アナタと暮らし始めた頃は、側にいられるだけで嬉しかった。
一日が終わり、その安らかな寝顔を見ているだけで幸福だった。
けれど、最近のアナタは横暴で、「食事の支度が遅いっ」「こんな不味いもの喰えるかっ!」とワタシに怒鳴ってばかり。
ちょっとうんざりしていた。
そんなワタシの気持ちを察するかのように、アナタは他人に見せるような素敵な笑顔をワタシには見せてくれなくなった。
これで私たち、お終いなのかな。
そう思ってた矢先。
アナタが熱を出した。
おなかのなかのものを全部、噴水のように吐いた。
それは顔じゅうを覆い、目の中にまで入り、ちょっとしたスプラッタだった。
熱は38度5分まで上がり、アナタの目がうつろになってきた。
動揺した。
アナタがいない生活なんて考えたくもない。
夜中じゅう、「喉が渇いた」と1.2時間おきに呼ぶ声に必死に答えた。
いつもはそっぽを向いて寝るのに、不安なのかワタシの方に顔を傾けて眠るアナタ。
ときどき薄目をあけてワタシの存在を確かめて、また眠りに落ちる。
やっぱり私たちはきちんと信頼関係で結ばれていたのね。
自分たちが意識してなかっただけで。
翌朝、何事もなかったかのように熱は下がり、早速いつものようにアナタは自分の体を鍛え始めた。
良かった。
神様はちょっとワタシを試されたんだ。
どんなにアナタを必要としているかこれでわかった。
もう、大丈夫。
私たち、きっとこれからもうまくやっていける。
※画像:熱が下がったとたん、もうじっとしてやしない。 |