシア人はめずらしかったから、それほど辛いわけじゃなかったけど時々孤独感を味わうことがあった。今はロシアや旧ソ連出身の友達もいるしね」

実は中学時代一番行きたい国が当時のソ連だったんだ、と僕は話した。「トルストイが好きだったんだ。だから高校で第二外国語を選ばなくてはならなかったとき、迷わずロシア語を選ぼうとしたんだけど、父親に説得されてフランス語を選んだ。結局どちらを選んでいたとしても遊んで過ごして終わってしまったんだけど」

Alexの家を訪ねたのは、セクション(クラス)のボウリング大会がとある事情で中止になって、急遽20人ほどで彼の家を訪れた日のことだった。彼はウクライナの高校を卒業後、当時のアフガニスタン侵攻にあたり小隊長を務め、最前線で活躍したという。連邦崩壊後、彼はアメリカのニュージャージー医科歯科大学で遺伝子の研究をし、その経験をもとにアメリカに留まってバイオテック系の企業を二社設立。思うところあってうちの学校で学ぶことになった。現在33歳。

盛り上がる友人達で騒がしい居間を抜け出して、彼のベッドルームを見せてもらった。彼の部屋の壁には、一目でパリとわかるモノクロの風景写真が数点、その他にもイスラエルの街の写真などが飾られていた。「僕が撮った写真なんだ。街で生きる人間を蟻でもあるかのように俯瞰できるような、そんな街の写真が好きなんだ」同じくウクライナ人の彼の妻は、彼同様アメリカのビジネススクールを志し、出願に必須の試験であるGMATの勉強をしていた。

昨年9月の始業から、旧ソ連出身の彼らが同じ教室で学んでいることには正直戸惑いがあった。そして彼らがすぐにアメリカ人のコミュニティに溶け込んでいることも。上記の通り、二人とも既にアメリカの経験が長いことをその後知ってある程度納得はしたものの、1983年に僕がはじめてアメリカの高校に留学したころのことを考えるとやはり隔世の感がある。

当時まだ冷戦の真っ只中、文化的レベルもそれほど高いとはいえないメイン州の公立高校ということで当たり前だったのかもしれないが、それでも仲のよい友人達がふとした折に見せるソ連への極端な嫌悪感は信じがたいものがあった。大人も同じだった。地域の文化セミナーのようなものがあって「理想の社会像」をディスカッションする機会があったのだが、彼らは社会主義の根元的な理想すら知らないまま盲目的な社会主義批判を繰り返していた。

(つづく)

先頭 表紙

Rさん、結局ロシアはまだ行けていませんが、ロシア文学もその歴史も好きになる一方です。おっしゃるとおり、彼らは極めて恵まれています。若干割り引いて考えないとね。 / Hidey ( 2002-03-08 16:58 )
現実的なことを言えば、クラスメイトのお二方はロシアの中でも恵まれた方たちですよね。東欧なんて本当に大変。そこから流れてくる移民をすべて受け入れるわけにも行かず、こちらには多くの不法入国者がいます。 / R ( 2002-03-04 05:36 )
ロシア語って、最も美しい言語だと思っています。街も人も、どことも違って本当に独特ですよね。ヨーロッパの中のアジアというか、アジアの中のヨーロッパというか。『ロシア的』としか表現の仕様がなかったり。もっと良く知りたい国のひとつです。 / R ( 2002-03-04 05:29 )
まゆ猫さん、ほんとに今の環境は感謝してます。違った常識を色々体験できるし。Elenaのプレゼンテーションに続いて僕も日本のケースのとき、簡単なプレゼンをやりました。その後シンガポール人も続いて。よき慣習が続きそうです。 / Hidey ( 2002-03-03 23:52 )
プルーさん、僕もまだ結局ロシアはいけてないのです。近いうちに行ってみたいなとは思ってますけど。オリンピックのフィギュアスケートなんかでも、ロシアの選手に随分大きな拍手が送られていて、やはりそういうのを見ると時代が変わったんだな、と思います。 / Hidey ( 2002-03-03 23:50 )
スーパーしえろさん、もひとつドイツ語もあるんですよ。どれかひとつ選べということなんだけど。でも所詮はエスカレーターの私立だったので、ほとんど真面目にやってませんでした。からかいやすい先生がいたので教卓を教室のど真ん中に設置してみたり、ある時間が来ると皆で立ち上がって校歌を歌ったり、好き放題でした。(先生も歌ってた) / Hidey ( 2002-03-03 23:47 )
愛国心、ありますよね。もう外に出て十年以上経ちますが、愛国心は強まるばかり(?)。自分の国の悪いところもよくわかっているのだけれど、やっぱり最後には自国を弁護してしまうのですよね(しかも、かなり熱く(笑))。グローバルな環境いいですね。世の中には本当にいろんな思想があるんだって感心します。今も私の周囲でさえ、常識(私の中の)では考えられないことが日々起こっていますから。 / まゆ猫 ( 2002-03-03 06:40 )
ロシア人!といつもアメリカ人が呼ぶので私もいつもロシアンと呼んでます。周りに結構ロシア人は多くいて、ちょっと違う光を放っているかしら(良くも悪くも、、)。昔、やはりアリーナ(典型的な名前のよう)と仕事してて、アメリカに来て、グローサリーに野菜や果物が豊富にあってすごく嬉しかったと言っていたのを記憶しています。物が有り余る程あるというのが普通の私には、ソ連って大変なとこなんだと思ったことも。まわりにロシア人がいる割には、かの国のこと認識不足です、私。 / プルー ( 2002-03-03 03:06 )
高校の第二外国語でフランス語(はともかく)ロシア語選べるトコあるんだ!(と、本文にあんまし関係ない突込みでごめんなさい) / スーパーしえろ ( 2002-03-02 14:50 )

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