私より一回り年上の友人にはさらに一回り上の旦那さんがいます。一度、お昼休みの銀座の街で二人連れ立って歩いている事をみかけたことがあり、「仲良しですね〜♪」って冷やかしたこともあります。そうしたら、照れながら友人がわけを話してくれました。「彼に選ばせるとおじさんくさいダサイものばっかり買っちゃうので、私がこれから彼の着る物を見立てるとこなのよ。」と。なるほど。年齢の割りにセンスがよくてお洒落でダンディに見えたのは、そう言うわけだったのです。
2人ともかつての私の顧客だったので、当時から複雑な家庭の事情とかも聞いていました。決して順風満帆だったわけではありません。いろんなことを乗り越えて二人はお互いの信頼関係を築いていったんです。子供たちが結婚して、孫ができて。そして2年前、旦那さんは定年を迎えました。
最初、友人は心配していました。仕事が好きな人だったのでどうやって毎日を過ごすのだろうかと。
そうしたら、旦那さんは早速、いままでの経験を生かせるボランティアの仕事を探してきました。
次に仲間を見つけ、毎週テニスに通い始めました。
週末には東京郊外の友人の実家の裏で日曜菜園まではじめました。最初は大根や小松菜などの簡単なものから。そしてとうとう去年は田圃まで。秋に初めて収穫したお米を私にも少しだけ、わけてくれました。
なんか嬉しかったです。自分より若くて元気な人を見ているのも楽しいけれど、年上の人が充実した毎日を過ごしているのをみるとトシをとるのも悪くないんじゃないかと思えてくるから。
余談ですが、退職後、家にいるときは旦那さんがお掃除したり、お布団を干したりしてくれるそうです。でも、絶対に食事の支度はさせないんだとか。そのことのついて友人は一言「だって、そこまでされちゃうと、私の家での居場所がなくなっちゃうもん」。だから、彼女は普段は仕事が終わると一目散に家に帰ります。ご主人が現役のときは、友人の方が帰りが早かったのでのんびりしていたんですね。一見大変そうに見えるけど、待っていてくれる人がいるっていうのはなんだか楽しそうです。ハタからみると、第二の新婚生活って感じです。
※友人の旦那さんにいただいたお米で炊いたごはん |