無常観といえば、誰しもが思い描くのが、平家物語、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り…」のくだり。これって東洋特有の思想かとおもっていたら、どうしてどうして、西の果てにもありました、同じ乗りの詩が。Luis Vas de Camoes は今から400年以上も前に生きた有名なポルトガルの詩人。
以下に載せる詩は彼の記したソネットの一部。訳は僕が付けました。残念ながら、原文の美しい韻は訳出できませんでした。ごめんね。あと、もし誤訳を発見したら教えて下さい。特に最後のsoiaと言う動詞は手持ちの辞書には載っていませんでした。ここでは音(soido)が鳴る、つまり英語のsoundとして訳しています。
Mudam-se os tempos, mudam-se as vontades,
Muda-se o ser, muda-se a confianca;
Todo o Mundo e composto de mudanca,
Tomando sempre novas qualidades.
Continuamente vemos novidades,
Diferentes em tudo da esperanca;
Do mal ficam as magoas na lembranca,
E do bem, se algum houve, as saudades.
O tempo cobre o chao de verde manto,
Que ja coberto foi de neve fria,
E em mim converte em choro o doce canto.
E, afora este mudar-se cada dia,
Outra mudanca faz de mor espanto:
Que nao se muda ja como soia.
時が移ろい、意思がうつろい
存在が移ろい、信念が移ろう。
いつも新しい性質をおびて、
この世は変化でなりたっている。
我々は常に新きを目にし、
期待が裏切られることは
絶えることが無い。
悪しきは、苦渋を記憶に残し、
善は、それがたとえあるとしても、
哀愁を残すのみ。
たった今冷たい雪に閉ざされた大地をも、
時は、それを緑のマントで覆う。
そして、私の中で、甘い歌が、涙に替わる。
そして、この日々の移ろいをのぞいては、
もう一つの移ろいが偉大な恐怖をなす。
それはたった今聞こえていたようには
もはや移ろわないと言うこと。
訳はつたないですが、要は、変化に対する個人の無力感が詠われている言う事です。
人間って、洋の東西を問わず結構同じようなことを考えているモンですね。
Camoesのその他の詩はこのサイトで手に入ります。
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