「パリの確立」
新世紀を迎えるパーティーで彼女は彼の子供を作りたいという。
彼はまだその決心ができない。
彼はパーティーの途中、トイレの天井から数十年後の未来に入り込んでしまう。
そこで出会ったのは彼の息子、孫、曾孫たち。
息子は彼に彼女との子供、つまり自分を作ってくれと懇願する。
そうしなければ息子の存在はなくなってしまうから。
自分の未来が見えたらどんなに楽だろうと思うこともあるけれど
それじゃ喜びも楽しみも悲しみも苦しみも悩みも味わうことはできない。
父も母も兄や私や弟が生まれて喜び、成長の途中で迷ったり悩んだりしたはずだ。
いつか私が母になったときにはその気持ちを存分に味わいたい。
このすばらしい世に私を送り出してくれた父と母に感謝しつつ
これからも精一杯生きていきたい。
* * * * * *
少し早く職場で誕生祝をしてもらった。
店長がわざとらしく私をお遣いに行かせて
帰ってきてみたら
真っ暗の中でケーキにキャンドルが灯され
私のお気に入りのラベンダー色のアジサイや
ピンクのバラ「エスター」が小さなコンポートにアレンジされていた。
キャンドルを吹き消す前には心の中でひとつだけ願った。
* * * * * *
これは自分へのご褒美。
最近のお気に入りの紫色の花を集めて。 |