雨の音を聞くと思い出す事があります。
大学を出て、就職を決める時、私は人と接する仕事をしてみたくて金融機関の営業職を選びました。2ヶ月の研修を経て、支店に配属になり最初の1週間だけは先輩からの引継ぎと言うことで同行してもらえましたが、その後は一人でお客様のところを周りました。当時は女性の営業というのは非常に珍しかったので、どこでも割と暖かく迎え入れてもらえてたと思います。新人だったのでバツグンの成績とまではいかなかったけれど、仕事自体は順調でした。
問題だったのは支店内の人間関係。
あるとき、上司に女性の営業職だけが呼び出されました。
「君達はロッカー室で『雨の日は面倒だね。』って言ってたらしいな。雨でもなんでもお客様のところに行くのが仕事だろう。中で働いている人に恥ずかしくないのか」と詰問。仲間の一人が泣き出しました。その頃は新人が上司に逆らうような時代ではなかったので。でも、その不条理さに私は俄然と反論し始めたんです。
「それは雨だから外に出たくないという意味で言ったわけではありません。雨の日は濡れたかばんをお客様の机の脇の床に置くわけにはいけないので、綺麗に拭いたり、また見苦しくないように服や髪を整えたりしないといけないから、その手間が晴れの日に比べて面倒だよね。そういう意味で言ったんです。」
「なんだ。そう言うことか。君達が『仕事が面倒だ』ということを言ってると、事務の女性から注進があったから、今回呼んだんだが、そういうことなら、今後、誤解を招くような言動は例えロッカー室であろうと慎むようにね。」と言われてこの場は収まりました。
言われるまで気がつかなかったんですけど、営業をしている自分にとっては外でお客様の相手をしているときが「闘い」で支店というのは、ほっと一息つける場所だったのでついつい気が緩んでしまっていたのですね。でも、事務の女性達にとっては支店こそが「戦場」だったんです。配慮が足りませんでした。
そもそも、4大卒で営業職についた私たちは同い年の短大卒の先輩よりもお給料が高かったので、最初から厳しい目で見られていたんです。「まだ1人前の仕事もできないくせにお給料だけは・・・。」と嫌味をいわれたことも何度もありました。でも、逆にそういうプレッシャーがあったからこそ頑張れたような気がします。
あの頃、女性の敵は女性だった。
21世紀に入って、どんどん女性もいろんな分野で活躍しはじめています。もっともっと「働きたい女性」が家庭をもっても、子供ができても、仕事をしやすい環境ができたらいいなって思います。
逆に、家のことを専門にケアする「専業主婦」がきちんと職業の一種と認められたら素敵だなと。
やりたいこと、得意分野は人それぞれなので、いろんな選択が当たり前のようにできる世の中になればいいですよね。
※麺が見えないけど、やっぱりつくってもらったサージャー麺 |